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2021年10月の星空

天馬ペガススが頭の上を元気に駆けています。透明感のある秋の夜空を大きく見渡してみましょう。木星と土星は南西の空へと移ってきましたが、宵の時間に見やすい高さにあり、引き続き観察の好期です。

星空写真

毛無峠にて
雲海に沈むはくちょう座です。ランドマーク的存在の北アメリカ星雲がアクセントになり、はくちょう座付近の天の川の神秘性が増幅しました。

2018年10月8日 2時37分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G(ISO 12800、露出5秒×6枚を合成、f/2.8)
撮影者:高岡 誠一

10月の星空

南の空

南の空

2021年10月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(13日)、満月(20日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2021年10月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(金) 未明~明け方、月とポルックスが接近
6日(水) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
9日(土) 夕方~宵、細い月と金星が並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
10日(日) 夕方~宵、細い月とアンタレスが接近、細い月と金星が並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
13日(水) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
14日(木) 夕方~深夜、月と土星が接近(「今月の星さがし」で解説)
15日(金) 夕方~翌16日未明、月と木星が接近(「今月の星さがし」で解説)
16日(土) このころ、夕方~宵に金星とアンタレスが大接近
20日(水) 満月。次の満月は11月19日(部分月食)です
25日(月) 水星が西方最大離角(明け方の東の低空に見えます)
27日(水) 深夜~翌28日明け方、月とポルックスが並ぶ
29日(金) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
30日(土) 金星が東方最大離角(夕方から宵に南西の低空で目立っています。「今月の星さがし」で解説)
31日(日) 未明~明け方、月とレグルスが接近

10月の惑星

水星

下旬ごろから、明け方の東の低空に見えます。

日の出30分前(東京で明け方5時30分ごろ)の高度は10度前後で、太陽から大きく離れることのないために見つけづらい水星としては好条件です。とはいえ10度というのはとても低く、建物などに隠れてしまいがちです。見晴らしが良く空が開けたところで、スマートフォンのアプリなどで位置をよく確かめてから探してみましょう。肉眼でも見える明るさですが、夜明け空の中で見つけるのは少し難しいかもしれません。双眼鏡を使うとわかりやすいでしょう。

金星

「宵の明星」として、夕方から宵に南西の空に見えます。

日の入り30分後(東京で夕方17時40分ごろ)の高度は約15度で、先月よりわずかに上がったとはいえ依然として低めです。しかし、とても明るいので、建物などに隠されていなければ簡単に見つかります。さらに30分後(つまり日の入り1時間後、東京で18時10分ごろ)には約11度まで低くなりますが、空が暗くなるので金星の輝きがさらに強く感じられるでしょう。澄んだ空気の中でのキラキラ感も見逃せません。

9日と10日に細い月と並んで見えます。また、16日ごろには「さそり座」のアンタレスと大接近して見えます。単独でも美しい金星が他の天体と織りなす共演をお楽しみください。

火星

太陽と同じ方向にあるため、見えません。次は12月ごろから、明け方の東の低空に見えるようになります。

木星

「やぎ座」にあります。18時ごろに南南東、20時ごろに南の空に見え、1時ごろに沈みます。明るさは約マイナス2.6等級で、宵空では(月を除けば)一番明るいのでよく目立ちます。

宵の時間帯に見やすい高さにあり、引き続き観察の好期です。木星の右に見える土星と、明るさや色を見比べてみましょう。13~16日には2惑星に月が近づき、3天体が並ぶ光景が見られます。「今月の星さがし」を参考にしてください。

双眼鏡や天体望遠鏡を使うと、木星を公転する4つのガリレオ衛星や木星表面の縞模様が見えます。肉眼、双眼鏡、望遠鏡で、様々な見え方を楽しんでみてはいかがでしょうか。

土星

「やぎ座」にあります。19時ごろに南、21時ごろ南西のやや低空に見え、日付が変わるころに沈みます。明るさは約0.5等級で、土星の左のほうに見える木星よりは暗いものの、肉眼で簡単に見つけられます。

木星と同様、宵の時間帯に見やすい高さにあるので観察の好期です。天体望遠鏡で環を観察してみましょう。肉眼や双眼鏡では、13~16日に月と木星・土星が並ぶ光景をお楽しみください。

今月の星さがし

宵の明星の金星が30日に東方最大離角を迎えます。地球や太陽との位置関係を想像しながら眺めてみましょう。13~16日には、宵空に輝く木星と土星に月が並びます。

宵の明星・金星

宵の明星の金星が、夕方の南西の空で明るく見えています。あまり高くはありませんが、空が暗くなってくる日の入り1時間後(東京で18時過ぎ、大阪で18時30分ごろ)くらいに眺めると、光がこぼれそうなほどの輝きを感じられるでしょう。空がさらに暗くなると「さそり座」のアンタレスも近くに見えます。また、9日と10日には金星と細い月が並び、美しい光景となります。豪華な共演を観察したり撮ったりして楽しみましょう。

10月9日と10日の19時の、南西の空の様子(場所の設定は東京)。囲み内は月と金星を拡大したイメージ(正立像。月と金星の拡大率は異なる)

この金星が30日に「東方最大離角」という状態になります。西の空に見えているのに東方、というのは不思議な感じがしますが、これは「太陽に対して東」ということを表しています。西の地平線に沈んだ太陽を基準にすると、宵の明星は東に位置しているわけです。

離角というのは天体の見かけの間隔を表す言葉です。この離角が最大というのは、見かけ上で金星が太陽から一番離れた状態である、という意味です。太陽から離れるということは、一般的には地平線からも遠くなり、太陽の明るさの影響が小さくなるので、最大離角のころはとくに金星が見ごろになります。ちなみに25日には水星が西方最大離角となりますが、同じ理由により、このころは明け方の東の空で(他の時期よりは)水星が見つけやすくなっています。

9月15日から12月30日までおよそ半月ごとの、日の入り30分後の金星の位置(場所の設定は東京)。黄色い線は地平線下の太陽と金星とを結んでおり、これが長いほど離角が大きい。金星は実際よりも大きく描いてあり、天体望遠鏡(正立像)で拡大するとこのような形に見える。右上の囲み内は同日の地球・金星・太陽の位置関係。2本の黄色い線が作る角度が太陽と金星の離角で、10月30日の最大離角時には約48度離れている

さて、最大離角のときには金星は必ず太陽から大きく離れていますが、地平線からの高さは様々で、今回のように「それほど高くない」ということも起こります。これは地球の傾きが大きな理由で、秋の夕方は地平線に対して垂直ではなく斜め方向に、金星が太陽から離れてしまうためです。同じ時期に南半球で観察すれば金星はもっと高く見えますし、2023年6月の東方最大離角では日本でももっと高く見えます。今回は「最大離角ではあるが低い」という状況を味わってみましょう。

この最大離角のころに金星を天体望遠鏡で拡大して観察すると、半月状に見えます。地球から見ると金星のちょうど半分が照らされているような位置関係にあるからです。機会があれば形を確かめてみてください。今後は地球から金星までの距離が近づいていくので金星の見かけサイズが大きくなり、一方で太陽に照らされて見える部分の割合が減っていくので形はどんどん細くなっていきます。2つの図を見比べてイメージしてみましょう。

13~16日 月・木星・土星が並ぶ

宵の南の空に、木星と土星が並んで見えています。向かって左の明るいほうが木星、右が土星です。最も明るく大きく見えていた8月ごろよりはやや控えめになりましたが、観察の好期が続いています。20時前後の見やすい時間帯に一番高くなるのも好都合です。ぜひ、天体望遠鏡で土星の環や木星の縞模様、衛星を観察してみましょう。科学館や公開天文台などで開催される天体観察会でも見られますが、状況により人数制限等があるかもしれませんので、情報をチェックのうえ、参加される場合には安全に留意してお楽しみください。インターネット中継などもあるかもしれません。

10月13日から16日の19時の、南の空の様子(場所の設定は東京)。囲み内は拡大イメージ(視野6度)、小さい円は月と惑星をさらに拡大したイメージ(正立像。月と惑星の拡大率は異なる)

望遠鏡を使わない、肉眼や双眼鏡での観察にも面白さがあります。とくに13日から16日にかけて、月が両惑星と並ぶ光景は楽しみです。月と土星は14日に、月と木星は15日に接近して見えますが、前後の日に3天体が同じような間隔で並んでいる光景も見ものです。日を追うごとに月が満ちていく様子にも注目してみましょう。

今月の星座

ペガスス座

10月中旬の夜21時ごろ、頭の真上あたりに、台形に並んだ4つの星が見つかります。「秋の四辺形」や「ペガススの四辺形」と呼ばれるこの台形は、翼を持った天馬ペガススの胴体にあたり、そこから西(図では右)に伸びる長い首と合わせると「ペガスス座」が描けます。

「ペガスス座」
(星団と銀河の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

四辺形には2等星が3つあるので(アルゲニブだけ3等星)、多少の街明かりがあっても見つけられるでしょう。さらに、ペガススの鼻先にある星エニフも2等星で、比較的目立ちます。四辺形の3つとエニフで、「ペガスス座」には4つの2等星があるように思えますが、実は四辺形の北東角(図では左上)の2等星アルフェラッツは「アンドロメダ座」に含まれる星です。ややこしいですね。

明るい星が多くない秋の夜空では、高く昇った四辺形はよく目立ちます。日本では「枡形星(ますがたぼし)」とも呼ばれる大きな四辺形を、頭の真上に仰いでみましょう。

球状星団M15

ペガススの鼻先には、数十万個の星がボール状に集まっている球状星団のM15があります(Mはカタログの符号)。双眼鏡でも少しにじんだ感じに見え普通の恒星とは違うことがわかりますが、機会があればぜひ天体望遠鏡で観察してみましょう。周辺部の星が分かれて見えたり、丸くボンヤリとしたかたまりが星の大集団であることがわかったりして、さらに美しさを味わえるはずです。

ステファンの五つ子銀河

ペガススの足のあたりにある5つの銀河が集まった銀河群には、発見者の名前を取って「ステファンの五つ子銀河」という愛称が付けられています。銀河群とは銀河(数百億から数千億個の星とガスや塵の集合)が数個から数十個集まっている天体のことです。詳しい研究により、実際には1つは距離が違うことがわかっています。

銀河群のように銀河同士が接近していると、互いに影響を及ぼし合って形が変わったり星形成活動が活発になったりします。アマチュアの機材で観察するのは難しいので、インターネットで画像を検索するなどしてお楽しみください。

ペガスス座51番星ヘルベティオス

秋の四辺形の、西の辺の中ほどにある5等星の「ペガスス座51番星『ヘルベティオス』」(図中、水色の矢印の先)は、一見とくに変わったことのない星に思えます。双眼鏡や天体望遠鏡で観察しても、ただの光点にしか見えません。

実はこの星は、太陽系以外の惑星が見つかった最初の星(太陽のような普通の星)です。1995年にヘルベティオスに惑星が発見されて以来、現在では5000個弱の太陽系外惑星が見つかっています。2019年のノーベル物理学賞はこの系外惑星の発見(など)が対象でした。こうした惑星に生命や文明が存在するかどうかはまだわかっていませんが、今後の観測、研究で解明されることに期待しながら夜空を眺めてみましょう。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は10月中旬の深夜1時ごろの星空です。11月中旬の深夜23時ごろ、12月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。

2021年10月中旬 深夜1時ごろの星空

「ペガスス座」は天頂から西の空に移り、地平線へと駆け下りています。土星と木星が沈んでしまった深夜には、西から南の空には明るい星が少なく、もの寂しい印象を受けます。

一方、東の空には冬の鮮やかな星々が勢ぞろいし、とても豪華な眺めになります。星座の形をたどったり、星の色の違いを確かめたりしてみましょう。頭の真上あたり(星図でアルデバランの「バ」の字あたり)にはプレアデス星団(すばる)があります。肉眼でも数個の星が集まって見え、双眼鏡を使うと時が経つのを忘れるほど美しい眺めを堪能できます。また、北の空に高く上った「カシオペヤ座」も見やすくなっています。

空気の冷たさや東の空の星々に、一足早く冬を感じられそうです。深夜の星空散歩は暖かくしてお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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