銀座ニコンサロン 2016年7月

藤岡 亜弥写真展

写真
川はゆく
6/22 (水) ~7/5 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真

3年前に作者は広島に引っ越し、日常を通してヒロシマを考えるという作業が始まった。広島を歩くと、いやがおうでもヒロシマの表象に出会う。
広島で平和を考えるのは当たり前のことのようでもあるが、日常という厚い皮層からヒロシマの悲劇を垣間みることの困難さなど、生活してみて初めて知ることが多かった。さらに、街にあふれる「平和」という名のお祭りやアート、劇場化されたイベントなど、平和へのエネルギーを感じながらも、平和はつかみきれないばかりか、ひとつの自己表現として街と平和とアートの関係についても作者は考えることになった。そのような日常の表層は、70年という厚い時間がもたらしたものかもしれない。そのなかで歴史の深層に不可視化されてきた悲劇が、どこかに見え隠れしているのではないかと作者は思った。日常を通して歴史を意識化することが、見ることの拡張に深く関わることを知った3年だった。
カラー40点。

作者のプロフィール

藤岡 亜弥(フジオカ アヤ)
1972年生まれ。90年広島県立呉三津田高等学校卒業。94年日本大学芸術学部写真学科卒業。97年台湾師範大学語学中心に留学し、99年まで台北市に滞在。99年から2000年までヨーロッパに滞在。08年から09年まで文化庁新進芸術家海外派遣制度奨学生としてニューヨークに滞在。09年から12年までアーティストビザを取得しニューヨークで活動。12年から広島で活動中。ニコンカレッジ講師、毎日文化センター講師、プチポカ会主宰。  
写真展(個展)に、96年「なみだ壺」(ガーディアン・ガーデン/東京)、96年「笑門来福」(WORKS H/横浜)、01年「さよならを教えて」(新宿ニコンサロン/東京)、04年「離愁」(新宿ニコンサロン/東京)、05年「さよならを教えて」(ビジュアルアーツギャラリー・東京、ビジュアルアーツギャラリー(大阪)、名古屋ビジュアルアーツ内ギャラリー、九州ビジュアルアーツ内ギャラリー)、06年「私は眠らない」(銀座ニコンサロン/大阪ニコンサロン)、09年同展(AKAAKA/東京)、10年「Life Studies」(Dexon gallery/New York)、11年同展(AKAAKA/東京)、同年「アヤ子江古田気分」(AKAAKA/東京)、12年「離愁」(AKAAKA/東京)、同年「離愁」(ギャラリーG/広島)、14年「Life Studies」(銀座ニコンサロン、大阪ニコンサロン)、同年「Life Studies 2」(Place M/東京)がある。
グループ展に、05年「離愁」(第24回写真『ひとつぼ展』)、同年「マリクレール ホワイトキャンペーン 2005」、06年「平遥国際写真フェスティバル」(中国・平遥)、同年新写真派協会「フォトグラフィティ1980−2005」(ポートレートギャラリー)、10年「message-飯沢耕太郎の注目する女性写真家-」(リコーフォトギャラリーRING CUBE)、10年「日本写真協会賞受賞作品展」(富士フイルムフォトサロン)、14年「赤々舎から 本から 写真から」(スパイラルガーデン/表参道)、15年「花-生きるということ-」(東広島市立美術館)のほか多数がある。
受賞歴に、94年日本大学芸術学部奨励賞、04年ビジュアルアーツフォトアワード、04年第24回写真『ひとつぼ展』入選、10年日本写真協会新人賞がある。
写真集に、96年『シャッター&ラブ 16人の若手女性写真家』(インファス出版)、04年『さよならを教えて』(ビジュアルアーツ出版)、09年『私は眠らない』(赤々舎)があるほか、16年6月『川はゆく』(赤々舎)が出版される予定。

新正 卓写真展

写真
HORIZON OROgraphy
7/6 (水) ~7/19 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真

新正卓の「HORIZON」は、1990年代後半から撮影行が始まり、2006年に催された新正の回顧展「黙示」(於・武蔵野美術大学)でその一部が公開された後も、写真家自身の当初のプランを大きくはみ出し、変容の過程を経てきたシリーズである。2012年の東京パブリッシングハウス(横田茂ギャラリー)、2014年ロンドンのAnnely Juda Fine Artでの発表に続き、いよいよ2016年ニコンサロンでの個展において、プロジェクトは一つの頂へ至り、「HORIZON」全貌が明らかにされようとしている。
本作において新正卓は、列島各地の海ぎわに切り立つ崖上にカメラ・ポジションを探し、日本と呼びならわされた圏域を輪郭づけている(だが、確然と見えるはずもない)境界が横たわる彼方へ、まなざしを遠投していく。ここでの身ぶりは、もはやドキュメンタリーという枠組みに収まるものとは言えず、あたかも夢や忘我状態の時に魂がさまよう場所を眺めているかに思えてくる。これらの画面に向き合っていると招魂または魂鎮めの気配めいたものが寄せ来て、スケールの大きな視界を静かに満たしだすようだ。
「HORIZON」シリーズは3つのパートから構成されている。「境界」、「植生」、及びピンホール・カメラで撮影された「可視の変容」の各パートで、世界の遠近を抱握するべく近年新正が実験をかさねてきた“OROgraphy”の方法(1900年前後のアメリカの写真家エドワード・カーティスが手掛けた金泥を用いるガラス・プレート陽画の写真術にヒントを得て、デジタル技術をまじえ新正が独自に生み出した黄金印画術)が導入されている。画像の組成に金という物質を加味することで、眺めは奥行きを深め、翳りを積層し、此方と彼方を溶け合わせるような光の効果が現出している。(大日方欣一)
※本文は、大日方欣一氏(写真史家・フォトアーキビスト)より本展に対して寄せられた一文から抜粋したものです。  

作者のプロフィール

新正 卓(アラマサ タク)
1936年旧東京府東京市豊島区生まれ。40年中国・旧満州へ渡る。47年山形県に帰国。57年旧武蔵野美術学校入学。61年同学卒業。62年(株)アルファーG設立。70年新正卓 写真事務所を開設、写真家として活動開始。73年文化出版局特派員としてパリで活動。76年パリから帰国、新正卓 写真事務所に復帰。93年武蔵野美術大学教授就任。2007年同学退任。
主な写真展(個展)に、87年「南米移民一世の肖像・遥かなる祖国(土門拳賞受賞記念)」(銀座ニコンサロン、大阪ニコンサロン、土門拳記念館、広島)、90年「双・家族(銀座ニコンサロン、大阪ニコンサロン)、92年「私は誰ですか・親探し行動展」(広島市/福岡市)、94年「酋長の系譜 portraits of Native America」(有楽町アートフォーラム/東京)、95年「沈黙の大地/シベリア」(新宿パークタワー/東京)、00年「約束の大地/アメリカ」(ミツムラアートプラザ/東京)、01年「私は誰ですか」(ポラロイドギャラリー/東京)、05年「ARAMASA SAKURA(Stephen Wirtz Gallery/サンフランシスコ)、06年「黙示-ARAMASA Taku Photographs-」(武蔵野美術大学美術館/東京)、08年「ARAMASA SAKURA」(銀座ニコンサロン、大阪ニコンサロン)、12年「ARAMASA Taku Photographs -HORIZON-」(東京パブリッシングハウス、横田茂ギャラリー/東京)、14年「ARAMASA Taku OROgraphy -HORIZON-」(Anneli Juda Fine Art/ロンドン)がある。
写真集など著書多数。

小松 透写真展

写真
遠い渚 -a distant shore-
7/20 (水) ~8/2 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真

山育ちの作者にとって海は子どものころの憧れだった。初めて海を見たのはいつだったか? 野蒜に海水浴に連れて行ってもらった時か、遠足で松島に行った時か? 大きくなったら海の近くに住もうと心に思った。今は山も海も見えないところに住んでいるが、いつもあの海を思っている。

2011年の東日本大震災以降、津波や地震の被害があった場所の木々を作者は撮り続けている。
その際にふと陸地に浮かぶ島のような岩山が気になりだした。たいていその岩山には松が育っていて、現在は陸地だが、もとは海に浮かぶ小島だったのだろうと思う。その岩山はたいてい、しめ縄が巻かれていて信仰の対象となっている。海に浮かぶ島、陸地に挟まれた島、陸に浮かぶ島。どれも興味深い対象である。陸に浮かぶ島は海から遠く隔てられても、海に浮かんでいた時を忘れていないのだろうと想像する。         
モノクロ約40点。

作者のプロフィール

小松 透(コマツ トオル)
1969年宮城県玉造郡岩出山町(現大崎市)生まれ。94年多摩美術大学芸術学科卒業。「静物」をテーマに92年から映像作品と写真作品を制作。
主な写真展に95年「静かな生活」(リュ・プラス)、2009年「STILL LIFE」(Place M)、11年「nature morte -aprés311-」(新宿ニコンサロン)、13年「metro's」(M2 gallery、TokyoLightroom)、14年「STILL ALIVE」(Place M)、同年「EVENT HORIZON」(新宿ニコンサロン)、15年「nature morte」(Place M)がある。
ホームページ http://stilllife.org