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日向 真一郎 × D7200

花畑のある風景を撮る

朝からよく晴れ、暖かな日差しを感じられるようになったある日、真一郎は花がたくさん咲いているという公園にやってきました。訪れた時期にはちょうどチューリップや菜の花、ポピーなどが開花しており、真一郎は美しさを競うように咲く一面の花たちを写真に収めようとはりきっている様子。
今回は周囲の風景を活かしながら花をメインに写す、花畑のある風景写真の撮り方をご紹介します。みなさんもカメラを持って花の名所に撮影に出かけてみませんか?

撮影監修:斎藤 勝則

Step1 最初に撮るのは広々とした花畑の風景

花畑の風景を撮るときにまず気をつけたいのは、人の写り込みです。花や自然が主役の絶景であれば、それ以外の要素はできるだけ省くようにして撮影できるとより美しい写真にすることができます。
当たり前のことですが、花が一番美しく咲き揃う時期には一番多くの観光客が訪れます。より良い写真を撮るためには、撮影スポットには開園と同時に入場できるよう向かうのがおすすめです。また、撮影ポイントに着くとつい、目の前の一輪の花に目を奪われ寄って撮影してしまうことが多いのですが、人が多くなる前にまず引きで、広々とした花畑の風景写真を撮っておくようにすると良いでしょう。

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訪れてまず撮ったのは、花と周囲の風景を入れた引きのカット。人物をなるべく入れたくないという方は特に、最初に撮っておくのがおすすめです。

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広角で青々とした空を思い切って入れてフレーミング、菜の花畑の広がりを清々しいイメージで表現しました。

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こちらは逆に空を入れず、画面いっぱいに花畑を入れて撮影。曇り空の日だとしても、圧巻の花畑はそれだけで画になります。

持ってきた機材

広角から超望遠の画角をこれ1本でカバーする18-300mmの高倍率ズームレンズ。広々とした花畑の風景もボケを使った幻想的な花の写真も表現でき、人の多い観光地でも身軽に撮影を楽しめます。

Step2 花畑を撮るコツと背景の選び方

花畑の広がりや周囲の様子までも伝わるような花畑の風景写真を撮るには、広角や標準レンズで、なるべく絞り込んで撮影するのが基本となります。また、撮影する際には花が密集している場所を探し構図の手前側にくるようにフレーミングするのがコツです。さらに花に近い高さ、低い目線からのアングルで狙うとより密度のある花畑を撮影することができます。
背景は、なるべくすっきりとした背景を選ぶとより花畑が際立ちます。人や人工的な建物などは、意図的に入れて撮る以外はあまり目立つ場所に入らないよう気をつけましょう。人が多い、うまく背景を選べないという場所であれば、少し望遠側に寄ってフレーミングしたり、絞りを開きぎみにして背景をボカして撮影したりしながら、花畑をより際立たせる背景を探してみてください。

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足元で小さな花を咲かせるネモフィラ。立った状態でただ下を向いて撮ると植え込みの間の土が見えてしまい、また花も小さく“花畑感”が伝わらない写真に。

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花が密集している場所を選び、花に近い位置からの低いアングルで撮影。奥まで花畑が続いていく様子が表現できました。

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絞りはf/8、奥の芝生を入れ広々とした空間を演出しながらポピー畑を撮影。背景のアクセントになるよう大きな木を入れてフレーミングしています。

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望遠側でポピー畑の一部を切り取り撮影するのもおすすめ。周囲の風景はわからないものの、望遠レンズの圧縮効果(遠くにある被写体と手前にある被写体の距離が縮まって見える効果)で花の密集度が上がりました。

主題を決めて撮ろう

花畑が広がる風景はそれだけで圧巻ですが、ただ漠然と花畑を写すだけではどれも似たような写真になってしまいがちです。そうならないためのポイントは、撮影の際に主題(テーマ)を決め、それを意識して撮るということです。
「背景に木や川などを入れ構図のアクセントにする」、「前景、後景を意識し構図を決め奥行きを出す」、「主役の花を決めて撮る」「花の色をテーマにする」「アングルを変える」「人や建物を効果的に入れる」etc……。花畑とその周囲をよく観察しながら、様々なテーマを見つけて撮影を楽しんでみてください。

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手前に花畑を入れ、奥に川、木などを入れて奥行きを出し、川に沿って咲くチューリップ畑の様子を縦構図で表現しました。

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黄色と白のチューリップの間に、赤いチューリップが一輪咲いているのを発見。赤い花がポイントになるよう構図を決め、ピントを合わせて撮影しました。

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色をテーマに、隣り合った3色の花畑を画面構成のように切り取りました。にぎやか、華やかな印象の1枚に。

Step3 花畑を切り取ろう

同じ花畑でも切り取り方や画角、アングルの違いなどで印象はグンと変わり、作品にバリエーションが生まれます。「主題を決める」ということも意識しながら、様々に花畑を切り取ってみましょう。ここでは、花畑の撮り方アイデアをご紹介します。

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様々な品種が並ぶチューリップ畑を真横から撮影。背の低い白いチューリップにピントを合わせ切り取ました。真っ直ぐに伸びた茎、きちんとお行儀よく並んで咲くチューリップの愛らしさが伝わります。

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菜の花畑を300mmで、前ボケ、後ろボケを作って撮影しました。木陰で暗くなっている部分を背景に選ぶことで、色の対比がクールで美しい1枚になりました。

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整然と並ぶチューリップをあえて均等の大きさで、模様のように画面全体に入れています。ピントは中心に合わせつつ全体がしっかり写るよう絞りはf/11で撮影。盛りを迎え一斉に咲き揃うチューリップの力強さが伝わります。

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ローアングル、広角の18mmで空を仰ぐように撮影。広角レンズのゆがみ効果も相まって、よく晴れた空に向かってぐんと茎を伸ばし花を咲かせるチューリップの勢いが伝わる、清々しい作品に。
※太陽が画面に入るような場面は目への影響をさけるためファインダーではなく必ずライブビューでの撮影をするようにしましょう。

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風がある場合、茎の細い花は揺れやすくぶれてしまいがち。そんなときは逆にスローシャッターで花をぶらし幻想的なイメージで撮るのもおすすめです。シャッタースピードは1/2.5秒で、露出オーバーを防ぐためf/32まで絞って撮影。三脚は必須です。

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川面に映るチューリップに注目し、花を写さず水面だけを撮影。風に揺れる水面に映るチューリップが不思議な模様を作り絵画のよう。

ワンポイントアドバイス

一輪の花を撮るときには日の丸構図に注意

今回のようにマイクロレンズを持たずに花畑を撮影する場合でも、一輪の花を主役に作品づくりをするのもおすすめです。マイクロレンズのように寄ることはできませんが、主役となる花をいかに目立たせるか、背景との色合いや望遠レンズでボケを演出するなどして印象的な1枚に仕上げると良いでしょう。
その際、注意したいのが構図です。被写体をど真ん中に持ってきて写す構図を「日の丸構図」といいますが、安定感はあるものの平凡な印象になりやすく、意図的に配置するというよりは無意識にやってしまいがちな構図だといえます。ほんの少しどちらかに主役をずらすだけで、余白部分に空気感が出たり雰囲気を出したりすることができます。

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主役のチューリップが際立つよう赤い花を背景に望遠側で撮影。背景が美しくボケて印象的に写せたものの、日の丸構図で単調なイメージに。

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主役を少し左にずらしたことで余白がより活かされ、どこかストーリーを感じるような作品に仕上がりました。なお、ピントは花のしべに合わせましょう。

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