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てくてくカメラ

東海道線でめぐる、アートを体感する旅

神奈川の西、小田原のあたりからは海沿いを走り、ローカル線で旅をしている気分にもなれる東海道線。今回はそんな東海道線で旅気分を味わいながら、沿線にあるアートを体感できるスポットをめぐりました。

1、COEDA HOUSE → 2、MOA美術館 → 3、MOA美術館・茶の庭 → 4、小田原文化財団 江之浦測候所
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1. COEDA HOUSE

まるで大きな一本の木!
空と海が一望できる絶景カフェ

東海道線でめぐるアート旅のはじまりは、熱海の空と海を見渡せる絶景カフェです。2017年の春にてくてくカメラも訪れたことのある「アカオ ハーブ&ローズガーデン」にある「COEDA HOUSE(コエダハウス)」です。
カフェは、和の空間である日本庭園と洋の空間のローズガーデンをへだてる見晴らしのよい場所に建てられています。屋根の色や全面ガラス張りの外観は”和”と”洋”の間にありながらも周囲に溶け込めるようなデザインになっているのだそう。店内に一歩足を踏み入れると木の香りが漂います。香りの正体はカフェの真ん中にある、まるで大きな木がそこに生えているかのような柱。これは樹齢800年のアラスカヒノキを1500本積み上げてつくられたもので、このカフェの建築を手がけた隈研吾氏の「小さな枝を組み合わせて大きな木のような建築を作りたい」という考えが体現されています。
相模湾に面したカウンター席でいただくのは、オリジナルスイーツの「熱海タルトフロマージュ・橙」。コクのあるチーズの味わいの中に、熱海産の橙の香りがほのかにただよいます。窓からは水平線や初島が一望でき、晴れ渡る空と海の景色を眺めていたら、これからの旅も楽しいものになりそうな予感がしてきました。

2. MOA美術館

展示作品の美を最大限に活かす
伝統的素材と現代的デザインが融合した空間

次に訪れたのはMOA美術館(エムオーエー美術館)。熱海駅から箱根方面へと臨む高台にある美術館で、尾形光琳筆の「紅白梅図屏風」や野々村仁清作の「色絵藤花文茶壺」といった国宝や、67点の重要文化財の美術品を含む約3500点の美術品を所蔵しています。美術館の入口エントランスに到着すると、そこから約60mの高低差がある本館までは総延長200mのエスカレーターで登っていきます。このエスカレーターは壁面や天井の照明が刻々と変化していくので、光の様子を楽しみながら乗っているとアートの中へ迷い込んだような感覚になります。
エスカレーターで進んでいくと、カラフルな色彩がうごめく円形の天井が見えてきます。この「円形ホール」では高さ10m、直径20mの円形ドーム一面に万華鏡が映写されていて、まるで自分が万華鏡の中に入ってしまったような錯覚におちいります。

この美術館は2017年に現代美術作家の杉本博司氏と建築家の榊田倫之氏が主宰する「新素材研究所」によって、伝統的な素材と現代的なデザインが融合した空間にリニューアルされています。作品の持つ美を最大限に活かすための空間となった展示室は低反射高透過ガラスを用い、壁には「江戸黒」といわれる黒漆喰を使用して、極力までガラス面の映り込みを抑えています。そのため、まるで間にガラスなどないかのようで、手を伸ばせば作品にさわれるのでは? といった錯覚まで起こしてしまいます。そのおかげでしょうか、館内の展示品もきれいに撮影することができました。名品の数々を最高の環境でひとつひとつじっくりと鑑賞できる、有意義なひとときを過ごせました。

3. MOA美術館・茶の庭

京都にあった尾形光琳の屋敷を復元
江戸の町屋にタイムスリップ

館内をひとめぐりしたら、敷地内の日本庭園「茶の庭」へ。茶室や石造美術品が点在し、四季折々の風情が楽しめるようになっています。
庭園の一角には、尾形光琳が自らかいた図面などをもとに復元された「光琳屋敷」が建っています。この屋敷は数寄屋造りの町屋で、中へ通じる細い路地へ入った瞬間からまるで江戸時代にタイムスリップしたよう。行灯が灯された室内や庭に面した路地から中を垣間見ていると、今にも髷を結った人が出てきそうな雰囲気です。しばしの間、令和の現代にいることを忘れてしまいました。
江戸へのタイムスリップを満喫したあとは、光琳屋敷の隣にある「二條新町 そばの坊」でお昼をいただきます。こちらは戸隠そばのお店で、竹で編んだざるの上に少量ずつ束ねて盛る独特の「ぼっち盛り」でそばが出てきます。お店で人気のメニュー「そば三昧」はとろろ・くるみ汁・おろし・温泉玉子・小天の付け合せの中から3つを選ぶスタイルで、ラファエルくんはくるみ汁と温泉玉子、とろろをチョイス。さらに単品で静岡・駿河湾の由比から直接仕入れている桜エビのかき揚げをオーダー。粗挽きのそば粉でうたれたそばはのどごしがよく、香りが際立っています。くるみ汁はあえてくるみを全部すりつぶさずに粒を残しているので香ばしい食感も味わうことができました。新鮮な桜エビを使ったかき揚げは、シンプルに塩でいただきます。余分なものを入れず、さくっと揚げられた桜エビそのもののおいしさに満面の笑みが浮かびました。

4. 小田原文化財団 江之浦測候所

人類とアートの起源に立ち返る
現代美術作家・杉本博司氏、集大成のワンダーランド

アート旅の最後に訪れたのは、海が見える絶景の駅、東海道線根府川駅から車で約10分のところにある「小田原文化財団 江之浦測候所」です。ここはMOA美術館のリニューアルに携わった現代美術作家の杉本博司氏が作り上げた、「人類とアートの起源に立ち返る」をコンセプトとし「古代の人がどのように自然を見ていたのか?」を体験できる施設です。
江之浦測候所の施設や景観に使われている資材は、古墳時代から近世までの石材など考古遺物や古材が用いられています。古くは飛鳥時代や天平時代の寺の礎石などが置かれている道を辿り、石舞台のまわりをめぐっているうちに時空を超えてしまったようなちょっと不思議な感覚に襲われます。

そして、この敷地内で一番目を惹くのが斜面から海へと張り出す「冬至光遥拝隧道」と京都の清水寺と同じ「懸造り(かけづくり)」で作られた「光学硝子舞台」です。
冬至光遥拝隧道は、冬至の朝に相模湾から昇る陽光が貫くように設計されているそうです。この隧道の上は歩けるようになっていて、先のほうの止め石の手前まで行って眼下に広がる柑橘畑や海の景色を堪能することができます。

冬至光遥拝隧道の上には、「夏至光遥拝100メートルギャラリー」が交差するようにあります。このギャラリーは海抜100m地点に建つ長さ100mの空間で、夏至の朝には相模湾から昇る陽光が数分間にわたって駆け抜けるそうです。
大谷石の壁面にかけられた杉本氏の「海景」シリーズの写真※は、まるでさっきまでいた隧道の中の景色のようで思わず見入ってしまいました。ギャラリーの端まで歩いていくと、その先端は宙に突き出た展望スペースになっています。そこからは冬至光遥拝隧道や光学硝子舞台、小田原の街並みや相模湾までが見渡せて清々しい気分になりました。
今回のアートをめぐる旅。それぞれの作品や空間が持つ魅力に触れ、エネルギーをもらった旅となりました。

※ 取材時の展示作品です。

ナビゲーター 源 ラファエル(みなもと らふぁえる)

1993年千葉県出身。タレント、モデルとして活動中で、男性ダンスボーカルユニット「monSter(モンスター)」のメンバー。イタリア、ドイツ、ブラジル、日本のミックスで、特技はポルトガル語とサッカー。
趣味:人と会うこと
好きな場所:代々木公園

お散歩の感想

COEDA HOUSEは日本庭園とローズガーデンの中間にあり、和と洋の組み合わせのいいところを取った感じが自分のルーツと重なって親近感が湧きましたね。MOA美術館では作品もすごいけど空間そのものの迫力を感じ、江之浦測候所はさまざまな年代や国の石造物が集まって不思議でアーティスティックな空間ができあがっていると思いました。いろいろなアートに触れ、エネルギーをもらった旅でした!

撮影スポットの紹介

撮影地マップ

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お散歩関連情報

撮影のマナーと注意

エリアガイド

1. COEDA HOUSE

「アカオ ハーブ&ローズガーデン」内にある、建築家・隈研吾氏設計のカフェ。ガーデンの景色に溶け込む1本の木のようなデザインが特徴。COEDA HOUSEは「集める」という意味を持つ“CO”と小さな枝(EDA)が集まって大きな木を表現していることから名づけられている。
住所:静岡県熱海市上多賀1027-8
電話:0557-82-1221
営業時間:9:30~16:00
定休日:12月・1月の毎週火曜日、毎年1月にメンテナンスのため休業する期間があります。

2. MOA美術館

東洋美術の絵画・書跡・工芸を中心に国宝3点、重要文化財67点を含む約3500点の収蔵品を所蔵。2017年に杉本博司氏と榊田倫之氏主宰の「新素材研究所」が設計を手かげてリニューアルされ、展示される作品の美を最大限に生かす展示空間になっている。
住所:静岡県熱海市桃山町26-2
電話:0557-84-2511
営業時間:9:30~16:30(入館は16:00まで)
定休日:木曜日、展示替日

3. 二條新町 そばの坊

MOA美術館・茶の庭の光琳屋敷の隣にあるそば店。粗挽きそば粉でうたれたのどごしのよいそばに、駿河湾の由比で水揚げされた桜エビのかき揚げなど、素材・食材にこだわっている。ざるそばは竹で編んだ丸いざるの上に少量ずつ束ねて盛る戸隠独特の「ぼっち盛り」で提供される。
住所:静岡県熱海市桃山町26-2 MOA美術館茶の庭内
電話:0557-84-2777
営業時間:11:00~15:00
定休日:木曜日、美術館の休館日に準じます。

4. 小田原文化財団 江之浦測候所

かつてみかん畑だった江之浦に現代美術作家の杉本博司氏が設計し、ギャラリー、屋外舞台、茶室、庭園などで構成される人類とアートの起源に立ち返るをコンセプトにしたアートスポット。近代以前の人口密度を体感するために入場者数を制限、日時指定の予約・入れ替え制となっている。
住所:神奈川県小田原市江之浦362-1
電話:0465-42-9170
営業時間:1日2回の各回定員制。午前の部10:00~13:00、午後の部13:30~16:30
定休日:火曜日、水曜日、年始年末および臨時休館日

※ こちらに掲載している情報は2020年2月20日現在のものです。

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