Nikon Imaging
Japan
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ニコンサロン bis 新宿 2016年12月

柿本 完二 写真展

写真
癒しの里山
11/29 (火) ~12/5 (月)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

里山は、人と自然が共生する場所や自然から、「心の癒し」が得られる場所と言われている。里山は適度に人の手が入らないと外来植物などがはびこり、本来の生態系を維持するのが難しくなるので、人の手を借りて自然を保っている。春は小川のせせらぎや、桜を中心に木々たちの新緑がまぶしくなる。夏はトンボたちなどの昆虫が飛び交う。秋は木々たちの彩りが最も艶やかで、黄色く実った稲穂が実りの歓びを感じさせる。色彩の乏しい冬も2月の声を聞くと、赤、白の梅の花が辺り一面に春の香りを漂わせる。人は心に疲れを感じた時に「里山」で毎年のように繰り広げられる四季折々の景観から「心の癒し」を得ている。
そんな「自然と人との共生」をテーマに撮影した写真展である。       
カラー40点。

作者のプロフィール

柿本 完二(カキモト カンジ)
大阪府大阪市生まれ。地元の四季折々の「里山の彩り」と、マイクロレンズで撮った草花たちが持つ「フォルム」と「色香」を主なテーマとして創作活動を続けている。また、写真文化の普及のためアマチュア写真愛好家向けの「かんたん写真講座」を随時開催している。
日本写真家協会会員、全日本写真連盟関東本部委員、ニコンカレッジ講師、写真グループ「Team Kanji」主宰。

juna21 第18回三木淳賞受賞作品展
清水 裕貴 写真展

写真
熊を殺す
12/6 (火) ~12/12 (月)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真

本展では、群馬県六合村の湖をモチーフに、民話の語りを取り入れながら、人の世界と森の世界のあわい(間)を表現した作品を展示する。

湖は山と村の境界に佇み、昔から山の生き物と村の人間のひやりとする接触の場であった。
湖畔には、動物との奇妙で唐突な接触、水の底や森の陰に住む形の見えないものとのやりとりなど、どこか恐ろしいが取り留めのない民話が漂っていた。

夕闇に落ちていく山の中、獣の光る目を炎と勘違いして、煙草に火をつけようとした男の昔話がある。
キャンプ場には、ダム建設で死んだ幽霊が出るという。
ひとは今も昔も湖畔でさまざまな幻視を経験する。
熊笹をかきわけて暗い森を奥へ奥へと進んでいけば、さまざまな獣の気配を感じるが姿は見えない。
水の反射、葉の揺らぎにさまざまな幻を見て、物語の世界に入っていく。 (清水裕貴)

カラー約20点。

授賞理由

不穏なタイトル、黒く厚い本に書かれた物語、暗い森や湖のイメージと、それらを縁取る影。不安を払拭しようと最後の解説を読んでも、結局わからなさが募る。けれどもそうやって突き放された好奇心は、再び写真の前へ行けとわたしの足を操る。もっと見れば、もう一度見れば、なにかわかるのではないかと鑑賞者を惹きつける力こそ、本作品の魅力である。
「熊を殺す」は、一見するとシンプルな民俗学的アプローチをとった作品なのかと思う。そこで黒い本には当然、作家の言及する「民話」が記されているだろうと思うのだが、書かれていたのは誰かが見た悪夢のメモのような、奇妙な文章だった。また、うつむいたように傾いて、イメージに影を落とす額装は失敗のように見えるが、やがてそれすらもこの作品を、あるひとつの方向へと導く仕掛けのように思えてくる。鑑賞者の期待にそぐわない ずれを、作家はそこかしこに仕掛ける。瑕疵や未熟さ、あるいは手違いとも受け取り可能なそれらの細部が綿密に考え抜かれたものだと確信できるのは、ひとえにこの展示が掛け値なしに美しいからであろう。
作家は「人の世界と森の世界のあわいを表現」したと語っているが、本作品は「わかる」と「わからない」のあわいにこそわたしたちを放り出している。鑑賞後に湧く「もっと知りたい」という渇望は、物足りなさを意味する感情ではなく、あらゆる情報から逃れられない時代において「わからない」こととはなにかを問う、作家の静かな情熱を映す水面である。 (選評・長島有里枝)

作者のプロフィール

写真

清水 裕貴(シミズ ユキ)
1984年千葉県生まれ。2007年武蔵野美術大学映像学科卒業。写真展(個展)に、12年「ホワイトサンズ」(ガーディアン・ガーデン/銀座)、14年「mayim mayim」(NEW ACCIDENT/金沢)、同年同展(UNDO/三ノ輪)、16年「熊を殺す」(Juna21新宿ニコンサロン、Juna21大阪ニコンサロン)がある。13年スライドショー「INDEPENDENT LIGHT」(新宿眼科画廊、東川国際写真フェスティバル)、14年西根ナーレ(山形県長井市)、15年中之条ビエンナーレ(群馬県中之条町)に参加。
受賞歴に、11年第5回写真「1_WALL」グランプリ受賞がある。

juna21 三木淳賞奨励賞受賞作品展
森田 剛史 写真展

写真
続 きのくに
12/13 (火) ~12/19 (月)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真

前回の展示を終え、僕は三人の写真行為が変わっていってしまう、もしかしたらこれで『良い思い出ができた』と終わってしまうかもしれないという不安がありました。
そんな僕の心配は本当にくだらないことで、展示をみた祖父と祖母は「こんなんやったらわたしらも撮ってみたいなぁ」と言いました。
なんて元気なじじいとばばあと思いながら僕は急いでカメラを用意。
じいにはニコンのF3、ばあにはペンタックスの67を渡しました。
三人で旅に出て撮影をするという僕たちのやり方に変わりはないですが、被写体、撮影者、アシスタントという境界が今はありません。
“祖父の肖像と祖父の選んだ土地を写し、和歌山という土地を繋いでいきたい”という思いはまだ見る人に伝わる形ではできていないかもしれません。
それでも撮影から発表というひとつの決着を終え、なお続いているこの写真行為の中間を僕はとても愛しく思っています。
この展示をもって三人の関係にまた一つ楔を打ち、次の展開が始まる。
そんなことを考えて、もういちど写真をおきたいと思います。 (森田剛史)

カラー約20点。

授賞理由

「続 きのくに」は、前作「キノクニ」と同様に、「祖父の肖像と祖父の選んだ土地を写し、和歌山という土地を繋いでいく」というコンセプトの下、作者と祖父と祖母の3人が、撮影者、被写体、アシスタントというゆるやかな役割を果たしながら旅に出て撮影したものだ。
奈良と三重の県境の大台ヶ原を水源とし、紀伊山地を抜け、紀伊水道に注ぐ大河である紀ノ川の上流から下流へ向かい、のんびり撮影を続ける。その河川から半径500メートル以内の場所で、祖父が写っているというのがルールである。流域は日本有数の多雨地帯であり、川は氾濫を繰り返し、長い時代にわたり、治水利水のため途方もないエネルギーが費やされてきた。その風土に育まれてきた人々の記憶と土地が持つ言葉にし難い感情を、写しとめようとする。祖父のまっすぐ伸びる視線は、時の重なりを引きずりながら、その向こうに幻の国を見ようとしているかのようだ。3人の関係も旅の中で変化を遂げ、日常の現実の中では味わえない、いとおしい瞬間が土地のイメージにも刻まれてゆく。 (選評・伊藤俊治)

作者のプロフィール

写真

森田 剛史(モリタ タケシ)
1990年生まれ。和歌山県和歌山市出身。2013年東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。
写真展に、13年「平成24年度東京ビジュアルアーツ写真学科卒業制作優秀作品展」(ニコンサロンbis新宿)、「肖像Ⅰ/planar」(J3gallery) 、14年「キノクニ」(Juna21新宿ニコンサロン、Juna21大阪ニコンサロン)がある。

juna21 田巻 海 写真展

写真
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12/20 (火) ~12/29 (木)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

均一な形体が無数に存在している。自律していて、他を必要としない、視覚的に安定した構成。それらは世界に対しある一定の距離を保ち、影響を与えることはない。また、そうした世界から置き去りにされた無数の形体は、営為が浸透する空間において、現前することはない。 (田巻 海)

カラー10点。

作者のプロフィール

田巻 海(タマキ カイ)
1991年山梨県生まれ。2016年武蔵野美術大学大学院卒業。

12/30 (金) ~1/4 (水)
年末年始休館
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