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2022年8月の星空

天頂に広がる「夏の大三角」や、天の川を下った南天の「いて座」が見ごろです。毎年8月のお楽しみであるペルセウス座流星群は、今年は明るい月とともに観察することになりそうです。月に負けないほど明るい流れ星が飛ぶことに期待しましょう。

星空写真

愛知県田原市 菜の花ガーデンにて
菜の花ガーデンは夏の時期はひまわりが植えられています。そのひまわりに昇る、夏の天の川の撮影です。ひまわりだけでは寂しいと思いヤシの木を添えました。ヤシの木の間には木星が輝いています。南側が太平洋で光害がないので、思っている以上に天の川が表現できました。

2021年8月4日 22時39分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(14mm、ISO5000、露出15秒×16枚を合成、f/2.8)
撮影者:石橋 直樹

8月の星空

南の空

南の空

2022年8月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(5日)、満月(12日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2022年8月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

4日(木) 伝統的七夕(「今月の星さがし」で解説)
夕方~宵、月とスピカが並ぶ
5日(金) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
7日(日) 立秋(こよみの上で秋の始まり)
夕方~深夜、月とアンタレスが大接近
12日(金) 満月。次の満月は9月10日です
宵~深夜、月と土星が並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
13日(土) ペルセウス座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
15日(月) 土星が衝(一晩中見えるので観察の好機です)
深夜~翌16日明け方、月と木星が接近(「今月の星さがし」で解説)
19日(金) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
深夜~翌20日明け方、月とプレアデス星団が並ぶ
20日(土) 未明~明け方、月と火星が接近(「今月の星さがし」で解説)
24日(水) 未明~明け方、細い月とポルックスが接近
25日(木) 未明~明け方、細い月とプレセペ星団が接近
26日(金) 明け方、細い月と金星が接近
27日(土) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
29日(月) 夕方、細い月と水星が並ぶ
31日(水) 夕方~宵、細い月とスピカが接近

8月の惑星

水星

夕方の西の低空に見えます。

日の入り30分後(東京で19時ごろ)の高度は5度前後とかなり低いので、見つけるのは少し難しいかもしれません。スマートフォンのアプリなどで位置を確かめて、見晴らしが良いところで探してみましょう。肉眼でも見える明るさですが、双眼鏡を使うと見つけやすいでしょう。

29日に月齢2の細い月と並びます。

金星

「明けの明星」として、明け方の東北東の低空に見えます。

日の出30分前(東京で4時30分ごろ)の高度は約10度と低いのですが、明るく目立つので、建物などに隠されていなければ見つけられるでしょう。低いところまで開けた見晴らしの良いところで探してみましょう。

26日に月齢28の細い月と接近します。新月の前日でとても細い月なので、金星のほうが目立つかもしれません。早起きして、美しい共演をお楽しみください。なお、次に月と金星との共演が見られるのは来年1月23日とずいぶん先のことになります。

火星

「おひつじ座」から「おうし座」へと移動します。23時ごろに昇ってきて、3時ごろに東南東の空に見えます。明るさは約0.1等級です。

下旬から「おうし座」の赤い1等星アルデバランと並んで見えるようになります。よく似た色と明るさの星が並ぶ光景や、日を追うごとに火星がアルデバランに近づいていく様子が目を引きます。深夜から未明の時間帯ですが、ぜひ続けて観察してみましょう。20日の未明から明け方に下弦過ぎの半月と火星が接近する様子も見ものです。この日はまだアルデバランはやや遠めですが、プレアデス星団(すばる)が近くにあり、双眼鏡で3天体が一緒に見えるでしょう。「今月の星さがし」を参考にしてみてください。

見かけのサイズが小さいので天体望遠鏡での観察にはあまり向いていませんが、気流の落ち着いた日に見ると表面の濃淡や南極が白い様子がわかるかもしれません。

木星

「くじら座」にあります。20時30分ごろに昇ってきて、0時ごろ南東の空、3時ごろ南の空の高いところに見えます。明るさは約マイナス2.8等級です。

夜空に見える天体の中では(月を除けば)最も明るく輝いているので、やや遅めの時間帯ではありますがよく目立ちます。火星や土星と色や明るさを見比べてみましょう。15日深夜から16日明け方にかけて満月過ぎの明るい月が木星に接近する現象は、明るい2天体の共演で見応えがありそうです。

天体望遠鏡では、縞模様や4つのガリレオ衛星を観察しましょう。ガリレオ衛星は双眼鏡でも見えるかもしれません。0時ごろの高度が40度ほどと比較的高くなってきたので、そろそろ観察シーズンです。本格的に楽しめるのは秋以降ですが、ぜひ今月も観察してみてください。

土星

「やぎ座」にあります。21時ごろに南東の空のやや低いところ、0時ごろに真南の空に見え、3時ごろには南西の空にあります。明るさは約0.3等級です。

ほぼ一晩中見える状態で、観察の好機です。肉眼や双眼鏡で、落ち着いた色合いや、火星・木星との見え方の違いを眺めてみましょう。

天体望遠鏡では何といっても環が楽しみです。12日には満月と土星が並ぶので、両方を望遠鏡で見比べてみてください。

今月の星さがし

夏の風物詩、ペルセウス座流星群は、13日の明け方が一番の見ごろです。大きく丸い月が照らす空に明るい流れ星が飛ぶよう、願いながら待ってみましょう。

4日 伝統的七夕

7月7日は七夕でしたが、これは古くからの行事なので、旧暦の7月7日に行われることもあります。そこで旧暦7月7日(※)を「伝統的七夕」と呼んで、天文行事として楽しんだり祝ったりすることも広く行われています。伝統的七夕の日は毎年日付が変わり、今年の場合は8月4日です。

※旧暦は現在公的には使われていないため、伝統的七夕の日は「太陽太陰暦と同じような方法で求めた7月7日に近い日」として、太陽の位置や月の満ち欠けをもとにして決められます。

伝統的七夕の8月4日と新暦七夕の7月7日、旧暦の7月1日にあたる7月29日の、21時の空(場所は東京)。7月7日には地平線(図の円周)に近いベガとアルタイルが、8月4日には天頂(図の中心)付近まで高く昇ることがわかる。
また、7月29日は月明かりがないので、この前後の日は天の川が見やすい

今年は全国的に梅雨明けが早かったのですが、例年であれば7月7日はまだ梅雨明けしていない地域が多いので、織り姫星(「こと座」のベガ)と彦星(「わし座」のアルタイル)が見えないことも少なくありません。その点、伝統的七夕はだいたい8月中旬ごろになるので梅雨が明けている可能性が高く、晴れた夜空が見やすくなります。また、7月7日の21時ごろには東の空に見えていたベガとアルタイルは、伝統的七夕のころには頭の真上あたりまで高く昇るので、建物や街明かりの影響を受けにくくなる点でも見やすくなります。半月が沈む深夜以降であれば、2つの星の間に天の川も見えるかもしれません。

7月7日の七夕にはイベント的な楽しみや宇宙に親しむきっかけとしての意味合いがあり、伝統的七夕には古くからの人と宇宙のつながりを感じたり暗い星空に思いを馳せたりという良さがあります。伝統的七夕の夜にもぜひ、織り姫星と彦星を見上げてみましょう。

13日未明~明け方、ペルセウス座流星群

毎年8月13日ごろに活動がピークとなるペルセウス座流星群は、夏の定番の天文現象です。条件が良ければ1時間あたり数十個の流れ星を見ることができるという、一年のうちでも指折りの「流星に出会いやすい夜」です。速く明るい流星が多いので印象に残りやすいのもポイントです。

今年ペルセウス座流星群の活動が最も活発になるのは13日10時ごろと予想されています。実際に見やすいのは夜明け前となる、13日の未明から明け方にかけてになるでしょう。今年はほぼ満月の明るい月が一晩中ずっと空を照らしているので、その影響で暗い流れ星が見えなくなり、目にできる流れ星の数は少なくなってしまうと考えられます。視界の広さがどのくらいかにもよりますが、1時間あたり10~15個程度と見込まれます。街明かりがあるような場所でも条件は変わらないので、遠出をせずとも気軽に楽しめるのはちょっとしたメリットかもしれません。

8月13日3時ごろの東京の空。流れ星は放射点(「ペルセウス座」の方向)を中心とした空全体に飛ぶように見える

月や街灯の光を直接目にしなければ、眩しさが軽減されるので、少し流れ星が見やすくなります。月に背を向けたり、街灯を建物で隠したりすると良いでしょう。また、流れ星はペルセウス座の方向「だけ」でなく、空のあちこちに飛ぶので、なるべく広い範囲を眺めましょう。広く見ることが大切ですから、双眼鏡や天体望遠鏡は不要です。火星や木星の近くに流れると印象に残りそうですね。

そのほか、虫よけを準備したり、安全やマナーに気をつけたりといった点も重要です。観察を始めてすぐに飛ぶとは限らないので、少し気長に流れ星を待ちましょう。ピークの前後数日間も流れ星を見られるチャンスはありますので、天候状況などを考慮して星空を見上げてみてください。数が少なくても明るい流れ星が見えればラッキーですね、ぜひ見えますように。

土星が見ごろ、月と3惑星の接近

15日に土星が「衝(しょう)」という状態になります。衝のとき、惑星は地球を挟んで太陽と正反対の位置にあるので、一晩中観察することができます。また、衝のころに地球と惑星との距離が最も近くなるので、惑星が明るく大きく見えます。このような理由により、土星は本格的な観察シーズンを迎えます。

土星は約0等級と明るいので、街中でも肉眼で簡単に見つけられます。特徴である環を観察するには天体望遠鏡が必要ですが、その場合でも大型・高倍率のものが必須というわけではありません。レンズの直径が5~10cm、倍率は80~100倍程度でもじゅうぶん見えますので、望遠鏡をお持ちであればぜひ土星に向けてみましょう。

お持ちでない方はこの機会に購入するのも一案です。秋以降には土星に加えて木星や火星も見やすくなるので長く楽しめますし、もちろん惑星以外にも月や二重星などもよく見えます。メーカーや専門ショップ、科学館などに相談すると良いでしょう。

また、科学館や公開天文台などで開催される天体観察イベントで、大きい望遠鏡を覗かせてもらえる機会もあるかもしれません。参加の際には健康管理、安全対策をしっかりと行ってください。

月と土星(8月12日)、木星(15~16日)、火星(20日)の接近の様子(場所の設定は東京)。大きい円は拡大イメージ(視野7度)、小さい円はさらに拡大のイメージ(正立像、月と惑星で拡大率は異なる)

さて、深夜には木星、未明には火星も昇るので、少し夜更かしすると土星・木星・火星を見ることができます。どれも明るいので肉眼や双眼鏡でよく見えます。惑星同士の色を比べたり、月と接近するタイミングでその共演の様子を眺めたりしてみましょう。それぞれ別々の日に、形(欠け方)が異なる月と接近しますが、とくに20日の月と火星の共演では、近くに「おうし座」のプレアデス星団(すばる)もあり、視野が広めの双眼鏡なら3天体を一緒に観察できそうです。

星図の見かたについて補足しておきましょう。それぞれの日で時刻は一例であり、同じ夜の間なら似たような間隔で見えます(方角や高さは変化します)。また、前後の日でも、間隔が少し広くなり月の形がやや変わりますが、やはり並んでいる様子が見えます。「ピンポイントでこの日のこの時刻だけ接近している」わけではないので、気軽にお楽しみください。

今月の星座

いて座

11月下旬から12月中旬ごろに誕生日を迎える人の星座として名前が知られている「いて座」、宵空で見やすいのは8月ごろです。8月中旬の21時ごろに、南の空のやや低いところに見えます。

「いて座」。アニメーション2枚目で水色の線が「南斗六星」、白色の線が「ティーポット」
(銀河の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA)/いて座A*のクレジット:EHT Collaboration)

「いて座」の目印となるのは2等星のカウスアウストラリスとヌンキです。どちらも明るい星ですが、日本から見るとあまり高くならないので、建物にさえぎられたり街明かりの影響を受けたりして目立たないかもしれません。観察場所を選んで探してみましょう。

もっと暗い星まで見えれば、北斗七星に似た星の並びがわかります。南の空にあって星の数が6つなので「南斗六星」と呼ばれています。さらに、別の星の並びを「ティーポット」に見立てることもあります。星図(アニメーション画像)を参考にして星をつないでみてください。

旅行や帰省などでより良い条件の空を眺める機会があれば、ティーポットの注ぎ口から湯気のように立ちのぼる天の川も見えるでしょう。肉眼では白い帯のような印象ですが、天体写真では無数の星が集まっている様子やカラフルな星雲もとらえられ、魅了されます。

ギリシャ神話では半人半馬のケンタウルス族のケイロン、またはフォロスとされることが多いようです。弓矢を引き絞って狙う先に「さそり座」がありますが、神話上のつながりはとくにありません。

干潟星雲M8、三裂星雲M20

「いて座」と「さそり座」のあたりは天の川が最も濃くなっているところで、双眼鏡で眺めると視野いっぱいに星が広がります。そこには、先月ご紹介した「散開星団」(星の集団)だけでなく、宇宙空間に漂うガスや塵が光って見える「星雲」もたくさん存在しています。その中でも、南斗六星の柄にあたる星の近くにある干潟星雲M8(Mはカタログの略称)と三裂星雲M20は、比較的明るいので見やすい星雲です。

天体写真では、干潟星雲は赤っぽい色と大きな形が、三裂星雲は赤と青が隣り合った様子と3つ(以上)に分かれた形が、それぞれ楽しめます。こうした色や形は、眼視ではなかなかわかりませんが、自分の目で見るという体験にも面白さがあります。インターネットの画像検索などで色や形を楽しみながら、実際の観察もぜひしてみましょう。

天の川銀河の中心

星図中「×」のところは、天の川銀河(銀河系)の中心方向です。天の川銀河は数千億個の星が円盤状に集まった天体で、太陽(太陽系)はその中心から約2万7000光年離れた円盤内にあります。中心方向はやや膨らんでおり、星も多いので、とくにこの方向の天の川が濃く太く見えるのです。この方向には黒い部分も多く見られますが、ここはガスや塵で星の光が遮られているところです。

天の川銀河の中心には、太陽の約400万倍もの質量を持つ超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」が存在すると考えられています。今年5月にそのブラックホールが作る「シャドウ(影)」の画像(色は擬似的なものです)が公開され、話題となりました。いて座を眺めるときには、天の川銀河全体や、天文学研究の最先端にも想像を巡らせてみてください。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は8月中旬の深夜1時ごろの星空です。9月中旬の深夜23時ごろ、10月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。

2022年8月中旬 深夜1時ごろの星空

土星・木星・火星と明るく目立つ惑星が、南から東の空に並ぶ光景が目をひきます。深夜になっても湿度が高いと、惑星たちの輝きが少しにじんだように感じられるかもしれません。秋以降のスッキリ澄んだ空のときの見え方と比べてみたいですね。火星は「おうし座」の赤っぽい1等星アルデバランと色や明るさを競っているようにも見えます。なお、図の上に「(9~10月にかけて)惑星は少し動きます」と注記していますが、この期間の火星は見かけの動きが大きく、9月にはアルデバランにもっと近づき、10月にはアルデバランよりも東(図ではアルデバランの左上)まで行ってしまいます。8月中だけでも移動の様子がわかるので、注目してみましょう。

明るい惑星以外では、西の空の高いところに見える「夏の大三角」が目立ちます。伝統的七夕を過ぎてももちろん、ベガやアルタイル、天の川はありますので、深夜に限らず空を見上げてみましょう。

短い梅雨の後の夏、例年以上に暑かったり天候不順だったりするかもしれません。体調管理や日々の安全に注意しながら、時々は星空を眺めてリラックス、リフレッシュされますように。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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