Nikon Imaging
Japan
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大阪ニコンサロン 2014年9月

松野 良則写真展

写真
blinkers
8/28 (木) ~9/3 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

山砂は、埋め立てやコンクリートの材料に利用される埋蔵資源である。
房総半島の中西部には、良質な山砂の採掘場やその跡地が多数点在している。首都圏の高層ビルの建設やインフラの整備、東京湾の埋め立てなどで、山砂の需要は昭和40年代前半から加速していき、後半には採掘のピークを迎える。開発により、私達の生活は豊かさや便利さを享受することになる。
現在、採掘によって、富津市、浅間山丘陵(204メートル)は完全に消滅し多くの場所で山砂が次々に採掘され、森林を失った地表剥き出しの褐色の土地や山、放置、植林された跡地が各所に亘っている。
その景観に、人間の営為に、圧倒されてしまう。
過って私達が望み、邁進した経済優先、豊かさを求める行為、行動は競走馬が直進、爆走する様を想起させる。
採掘場、埋蔵資源の枯渇した跡地はゼロサムの代償的景観である。(松野良則)
カラー45点

(*blinkers:競走馬に装着し、視野を制限する馬具)   

作者のプロフィール

松野 良則(マツノ ヨシノリ)
1968年静岡県生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業。デザインスタジオ、写真スタジオ勤務後、武蔵野美術大学映像学科研究室助手を経て、現在武蔵野美術大学、明星大学非常勤講師。
主な写真展(個展)に、2006年「遡行 scenes from TAMAGAWA 2001~2005」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)があり、グループ展に、98年~2000年毎1月「武蔵野美術大学助手展」(武蔵野美術大学美術資料図書館)、00年「武蔵野美術大学映像学科創設10周年記念写真表現新作展・11+1写真展」(ミツムラ・アート・プラザ)、11年「発科展 早稲田大学芸術学校空間映像学科閉科展」(竜宮美術館)などがある。

大西 みつぐ写真展

写真
放水路
9/4 (木) ~9/17 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

荒川放水路は 1911年(明治44 年)の測量にはじまり、1930年(昭和5年)までの長期間 を費やして開削した人工の河川である。
作者は、1985年にこの放水路の近隣に暮らした数年間を「河口の町」と題して発表した(作品は第22回太陽賞を受賞)。バブル期の江東の町だったが、それでもまだ庶民の穏やかな暮らしぶりは残っていた。そして2012年に賑やかなスカイツリーの傍らの辺境として「砂町」を 撮り下ろした(作品は日本写真協会企画展として写真展を開催)。その間には唯一のモノクロ作品「wonderland」が幾重にも挟まれている。 これらをすべて太く一本につないでいるのがこの放水路であったことを思い返した時、作者は再びこの川をどこまでも歩いてみたくなった。東日本大震災後の東京臨海部の風景が無防備 に曝されていることへの焦燥感も深く関わっている。 一昨年の夏から、作者は赤羽岩淵から河口までの22㎞を繰り返し歩いた。「放水路の風景」は、昭和初期に永井荷風が詩趣として唱えた「荒涼寂寞」さとは一見無縁の健康で平和な水辺風景が連なっている。しかし、ところどころに広がるヨシ原の間には、ぎりぎりの際で「生」を保 ちながらなにかを解き放ち、密やかにそこにいようとする人間の気配が充満している。それらは都市の周縁にこそ浮かびあがる現在性ではないか。そして、川はどこか遠くで投げ込まれたかもしれぬ今日の日本の澱をたっぷり宿しながら、海へとめどなく排出され続けている。 静かで寂しく儚い情景の中に、私たちの明確な明日など見いだせはしないのだが、ここから東京を深く想い続けていたいと作者は考えている。

とめどなく流れる川、密やかなる日々。ぎりぎりの「際」で東京を想う。

カラー約40点(液晶画面による映像も上映予定)。

作者のプロフィール

大西 みつぐ(オオニシ ミツグ)
1952年東京深川生まれ。74年東京綜合写真専門学校卒業。70年代から東京、下町をホームグランドとして撮影を続けており、東京綜合写真専門学校、東京造形大学、関東学院大学、 武蔵野美術大学の講師、非常勤講師を歴任。また、2000 ~ 08年、ニッコールクラブ幹事、ニコンサロン運営委員を務める。85年「河口の町」で第22回太陽賞受賞。93年「遠い夏」ほかで第18回木村伊兵衛写真賞受賞。同年、江戸川区文化奨励賞受賞。
個展、企画展を多数開催。写真集・著書に「wonderland」「遠い夏」「下町純情カメラ」「東京手帖」「デジカメ時代のスナップショット写真術」などがあり、作品は東京都写真美術館、フランス国立図書館などに収蔵されている。 現在日本写真家協会会員、日本写真協会会員、大阪芸術大学客員教授、ニッコールクラブ顧問。

juna21 山野 雄樹写真展

写真
降灰の島
9/18 (木) ~9/24 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

爆発音とともに巨大なキノコ雲のような噴煙が上がり、噴石が弧を描きながら落ちるのが見える。灰色の雲が空を覆い、集落に火山灰が降り始める。視界がぼやけていき、景色は灰色に塗り変わっていく。 鹿児島県では、テレビやラジオなどの天気予報で桜島上空の風向きを報道し、県民は毎日風向きを確認する。 鹿児島生まれの作者にとって、小さいころから桜島はそこにある風景の一部である。 桜島は鹿児島県の錦江湾(鹿児島湾)の中心にある周囲55㎞の火山島で、活発な火山活動を続けているが、島には約5,000人が暮らしている。火口から4㎞の距離には集落が存在し、 1914年(大正3年)と 1946年(昭和21年)に大きな噴火が起き、集落は大打撃を受けた。 畑や集落は埋没し、島民は避難や移住を余儀なくされた。大正の大噴火では、噴出した溶岩で 大隅半島と繋がることとなった。 相次ぐ噴火に見舞われながら、島を追われた人々は幾度となく島に戻り、暮らしを立て直す。 今でも噴煙活動は続き、農作物は毎年降灰や火山ガスにより大きな被害を受け、雨の日には水なし川に土石流が流れる。噴石が集落にいつ落ちてくるか分からない中で、それでも生きる人々の故郷への執着心に作者は興味をもった。 年数百回の噴火を数える山の裾野で、火山とともに生きる人々を追った作品である。
カラー約 50 点。

作者のプロフィール

山野 雄樹(ヤマノ ユウキ)
1988年鹿児島県生まれ。2012年「工場の少女達」で第7回名取洋之助写真賞奨励賞受賞。 写真展に、09年「十五夜」、10年「COSMO」( 以上 ME Photo Gallery /福岡 )、12 年「工場の少女達」( 富士フィルムフォトサロン/東京・大阪、福島市民ギャラリーにて受賞作品展 ) などがある。

juna21 熊野 寛喜写真展

写真
地上の欠片
9/25 (木) ~10/1 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

単純なコンクリートは、75パーセントが砂や砂利、15パーセントは水、10パーセントがセ メントという割合で調合される。 世界的なコンクリートの需要は膨大で、地球上で水の次に消費量が多い物質であり、ダンプカー4億台分以上(年間)に相当する量のコンクリートが建設現場へと運ばれる。そして高層ビル、ダム、橋や高速道路などを造り上げ、私たちの暮らす環境の基盤を支えている。 本作品は、被写体である砂、砂利、泥や水から創造世界を創り上げる。一方、どれだけ創造性を持つ写真だとしても、写真である限り現実から切り離すことはできない。 作者は、「現実」と「非現実」の往復行為を繰り返す中で、作品の制作を行った。

作者のプロフィール

熊野 寛喜(クマノ カンキ)
1988年広島県生まれ。
写真展に、2011年 Island Bound 出展「能美島」( 福岡アジア美術館 )、同年 Exhibition M 出展「床の香り」( 福岡市美術館 )、12年 Exhibition Island 出展「跡」( 福岡県立美術館 )、13年 Exhibition M 出展「砂」( 福岡アジア美術館 )、同年 2013 International Photo Exhibition of Asian Student 出展「In Space」(Seoul National University of Science & Technology /韓国 )、 中国第15回国際写真芸術展出展 ( 麗水博物館/中国 )、Genesis 出展「地上の欠片」( 新宿コニカミノルタプラザ ) などがある。

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