Nikon Imaging
Japan
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大阪ニコンサロン 2010年10月

juna21 大佐 彩子

写真
ASIAN PERSONALITIES
9/30 (木) ~10/6 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

作者は、彼らのファッションにアイデンティティが表現されると思っていた。ところがレンズ越しに見る被写体の表情に、ただただ釘付けになった。作者は何か得体の知れないオーラにかき消され、気付くと夢中でシャッターを押していた。
足の裏から頭の先まで、筋肉や皮膚、神経といった構成される肉体の全てが彼らの目に集約されていた。年齢も性別も関係なく、誰もが力強く、決して同じではなかった。作者はそれこそがアイデンティティであり、生きていることそのものだと感じた。
なぜこんなにも強く惹かれるのか? なぜこんなに強い目を持っているのか?
作者は彼らの背景を何も知らない。けれども多くの人は経済的に豊かであるとは言えなかった。生まれ持った民族を生き、環境も、家族も、他人をも受け入れる。しかし、それは決して受け身ではなく、自己に真っ直ぐで、与えられた生活の最大限をしっかりと生きているように見えた。
自分の過去を信じ、同じように明日や未来を「無抵抗」に信じる力が、彼ら自身のアイデンティティを築き上げていた。そうした生きる力が肉体的に表現され、作者に注がれた時、もはや洋服や民族衣装は脇役でしかなかった。
どのような事情でどのように装いを選ぼうと、これから先も彼らのアイデンティティが消えることはないだろう。カラー40点。

作者のプロフィール

大佐 彩子(オオサ アヤコ)
1985年京都生まれ。2009年日本写真芸術専門学校卒業。現在同校研究科在学中。

大西 みつぐ

写真
標準街景
10/7 (木) ~10/20 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

「東京小夜曲」(1999年銀座ニコンサロン)、「路上の温度計」(2004年新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン)に続くTOKYOスナップショットのシリーズである。
今回の作品は、再びスナップショットの原点に帰るという意味から単体の標準レンズ1本のみを使って撮影したものである。
標準レンズのフレームの素朴さは、世界へのささやかな窓を開くための出発点になりうるものがある。ストリートという古典的なフィールドにおいて、物理的な距離感と精神的な距離感とがどのように重なるのか、またはズレていくのかということを作者自身でもう一度確認してみたかったという。
さらに、昨今はスナップショットという方法そのものが「盗撮」という言葉にすり替わったり、「肖像権」など微妙な問題に触れることもしばしばあり、急速に写真家の都市における表現スタイルから遠ざかりつつある。
しかしながら、時代とともに変容するまなざし(都市と人間との関係)は、これまでの世界の写真史に照らし合わせるまでもなく、万難を排してもカメラで記されていかなければならないものがあり、新たな時代の新たなスナップショットの標準、あるいは基準線を模索するために、作者はなおもフィールドに出たいと思う。
写真家個々人が「立ち会うこと」と「見ること」に襟を正し、個人のありようを尊重しつつ、カメラを大上段に振りかざすことなく、慎重にそして誠実に、撮りながら考えていくしか手だてはない。そこで作者は、標準レンズの「等倍」という見方と、現場における率直な関係性の中で自然に立ち現われてくるものを今一度落ち着いて見極めて見たいと思っている。
一見、華やかで愉しげに見える「街景」だが、都市に生きる人間の澱のようなものが街角の隙間を刻一刻と流れ続ける情報と色濃く重なり、限りない疲労感をもたらすとともに、流行のtwitterではないが、「つぶやき」を吐き捨てることで現在を確認し続けねばならない自分の閉塞感や焦燥感を感じてしまう作者である。カラー約60点。

作者のプロフィール

大西 みつぐ(オオニシ ミツグ)
1952年東京深川生まれ。74年東京綜合写真専門学校卒業。85年「河口の町」で第22回太陽賞受賞。93年「遠い夏」ほかで第18回木村伊兵衛写真賞受賞。現在日本写真家協会会員、ニッコールクラブ顧問、東京綜合写真専門学校、武蔵野美術大学非常勤講師。
写真展に、「横丁曲ればワンダーランド」「周縁の町から」「東京小夜曲」「路上の温度計」(ニコンサロン)など他多数。著書・写真集に「Wonderland」「遠い夏」「下町純情カメラ」「東京手帖」「デジカメ時代のスナップショット写真術」ほか。

全日本写真連盟

全日本写真展2010
10/21 (木) ~10/27 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

38回目を迎えた「全日本写真展 2010」のテーマは、身のまわりの暮らしや風俗、人間の営み、政治経済に至るまで、“あなたのセンスで現代を切り撮ろう”である。
展示する作品には、変貌する都市や農村、地方に残る昔ながらの暮らしなど、全日本写真連盟の会員をはじめとする全国のアマチュアカメラマンや高校生が、足で歩いて捜し出した“現代のひとコマ”が写し出されている。
全日本写真展は、「国際写真サロン」、「日本の自然」とともに全日本写真連盟が主催する代表的な公募写真コンテストで、一般の部、高校生の部の2部門に分けている。本作品展では入賞作品一般の部113点、高校生の部44点の合わせて157点を展示する。なお、入賞作品集を制作し、記録として残している。
本写真展は新宿ニコンサロンでの開催後、本年10月21日(木)~10月27日(水)、大阪ニコンサロンにおいても開催し、その後全国の主要都市を巡回する。

団体のプロフィール

全日本写真連盟は1926年(大正15年)に創設され、朝日新聞社が後援する全国的な組織で、現在約2万人の会員を擁する写真愛好家の団体である。

照井 四郎

写真
紀州人
10/28 (木) ~11/3 (水)
【10/28(木)‐10/31(日)】11:00~19:00
【11/1(月)‐11/3(水)】10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

紀州・紀の国は歴史に彩られたいにしえのロマンが息づく山と海の国である。2004年7月、「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録され、にわかに脚光を浴びるようになった。
雪国育ちの作者が、冷たい雪の降らない南国に憧れ、「新紀州人」となって早40年という歳月が流れ過ぎた。
作者は、本格的に高野の「お山」と、3,600峰という大小さまざまな山が連なる熊野の森を駆けめぐって20年が経つが、野趣にあふれ、深遠な大自然の懐にもぐり込み、神秘的な光景に出合うと、心が震えるという。しかし、何よりも強く心を揺さぶられ、癒されるのは情が厚く、あけっぴろげな地の人々の暮らしにふれた時である。
一期一会に胸を膨らませ、まるで蟻のごとく巡った車の走行距離は40万キロを越えた。作者自身、改めてその道のりに驚いているが、作者にとってふるさと回帰ともいえる「お山と熊野」への行脚は終わりそうにない。
本展では、1993年より撮りためたものを展示する。モノクロ約50点。

作者のプロフィール

照井 四郎(テルイ シロウ)
1948年秋田県横手市生まれ。フォトスタジオを経営するかたわら、作家活動を続ける。86年閉山した日本最古の石炭の島「高島炭坑」に10数年通い、ヤマの運命をカメラで追い続けた。その後、紀州に流れる川の自然と人々の暮らしに目をむける。95年1月17日早朝、突然「神戸」を襲った大地震を発生翌日から現地で野宿し記録。現在熊野の森とモンゴルの草原をライフワークとして活動している。日本写真家協会会員。二科会会員。
写真展に、87年「ヤマが消えた」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン・和歌山・横浜)、92年「紀の国の川」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン・神戸)、95年「阪神大震災―お兄ちゃんは死んだ」(キヤノンサロン/銀座・大阪・福岡・札幌・名古屋)などがあり、著書に88年「地底の炎は消えた」(日本写真企画)、92年「紀の国の川」(IPC)、95年「阪神大震災―瞬間証言」(朝日新聞社)、98年「神棲む森―熊野」(アガサス)などがある。
また、2004~10年、NHKテレビ(和歌山)「ネイチャークラブ」「ハートプラザ」「ウェーブ写真館」のコメンテーターを務め、08年「太陽と草原と―モンゴル訪問10年」を朝日新聞和歌山版に1年間(42回)連載している。

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