Nikon Imaging
Japan
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新宿ニコンサロン 2013年5月

内山 英明写真展

写真
アトムワールド ATOM WORLD
4/30 (火) ~5/13 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

ここに掲げられた写真のすべては、原子力に関連する実験所や研究施設ばかりである。その要塞のように地中にそびえるメタリカルな光景に衝撃を受けたのが、撮影の動機だった。3.11の東日本大震災以前より、日本の最先端のそんな実験所を撮り続けてきた。

――ウランを燃料とする原子炉発電の実験所
――海水から重水素などを取りだし核融合反応を起こさせ、莫大なエネルギーを作る核融合実験施設
――光速で加速されたビームで物質に衝撃を与え、科学や医療の分野で貢献を果たしてきた加速器研究施設
――自然のニュートリノ素粒子と原子力施設で作られた素粒子を合わせて共にキャッチし、観測をしている宇宙観測施設
――原子力発電所の“核のゴミ”を保管する中間貯蔵機関と、地層処分に10万年も要する研究貯蔵施設

原子力実験場の底につらなり輝く巨大マシーン、今日では科学の力は我々の生活圏にとっても絶大だが、ときとしてそのリスクも凄まじく強大だ。施設内の限りない機能美あふれる世界も、それを思うと生々しいリアルな光景として迫ってくる。カラー50点。

作者のプロフィール

内山 英明(ウチヤマ ヒデアキ)
1948年静岡県生まれ。76年東京綜合写真専門学校中退後、週刊誌や月刊誌でドキュメント写真を次々と発表後、アジアや欧州の都市を回る。92年日本で初めてエイズ発症を公開した平田豊氏の撮影と支援を行う。その後、「TOKYO」をテーマに意欲的な作品を発表。また、都市と並行して日本の地下の撮影を開始する。2000年第25回伊奈信男賞受賞。06年日本写真協会年度賞受賞。06年第25回土門拳賞受賞。
写真展は、個展、グループ展など現在までニコンサロン、美術館を中心に多数開催。
主な写真集に、89年『島国へ帰る』『等身大の青春~俵万智』、93年『都市は浮遊する』、94年『いつか晴れた海で~エイズと平田豊の道程』、2000年~08年「JAPAN UNDERGROUND」1~4、03年「東京デーモン」、06年「トウキョウ・アンダー」、07年「東京エデン」などがある。

第19回酒田市土門拳文化賞受賞作品展
小林 勝利写真展

写真
仁淀川遡行
5/14 (火) ~5/27 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

いまや山村の集落は荒廃し、人影も少なく消滅の寸前にあるといえる。
作者が山村の集落を初めて訪ねたのは、30数年前の1980年のことだった。
四国には、西日本最高峰の石鎚山を源とし、高知県の中央部を貫いて、土佐湾に流れ込む「水質日本一」の仁淀川がある。この川の上流域に開けた集落を訪ねるきっかけは、清流に沿って遡り、山村の人々にただ逢いたいという至極単純な気持ちからであった。
川を遡り詰めた先の集落には元気な子どもたちの姿があった。集落内で買い物をし、学校にも通える楽しい暮らしがそこにはあった。しかしいま、その風景は「激変」してしまった。
もはや、当時の風景に戻る手段はないかもしれない。が、昔の風景と人々を辿ることで、「人々の絆」や「地域の持つ力」について、改めて問い直し、思いを深めることはできるだろう。
今日の閉塞感の極まった社会にあって、効率が悪く切り捨てられてきた山村社会の復活に、人間本来の幸せのありようを取り戻す術があると考えている。モノクロ30点。

選考委員講評

高知県を流れる美しい川、仁淀川。その上流をおおい被さるような両対岸の山々。厳しい山村集落で自然と共存しながら生き続ける人々と暮らしぶりを30余年に渡って撮り続けた記録写真。全ての写真に「心と絆」が写しだされている。
昨年の文化賞受賞者 高橋ぎいち氏の山梨県芦川集落の人口減少と高齢化、過疎化問題の作品と偶然にもテーマが一致した。
一昨年の東日本大震災の津波で多くの尊い命が一瞬にして奪われ、原発事故の影響の深刻さが明らかになるにつれ、我々は事の重大さに気付き始めた。今、人が生きてゆくための有りようが問われている。
小林さんの写した多くの山間集落の人々の生活写真は「人間の仕合せの原点は何なのか」を見事に写し出している。写真の原点であるモノクロ写真は写した人々の更にその奥底まで読み取れて力強い。写真一枚一枚の丁寧なキャプションも説得力がある。 (藤森 武)

作者のプロフィール

写真

小林 勝利(コバヤシ カツトシ)
1942年高知市生まれ。62年柳生建設(後合併により大旺建設に改称)に入社。66年高知県立高知短期大学卒業。77年東京綜合写真専門学校卒業。勤務先の東京支店転勤時期に同校の第2学科にて重森弘淹ゼミを専攻。80年写真を趣味とし、日曜カメラマンとして仁淀川上流域の写真記録の活動を始める。2002年大旺建設定年退職。退職後、4年間闘病生活を送る。05年町内会活動や地域のまちづくりの会に参画。07年高知県下の山村集落の写真記録を始める(現在県下を3巡目中)。10年写真同人『現』の会を設立し同人となる。
写真展に、83年「仁淀川遡行」、87年「僕らあ優勝旗はないけんど」があり、写真集に『ぼくらあ優勝旗はないけんど』(飛鳥出版室・87年刊)、『仁淀川遡行』(和田書房・12年刊)などがある。

juna21 小須田 望写真展

写真
closed square
5/28 (火) ~6/3 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

都市部の再開発によって新たにつくられた場所には、海外の様式を取り入れた、広場的な空間が設けられている。海外と違うのは、広場を形づくる町並みや景観、そして人びとがそれぞれ独立した存在として見えるということである。
本来広場は人びとが集まり、コミュニケーションを取る場所であり、放射状に伸びた街路はどこを辿っても広場に行き着くようにつくられている。人びとは広場へと向かい、集会をしたり、他者と交流する場として活用してきた。
作者が見た広場は、人々の関心はそこにはなく、そこから伸びている道の先にあって、人びとはその空間を通り過ぎるために使っている。あるいは待ち合わせの場所や、食事をする場所としてあとから用意されたもののように思われる。
それぞれの時間コミュニティーの中で、偶然そこに居合わせた人びと。他者との距離を無意識に保ちながらも、行き交う人びとが、広場の中で拡散されるわずかな時間。その光景を眺めていると広場と人は、完成された都市空間として作者の前に立ち現れる。モノクロ約20点。

作者のプロフィール

小須田 望(コスダ ノゾミ)
1986年長野県生まれ。2008年日本写真芸術専門学校卒業。10年同校研究科卒業。

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