夕暮れの空の美しさと人物のシルエットがドラマを生み出すシルエット写真は、とても画になる1枚です。
条件がそろえば誰でも気軽に撮ることができますが、今回は失敗なく、よりステキに仕上げるシルエット写真の撮りかたをご紹介します。
撮影監修:斎藤勝則
シルエット写真は、太陽を背にした逆光のシチュエーションで撮影します。よく晴れた日の日中でも撮影できますが、今回のように日が傾いた夕方の時間帯はよりドラマチックに撮影できおすすめです。光源が分散してしまう曇りの日は撮影には向きません。
また、黒い影がメインの被写体となりますので、その形がハッキリわからないとシルエット写真としての良さが薄れてしまいます。体全体を入れてフレーミングすると、人の形のシルエットがより分かりやすくなるためおすすめです。また海辺のように背景がすっきりとした広い場所で、空など明るいものが背景になる場所を選びましょう。
海から少し離れた位置で、上半身を入れて撮影
海岸に近づいて立ってもらい、全身のシルエットが分かるように少し引いて撮影
次に、より濃いシルエットが浮かび上がるよう露出をマイナスに補正します。今回は夕暮れ時に撮影を行いましたが、暗いシチュエーションで撮影した場合にカメラが自動で「写真が暗くなり過ぎている」と判断し、実際より明るく写してしまうことがあります。液晶モニターで確認しながら、シルエットがしっかり黒くなるまで露出をマイナスに補正しましょう。
露出補正を行うには、+-ボタンを押しながらコマンドダイヤルを回します
今回の撮影に用いたZ 6IIの場合、カメラ上部にある表示パネルに変更した露出が表示されます
露出補正前(0段)
露出補正後(-1.3段)
背景の選びかたによっては、太陽など空の明るい部分が露出オーバーになって写ってしまうことがあります。あとから露出補正をかけても露出オーバーの部分は暗くなりにくいため、明暗差のついた失敗写真のようになってしまいます。そんなときは、空の一番明るい部分を人物で隠すようにして撮影してみましょう。
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右上部分、空の一番明るい部分が露出オーバーになっています
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マイナスに露出補正を行っても、空の明るい部分は明るいまま残ってしまいます
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そこで、空の明るい部分を人物の頭で隠すようにして撮影しました
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露出をマイナスに補正、明暗差の抑えられた全体にまとまりあるシルエット写真になりました
最後に、よりステキな1枚に仕上げる構図やアングル、人物のポージングを調整しましょう。今回撮影した作例のポイントは以下です。
大切なことは、シルエットを際立たせる(背景と同化させない)構図を探すことです。またポージングもジャンプしてもらったり小物を持たせたり、手や足、横顔など一部分を切り取るのも画になります。いろいろなアイデアで撮影を楽しんでみてください。
砂浜や雲の部分と人物のシルエットが同化してしまい、シルエットを活かしきれていません
人物のシルエットがハッキリと分かる背景になるよう、撮影位置やアングルなどを変えて調整しましょう
メインとなる被写体はシルエット、つまり黒色ですので、どんな背景にするかによって大きく仕上がりイメージを変えることができます。
「ピクチャーコントロール」を使って撮影するのも良いですが、夕景の場合、おすすめは「ホワイトバランス」です。ホワイトバランスを変更することで夕景の空の色味を変えることができます。「RAW画像」で撮影しておけば後から変更することも可能ですのでおすすめです。
ホワイトバランス:自然光オート
ホワイトバランス:晴天日陰
ホワイトバランス:電球
ホワイトバランス:白色蛍光灯
このギャラリーでは「カメラレッスン」で撮影した作品を掲載しています。
写真の目的で絞り込んで作品を検索することができますので、この目的でどんな作品が撮れるのか参考にしながらご覧ください。