JUNJI TAKASAGO THE PLANET2 GRAND JOURNEY

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SEASON2 CANADA05 / Life on Ice

氷上で育まれる命

毎年2月になると、グリーンランドの海からカナダのセントローレンス湾へと、タテゴトアザラシたちがはるばるやってくる。湾内に浮かぶ流氷の上で、出産、そして子育てを行うためだ。彼らはまるで正確なカレンダーでも持っているかのように、2月末になると、真っ白い氷の上で一斉に仔を産む。そして2週間の授乳期を終えるとオスとメスは交尾を果たし、次のシーズンへの準備に入る。地球のサイクルに合わせた出産や交尾と、季節になると南下してくる流氷という自然の恩恵を使った子育て。アザラシたちはこんな地球規模の生きざまを無心に繰り広げ、子孫を残していく。地球温暖化の進む中、流氷の減少や気温の上昇などでサイクルを狂わされながらも、無垢な瞳で前に進もうとする仔アザラシたちの姿はあまりにも美しかった。

流氷

流氷

セントローレンス湾に浮かぶ流氷の上をヘリで跳び、
アザラシたちのいる氷へと向かう。
朝日を浴びて氷の凹凸が美しく輝く。

出産シーズンの始まり

出産シーズンの始まり

アザラシの集まる流氷。
目をこらすと、ところどころに白くて小さい赤ちゃんや、
出産後に残された真っ赤な胎盤が見られる。

涙を流すアザラシの仔

涙を流すアザラシの仔

目から涙を流す赤ちゃんアザラシ。
しかし悲しくて泣いているというわけではなく、
単なる生理現象とのこと。

居心地のいい場所 居心地のいい場所

居心地のいい場所

体温で徐々に氷にくぼみができ、
アザラシの赤ちゃんにとって居心地のいいゆりかごが出来上がる。
氷の部屋もいい隠れ家だ。

幸せそうなアザラシ 幸せそうなアザラシ

幸せそうなアザラシ

彼らの表情はとても幸せそうで、見ているこちらも嬉しくなる。
しかし生存率は決して高くはなく、厳しい現実が待ち受けている。

生まれたばかりのアザラシたちは本当にかわいい。
でもどうして人間は、“かわいい”と感じるのだろう?
純真無垢な命の姿に触発されて、人間の気持ちも動かされるのだろうか。
それとも、自然が本当に大切なものだということを、
心の奥で知っているからなのだろうか。

イエローコート

イエローコート

生まれて間もないころは、羊水の色が体毛に染み付いていて、
ちょっと黄色っぽい色をしている。
おなかの赤は、へその緒。

アザラシの様子

アザラシの赤ちゃんたちは、
もちろん立ち上がることはできないので、氷の上でゴロゴロと転がったり、
前足を使って這い回ったり、あるいはじっと寝ていたり……。
なにをやっても可愛さ炸裂だ。

メスを待つオスたち

メスを待つオスたち

メスが仔に授乳をしている間、オスたちは遠巻きに様子をうかがい、
交尾のタイミングを待っている。

母仔の触れ合い 母仔の触れ合い 母仔の触れ合い

母仔の触れ合い

アザラシのお母さんは、常に赤ちゃんの近くにいて見守っている。
そして鼻と鼻を付け合ってお互いを確認し合い、愛情を交感し合う。

泳ぎの練習 泳ぎの練習 泳ぎの練習 泳ぎの練習

泳ぎの練習

お母さんアザラシに誘導されて恐る恐る水に入る赤ちゃんアザラシ。
初めはぎこちなくても徐々に泳ぎを覚え、やがて自立できるようになる。

お母さん?

お母さん?

アザラシの赤ちゃんたちはときどきこちらに近づいてくることがある。
生まれたばかりの時には目があまりよく見えないらしく、
動くものを見てお母さんと間違えたり、ということもあるようだ。

動いた軌跡

動いた軌跡

当然のことながら、氷の上ではアザラシは腹ばいで移動する。
体を引きずって移動した軌跡が、流氷のあちこちに可愛い曲線を描いて残る。

あまりにも愛らしく繊細な命

アザラシの赤ちゃんと自撮り。嫌がっているのか、気になっていないのか、微妙な表情。

アザラシの赤ちゃんと自撮り。嫌がっているのか、気になっていないのか、微妙な表情。

自撮り・正面編。アザラシもしっかりカメラ目線だ。

自撮り・正面編。アザラシもしっかりカメラ目線だ。

アザラシの赤ちゃんが、僕をお母さんと勘違いしたのかどんどん近づいてきた。その様子を動画で撮ってみた。

アザラシの赤ちゃんが、僕をお母さんと勘違いしたのかどんどん近づいてきた。その様子を動画で撮ってみた。

セントローレンス湾に浮かぶ、マドレーヌ島。ここからヘリで流氷上に飛ぶ。カラフルな家が多く見られるのは、漁師が海から自分の家を見つけやすいようにしたものだとか。

セントローレンス湾に浮かぶ、マドレーヌ島。ここからヘリで流氷上に飛ぶ。カラフルな家が多く見られるのは、漁師が海から自分の家を見つけやすいようにしたものだとか。

街を歩いていたら、レッドフォックスに出合った。静かに話しかけながら近寄ってパチリ。

街を歩いていたら、レッドフォックスに出合った。静かに話しかけながら近寄ってパチリ。

溶け始めた流氷の上で困惑気味なアザラシの仔。

溶け始めた流氷の上で困惑気味なアザラシの仔。

今年は寒い冬だったお陰で、久しぶりにしっかりした流氷がやって来て、ここ10年あまりまともに催行されなかったヘリツアーも行われた。しかしツアーが始まって1週間ほどで一気に気温が上がってしまい、流氷はどんどん溶け始めた。通常4週間ほど氷上で成長し、自立していくアザラシの仔たちは、2~3週間で氷を失ってしまった。果たしてその後、無事に生存していけているのか気がかりだ。温暖化の問題がとても深刻な段階に来ているのを肌で感じた。
カナダの冬は、海を氷で覆いつくすほどの厳しさを見せる一方で、心の奥まで暖かくなる生の営みをも見せてくれる。命の持つ優しさと繊細さを感じると同時に、地球の繊細さをも肌で感じる旅となった。

動画への敷居をさらに低くしたD850

今回はD850での動画撮影にも挑戦した。アザラシの前に寝転がったままボタン一つで動画撮影に切り替えられるので、いい表情をそのままの流れで動画にも収めることができ、とてもありがたかった。しかも幅広いバリエーションのニコン高画質レンズを使って、4Kのフルフレーム動画を撮影できるのだ。今回は状況を伝えることを狙いとして、手軽に撮影したが、その仕上がりの良さは、本格的に動画を撮影してみたい衝動に駆られるほどだった。
静止画の撮影では、8-15mmの魚眼ズーム(AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED)も活躍してくれた。見渡す限り360度流氷。そこに横たわる無垢で可愛いアザラシたち。この状況では、やはり誰もが魚眼を使いたくなってしまうだろう。8-15mm魚眼ズームは、高画質なのにとてもコンパクトで、カメラバッグの隅に潜り込ませておくだけで、時折訪れる魚眼向きのシチュエーションを見事に捉えさせてくれる。

鳴くアザラシの仔

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1000秒、f/7.1
焦点距離:260mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 100 ピクチャーコントロール:ビビッド

流氷

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1000秒、f/5.6
焦点距離:32mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 400 ピクチャーコントロール:ビビッド

出産シーズンの始まり

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/2500秒、f/5.6
焦点距離:42mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 160 ピクチャーコントロール:ビビッド

涙を流すアザラシの仔

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/6400秒、f/1.4
焦点距離:105mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:64に対して約1段減感 ピクチャーコントロール:ビビッド

居心地のいい場所

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1000秒、f/9
焦点距離:18mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 250 ピクチャーコントロール:ビビッド

居心地のいい場所

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/2000秒、f/7.1
焦点距離:160mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 200 ピクチャーコントロール:ビビッド

幸せそうなアザラシ

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/8000秒、f/1.6
焦点距離:105mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:64に対して約1段減感 ピクチャーコントロール:ビビッド

幸せそうなアザラシ

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/2500秒、f/8
焦点距離:290mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 400 ピクチャーコントロール:ビビッド

イエローコート

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1000秒、f/9
焦点距離:24mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 250 ピクチャーコントロール:ビビッド

メスを待つオスたち

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1250秒、f/9
焦点距離:400mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 200 ピクチャーコントロール:ビビッド

母仔の触れ合い

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/800秒、f/8
焦点距離:370mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 100 ピクチャーコントロール:ビビッド

母仔の触れ合い

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1250秒、f/8
焦点距離:350mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 200 ピクチャーコントロール:ビビッド

母仔の触れ合い

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/3200秒、f/8
焦点距離:400mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 400 ピクチャーコントロール:ビビッド

泳ぎの練習

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1000秒、f/8
焦点距離:195mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 200 ピクチャーコントロール:ビビッド

泳ぎの練習

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1600秒、f/8
焦点距離:400mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 200 ピクチャーコントロール:ビビッド

泳ぎの練習

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/2500秒、f/6.3
焦点距離:340mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 200 ピクチャーコントロール:ビビッド

泳ぎの練習

カメラ:D850 レンズ:AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/1250秒、f/8
焦点距離:230mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 200 ピクチャーコントロール:ビビッド

お母さん?

カメラ:D850 レンズ:AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/4000秒、f/8
焦点距離:15mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:ISO 400 ピクチャーコントロール:ビビッド

動いた軌跡

カメラ:D850 レンズ:AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED 画質モード:RAW (14-bit) 撮影モード:絞り優先オート、1/500秒、f/6.3
焦点距離:15mm ホワイトバランス:晴天 ISO感度:64に対して約1段減感 ピクチャーコントロール:ビビッド

Profile

高砂淳二JUNJI TAKASAGO

写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。
ダイビング専門誌の専属カメラマンを経て1989年に独立。世界中の国々を訪れ、海の中から生き物、虹、風景、星空まで、地球全体をフィールドに撮影活動を続けている。著書は、「LIGHT on LIFE」「night rainbow ~祝福の虹」「ASTRA」「虹の星」「Children of the Rainbow」「free」「BLUE」「life」(以上小学館)、「Dear Earth」「そら色の夢」「南の夢の海へ」(以上パイインターナショナル)、「クジラの見る夢 ~ジャックマイヨールとの海の日々~」(共著・七賢出版)ほか多数。ザルツブルグ博物館、Nikon THE GALLERY、渋谷パルコ、阪急百貨店、大丸百貨店など写真展多数開催。2008年には、外務省主催・太平洋島サミット記念写真展「Pacific Islands」を担当。海の環境NPO法人“OWS”理事。自然のこと、自然と人間の関係、人間の役割などを、トークショーや、テレビ、ラジオ、雑誌などを通して幅広く伝え続けている。

高砂淳二

推奨環境

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