Nikon Imaging
Japan

銀座ニコンサロン 2014年7月

大西 みつぐ写真展

写真
放水路
6/18 (水) ~7/1 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

荒川放水路は1911年(明治44年)の測量にはじまり、1930年(昭和5年)までの長期間を費やして開削した人工の河川である。
作者は、1985年にこの放水路の近隣に暮らした数年間を「河口の町」と題して発表した(作品は第22回太陽賞を受賞)。バブル期の江東の町だったが、それでもまだ庶民の穏やかな暮らしぶりは残っていた。そして2012年に賑やかなスカイツリーの傍らの辺境として「砂町」を撮り下ろした(作品は日本写真協会企画展として写真展を開催)。その間には唯一のモノクロ作品「wonderland」が幾重にも挟まれている。
これらをすべて太く一本につないでいるのがこの放水路であったことを思い返した時、作者は再びこの川をどこまでも歩いてみたくなった。東日本大震災後の東京臨海部の風景が無防備に曝されていることへの焦燥感も深く関わっている。
一昨年の夏から、作者は赤羽岩淵から河口までの22㎞を繰り返し歩いた。「放水路の風景」は、昭和初期に永井荷風が詩趣として唱えた「荒涼寂寞」さとは一見無縁の健康で平和な水辺風景が連なっている。しかし、ところどころに広がるヨシ原の間には、ぎりぎりの際で「生」を保ちながらなにかを解き放ち、密やかにそこにいようとする人間の気配が充満している。それらは都市の周縁にこそ浮かびあがる現在性ではないか。そして、川はどこか遠くで投げ込まれたかもしれぬ今日の日本の澱をたっぷり宿しながら、海へとめどなく排出され続けている。
静かで寂しく儚い情景の中に、私たちの明確な明日など見いだせはしないのだが、ここから東京を深く想い続けていたいと作者は考えている。

とめどなく流れる川、密やかなる日々。ぎりぎりの「際」で東京を想う。

カラー約40点(液晶画面による映像も上映予定)。

作者のプロフィール

大西 みつぐ(オオニシ ミツグ)
1952年東京深川生まれ。74年東京綜合写真専門学校卒業。70年代から東京、下町をホームグランドとして撮影を続けており、東京綜合写真専門学校、東京造形大学、関東学院大学、武蔵野美術大学の講師、非常勤講師を歴任。また、2000~08年、ニッコールクラブ幹事、ニコンサロン運営委員を務める。85年「河口の町」で第22回太陽賞受賞。93年「遠い夏」ほかで第18回木村伊兵衛写真賞受賞。同年、江戸川区文化奨励賞受賞。
個展、企画展を多数開催。写真集・著書に「wonderland」「遠い夏」「下町純情カメラ」「東京手帖」「デジカメ時代のスナップショット写真術」などがあり、作品は東京都写真美術館、フランス国立図書館などに収蔵されている。
現在日本写真家協会会員、日本写真協会会員、大阪芸術大学客員教授、ニッコールクラブ顧問。

神田 開主写真展

写真
地図を歩く
7/2 (水) ~7/15 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

作者は、北関東の地で暮らす中で培った目と感覚で、場所と場所とをつなぐ境界のような、そんな光景を探し歩いては撮り続けてきた。
見慣れた景色の中にジッと佇んでいると、今まで気づかなかった場所の移り変わりや、当たり前のようにそこに在ったものの姿が浮かび上がってくる。都会とはまた違う時間の流れの中で、いつとも知らずその営みは変わっていき、静かに姿を変えていく景色のさまは、見知っていたはずなのにどこか遠くまで来たような、そんな錯覚さえ想い起こさせる。
景色は移るともなく移り変わり、近づき過ぎれば浮き足立ち、離れ過ぎればどこか遠い出来事のように現実感が薄れてしまうその合間を、縫うようにして歩をすすめていく。
驚くほどにきれいな景色が広がっているわけでもなければ、深く刻み込まれた歴史の片鱗を感じさせるものでもない。
自身の在所を探し歩き、場所の成りたちを見つめながら、とり留めない景色の中にいつの日かの故郷の姿を重ね合わせて、歩いた足跡をかたち作っていく。モノクロ約30点。

作者のプロフィール

神田 開主(カンダ アキカミ)
1986年群馬県出身。2009年日本写真芸術専門学校卒業。11年同校研究科卒業。現在JCII菊地東太写真塾在籍中。
主な写真展に、09年「真昼の夜空」、12年「追想の地図」(以上Juna21新宿・大阪ニコンサロン)がある。

城野 智子写真展

写真
結界
7/16 (水) ~7/29 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

東京23 区の最も南に位置する河川敷に人の暮す土地がある。
かつてその地は江戸時代から続く砂利採取が盛んに行われた地であった。砂利採取は明治以降に需要が拡大し、関東大震災、戦後の混乱、高度経済成長期を経て、東京の近代化の影として歩んできたが、1965年にその歴史を閉じた。その後、ある場所では一部の残った砂利採取事業者に住民登録が認められ、またある場所ではホームレスの村が自然発生し、この地に類い稀な秩序が生まれた。
こうして半世紀もの時間が流れ、国も都も誰もその土地に手出しが出来なくなっていた。
結界は張られたのだ。
舗装されていない道路に掘立小屋、電気、ガス、水道も通っていない、人の暮すその土地は、我々が暮す土地の道一本隔てた向う側、鬱蒼とした叢の向うに、今も静かに存在している。カラー約50点。

作者のプロフィール

城野 智子(ジョウノ トモコ)
東京生まれ
跡見学園女子大学文学部美学美術史学科卒業

グループ展
07年 6×6 sisters vol.1(NADAR shibuya355/渋谷)
09年 6×6 sisters vol.2(Gallery LE DECO/渋谷)
13年 2BWS 惑ハス(Gallery LE DECO/渋谷)

沈 輝写真展

写真
棚田の民
7/30 (水) ~8/12 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
休館:8/9(土)・10(日)

写真展内容

加車村は中国貴州省の南端に位置する人口1500人ほどの苗族の集落で、从(従)江県加榜郷の中心である。村を取り巻く標高1000メートル級の山腹は見渡す限り棚田で覆われ、その景色の美しさで近年観光地として脚光を浴びるようになったが、自然条件は非常に厳しく、多少機械化されたとはいえ、農作業は過酷である。しかし、それゆえ中国における最も保存状態のよい伝統的な農耕文化を保った場所の一つでもある。
作者は、この村を2011年秋に初めて訪れたが、10回の滞在を通して、その景色とともに、自然と共生して、棚田に生きる人々に強く惹きつけられた。
展示するのは、春の田植、秋の収穫と祭り、寮が併設された小学校等、この辺境の村人の生活と表情を追った作品である。
改革開放以来、村にも様々な変化が起こった。作者は、保たれていた農耕文化の行く末を今後も見守ろうとしている。モノクロ86点。

作者のプロフィール

沈 輝(シェン フォイ)
1958年上海生まれ。上海音楽学院作曲科卒業。92年東海大学、国立音楽大学に留学のため来日。中国の少数民族をテーマに写真、映像、音楽を制作するフリーカメラマン。JPS、視点等に出品。日本リアリズム写真集団会員。東京都東村山市在住。