JUNJI TAKASAGO THE PLANET2 GRAND JOURNEY

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SEASON4 COSTA RICA 10 / “Arribada” - a wonder in nature -

奇跡の現象“アリバダ”

9月から12月の下弦の月のころ、何十万頭にもおよぶヒメウミガメたちが、コスタリカのオスティオナルに産卵にやってくる。スペイン語の“Arribar(到着)”を語源とする“アリバダ”と呼ばれる現象だ。彼女らは、このビーチで20年ほど前に生まれ、その後数千キロにわたる旅を続けながら成熟し、今この生まれ故郷に、はるばる産卵のために戻って来ているのだ。ここで産み落とされ、その20年後に生きて戻って来られるのはわずか0.1パーセント。その確率にかけ、重い体に鞭打って砂浜を這い上がり、時間をかけて穴を掘り、50~60個の卵を産み落とし、丁寧に砂をかけ、またやっとのことで海に戻っていく。他のウミガメの卵を掘り返して食べるクロコンドルたちには脇目もくれず、まるで宇宙につながったような眼差しで黙々と産卵を遂行していく。ウミガメが危険を感じて上陸をあきらめないよう、地元の人たちはビーチの静寂や安全の確保に全力を尽くしていた。この神聖な現象は、そんな努力があって続いているのだ。

アリバダの始まり

アリバダの始まり

あたりが夕焼けに包まれる中、ウミガメたちがビーチに上陸してくる。
新しい命を産み落とすにふさわしい、神聖な光景だった。

無数のヒメウミガメ

無数のヒメウミガメ

多い時には1日に何万頭ものヒメウミガメが上陸して産卵をする。
ほかのウミガメのことは気にせず、
みんなひたすら自分の産卵に集中していた。

明け方の上陸

明け方の上陸

産卵は、比較的涼しい夕方から朝にかけて行われる。
朝に上陸したものは、暑くなる前に海に戻るため
産卵を急がなければならない。

産卵前のひととき

産卵前のひととき

やっとの思いで上陸を果たしたヒメウミガメ。
これからさらに大変な仕事が待っている。

産卵する母ウミガメ 産卵する母ウミガメ 産卵する母ウミガメ

産卵する母ウミガメ

一度に産む卵の数は50~60個ほど。
掘った穴に必死で産み落とす傍(そば)から、クロコンドルが新鮮な卵を狙う。
彼らにとっては大ご馳走にありつける時期なのだ(現地ガイドが、卵が見えるよう砂をどけてくれた)。

溢れる命

溢れる命

穴を掘ることができなかったのか、
産んだ卵が砂の上に溢れかえっていた。
彼女らは自らの寿命が尽きるまで毎年産卵を続ける。

ヒメウミガメの産卵

ヒメウミガメがビーチを埋め尽くす“アリバダ”。
上陸した母ウミガメが穴を掘り、卵を産み落とし、
その穴を埋めてから再び海に還っていく。
命を賭けた産卵の様子を動画に収めた。

生まれたての赤ちゃん

生まれたての赤ちゃん

生まれたばかりのヒメウミガメの赤ちゃん。
生き延びる確率は決して高くないが、
長寿を全うすれば100年ほども生きると言われる。

生まれてすぐのサバイバル 生まれてすぐのサバイバル 生まれてすぐのサバイバル 生まれてすぐのサバイバル

生まれてすぐのサバイバル

ハッチアウト(孵化)したばかりの赤ちゃんは、
鳥たちにとって格好の餌食だ。
広いビーチを一目散に海に向かって走る。

生後20年で生まれ故郷のビーチに戻れる不思議。
突き動かされるように、無心に産卵を全うしようとする目つき。
たくさんの卵を産み、たくさん食べられ、他のものの栄養になる役割。
大いなる自然の働きが、地球のバランスを保っている。

祝福の虹

祝福の虹

無事産卵を終え、朝方海に戻るヒメウミガメ。
産卵の成功を祝福するかのように、海の上に控えめで美しい虹が現れた。

神が操る生命

神が操る生命

生命を宿した岩群が、
神々の操作するリモコンで動き回っているようにも見えた。

アリバダという奇跡

アリバダという奇跡

アリバダを目の当たりにすると、
生命の不思議さをつくづく感じ、ただただ言葉を失ってしまう。
この世は神聖なことで満ち溢れているのかもしれない。

アリバダのビーチで想ったこと

生死を賭けてまで頑張って上陸し、産卵し、海に還っていく母ウミガメたちの姿は本当に感動的だった。力尽きて息絶えてしまっているものも少なくないけれど、それがまたほかの生き物たちの糧になっているのだ。死んでいくものと生まれ出るものが同時に存在するこのビーチでは、生態系が絶妙なバランスの上に成り立っているのがよく分かった。
「母ウミガメたちは繊細なので、人間が脅かしてしまったら、たちまち上陸しなくなってしまうだろう」と現地ガイドは話してくれた。アリバダだけでなく、地球全体のシステムが永続するかどうかは人間の手にゆだねられているのだということをあらためて感じた。それにしても、壮大で神聖な現象だった。

息絶えてしまった母ヒメウミガメを容赦なくついばむクロコンドルたち。

息絶えてしまった母ヒメウミガメを容赦なくついばむクロコンドルたち。

弱ってしまっているウミガメを見つけ、狙いを定めるクロコンドル。

弱ってしまっているウミガメを見つけ、狙いを定めるクロコンドル。

ひっくり返ってしまい戻れないで困っているウミガメを、思わず助けようと近づく女性。

ひっくり返ってしまい戻れないで困っているウミガメを、思わず助けようと近づく女性。

ビーチすれすれから撮影する僕。

ビーチすれすれから撮影する僕。

新しいミラーレスカメラ、Z 7 で見えたもの

今回アリバダの撮影で、新しいフルサイズミラーレスカメラ・ニコン Z 7 を初めて使用する機会を得た。砂の上を這うウミガメの目線に合わせて、自分も低い目線から撮影することも多かったため、 Z 7 の速写性の高いチルト式画像モニターが大いに活躍してくれた。まっしぐらに海に向かうウミガメの赤ちゃんを、ビーチすれすれからオートフォーカスがしっかりと追いかけてくれたのにはとても驚いた。カメラの進化というものは、本当にありがたい。
暗いビーチを歩き回るのにも、小さいカメラはとても楽だった。これで最高の画質を得られるというのが信じられないほどだった。これからは、この小さい相棒と一緒にあちこち世界を周ることも多くなりそうだ。

アリバダの始まり

カメラ:Z 7 レンズ:AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR + マウントアダプター FTZ 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/100秒、f/5.6
焦点距離:16mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 1250 ピクチャーコントロール:スタンダード

無数のヒメウミガメ

カメラ:Z 7 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR + マウントアダプター FTZ 画質モード:RAW (14-bit)  撮影モード:絞り優先オート、1/200秒、f/7.1
焦点距離:400mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 800 ピクチャーコントロール:スタンダード

明け方の上陸

カメラ:Z 7 レンズ:AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR + マウントアダプター FTZ 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1250秒、f/6.3
焦点距離:18mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 3200 ピクチャーコントロール:スタンダード

産卵前のひととき

カメラ:Z 7 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR + マウントアダプター FTZ 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/320秒、f/7.1
焦点距離:80mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 1250 ピクチャーコントロール:スタンダード

産卵する母ウミガメ

カメラ:Z 7 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR + マウントアダプター FTZ 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/2500秒、f/13
焦点距離:100mm ホワイトバランス:色温度(4000K) ISO感度:ISO 1600 ピクチャーコントロール:スタンダード

産卵する母ウミガメ

カメラ:Z 7 レンズ:NIKKOR Z 24-70mm f/4 S 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/125秒、f/8
焦点距離:41mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 1600 ピクチャーコントロール:スタンダード

産卵する母ウミガメ

カメラ:Z 7 レンズ:NIKKOR Z 24-70mm f/4 S 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/60秒、f/8
焦点距離:70mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 1600 ピクチャーコントロール:スタンダード

溢れる命

カメラ:D5 レンズ:AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:マニュアル、4秒、f/2.8
焦点距離:14mm ホワイトバランス:電球 ISO感度:ISO 6400 ピクチャーコントロール:スタンダード

生まれたての赤ちゃん

カメラ:Z 7 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR + マウントアダプター FTZ 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/5000秒、f/6.3
焦点距離:400mm ホワイトバランス:色温度 (4000K) ISO感度:ISO 3200 ピクチャーコントロール:スタンダード

生まれてすぐのサバイバル

カメラ:Z 7 レンズ:AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR + マウントアダプター FTZ 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1600秒、f/11
焦点距離:17mm ホワイトバランス:色温度(4000K) ISO感度:ISO 1600 ピクチャーコントロール:スタンダード

生まれてすぐのサバイバル

カメラ:Z 7 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR + マウントアダプター FTZ 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/2500秒、f/13
焦点距離:400mm ホワイトバランス:色温度(4000K) ISO感度:ISO 3200 ピクチャーコントロール:スタンダード

生まれてすぐのサバイバル

カメラ:Z 7 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR + マウントアダプター FTZ 撮影モード:絞り優先オート、1/5000秒、f/6.3
焦点距離:400mm ホワイトバランス:色温度(4000K) ISO感度:ISO 3200 ピクチャーコントロール:スタンダード

生まれてすぐのサバイバル

カメラ:Z 7 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR + マウントアダプター FTZ 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/2000秒、f/13
焦点距離:400mm ホワイトバランス:色温度(4000K) ISO感度:ISO 3200 ピクチャーコントロール:スタンダード

祝福の虹

カメラ:Z 7 レンズ:AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR + マウントアダプター FTZ 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/3200秒、f/7.1
焦点距離:16mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 1600 ピクチャーコントロール:スタンダード

神が操る生命

カメラ:Z 7 レンズ:AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR + マウントアダプター FTZ 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、5秒、f/6.3
焦点距離:22mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 1250 ピクチャーコントロール:スタンダード

アリバダという奇跡

カメラ:Z 7 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR + マウントアダプター FTZ 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/500秒、f/14
焦点距離:220mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 800 ピクチャーコントロール:スタンダード

Profile

高砂淳二JUNJI TAKASAGO

写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。
ダイビング専門誌の専属カメラマンを経て1989年に独立。世界中の国々を訪れ、海の中から生き物、虹、風景、星空まで、地球全体をフィールドに撮影活動を続けている。著書は、「LIGHT on LIFE」「night rainbow ~祝福の虹」「ASTRA」「虹の星」「Children of the Rainbow」「free」「BLUE」「life」(以上小学館)、「Dear Earth」「そら色の夢」「南の夢の海へ」(以上パイインターナショナル)、「クジラの見る夢 ~ジャックマイヨールとの海の日々~」(共著・七賢出版)ほか多数。ザルツブルグ博物館、Nikon THE GALLERY、渋谷パルコ、阪急百貨店、大丸百貨店など写真展多数開催。2008年には、外務省主催・太平洋島サミット記念写真展「Pacific Islands」を担当。海の環境NPO法人“OWS”理事。自然のこと、自然と人間の関係、人間の役割などを、トークショーや、テレビ、ラジオ、雑誌などを通して幅広く伝え続けている。

高砂淳二

推奨環境

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