JUNJI TAKASAGO THE PLANET2 GRAND JOURNEY

Behind the Scene

SEASON1 NEW ZELAND 01 / Lake Tekapo

天空と大地の出会う場所

ニュージーランドに着いたら真っ先に訪れようと心に決めていたのは、レイク・テカポだった。街灯にかさをかぶせて光害を軽減する、ナトリウムランプを採用するなど、町全体で美しい星空を守っている世界でも貴重な場所だ。陽が沈み、無数の星々を望遠レンズごしに眺めていると、いつしか心は無限の宇宙に飛びだしていき、まるでそこを漂っているかのような気分になる。僕は太陽系をはるかに超え、しばし果てしない銀河を遊泳する。都会で生活しているときには宇宙を意識する機会もあまりないが、こうして夜空を観察していると、僕らは銀河系に浮かぶ星に住む宇宙人で、動物も、植物も、同じ宇宙生命体であることにあらためて気づかされる。

夜のルピナス

夜のルピナス

星空の美しい場所として有名なテカポ湖周辺では、12月になるとルピナスの花が咲き乱れる。
ブルーや紫を基調とする花茎が、空に向かって真っすぐに伸びる姿は、
夜空に思いを馳せる町、テカポのイメージにピッタリだと思えた。
あたりが暗くなってから再びルピナスを見に行った。
星空のもとで見るその花は、まるで銀河に向かって背伸びする美しい生命体のようだった。

逆さまなオリオン座

逆さまなオリオン座

南半球では、見られる星座も北半球とは違うし、見え方も違ってくる。
普段は意識などしないけれど、やはり地球は丸いのだ、とつくづく思う。

シリウス

シリウス

テカポは星空観測に向いていて、降ってきそうなくらいたくさんの星が見える。
そんな中でも、ひときわ明るく輝いて見える星がシリウスだ。

オリオン大星雲

オリオン大星雲

“オリオン大星雲”には巨大なガスの塊が浮かんでいて、
新しい星が次々に集団で生まれているそうだ。
その様子を想像しただけで、心は異次元にワープしてしまいそうだ。

赤い星雲

赤い星雲

南十字星の西側に位置するイータ・カリーナ星雲。
星雲の中心部にある六等星のりゅうこつ(龍骨)座η(イータ)は銀河系最大級の超巨星だ。
しかもそこには鍵穴の形をした“キーホール”と呼ばれる暗黒星雲が存在するらしい。
果てしなく深い宇宙の一端を垣間見た気がした。

善き羊飼いの教会

善き羊飼いの教会

テカポと言えばこの教会を思い浮かべる人も多い、人気のランドマーク。
開拓者のために付近の石を集めて建てられたそうだが、
その石の雰囲気が周りの風景や星空とよくマッチする。

マウントクックの夜明け

プカキ湖の湖畔からマウントクックを望む。星や月の光がマウントクックに注ぎ、
やがて朝日が山肌を照らす。真夏だというのにダウンを着込まなければいられないほど寒い夜、
その移り変わりを4時間もかけてじっくりと眺めるほど贅沢なことはないかもしれない。
地球は宇宙を巡り続けている。その営みをひしひしと感じる豊かな時間だった。

7つの色を含む光が宇宙空間から降り注ぐ。
それが地球に達したとき初めて、
光が本来持っている美しさや歓びが地表で開花するようにも見える。
やはり地球は、特別に美しい惑星なのかもしれない。

ルピナスの花

ルピナスの花

太陽という恒星が地球の周りをぐるぐると回り続け、
その光を味方につけて、ルピナスがどんどん成長する。
まるで意志を持って天を目指しているようにも見える不思議な花だ。

生命力あふれるルピナス

生命力あふれるルピナス

ルピナスは強靭な生命力でどんどん増えていく。
近寄ってみると確かにその一本一本から特別な力強さを感じた。

ルピナスとテカポ湖

ルピナスとテカポ湖

氷河が動くときに削り出される岩石の微小な粒がテカポ湖の水に溶け込み、
まるで南の島を囲む海のような美しいブルーを創り出している。
色とりどりのルピナスが、テカポ湖のエメラルドグリーンと色の競演を繰り広げていた。

ルピナスのグラデーション

ルピナスのグラデーション

ルピナスの花には、白系、ブルー系、紫系、ピンク系など、様々な色調があり、
それぞれの色味のものが適度なグループを形成している。
それらが集まって地表全体を美しいグラデーションで覆っている。
地球には、太陽の豊かな光が降り注いでいて、すべての地球種生命体にいのちの息吹を与えている。
その光に含まれる7つの色彩が、それぞれの地球種生命体に織り交ぜられ、
美しい地球の姿を創り出しているのだ。

テカポ湖の二つの顔に出会った。

満天の星に包まれるわが宿

満天の星に包まれるわが宿

ニュージーランドの撮影では、キャンピングカーをレンタルすることにしている。夜でも昼でも構わず撮影するし、気に入った風景には納得できるまで向かい合いたい僕のスタイルに一番合っている。それに、満天の星の下で眠り、美しい自然のただ中で目を覚ますのはとても気分がいい。

レイク・テカポはユネスコの国際ダークスカイ・リザーブ(星空保護区)に指定されているだけあって、さすがに満天の星空が美しい。さっそく撮影を始めると、いつしか星の世界に心を奪われてしまった。まるで宇宙旅行を楽しんでいるような、独特の浮遊感がなんとも言えず心地よかった。
漆黒のテカポ湖に陽が昇ると、打って変わって色とりどりの自然が広がっていく。中でもルピナスの群生地は圧巻だ。この花は、日本では栽培が難しい園芸種として知られているが、ここでは雑草扱いだという。それでも多彩な色調で群生する様は息を飲むほど美しい。無心に生きる命の美しさを感じる光景だった。

お世話になった現地在住の小澤英之さんと

お世話になった現地在住の小澤英之さんと(赤道儀に400mm F2.8とD850を載せて)

赤道儀のセッティング中

赤道儀のセッティング中。これに撮影機材を載せると、天空に合わせて自動的に動かしてくれ、スローシャッターでもブレることはない。

マウントクックのタイムラプス映像を撮影中

マウントクックのタイムラプス映像を撮影中。夜中の3時ごろから始めて、もう3時間近く経過。太陽がもうすぐ昇ってくるはずだ。

テカポ湖畔に群生するルピナス

テカポ湖畔に群生するルピナス。いい香りに包まれて、とても幸せな撮影だった。

D850の万能さが感じられた旅だった。

ニュージーランドでは、D850をメインに使って撮影した。D850の人気のほどは以前から聞いていたものの、実際に使ってみて、現時点で自分にとってこれほど完璧なカメラは無いと思うに至った。画質はすごくいいし、ピントも早くて正確。高感度も優れているし連写も速い。何よりびっくりしたのはタイムラプスで撮影したときの「露出平滑化」の表現力だった。初回に掲載したマウントクックのタイムラプス動画では、深夜3時ごろから、およそ4時間にわたり撮影したが、撮り終わった頃にはすっかり夜が明けていた。それでも星空から朝の光まで、自然なつながりで動画を完成させることができた。さらに動きの早い鳥もピントがしっかり追いかけてくれるし、迫力ある風景も高画質で撮れるD850の万能さは、とにかく頼りになる。
今回はいつも使用しているレンズに加えて、AF-S NIKKOR 400mm f/2.8E FL ED VRを使ってみた。DXフォーマットのD500にセットしたときの、焦点距離600mm相当で開放F値2.8の明るさというのはこれまでの感覚では考えづらい。威力十分である。天体撮影では、この組み合わせが活躍してくれた。

D850

NEW ZEALAND ロケ撮影機材リスト

Body
D5D850D500
Lens
AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDAF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRAF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR
AF-S NIKKOR 400mm f/2.8E FL ED VR
撮影協力
・ニュージーランド政府観光局 ・ニュージーランド航空 ・EARTH & SKY(小澤英之氏)

All Photos / 01 Lake Tekapo

夜のルピナス

カメラ:D5 レンズ:AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:マニュアル、30秒、f/5.6
焦点距離:14mm ホワイトバランス:電球 ISO感度:ISO 12800 ピクチャーコントロール:スタンダード

逆さまなオリオン座

カメラ:D5 レンズ:AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:マニュアル、10秒、f/2.8
焦点距離:55mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 6400 ピクチャーコントロール:スタンダード

シリウス

カメラ:D500 レンズ:AF-S NIKKOR 400mm f/2.8E FL ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:マニュアル、30秒、f/8
焦点距離:400mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 3200 ピクチャーコントロール:スタンダード

オリオン大星雲

カメラ:D500 レンズ:AF-S NIKKOR 400mm f/2.8E FL ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:マニュアル、30秒、f/5.6
焦点距離:400mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 6400 ピクチャーコントロール:スタンダード

赤い星雲

カメラ:D500 レンズ:AF-S NIKKOR 400mm f/2.8E FL ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:マニュアル、59.8秒、f/6.3
焦点距離:400mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 6400 ピクチャーコントロール:スタンダード

善き羊飼いの教会

カメラ:D5 レンズ:AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:マニュアル、15秒、f/4
焦点距離:14mm ホワイトバランス:電球 ISO感度:ISO 6400 ピクチャーコントロール:スタンダード

ルピナスの花

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/800秒、f/10
焦点距離:16mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 800 ピクチャーコントロール:スタンダード

生命力あふれるルピナス

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/2500秒、f/10
焦点距離:400mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 1600 ピクチャーコントロール:スタンダード

ルピナスとテカポ湖

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/800秒、f/11
焦点距離:165mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 800 ピクチャーコントロール:ビビッド

ルピナスのグラデーション

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/4000秒、f/10
焦点距離:400mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 1600 ピクチャーコントロール:スタンダード

Profile

高砂淳二JUNJI TAKASAGO

写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。
ダイビング専門誌の専属カメラマンを経て1989年に独立。世界中の国々を訪れ、海の中から生き物、虹、風景、星空まで、地球全体をフィールドに撮影活動を続けている。著書は、「LIGHT on LIFE」「night rainbow ~祝福の虹」「ASTRA」「虹の星」「Children of the Rainbow」「free」「BLUE」「life」(以上小学館)、「Dear Earth」「そら色の夢」「南の夢の海へ」(以上パイインターナショナル)、「クジラの見る夢 ~ジャックマイヨールとの海の日々~」(共著・七賢出版)ほか多数。ザルツブルグ博物館、Nikon THE GALLERY、渋谷パルコ、阪急百貨店、大丸百貨店など写真展多数開催。2008年には、外務省主催・太平洋島サミット記念写真展「Pacific Islands」を担当。海の環境NPO法人“OWS”理事。自然のこと、自然と人間の関係、人間の役割などを、トークショーや、テレビ、ラジオ、雑誌などを通して幅広く伝え続けている。

高砂淳二

推奨環境

Windows
・Microsoft Internet Explorer 11以上
・Microsoft Edge
・Google Chrome 最新版
・Mozilla Firefox 最新版
Mac
・Google Chrome 最新版
・Apple Safari 最新版
・Mozilla Firefox 最新版
モニタサイズ
・1024px x 768px以上の解像度