Nikon Imaging
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大阪ニコンサロン 2011年7月

関岡 昭介

写真
muddy water
6/30 (木) ~7/6 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

小説『泥の河』の舞台となった端建蔵橋(ハタテクラハシ)。ここで二つの川は合流して安治川と名が変わり、天保山で一気に大河となる。
この辺りから天保山の彼方を望むと、大橋や鉄橋の重なりが淡いブルーのシルエットになり、海からの風と川を下る風がぶつかり合って水蒸気を発生させ、海を感じさせる。
水辺をひたすら歩いていると、時代錯誤を覚えることがある。町も人々も、自分までもがどの時代を歩いているのか。
生きる中の無の安らぎ。死もまた安らぎの中にあると祈りたい。
本展は、1982年の写真展「泥の河」(モノクロ作品)の続編としてカラーで取り組んだ作品展で、作者のできるだけ対象に寄り添いたい思いが、象徴的な表現を選択させる。
「muddy water」の物語は、岸辺に寄せる波の泡(アブク)のように消えては現れて、止まることは無い。カラー50点。

作者のプロフィール

1928年大阪市生まれ。58年浪華写真倶楽部入会。
主な写真展(個展)に、74年「白い抒情」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、75年「気になる光景」(新宿ニコンサロン)、77年「大阪環状線 駅からの眺め」(新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、82年「泥の河」(銀座ニコンサロン)、88年「海風前線」(新宿ニコンサロン)、92年「大阪まんだら」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、97年「青春風来」(大阪ニコンサロン)、99年「LIVE大阪 ’97 ’98」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、2005年「大阪三昧 まんじ」(新宿コニカミノルタプラザ)などがある。
08年、東京都写真美術館に、作品8点収蔵。

広瀬 美紀

写真
わたしはここにいる -requiem 東京大空襲-
7/7 (木) ~7/13 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

今を生きる普通の人とはどんな人だろう。誰かに自慢できることもなく、家族や人々の中にいても孤独で、親孝行もできず、不安の中を生きている人もいるのではないだろうか。
66年前、大空襲で普通の人々が殺された。彼らも私たちと同じように日々悩み生きていただろう。彼らのことを一番身近に感じられるのは、私たち普通の人間だ。人間の考えることは、時代が違っても大して変わらない。生き残った人間は、何百何千という遺体を穴に投げ入れるし、子供たちは埋葬後の山の上を駆け上り、遊ぶ。死んだ人の上を歩かなければ向こうに辿り着けないのだったら、誰でもそうするだろう。私たちはこうやってDNAを繋げてきた。
作者は今の人に伝えたいと思う。「わたしはここにいる。なぜ私たちは殺されたの? 過去は今に通じ、未来へ繋がる。今の私たちがここにいるのは過去があるからだ。未来は今の人がつくる」
今、空襲で殺された人たちは、ここ(仮埋葬地)にはいない。関東大震災で亡くなった人々と一緒に祀られている。そこで法要をあげている今の人は、そうしたかった理由があるのだと思う。しかし、それは過去や未来を考えることが不足している。今を生きる自分たちの亡くなった者への思いだけだ。死んでいった者の言葉を、生まれてくる者へ伝えるのは今を生きる者の務めだ。
モノクロ約40点。

作者のプロフィール

1977年東京生まれ。2000年工学院大学工学部応用化学科卒業。02年北里大学大学院医療系研究科人間科学原論修了。05年日本写真芸術専門学校Ⅱ部報道芸術科樋口ゼミ卒業。樋口健二氏に師事。東京大空襲をテーマに写真を撮り続けている。現在フリーランスで活動中。

高田 啓一

写真
あれから
7/14 (木) ~7/20 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

鳥取県立鳥取聾学校は、昨年創立100周年を迎えた。作者はそのうちの1/3近くの33年間聾学校に勤務し、定年退職した。33年のうち28年間は写真の指導に当たり、生徒ともども全国各地で開催される大会へ参加したり、たくさんの写真仲間を作るなど、貴重な経験を積むことができた。
その後、卒業生たちと話をしていくなかで、地元の小・中学校で過ごした時の差別的な発言や仲間外し、現在の職場でのコミュニケーション面の配慮不足や身体的苦痛、社会生活をおくる上で情報保障が不十分なための不便さ等、今だから話せる多くの苦しみを聞くことができた。
社会に矛盾を感じながらもたくましく生きている卒業生たちへ、作者ができる恩返しは、写真を通じて多くの人たちに聴覚障害者の現状を知ってもらうことではないかと思い、彼らに撮影の協力を頼んだところ、ほとんどの卒業生が快く協力してくれた。
本展では、卒業生の在学中の写真と現在の写真、そして社会へのメッセージもつけて展示する。モノクロ74点。

作者のプロフィール

1948年鳥取県八頭郡若桜町生まれ。72年鳥取県立境高等学校着任(教員生活スタート)。76年同鳥取聾学校転任。80年写真活動開始。81年鳥取聾学校写真活動開始(顧問として退職まで28年間指導)。2004年「フォトマスターEX検定」合格。09年鳥取聾学校定年退職。83年日本フォトコンテスト誌(白黒写真の部)年度賞5位。85年同年度賞4位。86年「アサヒカメラ」誌(モノクロプリントの部)年度賞次点(4位)。01年「博報堂(障害児教育部門・団体の部)」賞受賞。ニッコールクラブ会員。
写真展に、09年「いのちの詩」(鳥取市、八頭郡若桜町)のほか多数あり、写真集に鳥取聾学校生徒写真集「コミュニケーション」「水あそび」「春よこい」「麒麟獅子舞」「がんばれ!! SC鳥取」「白鳥の湖」「ありがとう」を編集出版。
また、テレビ出演に、86年「おはようジャーナル「フォトアイの青春」」(NHK全国)、99年「青春マイロード イマドキの若者たち「カメラで広がる僕らの世界」」(NHK中国)、07年「ろうを生きる難聴を生きる「写真でコミュニケーション」」(NHK全国)、09年「生きる×2 「写真に託すメッセージ」」(日本海テレビ・テレビ朝日系列)、10年「にっぽん紀行「殻を破るシャッター 鳥取砂丘・16才のカメラマン」」がある。

下瀬 信雄

写真
結界VII
7/21 (木) ~7/27 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

用途で語られることが多い「写真」だが、作者はいつも「写真とは何だろう、写真でどんなことが出来るのだろう」と考えてきた。
写真は被写体がすべての始まりで、被写体にどう向き合うかがすべてのような気がするといい、そして自然を対象としたこの「結界」シリーズが、いつも作者が帰っていく場所となった。気が付けば作者のライフワークのようになってしまった。
珍しい自然遺産や雄大な風景でもない片隅の自然だが、いつも足下に飽きない発見があるという。モノクロ30点。

作者のプロフィール

1944年満州国新京市生まれ。67年東京綜合写真専門学校卒業。以後萩市を拠点に作品を発表。80年杉道助記念萩市芸術文化奨励賞、88年山口県芸術文化振興奨励賞、90年日本写真協会新人賞、98年山口県文化功労賞、2004年山口県選奨、05年伊奈信男賞、09年第63回山口県美術展覧会大賞を受賞。
写真展に、77年「萩」をはじめ現在まで、「風の中の日々」「凪のとき」「結界」シリーズを銀座ニコンサロン・新宿ニコンサロンなどで開催、今回は14回目の写真展である。
また、写真集に『萩の日々』(講談社)などがあり、作品は米国プリンストン大学などのコレクションされている。

juna21 渡辺 直翔

写真
降る
7/28 (木) ~8/3 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

作者が小学生だった頃に流行った、上空を通過していくヘリコプターに手を振ると爆弾を落とされるという噂から制作が始まった。
他愛も無い噂だが、目に見える何気ない日常のなかに凄惨な世界が潜んでいるかもしれないというネガティブな想像は、今もどこかでおこっている戦争や、人の無残な死を考えれば、決して子どもの空想だけにとどまらないはずだ。
轟音を立てながら頭の上を通るヘリコプターや戦闘機は、基地から近い住民にとってすでに日常となっている。誰も見上げることさえしない。しかし、ちいさな子どもだけはしっかりとその存在を確認している。これはいったい何者なのだろうかと。日常に侵入する異物を見つめる。
穏やかな日常の光景に目を向けつつ、その先に広がる世界を表現しようとしている。
カラー約16点。

作者のプロフィール

1988年北海道伊達市生まれ。2011年武蔵野美術大学造形学部映像学科写真コース(小林のりおゼミ)卒業。
主な写真展(グループ展)に、08年第7回サッポロ未来展(札幌)、「miraiten」(金沢)、「GEISAI #11」(東京)、「Photography after digitalization 展」(武蔵野美術大学共同研究)、09年第8回サッポロ未来展(札幌)、「武蔵野美術大学映像学科3年次進級制作展」(東京)、「川口百景2009年度入選50作品展示」(川口市立ギャラリー/埼玉県)、10年「武蔵野美術大学映像学科3年写真コース学外展」(東京)、「GEISAI #14」(東京)、「ライトシアン 小林のりおゼミ展」(東京)、11年「武蔵野美術大学卒業制作展」(東京)などがある。

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