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2022年1月の星空

初日の出前の空に並ぶ細い月と火星や、4日明け方のしぶんぎ座流星群など、年明け早々に注目の天文現象が続きます。すてきな一年になることを願いながら、2022年の星空巡りを始めましょう。

星空写真

群馬県みなかみ町にて
厳冬期のマチガ沢出合から谷川岳山系に沈むオリオン座とおうし座を狙いました。天神平スキー場のゲレンデ整備の明かりにより谷川岳山系が月光に照らされたような雰囲気になり、神秘性が増幅されました。

2019年2月24日 21時35分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G(ISO12800、露出5秒×6枚を合成、f/2.5)
撮影者:高岡 誠一

1月の星空

南の空

南の空

2022年1月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(10日)、満月(18日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2022年1月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(18日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

天文カレンダー

1日(土) 未明~明け方、細い月と火星が大接近、細い月とアンタレスが接近(「今月の星さがし」で解説)
3日(月) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
4日(火) しぶんぎ座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
夕方、細い月と水星が接近(「今月の星さがし」で解説)
6日(木) 夕方~宵、細い月と木星が並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
10日(月) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
13日(木) このころ、夕方に水星と土星が接近
14日(金) 未明、月とアルデバランが並ぶ
17日(月) 夕方~翌18日明け方、月とポルックスが接近
18日(火) 満月。次の満月は2月17日です
20日(木) 宵~翌21日明け方、月とレグルスが接近
25日(火) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
未明~明け方、月とスピカが接近
28日(金) 未明~明け方、細い月とアンタレスが接近
30日(日) 明け方、細い月と火星が並ぶ

1月の惑星

水星

16日ごろまで、夕方の西南西の低空に見えます。

日の入り30分後(東京で夕方18時30分ごろ)の高度は10度ほどで、太陽から大きく離れることがない水星としては条件が良いほうです。7日に太陽から最も離れる「最大離角」という状態になり、この前後数日間はとくに見ごろです。

見ごろとはいえ10度というのは低く、空も暗くなり切っていないので、見つけるのは簡単ではありません。スマートフォンのアプリなどで位置を確かめて、見晴らしが良いところで探してみましょう。肉眼でも見える明るさですが、双眼鏡を使うとわかりやすくなります。

4日に月齢2の細い月と接近します。また、13日ごろには土星と並んで見えます。

金星

20日ごろから「明けの明星」として、明け方の東南東の低空に見えます。

日の出30分前(東京で6時20分ごろ)の高度は約10度と低く、建物などに隠されて見えないかもしれませんが、見晴らしさえ良ければとても明るく目立ちます。早起きした日には探してみてください。

火星

「へびつかい座」から「いて座」へと移動します。未明から明け方の南東の空に見え、明るさは約1.4等級です。

日の出1時間前(東京で5時50分ごろ)の高度は約10度と低く、あまり目立ちませんが、火星の右上に輝く「さそり座」の1等星アンタレスと共に赤い星が2つ並ぶ光景は印象的です。また、1日の朝、初日の出の前に、月齢28の細い月と接近している様子も見ものです。今年最初の天文現象として、ぜひ眺めてみたいですね。細い月と火星の共演は30日の明け方にも見られます。

低いため、天体望遠鏡での観察には向いていません。

木星

「みずがめ座」にあります。19時ごろに南西の空の低いところに見え、21時ごろに沈みます。明るさは約マイナス2.1等級です。

金星に代わって宵空の一番星として輝いています。6日には細い月と並び、美しい夕景が見られそうです。

低いので天体望遠鏡での観察にはあまり向いていません。観察する場合は、空が暗くなったら早めに見ておきましょう。

土星

「やぎ座」にあります。日の入り30分後(東京で夕方18時30分ごろ)に西南西の低空に見え、その約1時間後には沈みます。明るさは約0.7等級です。

低いので天体望遠鏡での観察には向いていません。13日ごろに水星と並ぶ様子を、肉眼や双眼鏡で眺めてみてください。低いだけでなく、やや暗いこともあり見つけにくいので、スマートフォンのアプリなどで位置を確かめて、見晴らしが良いところで探してみましょう。

今月の星さがし

初日の出前の東の空に細い月と火星が並び、一年の始まりを祝います。4日未明にはしぶんぎ座流星群が極大、好条件で楽しめそうです。

1日明け方、細い月と火星が大接近/4日夕方は細い月と水星

一年の始まりを告げる「初日の出」は、いわば一年の最初の天文現象のようなものです。とはいえ実際にはもちろん、日付が1月1日に変わってから日の出まで約7時間ほど時間がありますから、その時間帯に何か天文現象があれば、初日の出よりも早い最初のイベントということになります。

今年の場合、初日の出の約1時間前(東京、大阪ともに6時ごろ)に見える細い月と火星の大接近が、最初の天文現象です。南東の空の低いところで起こるので、見晴らしの良いところで眺めましょう。肉眼でもよく見えるので、初詣に双眼鏡を持っていく必要はありません。月と火星の右には「さそり座」の1等星アンタレスも見えます。火星とアンタレスという2つの赤い星が並ぶ光景は、新年のおめでたい感じにふさわしいですね。ちなみに初日の出は、月とアンタレスよりもう少し左寄り(東南東に近いところ)から昇ってきます。

1月1日5時50分(東京における、初日の出の約1時間前)の、南東の空の様子。囲み内は拡大イメージ(視野6度)

この細い月は2日後(3日)に新月を迎え、翌4日には夕空に回ってきて水星と並びます。かなり低いので、やはり見晴らしの良いところで観察しましょう。図は日の入りから1時間後の様子で、もう少し早い時間のほうが高いのですが、空が明るい分だけ見づらいという側面もあります。日の入り30分後くらいから探し始めてみてください。やや離れたところには土星もあります。

1月4日17時40分(東京における、日の入り約1時間後)の、西南西の空の様子。囲み内は拡大イメージ(視野6度)

さらに2日後の6日には少し太くなり見つけやすくなった月と、この時期の一番星として見える木星とが並びます。それぞれを天体望遠鏡で拡大観察するのも面白いですね。

1月6日17時40分(東京における、日の入り約1時間後)の、南西の空の様子。囲み内は拡大イメージ(視野6度)、小さい円は月と木星をさらに拡大したイメージ(正立像。月と木星の拡大率は異なる)

年始の様々な共演を、ぜひ見たり撮ったりしてお楽しみください。

4日明け方、しぶんぎ座流星群

初日の出や月と惑星の接近は別として、流星群や月食といった「天文現象としてイメージしやすい」もののなかで最初に起こるのが、1月4日に見られる「しぶんぎ座流星群」です。毎年この日付ごろに見られることから、年初め定番の天文現象としても知られています。

「しぶんぎ座流星群」は8月の「ペルセウス座流星群」、12月の「ふたご座流星群」と並んで年間三大流星群とされていますが、他の2つに比べると少しマイナーな印象があります。「しぶんぎ座」という星座が現存しないこと、年初めで他の色々な話題に埋もれてしまうことなどが理由かもしれません。また、活動期間が短く、ピークの前後数時間に出現が集中するので、昼の時間帯にピークになってしまうとほとんど見えないため、お勧めしづらいという年もあります。

その点、今年は4日の明け方が活動の極大と予想されており好条件です。月明かりの影響が全くないので、さらに条件が良くなります。空が暗く視界が開けた場所なら数十個は見え、郊外でも10~20個ほどは見られるでしょう。

1月4日5時ごろの空の様子(場所の設定は東京)。流れ星は放射点(「北斗七星」の付近)を中心とした空全体に飛ぶように見える

放射点(流れ星が飛ぶ中心となる点)は北東にありますが、流れ星は北東だけでなく空全体に飛びます。狭い範囲を見つめるのではなく、空を広く見渡すようにすると、流れ星が見られる確率が高くなります。街明かりがあるような場所では、そこから離れた方向を中心に空を見上げましょう。

言うまでもなくこの時期の明け方は非常に寒いので、手袋やマフラー、靴下の重ね履き、携帯カイロなどの準備を万全に整えて、無理をせずに楽しみましょう。流れ星を見つけて、良い一年のスタートを切れますように。

今月の星座

おうし座

4月下旬から5月中旬ごろに誕生日を迎える人の星座として名前が知られている「おうし座」、見やすいのは冬の時期です。1月中旬の20時から21時ごろ、南の空の高いところに見えます。

「おうし座」
(星雲の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

「おうし座」の目印は赤っぽく輝く1等星アルデバランで、星座の絵で牛の目にあたる位置にある星です。アルデバランの周辺に広がるV字型の星の配列が牛の顔、そこから東(図では左)に2本の角が伸びています。足や体の後ろ半分はあまり目立たないので、爛々と輝く立派な目や長い角に注目してみましょう。

ギリシャ神話では、大神ゼウスが変身した姿、あるいはゼウスが女性を変身させた姿とするストーリーがあり、いずれの場合でも白い牛とされています。赤い瞳の白い牛を想像しながら眺めてみてください。

ヒヤデス星団

牛の顔の位置に集まっている星々は、偶然同じ方向に見えているのではなく、実際の宇宙空間でもまとまって存在しています。こうした星の集まりを「星団」と呼び、この付近の集まりには「ヒヤデス星団」という名前がつけられています(カタログ番号ではMel 25などと呼ばれます)。ただし、アルデバラン(距離約67光年)は星団の星々(距離約150光年)よりずっと手前にあり、星団には含まれません。

プレアデス星団、すばる

牛の肩の位置にも星団があります。清少納言が『枕草子』で「星はすばる……」と記した「すばる」は、夏の「織り姫星、彦星」などと並び日本で最もよく知られた天体の名前でしょう。ハワイにある「すばる望遠鏡」や楽曲のタイトル、文学作品の登場人物、自動車のメーカー名などにも「すばる」という名前が使われています。

日本ではこのほかに「羽子板星」や「六連星(むつらぼし)」「むりかぶし」などの呼び名もあります。西洋名は「プレアデス」といいますが、これはギリシャ神話に登場する7人姉妹の名前です。英語では「セブン・シスターズ」とも呼ばれます。M45というカタログ番号も有名です。

空の条件が良ければ肉眼でも6個ほどの星が見えます。双眼鏡ではさらに星の数が増え、青白い星々の美しい眺めを堪能できます。

かに星雲

すばるの星々は誕生から数千万年ほど経った「若い」天体です(太陽の約45億歳と比べてみましょう)。一方、牛の角先に位置する「かに星雲」は、重い星が大爆発を起こして「一生を終えた」後の残骸です。この爆発は西暦1054年に観察され、しばらくの間は昼でも見えるほど明るかったという記録が残っています。

空の暗いところでは、天体望遠鏡で淡い光のシミのように見えます。機会があれば観察してみましょう。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は1月中旬の深夜1時ごろの星空です。2月中旬の深夜23時ごろ、3月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります)。

2022年1月中旬 深夜1時ごろの星空

「おうし座」をはじめとした冬の星座が西の空に移り、東の空には「しし座」や「おとめ座」「うしかい座」など春の星座が登場しています。「うしかい座」のアルクトゥールス、「おとめ座」のスピカ、「しし座」のデネボラを結んでできる「春の大三角」と、南西の空に見えている「冬の大三角」、どちらも正三角に近い形です。大きさや星の明るさ、色の違いを見比べてみましょう。

北東の空では「北斗七星」が高く昇っています。冬の間は地平線の近くにあって目にする機会が少ない北斗七星ですが、深夜には見やすくなります。夜中に空を見上げることがあれば、忘れずに探してみましょう。

澄んだ空気の中で輝く星々は、寒さも時間が経つのも忘れるほど美しいものですが、新年早々に体調を崩さないよう、じゅうぶんお気をつけて観察をお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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