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2022年7月の星空

七夕伝説の星々で作られる「夏の大三角」が東の空で見やすいシーズンです。天の川や「さそり座」も見ものです。今年一番大きい満月や、深夜の空に並ぶ明るい惑星など、梅雨空でも気軽に眺められる天体たちも楽しみましょう。

星空写真

北軽井沢にて
さそり座アンタレス付近には赤黄青の散光星雲が重なりあった領域があり、「カラフルタウン」の愛称で親しまれています。星空写真愛好家のみなさんが大好きな夏の撮影対象です。

2019年4月5日 1時55分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED(ISO400、露出300秒×12枚を合成、f/2.8)
撮影者:高岡 誠一

7月の星空

南の空

南の空

2022年7月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(7日)、満月(14日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2022年7月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(金) 夕方、細い月とプレセペ星団が接近
2日(土) このころ、明け方に金星とアルデバランが接近
3日(日) 夕方~宵、細い月とレグルスが接近
7日(木) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
七夕(「今月の星さがし」で解説)
夕方~深夜、月とスピカが並ぶ
10日(日) 22~23時ごろ、さそり座ジュバの食(明るい星が月に隠されます。「今月の星さがし」で解説)
11日(月) 夕方~宵、月とアンタレスが並ぶ
14日(木) 満月(今年最大の満月、「今月の星さがし」で解説)。次の満月は8月12日です
15日(金) 深夜~翌16日明け方、月と土星が並ぶ
19日(火) 未明~明け方、月と木星が並ぶ
20日(水) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
22日(金) 0時ごろ、火星食(火星が月に隠されます。「今月の星さがし」で解説)
未明~明け方、月と火星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
23日(土) 未明~明け方、月とプレアデス星団が並ぶ
24日(日) 未明、月とプレアデス星団が並ぶ
26日(火) 未明~明け方、細い月と金星がやや離れて並ぶ
27日(水) 未明~明け方、細い月と金星が接近(「今月の星さがし」で解説)
29日(金) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
30日(土) 夕方、細い月と水星が接近、細い月とレグルスが並ぶ

7月の惑星

水星

5日ごろまで、明け方の東北東の低空に見えます。

日の出30分前(東京で4時ごろ)の高度は5度未満ととても低いので、見つけるのは少し難しいかもしれません。スマートフォンのアプリなどで位置を確かめて、見晴らしが良いところで探してみましょう。肉眼でも見える明るさですが、双眼鏡を使うと見つけやすいでしょう。

その後は太陽に近づいて見えなくなり、月末ごろに今度は夕方の西北西の低空に見えるようになります。ただし、日の入り30分後(東京で19時20分ごろ)の高度は3度ほどとさらに低いので、より注意深く探しましょう。30日に月齢2の細い月と接近します。

金星

「明けの明星」として、明け方の東北東の低空に見えます。

日の出1時間前(東京で3時30分ごろ)の高度は約10度とかなり低いのですが、明るく目立つので、建物などに隠されていなければ見つけるのは難しくありません。見晴らしの良いところで探してみましょう。ビルや木々の合間に見つけるのも楽しいものです。

4日ごろまで「おうし座」の1等星アルデバランと接近して見えます。また、26日と27日に月齢27/28の細い月と並んで見えます。早起きして美しい共演をお楽しみください。

火星

「うお座」から「おひつじ座」へと移動します。日付が変わるころに昇ってきて、3時ごろには東南東の空に見えます。明るさは約0.4等級です。

特徴である赤っぽい色がよく目立つようになってきました。見える時間帯が未明から明け方なので、人目を引いて話題になるというほどではありませんが、夜更かし(または早起き)する日があれば目にしておきたいものです。同じ空に見えている木星や土星との色や明るさの違いも見比べて楽しみましょう。見かけのサイズが小さいので、天体望遠鏡での観察にはあまり向いていません。

22日の0時ごろに火星食が起こり、火星が月の裏から出てくる様子が見られます。「今月の星探し」を参考にして観察してみてください。

木星

「くじら座」にあります。22時30分ごろに昇ってきて、1時ごろに東南東の空のやや低いところ、3時ごろに南東の空に見えます。明るさは約マイナス2.5等級です。

日付が変わる前に昇るようになっているので、先月までより見やすくなっています。土星や火星とあわせて楽しみましょう。天体望遠鏡をお持ちであれば、縞模様や4つのガリレオ衛星も観察してみてください。ガリレオ衛星は双眼鏡でも見えるかもしれません。

19日の未明から明け方、下弦前の月と並びます。

土星

「やぎ座」にあります。20時30分ごろに昇ってきて、23時ごろに南東の空のやや低いところ、2時ごろに南の空に見えます。明るさは約0.5等級です。

やや低めながら日付が変わる前に見えるので、そろそろ観察シーズンです。肉眼ではクリーム色の輝きを眺め、天体望遠鏡では環を観察してみましょう。夜が更けると木星と火星も昇ってくるので、3惑星の見え方を比較するのも面白そうです。

15日の深夜から16日の明け方、満月過ぎの明るい月と並びます。

今月の星さがし

七夕、大きな満月と比較的わかりやすい現象から、月に恒星や惑星が隠される少し難度高めの現象まで、今月はバラエティに富んだトピックスをご紹介します。

七夕

7月7日は七夕。秋のお月見とともに、日本で古くから人々に親しまれている天文行事です。七夕伝説では一年に一度この日だけ、「織り姫星(織女星:しょくじょせい)」と「彦星(牽牛星:けんぎゅうせい)」が川を渡って会うことを許されていますが、伝説に登場する「織り姫星」は「こと座」のベガ、「彦星」は「わし座」のアルタイルという星です。

ベガとアルタイルは「夏の大三角」と呼ばれる星の並びを形作っています。宵のころに東の空に見える3つの明るい星のうち、一番高く一番明るいのがベガ、ベガから右下に離れたところにあるのがアルタイルです。ベガの左下にあるもう一つの星は「はくちょう座」の1等星デネブで、この3つの星で夏の大三角です。3つとも1等星なので、街中からでも見つけられるでしょう。

7月7日 21時の東の空の様子(場所の設定は東京)。街中でも織り姫星ベガと彦星アルタイルは見つけられる

この夏の大三角を通り抜けるように、北から南へと天の川が流れています。七夕伝説では、織り姫星と彦星は川の反対岸にいることになっていますが、実際の空でもベガとアルタイルの間に天の川が流れているというわけです。街明かりや月明かりがなければ天の川も見えるでしょう。

多くの地域では7月7日は梅雨の真っ最中なので、当夜は晴れていないかもしれませんが、織り姫星と彦星は七夕以外の日にも見えます。晴れた夜には空を見上げ、2つの星や夏の大三角を探してみてください。日付や時刻が変わると3つの星の高さや位置関係が異なって見えることがありますが、「3つのうち一番明るいのがベガ、ベガから遠く2番目に明るいのがアルタイル、ベガに近く一番暗いのがデネブ」と覚えるとわかりやすいでしょう。

旧暦に基づいた「伝統的七夕」(日付は毎年変わり、今年は8月4日)のころには梅雨が明けて晴れることが多いので、織り姫星と彦星がさらに見つけやすくなります。七夕から伝統的七夕までの約1か月間、とくに意識してこれらの星たちを見上げてみてはいかがでしょうか。

13~14日、今年最大の満月

月は約1か月の間に、満ち欠けによって形(光っている部分)が大きく変化します。これに加えて、月の「見かけの直径」も日々変わります。月は地球の周りを楕円軌道で回っているので、月と地球の距離が変化し、その結果「近い時には大きく」「遠い時には小さく」見えます。

月と地球が一番近づいたタイミングの前後でちょうど満月になれば、とくに大きな(直径が大きく、光っている面積の割合も大きい)月が見えることになります。今年の場合は7月13日の宵から14日の明け方にかけての月が「今年一番大きい満月」にあたります。俗に「スーパームーン」などと呼ばれることもあります。

満月として今年最小だった1月18日と、最大となる7月14日の比較。いずれも「地球の中心」から見た「満月の瞬間の月」を表示している

2022年の満月の大きさ比較。地球の中心から見た満月の瞬間の月を表示している。細い円は7月14日(最大の満月)の大きさを表す

今年最小だった満月(1月18日)と比べると、13~14日の満月は直径で12%、面積で約26%大きくなります(地球の中心から見た大きさで比較)。図を見るとずいぶん差があるように思えますが、実際の空で月を2つ並べて観察することはできないので、その差は実感しにくいものです。

最大の(一番近い)満月だからといって何か特別なことが起こるわけでも変わった様子が見られるわけでもありませんが、「一番」というものには普段以上の魅力を感じてしまうのも事実です。梅雨の晴れ間に、大きく明るい満月が見えますように。

見やすい2回の食:10日深夜は2等星、22日0時ごろは火星が、月に隠される

月が太陽を隠す現象を「日食」と呼ぶように、月が星を隠す現象は「星食」(正確には「掩蔽(えんぺい)」)と呼ばれます。恒星なら恒星食、惑星なら惑星食(または惑星名を入れて火星食など)となります。今月は2回、見やすい星食が起こります。

まず1回目は10日深夜の現象で、「さそり座」のジュバという明るい2等星が隠されます。ジュバは「さそり座」の赤っぽい1等星アンタレスの右にある、さそりの顔の位置に輝く星です。

ジュバの食の様子(場所は東京)

ジュバが月に隠されるのは22時ごろ、月から出てくるのは23時20分ごろです。月の暗い部分に隠れる(潜入の)ときのほうが見やすいでしょう。反対に表れる(出現の)ときは、ジュバの位置がわからないうえに月が明るいので、少し見づらいかもしれません。また、見る場所によって現象の時刻や月のどこに出入りするかは異なるので、事前によく確かめておきましょう。隠される・出てくる瞬間を見たい場合には、双眼鏡や天体望遠鏡での観察をお勧めします。

ジュバの食は5月17日にもありましたが、曇りや雨で見えなかった地域が多かったようです。今回のチャンスには晴れてほしいですね。

続いて今月2回目の食は22日の0時ごろ(21日から22日に日付が変わった直後)で、隠れているのは火星です。

火星食と、その後の様子(場所は東京)

火星が月に隠されるのは日付が変わる前ですが、このときには月と火星が地平線の下にあるため見えません(北日本では地平線上ですが、昇った直後で見づらいです)。0時20分前後に月の暗い部分から火星が出現する様子だけを観察することになりますが、このときもまだ月と火星はかなり低いので、東の空がよく開けたところで観察しましょう(残念ながら九州では出現時も地平線下で見えません)。ジュバの食と同様、見る場所によって現象の時刻や月のどこから火星が出てくるかは異なるので、事前によく確かめたうえで、できれば双眼鏡や天体望遠鏡で観察しましょう。

出現から約2時間後の2時ごろになると、月と火星は離れてしまいますが、それでも月2個分ほどの間隔しかないという大接近状態です。このころには高度も上がっているので見やすくなっているでしょう(九州でも見えます)。火星が出てくる瞬間が見られないとしても、この大接近も見応えがありますので、ぜひお見逃しなく。

27日明け方、細い月と金星の共演

火星食から5日後の27日明け方、東北東の空の低いところに、月齢28(27.7)の細い月と明けの明星の金星が左右に並んで見えます。かなり低いので、見晴らしの良いところで眺めてみましょう。肉眼でもよく見えますが、双眼鏡を使うと地球照(月の欠けた側がほんのり見える現象)が見やすくなり、金星の輝きがいっそう印象的に感じられそうです。夜明けの風景と一緒に撮影するのも面白いでしょう。

細い月と金星の共演は来月8月26日明け方にも見えますが、今回以上に低い現象です。さらにその次は来年1月23日(宵の明星になります)まで見られません。梅雨明け前後のタイミングに、晴れて見られますように。

7月27日の、夜明け前の東北東の空の様子(場所の設定は東京)。囲み内は拡大イメージ(視野6度)

今月の星座

さそり座

10月下旬から11月中旬ごろに誕生日を迎える人の星座として名前が知られている「さそり座」、宵空で見やすいのは7月ごろです。7月中旬の21時ごろに、南の空のやや低いところに見えます。

「さそり座」

「さそり座」の目印は赤っぽく輝く1等星アンタレスです。アンタレスはさそりの胴体の位置にあり、ここを中心としてアルファベットのS字形に星が並んでいます。顔のあたりに位置する2等星ジュバや、尾の先の毒針部分に輝く2等星シャウラがS字の両端にあたります。日本ではこのS字形を、釣り針に見立てて「魚釣星」「鯛釣星」などと呼ぶこともあります。

アンタレスやジュバ、シャウラのほかにも明るめの星があり、形が整っていることもあって比較的わかりやすい星座です。その一方で、本州あたりでは南の地平線からあまり高く上らないため、建物に隠されたり街灯の影響を受けたりして、意外と見えにくくなります。南半球のオーストラリアやニュージーランドなどではこの時期、頭の真上近くまで高く上ります。機会があれば、天に架かる大きなS字を見上げてみましょう。

散開星団M6、7

「さそり座」の尾の付近は天の川が最も濃くなっているところで、双眼鏡で眺めると視野いっぱいに星が広がる美しい光景を楽しめます。その中には、星が集まっている散開星団もいくつか見られます。

とくに見やすいのはシャウラの左上あたりに位置する、M6、7という番号が付けられた散開星団です。空が暗いところでは肉眼でも存在がわかるほど明るい星団です。双眼鏡では両方が同一視野内に見え、M7のほうが明るく大きいことがわかります。それぞれを天体望遠鏡で見る場合には、星が広がりすぎないように低倍率(=広い視野)で観察するとよいでしょう。

カラフルタウン

さそりの頭部から胸部にあたるジュバやアンタレスの付近には、美しい星雲が広がっています(今月の「星空写真」で、オレンジ色の部分がアンタレス、右寄りの青白い星がジュバです)。眼視でとらえることは難しいのですが、撮影するととても色鮮やかな光景を写し取ることができます。

「カラフルタウン」と呼ばれるこのエリアの色は、ガスが星の光を受けて光ったり(赤)、塵に星の光が反射・散乱されて見えたり(青・オレンジ)しているものです。無数の星々や暗黒星雲(近くに星がないガスや塵の集まり)も含めて、色や造形を鑑賞してみてください。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は7月中旬の深夜1時ごろの星空です。8月中旬の深夜23時ごろ、9月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。

2022年7月中旬 深夜1時ごろの星空

「今月の星座」でご紹介した「さそり座」はもう南西の地平線に沈みかけています。山や建物があると見えないかもしれません。深夜になる前にしっかりと見ておきたいですね。

空の高いところに目を向けると「夏の大三角」が目立ちます。織り姫星ベガと彦星アルタイルが天上から私たちを優しく見ているようでもあります。街明かりや月明かりがなければ、七夕伝説のとおりベガとアルタイルの間を流れる天の川も見えるでしょう。

南から東にかけては土星・木星・火星と明るい惑星が見ものです。明るい星が少ないエリアだけに、3惑星の色や明るさがとても印象的に感じられそうです。これらの惑星の本格的な見ごろは秋から冬にかけてですが、夏の深夜に一足先に、楽しんでみてはいかがでしょう。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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