新宿ニコンサロン 2012年11月

juna21 太田 章彦写真展

写真
blowin' in the wind
10/30 (火) ~11/5 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

作者は、「限界集落」という言葉の視覚化する作業に取り組む。
2011年の春に作者が引っ越しした島根県浜田市弥栄町は、平成の大合併により05年に近隣の市に吸収されて弥栄村から弥栄町になったところだ。作者の母方の祖父母が暮らすこの地には、作者も幼い頃からよく遊びに来ており、メダカやゲンゴロウ、ホタルなどの絶滅危惧種とされる生物をたくさん見つけた記憶がある。
現在、自然に囲まれたこの地は「限界集落」と呼ばれ、作者もこの地の住人として暮らす時間の経過とともに、ここが暗い未来を予感させるその言葉で呼ばれる理由がじわじわと見えてきたという。年寄りが目立ち、子どもが少ない。空き家が増え、学校の数も減り、農業や伝統芸能など、この土地のこれからを担う後継者も不足している。この状況から、数年後、数十年後のことを考えると胸を締め付けられる思いがする。と同時に、「限界集落」の撮影を続けるうちに作者が辿りついた問いは「豊かさとは何か」ということだった。カラー約30点。
*限界集落とは、過疎化などで人口の50%以上が65歳以上の高齢者になり、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になった集落を指す。日本における概念(Wikipediaより)

作者のプロフィール

太田 章彦(オオタ アキヒコ)
1989年島根県生まれ。現在も同県在住。ビジュアルアーツ専門学校・大阪卒業。

土屋 友幸写真展

写真
COMMONAGE
11/6 (火) ~11/19 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

ニューヨークシティ(NYC)に昔から住んでいる人達に言わせると、「ニューヨークはアメリカでは無い」らしい。もちろんジョークだが、それほど住んでいる人自身が、この街がいかに独特かという事を自覚していて、誇らしく想っているかが伺える。
合衆国最大の都市にして世界の経済、金融の中心。世界中から様々な文化が集まり、流行や新しい文化が生まれている。それを聞いただけでも沢山の人々を惹きつける街だということは想像できるだろう。
そう、世界中の人々がこの街を目指してやってくる。
公式発表によると、NYC総人口の約30%が移民で、2000年以降にNYCで生まれた子供の10人中6人は両親の少なくとも一方が外国生まれだという。
2007年に、作者は興味深いランキングリストに出会った。移民の出身国ランキングで、NYCとアメリカ全土のランキングが、かなり違うのだ。これは「NYCの特異さ」を作者自身の方法で解き明かす為の糸口になるのではないかと思った。
「統計」というマクロから、NYCを構成している人々、「家族」というミクロへ。移民家族、12カ国12家族の肖像。
国境を越えて生きていくという事、世界の人々が共存するという事を考える時、祖国を離れ、NYCで逞しく生きている移民の人々の姿は、これから自分たちが生きていく世界のヒントになるだろう。カラー40点。

作者のプロフィール

土屋 友幸(ツチヤ トモユキ)
1975年長野県生まれ。2000年カナダに渡り、Building Stronger Communities の依頼で、自然環境、移民やネイティブの貧困問題の現状を各地で撮影。バックパッカーとして撮影しながら北米を横断。03年日本写真芸術専門学校卒業。清水尚氏に師事。05年独立。「Tomo Stampede」名義でポートレート、ファッション、ビューティーを中心に雑誌、広告、CDジャケット等で活動。07年NY滞在を機に、ノンアサイメント作品の制作を開始。

juna21 大塚 広幸写真展

写真
Hello World
11/20 (火) ~11/26 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

作者は東京や都市という対象に特別な思い入れはない。しかし、たまたま写った写真はすごく輝きのある街になっていて驚いた。同時に浮遊感のある今の社会で、高度成長の惰性のようなエネルギーに齟齬感があるこの官庁や企業本社が集まる街は、つるりとした四角い建物が次々と建設されていて、その足元は洗練された商業施設や美しいエクステリアが広がり、すぐ隣にはバブルの時代に建てられた格調高い遺跡のような建物が入り交じる。
こういうハイブリッドな構成の街で、同じような箱に、同じような人々が吸い込まれ、吐き出されてくる様子に、このまま時代を謳歌して切り抜けていくような、緩やかな速度を感じるが、これは先ゆく国が見せる今日であり、強固な日常は突然あったのでなはなく、歴史の上にあるのだ。
作者の世代は、戦後の歴史を教科書でしか知り得ず、バブルの時代は知らない間に終わり、贅沢をしなければ適度に生きていけるシステムの恩恵を受けている。また、自由奔放に各々の世界観を作り、他者とのコミュニケーションも仮想空間へ移行して、共有する現実もどこかゲームのような世界で、次々に顕在化する社会の歪みに直面しても希薄感があり、具体的な敵もよく見えない。
こんなふうに、この街で働きながら生活をしているこの世代の多くは、社会の舵取りを担っていながら、何が正しくて何が悪なのか分からない中で右往左往している。
成り行き任せの今の社会に適合する表現とは何かと考えると、行き詰まりを行き詰まりとして見せるしかなく、写真を普通に撮るしかない。
本展のテーマは、こうした日常の現実をどこまでも引きずる宿命にある写真という閉塞的なメディアが、飛躍や越境に憧れて夢を見るものの、基本的なスペックは現実を捏造する事しかできないので、袋小路に入り込んでも捏造を過剰にくり返すという構造を露出することにある。
モノクロ40点。

作者のプロフィール

大塚 広幸(オオツカ ヒロユキ)
1978年群馬県生まれ。2009年東京綜合写真専門学校写真芸術第2科卒業。12年金村修氏のワークショップに参加。

コジマ キエ写真展

写真
遠雷
11/27 (火) ~12/3 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

遠く 雷鳴が響くと
僅かな恐れと期待の両方が 私の内に湧き起こる
関連性の無い あるいは
両極端なイメージが 結びついて形成する世界を
私は愛する
それらは 密かに呼び合っていたかのような
錯覚を引き起こし
私は 雷鳴を聴く

作者にとって写真を撮り、プリントを作ることは、自己を肯定する行為であり、それを発表することは、その裏付けと自己顕示欲から、あるいは自然の摂理である。
写真は何も決めず、自由に撮ったものであるが、セルフポートレートに関しては、現在のテーマになりつつあるという。モノクロ40点。

作者のプロフィール

コジマ キエ
埼玉県生まれ。2009~10年カロタイプ、白岡順氏のワークショップへ参加。10年、ギャラリー恵風(埼玉県)にて個展開催。