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D3500

撮影のコツ

単焦点35mmと広角ズーム:花・牧場編

撮影・解説:ミゾタユキ


花を撮る

満開のコスモスを期待して出かけたところ、すでに咲き終わっていた花が多くて花畑も隙間が目立っていました。遠目で見るとキレイでも、近づくと部分的に枯れています。このとき持っていたレンズは単焦点35mmと10-20mmの広角ズームレンズのみ。なるべくキレイな花を選び、「花に近づく」を意識して撮ることにしました。

1: コスモス大きく、背景をボカす(焦点距離: 35mm)

俯瞰すると枯れている花や地面も見えてしまうので、目立たせないためにF値(絞り値)を小さく設定してボカしました。主役のコスモスから離れているほどボケが大きくなり色のグラデーションになっています。ボケは被写体をひきたてるほかに、邪魔なものを目立たせたくないときにも効果的です。(被写体とは撮りたいものの総称です。ここではそれがコスモスになります。)撮るときに被写体と合わせたい色で背景を選ぶのも一案です〈作例1〉。

周りから離れて足元に咲くコスモスを見つけました。踏んでしまいそうな短さですが、ほかの花達より元気そう。周りの状況が想像できるぐらいの構図にすると花の印象が小さくなるので、レンズ前に黄色いコスモスを入れて前ボケをつくりました。前ボケと背景の後ボケ、ふたつのボケで2輪を挟むと軽やかな空気感も増しました〈作例2〉。

2: 前後ボケ(焦点距離: 35mm)

コスモスのピンク色と空の水色、パステルカラーを可愛い雰囲気で撮りました。ちょうど雲も綿菓子のようにふわふわと浮かんでいます。太陽の光で花びらが透過しているのもポイントです〈作例3〉。

3: コスモスと青空 ‐ 色を撮る(焦点距離: 35mm)

斜面の花畑が斜めの対角線構図と合い、青空に向かってのびのびとしている感じにみえます。花が小さくなる場合でも、主役級のキレイな花の存在を選ぶのは大切です〈作例4〉。

4: 斜面に咲くコスモス ‐ 状況がイメージできる写真へ(焦点距離: 35mm)

コスモスに近いときと離れたとき、同じ35mmでもそれぞれ印象は違います。近づくと抽象的なイメージや雰囲気、離れると状況が伝わる写真になります。どちらを撮りたいか思い描くと花との距離感や構図が決めやすくなると思います。

広角ズームは、なんとなく離れると隙間が、なんとなく近づくと枯れた花が目立って大変です。キレイな花に近づいて大きく撮りながら広く入る背景の見え方もポイントです。ファインダー越しに高さや角度を少しずつ変えてベストな位置を探しました〈作例5〉。

5: 広角ズーム使い方のコツ(焦点距離: 10mm)

35mmではボケをいかして、広角ズームではパースを効かせた広がりを「花に近づく」撮り方でわかるように、レンズの特徴によって表現を変えられるのが楽しいと思います。


牧場でのどかな可愛い写真を撮る

マザー牧場に行ったこの日はいい天気で青空が広がっていました。牧場には羊や豚など身近な動物がたくさんいます。のんびりとした空気を感じながら開放感をキーワードにレンズは見たままの印象で撮りやすい35mmと広々と周りを写せる広角ズームでめぐりました。

6: レンズの選び方と焦点距離による写り方の違い(焦点距離: 10mm)
7: レンズの選び方と焦点距離による写り方の違い(焦点距離: 35mm)

作例6・7の写真は広角ズームの10mmと単焦点35mmで撮っています。撮影ポジションと時間帯は異なりますが、レンズの違いがよく出ています。パネルの羊が可愛かったので、かなり近寄って大きく撮りつつ、背景の広がりまでも写したかったので広角で。もう一枚の方は遠景の小さく点在する羊と青空に現れた雲をプカプカとリズミカルな雰囲気に写したかったので35mmにしました。撮りたいイメージが浮かぶと自然とレンズを選びわけることができます〈作例6・7〉。

動物も暑くてまぶしいと木陰のような場所を選ぶようです。蚊帳の軒先で日差しを避けている様子がなんとも言えない可愛い雰囲気でした。豚だけを撮ると砂場で立っているだけにしか見えないので、やはりこういう時は広角で周りを入れることで状況のおもしろさが伝わると思います。ローアングルで豚と同じ気持ちになるのがベストアングルです。砂に残る足跡もアクセントになります〈作例8〉。

8: アングル・レンズの選び方(焦点距離: 10mm)

しばらくすると子豚のレースの時間になりました。子供が走る豚を追いかけると予測して、AFモードをAF-CにAFエリアを3D-トラッキング、レリーズモードを連写に設定しました。動きを追いかけるときは追尾できる設定にしておくと後はシャッターチャンスを狙って撮影に集中できます。アップにすると迫力がでる瞬間も、広角で撮るとのどかな楽しい雰囲気になります。手前の影は観客です。広角は周りが広く入るので、影で存在感を加えることができました〈作例9〉。

9: AFモードと連写(焦点距離: 20mm)

ふれあい牧場のエリアで至近距離というぐらい近くで写真を撮っていたところ、ヤギがレンズをのぞき込んでくれました。カメラ目線もいただきです。順光なので自分の影がヤギの顔にかからないようにだけ気を付けて、あとは勢いです。広角は近づくと歪む特徴があるので表情もユニークで楽しい印象になりました。目にキャッチライトも入り可愛いです〈作例10〉。

10. 順光と広角の特徴(焦点距離: 10mm)

順光では毛並みの色もはっきり出て元気な印象ですが、逆光で撮るとコントラストが和らぐので2匹のヤギがほのぼのとした雰囲気になります。広角の様に誇張しすぎず35mmのナチュラルな描写がとても合う光景でした。また逆光なので表情がわかるようにするために、露出補正をプラスにしています〈作例11〉。

11. 逆光と35mmの特徴(焦点距離: 35mm)

いつの間にか夕日の時間になりました。光の時間帯を印象的にするためにホワイトバランスを晴天日陰にして撮っています。晴天よりも夕日の色味が濃くなり、ロマンティックに感じます〈作例12〉。

12: ホワイトバランス(焦点距離: 35mm)

一日牧場で写真を撮っていると時間の流れや光の変化も自然と感じられます。その中で動物と触れ合う瞬間や光景を自分のイメージに合わせてレンズを選び分け、光の方向を変えて撮ってみると、楽しい写真やのどかな写真など、様々な写真を撮ることができると思います。



*「マザー牧場」では園内の草花を傷つけたり採取したりする行為は禁止されています。
コスモスの大斜面は花畑の中に入って近距離で花を鑑賞することができますが、マナーを守って撮影しましょう。



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【撮影協力】マザー牧場

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