Nikon Imaging
Japan

vol.1 無線LANの活用

2.撮影手順とシーン別ノウハウ

無線LAN設定は最初がポイント。

無線LANアダプター。

それでは実際の作業手順を教えて下さい。まず無線LANを利用するためには何が必要でしょう?

WT-4を無線で使うにあたっては、無線LANが標準装備されたパソコン、または外付けの無線LANアダプターが必要です。また、転送速度を少しでも速くするには、無線LANアクセスポイントが必要になります。初めて無線LANを行う人は、別途用意して下さい。僕がスタジオで使用している無線LANアダプターは、最新の無線LAN規格であるIEEE 802.11nにも対応しているので、パソコンと周辺機器を高速無線LANで繋ぐことができます。環境が整いましたら、カメラ自体にも無線LAN設定を行います。

この設定は簡単にできるのですか?

慣れないと正直ちょっと難しく感じるかも知れません。デジタルが苦手という方には、このネットワーク設定に違和感を覚える人もいることでしょう。ただし、通常のネットワーク設定ができる程度の知識があれば大丈夫だと思います。
ところで、今行っているのはアクセスポイントの変更です。昨日別の撮影で変更してしまったために、あらためて変更し直しているんです。特定の場所で使うのであれば、最初の設定を頻繁に変更することはないでしょう。最初に認識されるまでは少々時間がかかりますが、リンクができてしまうと直ぐに通信が行えます。

無線LAN設定
無線LAN設定
無線LAN設定

写真の確認とバックアップが行える実用的なFTPモード。

写真の確認とバックアップが行える実用的なFTPモード。

パソコンと繋がったようですね。

では早速撮影してみましょう。設定は先ほどご紹介したFTPモードになっています。撮影すると直ぐに転送が始まります。撮影後の画像モニターに送信マークが出ます。グリーンが転送中という表示。ブルーになると転送完了です。

かなり早く転送されましたね。

実は今パソコンに表示されたのは、サムネイルデータです。正式なデータが送られているわけではありません。実際のRAWデータの転送は8秒くらいかかるんです。そのため1~2秒ほどで送れるJPEGのサムネイルデータを先に送る仕組みになっています。

なるほど、これならほぼリアルタイムでの確認ができますね。

そうなんです。例えばオープンのファッション写真だと、どうしてもカット数が多くなります。そんなときは600万画素程度のJPEGだけを先に送るんです。これにより、テントの中でクライアントとエディターに写真を見てもらいながら撮影を進める、などと言うこともできます。撮りながらクライアントに写真を確認してもらい、OKが出たらそのカットは終了、という訳です。それにニコンのD3は画質がいいので、仮に本データに問題がおきても600万画素の画像を加工して印刷できるクオリティに持って行くことも可能です。チェックという意味では、このFTPモードは非常に実用的ですね。

このときRAWデータはどうなっているのですか?

WT-4内のメモリに保存され、順次パソコンに転送されます。RAWデータでも70枚前後は保存されるので、1カットの撮影を完了するには十分でしょう。データ転送も約70枚前後であれば30分程で完了します。その間通信に障害が生じると転送はとぎれますが、FTPモードではカメラ内のメモリカードにもデータが残っているので安心なのです。

FTPモード以外にも無線の転送方法があるのですか?

データを直接パソコンに転送するPCモード(PTP-IP)というモードもあります。これはパソコンからカメラをコントロールできる大変便利なモードなのですが、僕はRAWデータでのダブルバックアップを重視するので、普段はFTPモードで撮影し、ニコンのViewNXなどで撮影写真を確認するようにしています。

屋外では快適な通信環境の確保を。

ポータブルな無線LANアクセスポイント。単三形電池が使えるので、オープンロケには重宝する。

今はスタジオ撮影ですが、屋外で利用する時はどうされていますか?

屋外用の無線LANアクセスポイントを、屋内用の物とは別に用意しています。単三形電池で動作しますので、電源の確保が不安な場所でも安心です。この無線LANポイントは単三形電池4本で7時間前後使用が可能。つまりパソコンとカメラ、WT-4、無線LANポイントの組合せで実質一日のオープンロケにも十分対応できるという訳です。

通信は、雨などの天気や障害物には左右されますか?

天候には左右されます。雨の時はスムーズに通信が行われにくいですね。電波の直進性が高いので、雨や水があると通信距離が短くなるんです。オープンロケの場合は注意が必要でしょう。それから、物はもちろんスタッフがアクセスポイントとの間を頻繁に遮ると、転送に障害が起きることもあります。またWT-4を腰などに付けた状態で、アクセスポイントの方向に自分の体が向いていると、自分自身が障壁になったりもします。できるだけ見通しの良い場所にアクセスポイントを設置することをお勧めします。

屋外で使う場合、混線やセキュリティなどの問題はないのですか?

混線について、普通のオープンロケであれば基本的にはほとんどありません。ただし他の無線機器などと電波干渉を起こすなどして、スムーズに通信が行われない可能性はあります。またセキュリティの面でいうと、他人のPCにデータが飛ぶこともありえます。ですので常時確実に無線LANを利用できるように、自分専用のアクセスポイントを携帯した方がよいでしょう。またセキュリティの設定もきちんと行う必要があります。

屋外と屋内、どちらにメリットがあるでしょう?

どちらでもメリットがありますよ。要は使い方次第なんです。今は多くのメーカーから無線LAN機器がでています。何のために使うのかという目的をはっきりし、その目的にあった機器やソフトを組み合わせれば、屋内でも屋外でも便利に使うことができるはずです。
ところで一つのコツとして、無線LANのアクセスポイントは屋内・屋外用にきちんと切り分けておいた方がいいですね。一台で屋内でも屋外でも使える物も多いですが、現場に行ってからセッティングを切り替えていると、その手間で肝心の撮影が遅れてしまいますから。

茂手木 秀行氏

海外で無線LANを使う場合は、注意が必要。

この無線LANシステムは海外でも使えるのですか?

もちろん使えますよ。ただし海外で無線LANを使う場合は、注意が必要です。実は無線LANはそれぞれの国により認可(法律)が違っています。日本で一般的な規格であるIEEE 802.11b/gは屋外でも使用できます。ですが国によっては、これを屋外で使うことを禁止しているところもあるのです。単三で動くアクセスポイントは手軽に使えるので海外ロケにも大変重宝するのですが、使用にあたっては事前に必ず確認をして下さい。

オープンロケ用通信セット。