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2022年2月の星空

冬は一年で最も明るい星が多い季節で、星空がとてもにぎやかです。しっかり防寒を整えて「オリオン座」「ふたご座」などを探しましょう。目立つ天文現象はありませんが、早起きすると金星や火星が見えます。

星空写真

岐阜県大野郡白川村にて
世界遺産の白川郷での撮影です。なかなか晴れずやきもきしましたが、粘ったかいがあり、雲間でオリオンなどが覗いた瞬間を幻想的に表現できました。カペラ、アルデバラン、ベテルギウス、リゲルなど冬の1等星がにぎやかに輝いています。この後は雲に隠れて、晴れてはくれませんでした。

2019年11月3日 23時14分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 20mm f/1.8G ED(ISO4000、露出15秒×8枚を合成、f/3.2)
撮影者:石橋 直樹

2月の星空

南の空

南の空

2022年2月1日ごろの22時、15日ごろの21時、28日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(8日)、満月(17日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2022年2月1日ごろの22時、15日ごろの21時、28日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(火) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
3日(木) 夕方~宵、細い月と木星が並ぶ
4日(金) 立春(こよみの上で春の始まり)
8日(火) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
10日(木) 夕方~宵、月とアルデバランが並ぶ
13日(日) 夕方~翌14日未明、月とポルックスが接近
14日(月) 夕方~宵、月とポルックスが並ぶ
16日(水) 夕方~翌17日明け方、月とレグルスが接近
17日(木) 満月。次の満月は3月18日です
水星が西方最大離角(「今月の星さがし」で解説)
20日(水) 深夜~翌21日明け方、月とスピカが接近
24日(木) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
未明~明け方、月とアンタレスが並ぶ

2月の惑星

水星

明け方の東南東の低空に見えます。

日の出30分前(東京で6時ごろ)の高度は8度前後とかなり低めですが、太陽から大きく離れることがない水星としては条件が良いほうです。とくに、太陽から最も離れる「最大離角」という状態になる17日の前後数日間が見ごろです。

見ごろとはいえ、低いことに加えて背景の空が明るいため、見つけるのは簡単ではありません。スマートフォンのアプリなどで位置を確かめて、見晴らしが良いところで探してみましょう。肉眼でも見える明るさですが、双眼鏡を使うとわかりやすくなります。やや離れていますが金星との位置関係も参考になるでしょう。

金星

「明けの明星」として、未明から明け方の南東の低空に見えます。

日の出1時間前(東京で5時30分ごろ)の高度は15度前後と低いのですが、とても明るく目立つので、建物などに隠されていなければ簡単に見つけることができるでしょう。早起きした日には観察してみてください。

火星

「いて座」にあり、未明から明け方の南東の低空に見えます。明るさは約1.3等級です。

日の出1時間前(東京で5時30分ごろ)の高度は約15度と低めであまり目立ちませんが、近くに明けの明星の金星が輝いているので、位置の見当をつけるのは簡単です。「今月の星さがし」を参考にして、早起きした日には金星や水星と一緒に探してみましょう。

低いため、天体望遠鏡での観察には向いていません。

木星

「みずがめ座」にあり、夕方の西南西の低空に見えます。明るさは約マイナス2.0等級です。

日の入り1時間後には沈んでしまうので観察は困難です。低いため天体望遠鏡で見るのにも向いていません。

3日の夕方から宵の早い時間帯に、月齢2の細い月と並びます。日の入り30分後~1時間後(東京で17時40分~18時10分ごろ)に、見晴らしの良いところで西南西の空を眺めてみましょう。

土星

太陽に近いため、観察は困難です。

月末ごろ明け方の東南東の低空で水星と接近しますが、日の出30分前(東京で5時40分ごろ)の高度が5度未満と非常に低いです。観察に挑戦する場合には見晴らしの良いところで、スマートフォンのアプリなどで位置を確かめてから探してみましょう。

今月の星さがし

早起きして南東の低空を眺めると、水星・金星・火星をひとまとめに見ることができます。宵空では、縁起の良い星とされる「カノープス」を探してみましょう。

明け方の空に集う、地球型惑星

2月の朝は非常に寒く、早起きが辛いものですが、その寒さを我慢して夜明け前に南東の空を眺めると、明けの明星の金星が目に入ります。冷たい空気の中、突き刺すような鋭さのある輝きに、すっかり目が覚めてしまうかもしれません。

金星が見えたら、その少し右下のほうに目を向けてみてください。赤みを帯びた、金星よりは暗いものの比較的目立つ星が見つかるでしょう。これは火星です。2つの惑星の間隔は少しずつ小さくなっていき、3月中旬ごろに最接近します。数日おきに観察して並び方の変化を確かめてみましょう。

2月2日から23日まで3日ごとの、夜明け前の南東の空の様子(場所の設定は東京)

さらに、金星と火星の左下、地平線に近いところには水星も見えます。火星よりも明るく、位置がわかれば肉眼でもよく見えますが、夜明けが近づくにつれて空が白むことや建物に隠されることなどの理由で見つけにくいかもしれません。金星、火星との位置関係を手がかりにして探してみましょう。スマートフォンの星図アプリなどを使うと位置がわかりやすくなります。また、双眼鏡を使うのもお勧めです。日の出の1時間前から30分前くらいまでが見やすいでしょう。これより早いと水星が低すぎ、これより遅いと空が明るくなりすぎます。

さて、これら3惑星には、岩石を主成分とする、比較的小さい(太陽系の8惑星の中で小さいほうから3つ)、太陽系の内側を公転している、などの共通点があり、地球を含めて総称して「地球型惑星」と呼ばれます。夜明けの空に集合している、地球の兄弟のような惑星たちに、早起きして挨拶してみてはいかがでしょうか。

縁起の良い星・カノープス

「オリオン座」のベテルギウスやリゲル、「おおいぬ座」のシリウスなど、明るく色鮮やかな冬の1等星が輝く宵のころ、南の空の低いところにも1等星が姿を見せています。「一目見ると寿命が延びる、縁起の良い星」という言い伝えがある、カノープスという名前の星です。七福神の一人「寿老人(福禄寿)」は、このカノープスの化身である「南極老人」が元になったとされています。

夜空に見える星としてはシリウスに次いで2番目に明るい星ですが、本州付近では高く昇らず地平線近くにしか見えないため、大気の影響で減光されたり、建物に遮られたり街明かりに紛れてしまったりすることもあり、見つけるのはなかなか大変です。関東より北の地域では地平線より高くならないので、残念ながら見ることができません。一方で鹿児島や沖縄などでは高度がやや高くなるおかげで、カノープスが少し見やすくなります。オーストラリアなどでは、ほぼ一晩中沈むことがなく、一年中いつでも観察できます。

東京、鹿児島、那覇でのカノープスの見え方(真南に見えるころ)。2月中旬ごろはこれより約40分早く、2月下旬ごろは約1時間20分早く、同じような星空となる。本来は黄白色の明るい星だが、低空にあると大気の影響で赤っぽく暗く見える

「おおいぬ座」や「冬の大三角」を目印にして探してみましょう。双眼鏡を使うと、大気の影響で暗くなっていても見つけやすくなります。健康と長寿を願いながら、ぜひカノープスを見つけてみてください。見えない地域の場合には、いつかカノープスが見える場所に星を見に行くこと、そんな安心安全な世の中になることを願いながら、カノープスを想像してみるのも良いのではないでしょうか。

今月の星座

ふたご座

5月下旬から6月中旬ごろに誕生日を迎える人の星座として名前が知られている「ふたご座」、見やすいのは冬の時期です。2月中旬の20時から21時ごろ、南の空の高いところ、「冬の大三角」の上のほうに見えます。

「ふたご座」
(星雲の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

「ふたご座」の目印は、2つ仲良く並んで輝く、まさに双子のような明るい星です。白っぽい色に見えるのが兄の名を冠したカストルで、実際には六重連星系(6個の星が複雑に巡りあっている世界)であることが知られています。また、毎年12月中旬に多くの流れ星を見せてくれる「ふたご座流星群」は、カストルのあたりを中心として流れ星が飛ぶように見えます。

もう一つの黄~オレンジ色に見える星は弟の名が付いたポルックスです。周りには惑星が見つかっています。カストルよりも少し明るいのですが、一見するとだいたい同じなので、「なるほど双子だ」と思わされるでしょう。日本には、色の違いに注目した「きんぼし・ぎんぼし」という呼び方もあります。

この2つの星を兄弟それぞれの頭として、「オリオン座」のほうに向かって胴体や足が伸びています。ポルックスの足先の星アルヘナも2等星でよく目立つので、大まかな星座の形がわかりやすいでしょう。腕の星などもたどって、仲良し双子の姿を見つけてみてください。

散開星団M35

兄カストルの足先に、美しい散開星団(星の集まり)のM35(M(メシエ)カタログの35番)があります。

比較的明るい天体なので見やすく、双眼鏡でもボンヤリとした像を見ることができます。空の条件の良いところで天体望遠鏡を使って観察すると、暗い星まで見えるので星の数が増え、すばらしい眺めを堪能できます。星団全体が見渡せるように、倍率は低め(30~50倍程度)が良いでしょう。機会があれば、ぜひ観察してみてください。

くらげ星雲

カストルの足の先にはM35のほかに、「くらげ星雲」という愛称で呼ばれる天体(カタログ番号:IC 443)もあります。重い星が一生の最期に大爆発を起こし、広がった物質が見える超新星残骸の一つです。

見かけのサイズは満月よりも大きいのですが、淡いため眼視で観察するのは難しいです。インターネットで画像を検索し、くらげのお皿や足の部分に広がる繊細なフィラメント状構造をじっくり眺めてみましょう。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は2月中旬の深夜1時ごろの星空です。3月中旬の深夜23時ごろ、4月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります)。

2022年2月中旬 深夜1時ごろの星空

「冬の大三角」が西の空に大きく傾きました。「ふたご座」は西の空で、肩を組んで立っているような姿に見えます(星図で、西を下にしたところをイメージしてみてください)。

沈みゆく冬の星座たちに代わり、南から南東の空には春の星座が見えています。寅年の今年、南の空の高いところには虎ではなく「しし座」が駆けています。南東の空に広がる「春の大三角」も見ものです。

北の空には「北斗七星」があります。高く昇った北斗七星は、春の訪れを感じさせる星の並びの一つです。実際にはまだしばらく寒い日々が続きますが、星空の世界で一足先に春を感じてみてはいかがでしょうか。寒さ対策、体調管理は万全に。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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