Nikon Imaging
Japan

D850

撮影のコツ

サイレント撮影2 風景撮影で振動を防ぐ

解説:山野 泰照

カメラによる振動を防ぐさまざまな機能

サイレント撮影を行う目的のひとつに「振動を防ぐ」という場合があります。カメラが自ら発生させる振動により起こるブレを低減したいという目的で、サイレント撮影以外にも「振動を防ぐ」いくつもの機能がカメラに搭載されています。ミラーアップ機能露出ディレーモード電子先幕シャッターなどです。簡単に機能を紹介しますので、目的によってそれらの機能を使い分けてください。

振動を防ぎたい撮影シーン:望遠レンズを用いた風景撮影
左 サイレント撮影:する(モード1)/右 サイレント撮影:しない


  ミラーアップ機能

シャッターボタンを1回押すとミラーアップし、次にシャッターボタンを押すと露光が開始される機能です。ミラーアップして振動が収まった後に露光を開始することでミラーショックによるブレを防止することが出来ます。

また、シャッターボタンを押す代わりにリモートコードを利用すれば、シャッターボタンを2回押す一連の操作がスムーズにできるばかりでなく、ボディに手を触れなくても良いのでカメラのブレに対してはより安心です。さらに、ミラーアップしてもメカニカルシャッターを利用する普通の撮影ではシャッターの動作によるショックがカメラのブレにつながる可能性がありますので、ミラーアップ機能と電子先幕シャッターを併用すればカメラブレの防止は確実になります。


  露出ディレーモード

ミラーアップして一定の時間待ってから露光を開始する機能が露出ディレーモードです。ミラーアップによる振動が収まることを期待して設定するディレーの時間は0.2秒、0.5秒、1秒、2秒、3秒から選択できます。ミラーアップ後に一定時間待ってから自動で行うレリーズと考えれば良いでしょう。


  電子先幕シャッター

メカニカルシャッター(先幕)を使用しないで露光を開始する機能です。ミラーアップ状態が前提の機能ですので、ミラーとシャッターに起因するブレの心配がなくなり、1枚撮影では実質的にブレの心配がなくなります。 ただしライブビューから連続撮影する場合には、ひとつ前の撮影のメカニカルシャッター(後幕)動作による振動が残って次のコマで画像にブレが生じる可能性がありますから、ローリングシャッター歪のことを気にしなければならないものの、連続撮影する場合は後幕シャッターも電気的に制御するサイレント撮影も選択肢に入ってきます。カメラの保持状態や被写体の動きなどから、どの設定が最適かを判断すれば良いでしょう。

露出ディレーモード設定画面(D850)
電子先幕シャッター設定画面(D850)


  効果的な使い方の例

これまでの情報を総合すると一部繰り返しになりますが、1枚だけ撮影する場合、言い換えれば連続撮影しなくても良い場合、ミラーアップ状態から電子先幕シャッターで撮影すれば、カメラが原因の振動によるブレの心配はなくなります。三脚を使用する場面に適していますので、リモートコードなどカメラに直接手を触れない工夫もしておくと万全です。リモートコードなどリモート撮影の手段がない場合には、露出ディレーと電子先幕シャッターを併用すると良いでしょう。この場合はサイレント撮影で気にしなければならないローリングシャッター歪の心配もありません。

三脚を使用する撮影ではなく、手持ちでアイレベルで撮影したい場合に、カメラによるブレを防止するために電子先幕シャッターを使用する時にはミラーアップ状態であることが前提ですので通常撮影のミラーアップ状態では被写体が観察できませんが、ライブビューでミラーアップ状態にすれば被写体を観察しながら撮影することができます。その時には、市販のフードルーペを併用すると、画像モニターからの光を漏らさないという効果があるだけでなく、アイレベルでカメラを構えて撮影できますから保持しやすいということも含めておすすめです。


  インターバルタイマー撮影などにおけるサイレント撮影

サイレント撮影は、インターバルタイマー撮影やタイムラプス動画、またフォーカスシフト撮影でも使用可能です。音の面から周囲に迷惑をかけないという理由だけではなく、ミラーやシャッターのようなメカ機構を動作させなくて撮影できますから耐久性の心配をしなくて済むという面からもインターバルタイマー撮影やタイムラプス動画の撮影ではおすすめです。インターバルタイマー撮影やタイムラプス動画のメニュー画面で[サイレント撮影]でONを選択します。 これらの場合には、サイレント撮影の設定でモード2に設定していてもモード1の動作になります。


  サイレント撮影と他の機能を合わせて使う例

カメラを天体望遠鏡に取り付けたところ
カメラを天体望遠鏡に取り付けたところ

筆者は天体も撮影している関係で、特に望遠鏡にカメラボディを取り付けて撮影する場合に、できるだけ振動を抑制したいという理由からサイレント撮影を多用していますが、他の機能と組み合わせて使うと便利なことがありますので、ひとつご紹介しておきましょう。

三日月のAEブラケティング撮影(9コマ)
三日月:露出時間1/30秒の画像を拡大したもの

《作例:三日月のAEブラケティング撮影(9コマ)》 天体望遠鏡(高橋製作所 FCT-150 口径:150mm、焦点撮影:1050mm)、カメラ:D850、ISO感度設定:ISO64、サイレント撮影:する(モード1)、オートブラケティング:AEブラケティング(9コマ)、露出モード:マニュアル、画質モード:RAW(14ビット記録)、ピクチャーコントロール:ニュートラル(RAW現像時) 画像の下の数値は露出時間(秒)

この画像は、三日月の頃の月を撮影したものです。この頃には、月の明るい部分だけでなく影の部分(地球照)もかすかに見ることが出来ます。明るさはずいぶん違うので、AEブラケティング撮影で適正露出を探すという撮り方をしてみました。後に階調圧縮処理をするために素材を得たいという狙いもあります。そこで期待したいことは以下のとおりです。

① できるだけ短時間に9段分の段階露光を完了させたい → AEブラケティング撮影を選択
② 望遠鏡に取り付けて撮影するので振動はさせたくない → サイレント撮影を選択
③ 色や階調について調整したい → 画質モードはRAWにしたい → モード1を選択

結果的に、カメラの振動を気にすることなく最も効率よく撮影でき、極めて快適に良い結果を得ることが出来ました。この事例は、天体撮影において、カメラの振動を心配することなく短時間で連続的にAEブラケティング撮影したいという目的でしたが、似たようなニーズはいろいろありそうです。

被写体の性質や撮影システムの状態などを踏まえて、サイレント撮影を含めさまざまなカメラの機能を使いこなし、最適な設定で最良の結果を得て頂きたいと思います。



【撮影のコツ|ピックアップ】サイレント撮影1 設定の基本と無⾳撮影



山野 泰照(やまの やすてる)氏 プロフィール

写真家、写真技術研究家。1954年、香川県生まれ。1970年代から天文雑誌での作品発表や記事の執筆を行う。2000年以降、デジタルフォト、デジタル天体写真に関する発表や記事を多数手掛け、著書として「デジカメではじめるデジタルフォトライフ」、「驚異! デジカメだけで月面や土星の輪が撮れる—ニコンCOOLPIX P900天体撮影テクニック」などがある。一般社団法人日本写真学会会員(SPIJ)、公益財団法人冷泉家時雨亭文庫会員。



【ヴァイオリン演奏者協力】響芸インターナショナル合同会社
【機材協力】株式会社Nobby Tech:ZACUTO Z-Finder Pro
【機材協力】株式会社ケンコー・トキナー:SLIK ライトカーボンE83 FA

サイレント撮影2 風景撮影で振動を防ぐ で使った機能
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