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D850

撮影のコツ

フォーカスシフト撮影2 深度合成処理

解説:山野 泰照

フォーカスシフト機能を使うための他の設定

フォーカスシフト撮影をするために、カメラはいろいろな動作をさせなければなりませんから、それを妨げるような機能はOFFにしておかなければなりません。フォーカスシフト撮影をしようとしてもメニューがグレーになって設定できないとか、撮影を開始しようとして「撮影を開始できません。」というメッセージが出てきたら、一度以下の機能や各種設定がどうなっているかを確認すると良いでしょう。またメモリーカードが入っていないとメニューがグレーアウトして設定はできませんので、メモリーカードを入れた後にメニューから各種設定を行ってください。

動画ライブビュー 静止画ライブビューに変更してください
HDR HDRをOFFにしてください
フォーカスモード フォーカスモードをAFにしてください
インターバルタイマー撮影 インターバルタイマー撮影を終えてください
オートブラケティング オートブラケティングを解除してください
多重露出 多重露出を解除してください


図1
図2

図1》手前から奥まで余裕を持って撮影した一連のコマの中から、深度合成に使うコマを選択します。

図2》1枚の画像では極めて深度が浅いことがわかります。(AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED:絞り値 f/4.8)

図3
図4

図3》深度合成ソフトにより銘板の部分全体にピントがあった画像が完成します。

図4》フォーカスステップ幅が大きいと、ピントの合っている領域と合っていない領域が交互にシマシマになって表れます。
ただし、拡大しなければほとんど分かりません。(f/4.8でステップ10で撮影)

図5

図5》400%とか800%まで拡大すると、ピントの合っている領域と合っていない領域のシマシマがわかります。(f/4.8、フォーカスステップ幅10)

画像ファイルからの深度合成処理

撮影後の処理は、まず深度合成に用いる画像ファイルを選択するところから始めます。 一連の撮影ファイルの中には、安全のために余分に撮影したために生まれた「深度合成したいピント位置で撮影した以外の画像」も含まれていることでしょう。まずはそういう一連のファイル群の中から、ViewNX-iなどを用いて画像を確認し、深度合成に必要なファイルを選びます。

深度合成のためのソフトとしては、AdobeのPhotoshopのような汎用の画像処理ソフトでも可能ですし、専用ソフトとしてHelicon Soft社のHelicon Focus、Zerene Systems社のZerene Stacker、Combine ZMなどが一般的なようです。筆者が現在知っている範囲では、Combine ZMはフリーソフト、Helicon FocusとZerene Stackerは有償ソフトですが30日間のトライアルができますので、それらを試してみると良いでしょう。 それぞれのソフトの違いは、処理スピードや、深度合成する際の精度というあたりのようです。また、フォーカスシフト撮影中に生じる画角の変化に対する対応、すなわち画面周辺の不要な部分の処理などにも違いがありそうですので、バージョンアップの情報やネットでの評判も確認しながら、選択すると良いでしょう。

ここに紹介しているチュートリアル動画は、Helicon Focusを用いた作業手順です。 ソフトの使い方としては、深度合成のために読み込むファイルを指定してレンダリングする、というだけですが、被写体の形状などによって合成が上手くいかない場合があります。その場合は、AからCまであるレンダリングメソッドを変えて再度合成すると上手く行くことがありますから、再トライしてみると良いでしょう。

Helicon Focus レンダリング画面
フォーカスステップ幅:2、合成枚数:100枚(D850で撮影)



【撮影のコツ|ピックアップ】フォーカスシフト1



山野 泰照(やまの やすてる)氏 プロフィール

写真家、写真技術研究家。1954年、香川県生まれ。1970年代から天文雑誌での作品発表や記事の執筆を行う。2000年以降、デジタルフォト、デジタル天体写真に関する発表や記事を多数手掛け、著書として「デジカメではじめるデジタルフォトライフ」、「驚異! デジカメだけで月面や土星の輪が撮れる—ニコンCOOLPIX P900天体撮影テクニック」などがある。一般社団法人日本写真学会会員(SPIJ)、公益財団法人冷泉家時雨亭文庫会員。



【模型協力】株式会社KATO
【ジオラマ協力】atorie-minamo
【機材協力】株式会社ケンコー・トキナー:SLIK ライトカーボンE83 FA

フォーカスシフト撮影2 深度合成処理 で使った機能
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