Nikon Imaging
Japan

三木淳賞




2008年度 三木淳賞奨励賞

インベ カヲリ★写真展 「倫理社会」




内容:
心の裏表や、さらに隠されたもうひとつの姿だったり、性格の悪さや攻撃性、人に言えない過去、そういった人間の複雑性が好きで撮りつづけた作品である。
「ありのまま……」という言い方があるが、作者はその言葉を信用していない。私服や普段見せる表情は、本人が社会に適合するために演出として使う外見上の主張であって、それが真実とは限らないからである。
撮影中はなるべくそれらを排除し、作者が相手に敬意を払っている部分のみを引っ張り出しているつもりだが、時折失敗するのが写真の面白さでもある。



授賞理由:
いま私たちが暮らす社会、私たちが生きる時代は、複雑な様相を呈している。孤立を深め、頻発する暗澹たる事件、プライドと倫理観を失った揚句に遍満した危険な食品、混迷する教育現場、さらに混迷を深める政治と金融。作者はこのような時代を生きる同世代の中に、欺瞞や、真実や、心の表裏、独特の倫理観を感じたり発見して、その視覚化を試みた。演出によって撮影された写真は、時にユーモラスであり、時にリアルであり、そして時に考えさせられる。全て成功しているとは言い難いが、失敗を恐れることのない自由闊達なその制作姿勢には、これからの時代を担うだろう可能性が期待される。



作者略歴:
インベ カヲリ★
1980年東京都生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経て2006年よりフリー。写真・文筆業。05年日本広告写真家協会・APA公募展入選。エプソン・カラーイメージングコンテスト佳作受賞。
写真展に、07年(個展)「倫理社会」(新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、08年 (グループ展)「VICE PHOTO SHOW」(TOYOTA Scion Space/ロサンゼルス・アメリカ)、「FANTASIA EROTICA JAPONESA」(ARTZ 21/バルセロナ・スペイン)などがある。