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2021年6月の星空

夜が短く曇りや雨が多い時季ですが、だからこそ星空が見えると、いっそう喜びが大きくなります。少ないチャンスを逃さないように、どんな惑星や星座が、いつどこに見えるのか、しっかり確認しておきましょう。

星空写真

渋峠にて
梅雨の貴重な晴れ間に渋峠から撮影した天の川銀河の中心部です。この方向には巨大ブラックホール「いて座A*」が存在しています。いて座A*や天の川銀河についていろいろと想像するのが、天文愛好家の醍醐味のように思います。

2018年6月13日 23時34分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED(ISO 12800、露出5秒×6枚を合成、f/2.5)
撮影者:高岡 誠一

6月の星空

南の空

南の空

2021年6月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(18日)、満月(25日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2021年6月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

2日(水) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
未明~明け方、月と木星が並ぶ
10日(木) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
カナダ~グリーンランド~ロシアで金環日食(日本時間では夜19~20時ごろ)
12日(土) 夕方~宵、細い月と金星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
13日(日) 夕方~宵、細い月と火星が並ぶ
夕方~宵、細い月とポルックスが接近
14日(月) 夕方~宵、細い月と火星が並ぶ
16日(水) 夕方~深夜、月とレグルスが並ぶ
18日(金) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
21日(月) 夏至(北半球では、一年のうちで一番夜が短い日)
このころ、夕方~宵に金星とポルックスが並ぶ
23日(水) 夕方~翌24日未明、月とアンタレスが並ぶ
このころ、夕方~宵に火星とプレセペ星団が大接近(「今月の星さがし」で解説)
25日(金) 満月。次の満月は7月24日です
27日(日) 深夜~翌28日明け方、月と土星が並ぶ
28日(月) 深夜~翌29日明け方、月と木星が並ぶ

6月の惑星

水星

月末までは太陽に近く、見えません。

27日ごろから明け方の東北東の低空に見えるようになりますが、日の出30分前(東京で朝4時ごろ)の高度は約6度と低く、目印になるような明るい天体がないので、見つけるのは難しそうです。

金星

「宵の明星」として、夕方の西北西の空に見えます。

日の入り30分後(東京で夕方19時30分ごろ)の高度は約10度と低いのですが、とても明るく輝いているので、建物などに遮られていなければ肉眼でも容易に見つかります。さらに30分後には約5度まで高度が下がりますが、空が暗くなっているので見つけやすいかもしれません。いずれにせよ、西北西の方向が開けた見晴らしの良い場所で観察しましょう。

12日に月齢2の細い月と大接近して見えます。

火星

「ふたご座」から「かに座」へと移っていきます。日の入り1時間後(東京で夜20時ごろ)に西の空の低いところに見え、21時30分ごろに沈みます。空が暗くなったら早めに眺めておきましょう。地球から遠ざかったため明るさは約1.8等級まで暗くなっていて、あまり目立ちません

13日と14日の夕方から宵に月齢3~4の細い月と並んで見えます。また、下旬ごろに「かに座」のプレセペ星団と大接近します。「今月の星さがし」を参考にして、双眼鏡で観察してみましょう。

木星

「みずがめ座」にあります。深夜23時ごろに昇ってきて、未明2時ごろに南東の空のやや低いところに見えます。明るさは約マイナス2.5等級です。

日付が変わる前に昇るようになり、目にする機会が少しずつ増えてきそうです。明るいので、肉眼でもすぐに見つかるでしょう。木星の右のほうには土星も見えます。

天体望遠鏡を使うと、縞模様や4つのガリレオ衛星が見えます。明け方近くまでは低いので条件があまり良くありませんが、まずは一目見ておいて、夏から秋の観察シーズンに期待を膨らませましょう。

2日の未明から明け方に月齢21の下弦の半月と並びます。また、28日の深夜から29日の明け方にも、月齢18の月と並びます。

土星

「やぎ座」にあります。深夜22時ごろに昇ってきて、未明3時ごろに南の空に見えます。明るさは約0.5等級です。

土星の左のほうに見える木星よりは暗いものの、「夏の大三角」を構成する星々と同じ程度の明るさなので、肉眼でも楽に見つけられます。見やすい高さになるのは明け方の時間帯ですが、天体望遠鏡で環を観察するのも面白いでしょう。

27日の深夜から28日の明け方、月齢17の月と並びます。

今月の星さがし

夕方の西の低空に金星が輝いています。12日に起こる細い月との大接近は見逃せません。その金星よりやや高いところには火星も見えます。暗くなりましたが、下旬ごろに星団の中を通り過ぎていく様子が双眼鏡で楽しめます。

12日夕方 細い月と金星が大接近

先月から夕方の西の空に、宵の明星の金星が見えるようになってきました。今季の金星は秋ごろまでは高度が上がらないため少し見づらいのですが、明星の輝きは圧倒的なので、見晴らしさえ良ければ肉眼ですぐにわかります。高さと空の暗さとのバランスを考えると、日の入りから30~45分後くらいが一番見やすいタイミングとなりそうですが、早ければ日の入りのころ(東京で19時ごろ)にも見えますし、反対に遅ければ金星が沈む直前(東京で20時30分ごろ)でも見えます。どのくらい早くから見えるか、どのくらい遅くまで見えるか、確かめてみましょう。

12日には金星のすぐ上に月齢2の細い月が並んで大接近します。両天体の間隔は月2~3個分と非常に近く、たいへん見ごたえのある共演です。肉眼で眺める、双眼鏡で拡大して観察する、周りの風景と一緒に写真に収めるなど、いろいろな方法で楽しみましょう。ちなみに、10日の20時ごろに新月の瞬間(朔)となり、このときの月齢が0なので、12日の夕方の月齢は2ですが、新月となる10日が旧暦の「(五月)一日」なので、12日夕方の月は「三日月」となります。月齢の数字と「○日月」の数字が異なりますが、間違いではありません。

6月12日 19時30分の西北西の空の様子(場所の設定は東京)。囲み内は拡大イメージ(視野3度)、小さい円は月と金星をさらに拡大したイメージ(正立像。月と金星の拡大率は異なる)

さて、月も金星も太陽の光を反射して輝いているので、それぞれを天体望遠鏡で拡大して見ると太陽に照らされているほう(上の図では右下側)が光って見え、反対側(左上側)が暗くなります(月の暗い部分は、地球で反射した太陽光に照らされる「地球照」により、うっすらと見えます)。しかし両天体の見かけの形には違いがあり、月は爪のように細く見えるのに対して、金星は半円よりも膨らんで見えます。これはなぜでしょうか。

6月12日の地球と月、金星、太陽の位置関係。天体同士の大きさの比や、大きさに対する距離の比は実際とは異なる

その原因は各天体の位置関係の違いによるものです。12日の月は、太陽に照らされている部分のほとんどが地球から見て向こう側にあるので、光って見えるのは一部だけの細い形になります。一方の金星は、太陽に照らされている部分の大部分が地球から見えるので、丸っぽく見えるのです。上の図でもし金星が地球と太陽の間に近いところにあれば(今年の秋~冬にそのような位置関係になります)、金星も細く見えます。金星の形は望遠鏡がないと認識しづらいのですが、このような違いがあることも少し意識しながら共演を眺めてみてください。

火星がプレセペ星団を通過

昨年10月に地球と最接近し明るく輝いていた火星が、まだ見えています。当時と比べると5倍以上も地球から遠ざかってしまったため暗くなりましたが、暗いといっても約2等級なので街中でもよく見えます。ただし今月は、日の入りのころにはもう西の空に低くなっていて、薄暮の状態で見ることになるためにあまり目立ちません。金星よりは高いところにあるので、金星から位置の見当をつけて探してみましょう。

6月17日から29日まで2日ごとの、夜20時の西北西の空の様子(場所の設定は東京)。囲み内は拡大イメージ(視野6度)、囲み内の小円はプレセペ星団の位置を表す

下旬になると火星は「かに座」の領域を移動していきます。そして23日と24日ごろ、「かに座」の中央付近に広がる星の集団「プレセペ星団」の星々と重なるように見えます。プレセペ星団は空が暗ければ肉眼でも見えるほど目立つ天体ですが、さすがに夕空のなかでは見づらくなります。双眼鏡で観察してみましょう。見える星の数は少なくても、相対的に明るい火星との対比が面白く眺められそうです。最接近する23日ごろは低倍率の天体望遠鏡でも観察してみたい光景です。

図を見ると想像がつくように、来月には金星と火星が接近して見えるようになり、その共演が、今シーズンの火星の最後の見どころとなります。日に日に近づいていく2惑星の動きも楽しみながら、火星とプレセペ星団にも、ぜひ注目してみてください。

今月の星座

うしかい座、かんむり座

夜21時ごろ、南の空の高いところにオレンジ色の明るい星が輝いています。全天でも屈指の明るさを誇る0等級の星、「うしかい座」のアルクトゥールスです(アークトゥルスなどとも表記されます)。「熊の番人」という意味の言葉に由来するこの名前は、隣の「おおぐま座」を見張っているような位置にあることから付けられたものでしょう。日本では麦の穂が実るころに天高く見えることから、「麦星」という名前でも呼ばれていました。

「うしかい座」「かんむり座」

「うしかい座」の星は、アルクトゥールスを頂点の一つとして、ネクタイのような細長い形に並んでいます。明るいアルクトゥールスを目印に星をたどってみましょう。アルクトゥールスとその南にある「おとめ座」のスピカ、西にある「しし座」のデネボラを結ぶと、「春の大三角」になります。ページ上部「6月の星空」の半円星図で確かめてみてください。また、北西に見える「北斗七星」の柄の星をつないで伸ばしていくと、アルクトゥールス、スピカへと続く大きなカーブ「春の大曲線」が描けます。北から南へと夜空を大きく横切るカーブをつないでみましょう。

「うしかい座」の東には、半円状に星が並んだ「かんむり座」があります。暗い星が多いのですが、2等星のアルフェッカは街中でも見つけられるはずです。アルフェッカは「欠けたもの」という意味の言葉に由来し、星の並びが完全な円ではないことからの命名と考えられます。別名はゲンマといい、これは「宝石」という意味です。冠にふさわしい名前ですね。

二重星イザール

「うしかい座」で2番目に明るい星のイザールは、黄色っぽい星と青っぽい星が並んだ美しい二重星です。別名のプルケリマは「最も美しいもの」という意味の言葉に由来します。

イザールは2等星なので見つけるのは難しくありませんが、分離して2つの星として見るためには性能の良い天体望遠鏡が必要です。口径10cm程度以上の天体望遠鏡で、やや倍率を高めにして観察してみましょう。

カムイ

「かんむり座」の領域にある星に、2019年にカムイという名前が付けられました。この年に実施された「恒星と、その周りを巡る惑星に名前を付ける」というキャンペーンで世界中から様々な提案があり、そのうち日本の案として採用されたものです。アイヌ語で「神」を意味する語に由来しています。ちなみに惑星のほうはチュラという名前で、こちらの由来は沖縄・琉球語で「自然の美しさ」を意味する語です。

カムイは7等級なので双眼鏡があれば見えますが、「この星」とピンポイントで特定するには星図と見比べて根気よく探す必要があります。半円の星の並びなどを参考にして探してみましょう(惑星のチュラは暗すぎるので見えません)。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は6月中旬の深夜1時ごろの星空です。7月中旬の深夜23時ごろ、8月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。

2021年6月中旬 深夜1時ごろの星空

頭の真上に輝くのは「こと座」の1等星ベガ、七夕の織姫星として有名な星です。パートナーの彦星は、ベガの南にある「わし座」の1等星アルタイルです。さらに、ベガの東にある「はくちょう座」の1等星デネブも見つけられれば、「夏の大三角」のできあがりです。空が暗いところでは、夏の大三角から南の地平線に向かって天の川も見えるかもしれません。南の地平線のあたりには「さそり座」や「いて座」が広がっています。

南東の空は木星と土星が並んで明るく輝いています。先月までよりも早い時間帯に昇ってくるので、目にする機会も増えてくるでしょう。

一年のうちで最も夜が短く、そのうえ雨が多いこの時期は、夜空を眺める機会が少なくなってしまうかもしれません。貴重なチャンスを逃さずに、安全に気を付けて星空観察をお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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