Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

vol.20 さまざまなシーンから検証する、Nikon D4Sの実力。

Chapter2 最高峰のAF性能 - 強化された捕捉性 - 奥井隆史氏

1. 全体的に向上したAF性能。

今まで以上に被写体を捕捉。

普段はどのような撮影を行っているのでしょうか?

奥井隆史氏。
写真:AF-S NIKKOR 400mm f/2.8G ED VR
AF-S NIKKOR 400mm f/2.8G ED VR
奥井氏が通常使用するレンズ。

陸上競技を撮影することが多いですね。陸上競技をトラック&フィールドと呼ぶことがあるのですが、その名の通り、走る競技だけでなくフィールドで行うやり投げや砲丸投げなども撮ります。またマラソンや箱根駅伝といった、競技場外で行われる大会の撮影も行います。それらの写真を陸上競技の専門誌などに提供しています。
陸上競技の撮影は意外に忙しく、撮ることだけに集中してはいられません。大きな大会では1日の中でいろいろな競技が行われるので、大会全体の進行状況を把握し、目的の選手を撮り逃すことのないように移動し続けなければなりません。撮影に関しても、競技によって撮るポイントは異なりますし、撮影場所や時間によって光の状態も変わります。そのため構図やシャッターチャンスだけでなく、常にカメラの設定にも気を配る必要があります。

これまでD4をお使いだったそうですが、D4Sで撮影をされた印象はいかがでしたか?

撮影していてまず初めに感じたのは、選手のアップの表情が撮れるようになったということです。例えば、100メートル走などの撮影でゴール付近からこちらに向かってくる選手を撮影した場合(作例A)、D4は、選手がある程度の距離まで近づくとフォーカスが合いにくくなることがあったのですが、D4Sはずっと追い続けてくれるのです。

作例Bのように、走っている選手を連続して撮影する場合、できるだけ多くのカットでピントが合っていてほしいですよね。その確率がD4Sの方が高いと、撮っているときにはっきりわかりました。
作例Bは実際にD4と撮り比べた写真です。引き延ばすと違いがわかると思います。

■作例A:向かってくる動きの撮影

写真:作例
Nikon D4S
AF-S NIKKOR 400mm f/2.8G ED VR
f/2.8 1/1600秒 ISO6400
※クリックするとコマ送りで作例がご覧頂けます。
※2014年2月9日撮影

■作例B:D4SとD4のピントを比較

写真:作例
AF-S NIKKOR 400mm f/2.8G ED VR
f2/.8 1/1600秒 ISO100
※クリックするとコマ送りで作例がご覧頂けます。

■D4SとD4のピントを比較(アップ)

写真:作例
作例Bを顔に寄ってトリミングしたもの。
※クリックするとコマ送りで作例がご覧頂けます。

新機能・グループエリアAFの実力。

走る選手を撮るにあたり、どのようなフォーカス設定をされましたか?

普段は主に「ダイナミックAF」の9点を使っているのですが、今回D4Sでの撮影では、新たに追加された「グループエリアAF」を使ってみました。
「ダイナミックAF」は、1点のフォーカスポイントを基準にしながら、そのポイントから被写体が外れた場合、周囲の9点、21点、51点といったフォーカスポイントが引き続き被写体を捉えてピントを合わせる機能です。対してこの「グループエリアAF」は、最初から基準となる1点のフォーカスポイント+周囲の4点のポイント、計5点のポイントで被写体を捉えていますので、ピントが抜ける確率が減るのです。

■ダイナミックAFとグループエリアAFの違い

ダイナミックAF:
選択されたフォーカスポイントから被写体が外れた場合でも、周囲のフォーカスポイントが補完して被写体を捉える。
グループエリアAF:
初めから選択したフォーカスポイント1点+上下左右4点の計5点で、面として被写体を捉える。

また「グループエリアAF」を使うと、一度ピントが抜けてしまっても、作例Cのように再びピントが戻ってくる確率も高くなりました。走っている選手を連続で撮影していると、どうしてもAFが追い切れなくなる瞬間があります。D4Sでもピントが甘くなることはありますが、ピントが外れかかっても早い段階ですぐに戻ってきました。

D4Sは複雑な動きにも強そうですね。

陸上競技の場合、選手が動く範囲や撮るポイントはある程度決まってはいるのですが、例えばゴールを駆け抜けて行く選手の後ろ姿などもしっかり追えました。これまでのカメラは、「遠ざかって行く被写体」を追従するのはあまり得意としなかったように思います。
それから動きに緩急のある被写体を撮影する場合、例えば三段跳びは、ジャンプして着地し再びジャンプするという動きが入るため、一瞬ごとに選手のスピードが変わります(作例D)。今まではこのような動きを連続で撮影しようとすると、速度の変化にAFが十分に反応できず、狙った場所でピントが合う確率は必ずしも高いとは言えませんでした。しかしD4Sは、このような被写体もしっかり追ってくれます。大変驚きました。
サッカーやラグビーなど、不規則な動きが多い競技にも威力を発揮しそうですね。

■作例C:グループエリアAFによるピントの戻り

写真:作例
Nikon D4S
AF-S NIKKOR 400mm f/2.8G ED VR
f/2.8 1/1600秒 ISO100
※クリックするとコマ送りで作例がご覧頂けます。

■作例D:緩急のある動きの撮影

写真:作例
Nikon D4S
AF-S NIKKOR 400mm f/2.8G ED VR
f/2.8 1/1600秒 ISO6400
写真:作例
Nikon D4S
AF-S NIKKOR 400mm f/2.8G ED VR
f/2.8 1/1600秒 ISO6400
写真:作例
Nikon D4S
AF-S NIKKOR 400mm f/2.8G ED VR
f/2.8 1/1600秒 ISO6400
写真:作例
Nikon D4S
AF-S NIKKOR 400mm f/2.8G ED VR
f/2.8 1/1600秒 ISO6400

連写性能も、被写体をAFで補足しながら秒11コマの撮影が可能になりましたね。

通常スポーツを専門とするフォトグラファーは、一番の見せ場となるようなシーンにポイントを合わせシャッターを切っているので、何十コマもずっと押しっぱなしということは基本的にありません。
しかし選手の中には、走っている間ほとんど目をつぶりっぱなしで、たまにしか目を開けない人がいるんですよね。クライアントの依頼でそのような選手を撮る場合、いつ良い表情になるかわからないですから、速く正確に被写体を捉えられる連写機能があると助かります。

AFロックオン性能に優れたニコンのカメラ。

走り高跳びの撮影も動きに緩急があり、難しそうですね。

簡単ではありませんね。
例えば作例Eのように選手が飛んでバーを越える瞬間を撮る場合、まず選手がジャンプするまでの間、フォーカス精度が一番良い中央部のセンサーに選手の顔を置き、AFロックオンしながら動きを追います。そしてバーを超える瞬間にフレームをずらし、イメージした構図でシャッターを押します。
急にフレームをずらしてもピントが完全に解除されるまでに一瞬タイムラグがあるので、このような撮り方が可能になります。特にニコンは、フレームをずらしてからAFロックオンが外れるまでの時間が他社より長いように思います。そのため、よりイメージに近い構図で撮影できます。
ニコンはAFロックオンの性能が優れていると思いますよ。

作例Fも顔にしっかりとピントが来ていて、きちんとセッティングして撮っているかのようですね。

走り幅跳びの選手が、ジャンプをした瞬間を撮っています。この写真も助走の時点からAFロックオンを強くかけているのですが、ロックしたまま動きを追いかけ、ジャンプした瞬間に選手の動きに合わせて手持ちでカメラを振りながらシャッターを押しました。それだけで、これほどピントが合っています。
絞りを開放にしたまま撮ってみたのですが、ここまで合うとは予想していませんでした。
このような写真を撮影するには、今までなら置きピンで撮るしかなかったと思います。

■作例E

写真:作例
Nikon D4S
AF-S NIKKOR 400mm f/2.8G ED VR
f/2.8 1/1600秒 ISO4000

 

写真:作例
作例Eを顔に寄ってトリミングしたもの。

■作例F

写真:作例
Nikon D4S
AF-S NIKKOR 400mm f/2.8G ED VR
f/2.8 1/2500秒 ISO160

初速についてはどのように感じましたか?

初速も非常に速くなっています。例えばスノーボードのハーフパイプのような競技の場合、ジャンプして一番高い位置に到達した瞬間を収めるのが理想ですよね。でも滑るコースが明確に定まっていないので、置きピンでの撮影は難しいのではないでしょうか。
でもD4Sなら選手の動きを追いながら、ジャンプした地点で補足し、最高到達点でシャッターを押すことも可能だと思います。

写真:作例

写真:作例

写真:作例