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髙橋 健太郎 写真展赤い帽子

会期

2019年9月18日(水) 〜 2019年10月 1日(火) 日曜休館

10:30~18:30(最終日は15:00まで)

2019年10月10日(木) 〜 2019年10月23日(水) 日曜休館

10:30~18:30(最終日は15:00まで)

開催内容

2017年6月から北海道音更町在住の松本五郎さん(現在98歳)、そして北海道旭川市在住の菱谷良一さん(現在97歳)のところへと通い、彼らの日々の生活にレンズを向けている。その日常はとても穏やかで、本を読んだり映画を観たり、絵を描いては友人たちと談笑したりひ孫さんたちと遊んだり。彼らの生活に身を委ねて一緒に時間を過ごすと、普段東京の直線的な速度に沿って生きているこちらの心は、2度と東京に戻りたくないと考えてしまう。結局戻るのだが。

そんな彼らは2人とも学生時代に同じ学校で美術部に所属しながら教師を目指していた。それがある日突然、刑務所に入れられる。

1941年9月20日早朝、旭川師範学校美術部の学生であった松本五郎(当時20歳)と菱谷良一(当時19歳)は学生寮で起床寸前のところを特別高等警察に治安維持法違反容疑で逮捕される。当時の美術部では熊田満佐吾先生(東京美術学校卒、現東京藝大)の指導のもと、より良い生き方を模索するため教科書通りに絵を描くのでなく、生活や社会の実態をよく観察しそれを絵にする美術教育が行われていた。しかしそれらの絵は突然、反国家的であり共産主義的だとして犯罪の証拠とされる。2人は何か思想を持って描いていたわけではない。結局1942年12月28日まで旭川刑務所に入れられる。そしてこれが「生活図画事件」と呼ばれている。

出所後の1943年2月11日、菱谷良一さんは妹さんの赤い帽子を被り、自画像を描いた。(髙橋健太郎)

プロフィール

髙橋 健太郎(タカハシ ケンタロウ)

1989年 横浜市 生まれ 
2012年、青山学院大学社会情報学部卒業と同時にスイスの写真家で中国の地方から都市に来る労働者や環境問題をテーマに撮影してきたAndreas Seibertに写真を教わる。
2013年以降、日本の若い男性の服装と思想をテーマに自身のプロジェクトを撮影し始める。
2014年12月、その年の春から始めた多摩川を題材にした作品『河床(かしょう)』(英題:The Riverbed)で写真評論家Jörg Colberg主催Conscientious Portfolio Competition 2014に選出される。同プロジェクトで2015年、第9回RPS Grant受賞。
2015年に戦後70年を迎えた広島をカラーフィルムで撮影した『HIROSHIMA 2015』が8月6日付 フランスの日刊紙Le Monde紙に特集され、その10月にRPSギャラリーにて個展を開催。
2014年からは個別プロジェクトとして日本という国と戦争をテーマに取材を続けている。
2019年3月、世界報道写真財団によるJoop Swart Masterclassにノミネートされる。
2019年9月に赤々舎より写真集『赤い帽子』(英題:Red Hat)を出版予定。
The New York Times、Le Monde、de Volkskrant、WIRED JP、Refinery 29、Bloomberg、Spiegel、soar等に寄稿。

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