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2024年5月の星空

月初めの大型連休のころに、見ものの天文現象が続きます。どれも明け方なので、早起きして観察しましょう。連休明け以降は、月が満ちていく様子を日々眺めたり、春の大三角や北斗七星の星々をつないだりしてお楽しみください。うららかな春の陽気を、夜空にも感じてみませんか。

星空写真

群馬県 北軽井沢にて
日中に南岸低気圧が通過したおかげで大気中のダストが除去され、抜群の透明度が得られました。終雪で全面雪化粧の浅間山と沈むさそり座の共演は、心揺さぶる光景でした。

2022年5月10日 3時00分
ニコン Z 6II+NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct(ISO3200、露出30秒、f/2.0)
撮影者:高岡 誠一

5月の星空

南の空

南の空

2024年5月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(15日)、満月(23日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2024年5月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(水) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
4日(土) 未明~明け方、細い月と土星が接近(「今月の星さがし」で解説)
5日(日) 立夏(こよみの上で夏の始まり)
未明~明け方、細い月と火星が接近(「今月の星さがし」で解説)
6日(月) みずがめ座η流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
明け方、細い月と水星が並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
8日(水) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
12日(日) 宵~深夜、細い月とポルックスが並ぶ
13日(月) 夕方~宵、月とポルックスが並ぶ
15日(水) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
夕方~翌16日未明、月とレグルスが接近
16日(木) 夕方~宵、月とレグルスが並ぶ
20日(月) 夕方~翌21日未明、月とスピカが大接近
23日(木) 満月。次の満月は6月22日です
宵~翌24日明け方、月とアンタレスが並ぶ
24日(金) 宵~翌25日未明、月とアンタレスが並ぶ
31日(金) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)

5月の惑星

水星

明け方の東から東北東の低空に見えますが、日の出30分前(東京で4時ごろ)の高度が5度ほどととても低いため、見づらいでしょう。スマートフォンのアプリなどで位置をよく確かめて、見晴らしの良い場所で探してみてください。位置がわかれば肉眼でも見える明るさですが、双眼鏡を使うとさらに見やすくなります。

6日の明け方、月齢27の細い月と並びます。

金星

太陽に近く、見えません。7月下旬ごろから、「宵の明星」として夕方の西北西の低空に見えるようになります。

火星

未明から明け方の、東の低空に見えます。明るさは約1.1等級です。

日の出1時間前(東京で3時30分ごろ)の高度は約10度で、かなり低めです。スマートフォンのアプリなどで位置を確かめて、見晴らしの良い場所で探しましょう。

5日の未明から明け方、月齢26の細い月と接近します。

木星

太陽に近く、見えません。6月中旬ごろから、明け方の東北東の低空に見えるようになります。

土星

未明から明け方の、東南東の低空に見えます。明るさは約1.2等級です。

日の出1時間前(東京で3時30分ごろ)の高度は20度前後でやや低めですが、水星や火星よりは高く、3つの惑星の中では一番見やすいでしょう。とはいえ、建物などがあると隠されてしまうので、視界が開けた場所で観察しましょう。時間帯と高度の観点から、天体望遠鏡での観察には向いていません。

4日の明け方、月齢25の細い月と接近します。早起きして、肉眼や双眼鏡でお楽しみください。

今月の星さがし

大型連休の後半、明け方の空で細い月と惑星が3日連続で共演を見せます。最終日6日にはみずがめ座η流星群の活動も見られそうです。

4~6日の明け方、細い月と土星・火星・水星が共演

月と惑星の接近現象は、肉眼でも見ることができ、空が暗いところへ出かけなくても日常生活の一環として気軽に楽しむことができます。ここしばらくは惑星が低かったり、ちょうど良いタイミングで並ばなかったりして共演が起こっていませんでしたが、今月はゴールデンウィーク後半の4~6日の明け方に毎日、細い月と惑星が寄り添う光景を見られます。

5月4日から6日の、日の出45分前(6日は30分前)の東の空の様子(場所の設定は東京)。大きい円は双眼鏡で見たイメージ(視野7度)、小さい円は月の拡大イメージ

4日は土星、5日は火星、そして6日は水星の近くに、細い月がやってきます。見やすい時間帯は日の出の1時間前から30分前くらいです。これより早いと天体が低すぎ、遅くなると空が明るくなりすぎます。みるみるうちに空の色や明るさが変わっていく情景も見ものです。また、日に日に細くなっていく月の変化も面白いでしょう。月の暗い部分がほんのり見える「地球照」も趣深く味わえそうです。

観察のポイントは何といっても「見晴らしの良い場所で見る」ことです。建物がないところ、歩道橋の上など(安全やマナーに注意)でご覧ください。前述のとおり肉眼でも見えますが、夜明けの空の中では細い月や惑星が意外と見つけづらいこともあるので、双眼鏡を使うとより見やすくなります。スマートフォンのアプリなどで方位と高さをよく確かめてから探してみてください。ランドマークと一緒に撮影するのも面白いので、ぜひカメラを向けてみましょう。連休中くらいゆっくり寝たいかもしれませんが、ちょっとがんばって早起きしてみませんか。

6日未明~明け方、みずがめ座η流星群

みずがめ座η(エータ、イータ)流星群は、毎年ゴールデンウィークの終盤に活動がピークとなる流星群です。「みずがめ座」のη星付近にある放射点(流れ星が飛ぶ中心の方向)を中心として四方八方に流れ星が飛ぶように見えることから、このような名前で呼ばれています。ちなみにηはギリシャ文字の7番目(の小文字)で、恒星に付けられる符号の一つです。この符号は星座ごとにα(アルファ)、β(ベータ)、…などと付けていきます(たとえば「オリオン座」や「しし座」にも、それぞれのα星やη星があります)。

今年は6日の朝6時ごろに計算上のピークを迎えると予想されています。この時刻は夜明け後なので、実際には6日の未明から明け方が一番の見ごろということになります。流れ星が飛ぶ中心となる「放射点」が地平線上に昇る1時30分ごろから、空が明るくなる4時前ごろまでが、観察に適した時間帯です。

5月6日3時30分ごろの空の様子(場所は東京)。流れ星は放射点が位置する東の空だけではなく、あちこちに飛ぶ

放射点は東の低空、土星のあたりに位置しています。とはいえ流れ星は空のどの方向にも飛ぶので、東だけでなく、なるべく広く見渡しましょう。放射点が東の低いところにあるので、東の空の流星は下から上に、南の空を向けば左から右に、西の空の高いところでは上から下に飛ぶように見えます。星図でイメージしてみてください。

今年は月明かりの影響をほとんど受けず、好条件です。街明かりの影響も小さい場所なら、1時間あたり15個くらいは見えると期待できます。郊外でも5~10個は見えるでしょう。有名な流星群と比べると少なめですが、今年一年のうちで3~4番目には流れ星が見やすい夜になりそうです。連休最終日の夜明けに、1つでも多くの流れ星がご覧になれますように。

今月の星座

りょうけん座

夜20時から21時ごろ、北の空の高いところに「北斗七星」が見えています。この北斗七星よりもさらに高く、頭の真上あたりに見えるのが「りょうけん(猟犬)座」です。南の空に広がっている「春の大三角」を目印にする場合は、上辺で三角形を反転させたと考えたときにスピカが位置する付近になります。

「りょうけん座」(銀河の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

「りょうけん座」で一番明るいのはコルカロリという星です。3等星なので、空が明るいところではやや見づらいかもしれません。春の大三角とコルカロリを結んでできる、大きなひし形をイメージして探してみましょう。このひし形は「春のダイヤモンド」と呼ばれることがあります。

「りょうけん座」はコルカロリ以外の星も暗く、あまり目立ちません。星座絵に描かれている2匹の犬の姿を思い浮かべるのはちょっと難しそうですが、春の夜空を元気に跳ね回る猟犬をイメージしながら眺めてみましょう。

二重星コルカロリ

星座そのものは地味な「りょうけん座」ですが、天体望遠鏡を使うと面白い天体がたくさん楽しめます。コルカロリもその一つで、3等星と6等星が寄り添った二重星です。色の対比が美しいので、ぜひ望遠鏡で観察してみましょう。

様々な銀河

数ある「りょうけん座」の見もののうち、とくに有名なのが渦巻銀河のM51(Mはカタログの符号)です。大小2つの銀河が並んでいることから「子持ち銀河」という愛称で知られており、親子の銀河が腕をつないでいるように見えます。

大きいほうの銀河は比較的明るいので、空の条件が良ければ双眼鏡でも見つけられるかもしれません。北斗七星の柄の端の星とコルカロリを結ぶ線上の、北斗七星に近いところにあります。好条件に恵まれたら、ぜひ探してみてください。

「ひまわり銀河」という愛称で知られるM63も比較的明るく、小型の望遠鏡で見ることができます。また、M106という銀河も見やすいでしょう。

どの銀河も細かい模様まで見ることは難しいのですが、天体写真では美しい色や形を堪能できます。図鑑やインターネットの画像でもお楽しみください。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は5月中旬の深夜1時ごろの星空です。6月中旬の深夜23時ごろ、7月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります)。

2024年5月中旬 深夜1時ごろの星空

「北斗七星」や「春の大曲線」といった春を代表する星の並びが西の空に移り、深夜の主役は夏の星々に変わります。東の空の高いところに「夏の大三角」が昇り、南の空では赤っぽく光る「さそり座」のアンタレスが目立ちます。

先月に続き、宵から深夜の時間帯には明るい惑星がありませんが、1等星や2等星は合わせて20個くらいあり、よく見えるはずです。また、空の条件が良ければ南東の空に天の川も見えるかもしれません。

すっかり暖かくなり、春先に比べて空気の透明度も高くなり、気軽に星空に親しめる季節です。宵、深夜、明け方、それぞれの時間帯の空模様を、目だけでなく耳や肌でもお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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