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2023年1月の星空

地球と接近中の火星が、明るくカラフルな星々とともに冬の夜空を彩っています。流星群や彗星、金星と土星の接近など、新年早々に見ものがいろいろあります。すてきな一年になることを願いながら、2023年の星空巡りを始めましょう。

星空写真

愛知県新城市にて
第二東名高速道路を見上げた冬の星座とともに撮影しました。高速道路の間からぎょしゃ座が覗く構図に苦労しました。ふたご座が隠れてしまいましたが冬の星座の1等星を垣間見ることができ、冬の大三角も表現できて満足です。

2020年1月15日 20時49分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(15mm、ISO3200、露出20秒×8枚を合成、f/2.8)
撮影者:石橋 直樹

1月の星空

南の空

南の空

2023年1月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(29日)、満月(7日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2023年1月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

3日(火) 夕方~翌4日未明、月と火星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
4日(水) しぶんぎ座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
7日(土) 満月。次の満月は2月6日です
宵~翌8日明け方、月とポルックスが接近
10日(火) 宵~翌11日明け方、月とレグルスが接近
15日(日) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
未明~明け方、月とスピカが接近
19日(木) 未明~明け方、細い月とアンタレスが並ぶ
22日(日) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
23日(月) このころ、夕方~宵に金星と土星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
夕方~宵、細い月と金星、土星が接近(「今月の星さがし」で解説)
25日(水) このころ、未明~明け方にズィーティーエフ彗星が見える(「今月の星さがし」で解説)
26日(火) 夕方~宵、細い月と木星が接近(「今月の星さがし」で解説)
29日(日) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
31日(火) 未明、月と火星が並ぶ
夕方~翌1日未明、月と火星が接近(「今月の星さがし」で解説)

1月の惑星

水星

中旬ごろから、明け方の東南東の低空に見えます。

日の出30分前(東京で明け方6時15分ごろ)の高度は10度前後に達し、太陽から大きく離れることがない水星としては比較的見やすい条件です。とはいえ、山や建物に遮られて見えないことも少なくないので、見晴らしが良いところで探してみましょう。スマートフォンのアプリなどを使うと、方角や高さの見当をつけやすくなります。双眼鏡を使うと見やすくなり、位置がわかれば肉眼でも見えます。

金星

「宵の明星」として、夕方の西南西の低空に見えます。

日の入り30分後(東京で夕方17時20分ごろ)の高度は約10度とかなり低いのですが、とても明るいので、建物などに隠されていなければ見つけるのは簡単です。太陽が沈んでしばらくしてから、見晴らしの良い場所で探してみましょう。

下旬に土星と大接近します。また、23日に月齢2の細い月と接近します。肉眼や双眼鏡で、美しい夕景をお楽しみください。

火星

「おうし座」にあります。18時ごろに東の空の高いところ、20時ごろに頭の真上あたりに見え、4時ごろに沈みます。明るさは約マイナス0.8等級です。

先月1日に地球と最接近し、今月も引き続き明るく目立って輝いています。近くにある「おうし座」の1等星アルデバランと色や明るさを見比べてみてください。さらに、天体望遠鏡で観察すると表面の模様が見えるかもしれません。

3日の夕方から4日の未明にかけて、月齢11の明るい月と大接近して見えます。また、31日の未明(0~2時ごろ)と、31日の夕方から2月1日の未明にかけても、上弦過ぎの月と火星が接近します。紅白の天体が並ぶ様子を眺めて楽しみましょう。

木星

「うお座」にあります。18時ごろに南西の空の高いところに見え、22時ごろに沈みます。明るさは約マイナス2.3等級です。周りに明るい星が少ないので、よく目立ちます。

深夜には沈んでしまうので、空が暗くなったら早めの時間に観察しましょう。肉眼や双眼鏡では、26日の細い月との接近が見ものです。また、天体望遠鏡では縞模様や4つのガリレオ衛星が見えます。

土星

「やぎ座」にあります。日の入り1時間後(東京で夕方18時ごろ)に西南西の空の低いところに見え、19時ごろに沈みます。明るさは約0.8等級です。

下旬に金星と大接近します。また、23日に月齢2の細い月と接近します。肉眼や双眼鏡で観察してみてください。低いので天体望遠鏡での観察には向いていません。

今月の星さがし

4日の明け方にしぶんぎ座流星群、下旬には彗星が、それぞれ楽しめそうな2023年の始まり。夕空で金星と土星が接近する光景も楽しみです。

4日明け方、しぶんぎ座流星群

毎年1月4日ごろに活動する「しぶんぎ座流星群」は、年初め定番の天文現象として知られています。8月の「ペルセウス座流星群」、12月の「ふたご座流星群」と並んで年間三大流星群とされていますが、他の2つに比べるとやや知名度は低い流星群です。「しぶんぎ座」という星座が現存しないこと、年初めで他の色々な話題に埋もれてしまうことなどが理由かもしれません。

今年は4日の昼に活動が極大を迎えると予想されています。しぶんぎ座流星群は活動期間が短く、ピークの前後数時間に出現が集中するので、今回は条件は良くありません。一方で4日の明け方には月が低くなり、月明かりの影響は小さいので、この点では好都合です。4~5時ごろが最も期待できそうです。

1月4日5時ごろの空の様子(場所の設定は東京)。流れ星は放射点(「北斗七星」の付近)を中心とした空全体に飛ぶように見える

放射点(流れ星が飛ぶ中心となる点)は北東にありますが、流れ星は北東だけでなく空全体に飛びます。狭い範囲を見つめるのではなく、空を広く見渡すようにすると、流れ星が見られる確率が高くなります。街明かりがあるような場所では、そこから離れた方向を中心に空を見上げましょう。

当然ながら年始の明け方は非常に寒いので、手袋やマフラー、靴下の重ね履き、携帯カイロなどを準備して、無理をせずに楽しみましょう。流れ星を見つけて、良い一年のスタートを切れますように。

月と惑星の共演

月と惑星が並ぶ光景は、肉眼でも気軽に楽しむことができます。単に並んでいるだけとはいえ、月の形や惑星の明るさ、空の色や雲の流れ、その時間帯の地上の様子なども意識しながら眺めると、意外と奥深さを感じられるものです。

今月見やすい現象を次の星図でまとめてご紹介しているので、ぜひ1回でも多く観察してみてください。月と火星は3~4日と31~2月1日の2回、月と木星は26日に接近しますが、それぞれ星図にある時刻の前後の時間帯にも見られます(方角や高さは変わります)。

東京で見た月と惑星の共演の様子。大きい円は拡大イメージ(視野6度)、小さい円はさらに拡大したイメージ(正立像、月と惑星で拡大率は異なる)

最も注目したいのは23日の夕方に見られる、細い月と金星・土星の3天体集合でしょう。ちょうど23日ごろに金星と土星が大接近していて、これだけでも楽しみな現象ですが、そこに細い月が加わる光景は格別の美しさです。かなり低いので、西南西の空が低いところまでよく見渡せる場所で、空が暗くなってきたら早めに観察すると良いでしょう。地上風景を入れた写真撮影にも、ぜひ挑戦してみたい眺めです。また、前後の日に金星と土星の並び方が変わっていく様子も確かめてみてください。

未明~明け方にズィーティーエフ彗星が見ごろ

彗星をご覧になったことはあるでしょうか。毎年同じ時期に巡ってくる季節の星座や明るく目立つ惑星と異なり、彗星は現れる時期が不定で暗いものがほとんどのため、なかなか目にする機会がありません。双眼鏡で見えるようなものは年に数個程度、肉眼でも見えるものとなると年に1個あるかないかといったところです。最近では2021年末から2022年始にレナード彗星(C/2021 A1)が話題になりましたが、明るい時期には低かったため簡単に見えるというわけにはいきませんでした。

この1月から2月にかけては、ズィーティーエフ彗星(ZTF彗星、C/2022 E3)という彗星が見やすい明るさになると期待されています。一般に彗星の明るさの予想は難しいのですが、ズィーティーエフ彗星は5等級前後になるとみられ、このとおりであれば双眼鏡で比較的簡単に見つけられそうです。北斗七星とポラリス(北極星)、2等星コカブを目印にしておおまかな位置の見当をつけ、探してみてください。時間帯の面では少しハードルが高めですが、早起き(夜更かし)するだけの希少価値はありそうです。

1月21日から31日までの、北~北東の空の様子(3時、場所の設定は東京)。尾は模式的に描いている

彗星の像はボンヤリと広がっていて淡く、星のような点源の光とは見え方が異なります。小さな雲の切れ端のようなイメージで探しましょう。彗星といえば尾も楽しみですが、一般に尾は頭部よりもさらに淡いので、見るのは難しいかもしれません。見えるとすれば左上に伸びているはずです。

期待通りかそれ以上に明るくなればズィーティーエフ彗星は2月の中旬ごろまで楽しめる見込みで、2月には明るい1等星や火星の近くを通ります。来月の星空案内にも期待しながら、まずは今月の様子を観察してお楽しみください。彗星をじっくり探そうとすると時間がかかって冷えるので、くれぐれも暖かくして、安全にも気を付けて。

今月の星座

ぎょしゃ座

1月中旬の夜21時ごろ、頭の真上あたりに、黄色っぽく輝く1等星カペラが見えます。その周りの星を含めて五角形を描くと「ぎょしゃ座」を見つけることができます。「ぎょしゃ」というのは「馬車を操る人」という意味で、ギリシャ神話に登場するエリクトニウス王がモデルとされています。

「ぎょしゃ座」。エルナトは隣接する「おうし座」に属する

カペラは「小さな雌ヤギ」という意味の言葉に由来し、星座絵のその位置にはエリクトニウスが抱いている小ヤギが描かれています。このカペラは天球上で北寄りにあるため、本州より北の地域ではほぼ一年を通じて見ることができます。宵の時間帯に見やすいのは今の時期ですが、たとえば夏なら夜明けごろに北東の低空に見えます。別の季節に思いがけず見えると、ちょっと驚いてしまいそうです。

3つの散開星団

「ぎょしゃ座」のあたりには天の川が流れていて、空の暗いところでは五角形に薄いベールが掛かったように見えます。この方向に双眼鏡を向けるとたくさんの星が見え、いっそう美しい眺めとなります。その天の川の星々の中に、比較的見やすい散開星団(星の集団)が3つあります。双眼鏡で観察すると、2つまたは3つ全部を同一視野内で見ることができます。

それぞれを天体望遠鏡でズームアップして観察すると、星の数が増えて3つの違いを楽しめます。M36は星の数は少ないながらも明るい星が多く、M37はやや密集していて一番明るく、M38は暗めの星が広がっています。星図を頼りにして、ぜひ3つとも探し出してみてください。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は1月中旬の深夜1時ごろの星空です。2月中旬の深夜23時ごろ、3月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。

2023年1月中旬 深夜1時ごろの星空

火星や冬の星座は空の西半分(星図の右半分)に移り、入れ替わるように東の空から春の星座が昇ってきます。東の空の低いところに「うしかい座」の1等星アルクトゥールスと「おとめ座」の1等星スピカが見え、この2つと「しし座」の2等星デネボラを結ぶと「春の大三角」が描けます。南西の空に見える「冬の大三角」と、大きさや星の色、明るさを見比べてみると面白いでしょう。

また、北東の空に高くなった「北斗七星」も見やすい星の並びです。北斗七星は「おおぐま座」の一部、クマが冬眠から覚めるのはしばらく先ですが、星座の世界ではもう活動を始めているのかもしれません。

にぎやかな西の空を眺めて今しばらく続く冬を思うもよし、東~北の雄大な空を眺めて来る春を待ち望むもよし。しっかりと防寒をして、冬の深夜の星空めぐりをお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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