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Lesson31:ターザンロープで遊ぶ子どもを流し撮りする

公園にはいつも子どもたちの元気な笑い声が響いています。今回はそんな全力で遊ぶ子どもを一味違ったテクニックで撮る方法として、「流し撮り」にチャレンジしてみましょう。
撮影の難易度は少々高めですが、成功すれば臨場感あふれる写真になります。流し撮りがしやすい被写体として今回は、公園にある遊具「ターザンロープ」で遊ぶ子どもをテーマに撮影してみましょう。

※今回は「Z 50」を例に撮りかたを説明します。設定の詳細などは各カメラの使用説明書等をご確認ください。

撮影監修:斎藤勝則

この写真を撮るための3ステップ

ステップ1 撮影位置と画角を確認する

流し撮りとは、被写体の動きに合わせてカメラを動かしながらシャッターを切る撮影方法で、被写体は止まって背景だけが流れて写り、スピード感や臨場感を演出することができます。動きかたが予測できスピードも不規則ではない、単純な動きの被写体がカメラで追いやすいため流し撮りには向いています。
ターザンロープは、スタート位置から決まったコースを安定した速度で移動します。スタート位置についた子どもにピントを合わせて半押し(ピントをロック)し、移動する子どもをカメラで追います。ターザンロープは最後の方になるにつれ速度が落ちていきますので、撮影者はトップスピードに乗って速度が安定している前半から真ん中あたりに立ち、子どもが横に来たタイミングでシャッターを切ります。

安全に配慮し、また他のお子さんの遊びの邪魔をしないような場所から撮影しましょう

次に、撮影画角を検討しましょう。ターザンロープに近づき過ぎないよう、危なくない場所から撮影する必要がありますので、標準画角では子どもを大きく捉えられない場合があります。望遠レンズを持って行っておくと安心です。

NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRで50mmで撮影した1枚。子どもが小さいため表情がわからず、背景とも同化してしまっています

同じ位置から、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VRで250mmで撮影しました。望遠レンズがあれば、ここまで大きく捉えることができます

ちょうど横まで移動してきたところを撮影。全身を大きく捉えられる画角を検討し、今回は望遠ズームで撮影することにしました

ステップ2 流し撮りのためのカメラ設定を行う

流し撮りをするためのカメラ設定を行いましょう。ポイントは、シャッタースピード。背景を流すため遅く、スローシャッターぎみに設定する必要があります。また、動く被写体を撮りますので、動くものを捉えるためのピント・手ブレ補正の設定も行いましょう。

基本のカメラ設定

➀ 「撮影モード」を「シャッター優先オート」にし、シャッタースピードを遅く設定する(今回は1/80秒)。
➁ 「ISO感度」を低感度(今回は100)に設定する。
➂ 「レリーズモード」を「高速連続撮影(拡張)」(一番多いコマ数撮れるもの)に設定する。
➃ 「AFエリアモード」は「ワイドエリアAF(L)」に、「フォーカスモード」は「AF-C」に設定する。
➄ 「手ブレ補正」を「ON 」(今回はスポーツ)にする。

1

[撮影モードダイヤル]を[S]に合わせ、[シャッター優先オート]に設定します

2

メインコマンドダイヤルを回して、シャッタースピードを遅く(今回は1/80秒に)設定します

3

ISOボタンを押しながらメインコマンドダイヤルを回し、低い感度(今回はISO100)に設定します

4

iボタンを押し、iメニューを表示させます

5

[レリーズモード]を選択、OKボタンを押します

6

[高速連続撮影(拡張)](一番多いコマ数撮れるもの)を選び、OKボタンを押します

7

次に[AFエリアモード]を選びます

8

特定の人物を中心に撮影するときピントを合わせやすい[ワイドエリアAF(L)]に設定します

9

次に[フォーカスモード]を選びます

10

動く被写体を撮るときに最適な[コンティニュアスAF]に設定します

11

最後に、[光学手ブレ補正]を選びます

12

動きの変化が激しい被写体を撮影する場合に最適な[スポーツ]に設定します

日中の流し撮りはNDフィルターがあると安心

NDフィルターは、レンズの前面に装着します

シャッタースピードを遅くすれば、その分、カメラには多くの光が取り込まれますが、光が多く取り込まれ過ぎてしまうと露出オーバーの写真になってしまいます。そのため日中に流し撮りを行う場合、ISO感度を一番低くしたり絞りを絞り込んだりして露出オーバーにならないよう注意する必要があります。
それでも露出オーバーになってしまう場合には、写真の発色に影響を与えずレンズに入って来る光量のみを減らすことができる「NDフィルター」を装着しましょう。当日の撮影状況によっては、あらかじめ準備して持って行っておくと安心です。

レンズフィルターについての詳細はこちら

ステップ3 子供の動きに合わせてカメラを振って撮影する

ターザンロープに乗る子どもの動きとシンクロするようにカメラを左右に振り、子どもが近づいて来たタイミングでシャッターを切り連写で撮影します。撮りかたのポイントは以下の3つです。

  1. あらかじめ、レンズをシャッターを切る位置に合わせた画角にしておき、スタート位置に立つ子どもにピントを合わせシャッターボタンを半押しします。
  2. スタートしたらシャッターを切る前から子どもをしっかりレンズで追い続け、シャッターを切った後もそのままカメラを振り続けます。
  3. シャッターを切る間にカメラが上下に動いてしまうと、全体がブレた写真になってしまいます。脇をしっかりと締めカメラを固定し、上半身全体で左右にカメラを振りましょう。

流し撮りは一度で成功する撮影方法ではないかもしれません。また、シャッタースピードの設定は子どもの動くスピードによって調整が必要となります。何度もチャレンジしながら撮りかたのコツをつかんでいきましょう。

失敗例➀
シャッタースピードが速すぎるため、背景が流れず止まって写っています。シャッタースピードを遅くしましょう

失敗例➁
背景が少し流れましたが、流し撮りの効果がわかりにくい1枚です。さらにシャッタースピードを遅くする必要があります

失敗例➂
背景がしっかり流れるようになりましたが、カメラが上下にも動いてしまったため、子どもブレてしまいました

背景だけがブレ疾走感が出て、子どもはブレずに撮影できました。流し撮り成功です

最後に、撮影するからといって無理をしてターザンロープにお子さんを乗せたり、お子さん自身も張り切りすぎてスピードを上げすぎてしまったりといったことのないようくれぐれも安全に配慮し、また他のお子さんの遊びの邪魔をしないよう、ルールを守って撮影を楽しんでくださいね。

公園で子どもを撮るときのポイント

公園で遊ぶ子どもたちの生き生きとした表情は、とてもフォトジェニックです。はじけるような笑顔、全力で遊ぶ姿をぜひ写真に残しておきたいですよね。公園で遊ぶ子どもを撮るときのポイントは以下です。

  1. 望遠レンズでの撮影がおすすめ(周囲の余分な写り込みを減らし、背景もボケやすくなる)
  2. カメラ目線だけでなく、自然に遊んでいる様子を撮る
  3. 速い動きで動く子どもはブレやすいため、シャッタースピードを1/1000秒程度確保する
  4. シャッターチャンスを逃さないよう連写で撮る

なお、一番大切なのは遊具で遊ぶ子どもの安全を最優先にすることです。撮影に夢中になり過ぎて周囲で遊ぶお子さんとぶつかってしまうといったことのないように、また望遠レンズで離れた位置から撮影する場合には別の大人に遊んでいる子どもの安全を確保してもらうなど、安全に配慮しながら撮影を楽しんでくださいね。

標準ズーム(焦点距離:37mm)で撮影した1枚。遊具の多い公園は背景がどこもごちゃごちゃとしがちです

望遠ズーム(焦点距離:250mm)で撮影すると背景が整理され、子どもをより印象的に写すことができます

遊びに夢中になっている瞬間を連写で撮影。自然な笑顔を捉えることができます

公園にある遊具を活かしながら撮れば、ユーモアあふれる1枚に

友だち同士での記念写真。空を背景にすると人物が引き立ちおすすめです

作例バリエーション

ギャラリー

このギャラリーでは「カメラレッスン」で撮影した作品を掲載しています。
写真の目的で絞り込んで作品を検索することができますので、この目的でどんな作品が撮れるのか参考にしながらご覧ください。

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