Nikon Imaging
Japan
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三木淳賞




第6回(2004年) 三木淳賞

村上 友重写真展 「球体の紡ぐ線」



内容:
本展の、作品のイメージの核となっているのは、「写真を撮った地点や時点、その点を繋いでいくと、やがてそれらが線になり、この地球という球体の上で紡がれていく」ということである。
また、これらは「写真を撮る」という目的を超えて、まだ知らない世界を見てみたいという単純で、しかし強い衝動によって、作者が突き動かされた結果、生まれた作品たちと言える。
したがってこの作品は、これから先もゆるやかに続いてしまうように作者は思う。それは作者がどこにいても、何かに出会い、感動し、そこで写真を撮りたいと思う限り続いてしまう生の営みのようなものだからである。カラー34点。



選考理由:
作者村上氏は、己の写真表現の基本姿勢として「地球という球体の上で、私が写真を撮った地点、時点が繋がれて、やがて大きな線を紡いでいく」とテキストを添えている。このことを示す具体として、写真作品群を知覚することは、この作品を見る者に容易ではない。テキストとその具体としての写真とのキョリから、彼女の写真に対して過大な期待を抱いているように感じられる。しかし、カメラによる表現の具体性―現場における撮るという身体行為―が、“知”を越えて与えてくれる快感を疑うことなく許容する姿、それはあまりに楽天的ではと思う程だが、その純粋に撮ることに賭ける姿勢が新鮮である。
作品に現れている透明な空気感、漂う不可視な意味性は、そんな彼女の楽天的ともみえる写真への期待感から生まれているのだろう。
特に最近の若い人たちの間で、自分の姿に即するという表現のあり方が流行り、外より内、他者より自己に比重がかかり、直接現実へ向おうとしない傾向のなかにあって、自らの身体を現実の中に浸し、他者との共通感覚を発見しようとする行動力、意志力から生まれてくる新鮮な映像は、今後大いに期待できる逸材であると評価された。



作者略歴:
1980年千葉県生まれ。2000年早稲田大学第一文学部入学。04年同校(文芸専修)卒業。
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