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フォトシティさがみはら 2023 プロの部受賞作品展

会期

2024年2月6日(火)~2024年2月19日(月) 日曜休館

10:30~18:30(最終日は15:00まで)

開催内容

23回目の開催となった総合写真祭「フォトシティさがみはら2023」のプロの部受賞者4人の作品を集めた写真展を、新宿駅西口の新宿エルタワー28階・ニコンプラザ東京THE GALLERYで開催します。
会場では、豊かな精神文化の育成に貢献することを基本理念に掲げた総合写真祭において、新たな時代の担い手として顕彰されたプロ写真家の作品が展示されます。ぜひ、多くの方々に写真の持っている表現力や記録性などのすばらしさを感じとっていただきたいと思います。
(主催:相模原市総合写真祭フォトシティさがみはら実行委員会)

◆受賞作品について
2023年(令和5年)に開催した写真祭プロの部には、広義の記録性の分野で活躍している中堅写真家の中から「さがみはら写真賞」として1名、新人写真家の中から「さがみはら写真新人奨励賞」として2名が選出されました。また、アジア地域で活躍している写真家を対象にした「さがみはら写真アジア賞」として1名が選出されました。

<受賞作品のご紹介>
○「さがみはら写真賞」
渡邊 耕一(大阪府)
『毒消草の夢 デトックスプランツ・ヒストリー』(写真集)
※作品4点の内、左から1番目
○「さがみはら写真アジア賞」
ERIC(岡山県)
『香港好運』(写真集) ※作品4点の内、左から2番目
○「さがみはら写真新人奨励賞」
宛 超凡(東京都)
『河はすべて知っている-荒川』(写真集)(写真展) ※作品4点の内、左から3番目
○「さがみはら写真新人奨励賞」
西野 嘉憲(沖縄県)
『熊を撃つ Bear Hunting』(写真集) ※作品4点の内、左から4番目

◆審査員コメント
2023年度のさがみはら写真賞は、渡邊 耕一『毒消草の夢 デトックスプランツ・ヒストリー』に決定した。
前作『Moving Plants』は日本原産のイタドリが欧米では外来侵略植物として恐れられていることを知り、身近な植物の背後に広がる人間と植物の関係を''移動する植物''という視点から捉え直そうとした写真集だった。
この新作はその延長上に「コンタラエルハ」という、江戸時代末の植物図譜に載る謎の薬草をメキシコやアジアに取材したシリーズである。スペイン語の「コントライエルバ(毒消草)」に由来するこの忘れられた植物の足跡を辿るうちに、同じ名前を持ついくつもの植物が現れては消え、香辛料や薬品として取引される商品としての姿も浮き彫りになる。薬と毒としての植物の両面に着目し、人間と複雑な関係を積み重ねながら、やがて資源となってゆく植物の実態へ新たな光をあてる力作である。
さがみはら写真アジア賞は、ERIC(エリック)『香港好運』に決まった。''大限(HAND OVER)''と呼ばれた香港の中国返還から既に四半世紀が過ぎている。「一国二制度」と呼ばれる特殊な統治形態は2047年まで維持されるが「香港人」としての存在を揺るがす事件や法規も現れ、「両岸三地(中国、香港、台湾)」の緊張感は今も続いている。中国の改革開放政策に伴い、中国大陸沿岸には香港から新しい価値観が流れ込み、既に香港を凌駕する消費奢侈文化が展開される都市も生まれている。香港の多くの写真家たちは自らのルーツを求めながら新たな問題に取り組んでいるが、中国返還直前に日本へやってきたERICもまた近年になって真剣に生地である香港と対峙し、香港人とは何者なのかを正面から問う撮影を続けている。
『香港好運』は香港という歴史の荒波に晒されてきた特別な場所を自らの源泉としていることを発見し、自分の棲家がそこにあり続けていることに気づく瞬間がエネルギッシュに捉えられている。
さがみはら写真新人奨励賞は、宛 超凡『河はすべて知っている-荒川』と西野 嘉憲『熊を撃つ Bear Hunting』となった。
宛 超凡『河はすべて知っている-荒川』は、埼玉や東京を流れ、東京湾に注ぐ荒川の地形や環境を凝視しながら、新たなイメージの川として再構築する壮大なパノラマである。川の源流を辿ることは人間の心の源流を辿ることに似て、精密な写真の構成と展開で川に潜在する記憶と精神を映し出している。
西野 嘉憲『熊を撃つ Bear Hunting』は、北アルプスに連なる飛騨地方の最奥で今も受け継がれる熊猟を丁寧に扱った写真集である。雪に閉ざされた長い冬を耐えねばならない秘境で、山のカミに祈り、天候と生態を読み取り、獲物を追い続ける熟練の猟師たちが見いだす''野生の命''の輝きが瑞々しく活写された。

(東京藝術大学名誉教授/美術史家/美術評論家 伊藤 俊治)

プロフィール

相模原市総合写真祭フォトシティさがみはらについて

写真は、芸術写真から家族写真まで広い地盤を持ち、その卓越した記録性と豊かな表現機能により、多くの人に感動を与えるものであるとともに、私たちの生活にとても身近な存在です。
相模原市では、豊かな精神文化が求められる新しい世紀の幕開けにあたり、写真文化にスポットをあて、これを「新たなさがみはら文化」として全国、世界に発信することを目指して、総合写真祭「フォトシティさがみはら」を2001年にスタートさせました。
この写真祭は、新たな時代を担うプロ写真家の顕彰と、写真に親しむアマチュアに作品の発表の場を設けるとともに、市民が優れた芸術文化に触れたり、それぞれの場に参加できたりする市民参加型の事業で、写真をキーワードとして、時代と社会を考え語り合うことで、新世紀における精神文化の育成に貢献することを基本理念にしています。
また、2006年日本写真協会より「日本写真協会賞・文化振興賞」、2011年日本写真家協会より「日本写真家協会賞」に、写真文化の振興、発展に貢献したとして、相模原市総合写真祭フォトシティさがみはら実行委員会が選定されました。

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