Nikon Imaging
Japan
プレミアム会員 ニコンイメージング会員

2023年9月の星空

29日は中秋の名月、今年も満月の当日です。夜空を明るく照らす、白くて丸い月を見上げましょう。「うさぎ」の模様がわかるでしょうか?およそ1週間前の21日夕方から宵には、半月が明るい星を隠す現象も見られます。先月末の「ブルームーンのスーパームーン」から続く、月が主役の空模様をお楽しみください。

星空写真

愛知県豊川市 本宮山山頂にて
愛知県東三河ではどなたでも知っている本宮山山頂からの、カシオペヤ座を中心とした秋の天の川です。地上デジタルテレビ放送とFM・AMラジオ放送のアンテナから、カシオペヤ座をはじめアンドロメダ座大銀河やペルセウス座の二重星団も昇り、にぎやかになってきました。

2020年10月12日 19時56分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 20mm f/1.8G ED(ISO5000、露出15秒×16枚を合成、f/3.2)
撮影者:石橋 直樹

9月の星空

南の空

南の空

2023年9月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(23日)、満月(29日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2023年9月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

4日(月) 深夜~翌5日明け方、月と木星が接近(「今月の星さがし」で解説)
7日(木) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
10日(日) 未明~明け方、月とポルックスが接近
13日(水) 明け方、細い月とレグルスが並ぶ
15日(金) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
17日(日) 夕方、細い月とスピカが並ぶ
21日(木) 17時半~19時前ごろ、アンタレス食(アンタレスが月に隠されます。「今月の星さがし」で解説)
23日(土) 秋分
上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
27日(水) 夕方~深夜、月と土星が並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
29日(金) 満月。次の満月は10月29日です
中秋の名月(「今月の星さがし」で解説)

9月の惑星

水星

15日ごろから、明け方の東の低空に見えます。

日の出30分前(東京で5時ごろ)の高度は8度前後で、太陽から大きく離れることがない水星としては比較的高めです。とはいっても、8度というのはかなり低く、建物などに隠されてしまうことも多いので、地平線付近まで見晴らしが良い場所で探しましょう。肉眼でも見えますが、双眼鏡を使うとより見やすくなります。スマートフォンのアプリなどで位置の見当をつけるとわかりやすいでしょう。

金星

「明けの明星」として、未明から明け方の東の低空に見えます。

日の出1時間前(東京で4時20分ごろ)の高度は20度ほどでやや低めですが、マイナス4.5等級ととても明るいおかげで、山や建物などに隠されていなければ見ることは難しくありません。早起きして明星の眩しさを実感してみてください。

火星

太陽に近く、見えません。次は来年5月ごろから、明け方の東の空に見えるようになります。

木星

「おひつじ座」にあります。20時ごろに昇ってきて、3時ごろに南の空の高いところに見えます。明るさは約マイナス2.7等級です。

宵の時間帯から見えるようになるので目にする機会が増えるでしょう。夜空で圧倒的に明るく輝いていて、よく目立ちます。明るいだけでなく高く昇るおかげで、街中でも見やすいでしょう。天体望遠鏡で観察すると、縞模様や4つのガリレオ衛星が楽しめます。ガリレオ衛星は双眼鏡でも見えるかもしれません。

4日の深夜から5日の明け方、下弦前の月と接近します。

土星

「みずがめ座」にあります。20時ごろに南東の空のやや低いところ、22時ごろに南の空に見え、4時ごろに沈みます。明るさは約0.5等級です。

先月に続いてほぼ一晩中見ることができ、観察の好期です。天体望遠鏡で見ると、環の見え方がかなり細くなっていることがわかります。お持ちでなければ、天文台や科学館などで開催される天体観察会に参加してみましょう。

27日の夕方から深夜、満月前の明るい月と接近します。明るい月が近くにあっても土星の存在は肉眼で確かめられるので、空を見上げてみてください。

今月の星さがし

秋の風物詩、中秋の名月。今年の名月も満月です。空が明るくても見ることができ、肉眼でも見える、わたしたちに最も身近な天体を眺めてみましょう。別の日には、月が「さそり座」の1等星アンタレスを隠すという珍しい現象も起こります。

29日の満月は中秋の名月

7月の七夕や8月の伝統的七夕、ペルセウス座流星群が夏の風物詩とすれば、「中秋の名月(十五夜の月)」は秋の風物詩と言えるでしょう。澄んだ秋の夜空に昇る丸い月は、たいへん美しいものです。明かりに溢れた街中でも月はよく見えるので、気軽にお月見を楽しみましょう。日常生活の中で空を感じる、よい機会です。

「中秋」とは、秋のちょうど真ん中を指す言葉です。日本でかつて使われていた暦(いわゆる旧暦)では7~9月が秋なので、旧暦の8月15日が中秋ということになります。この日付は現行の暦(新暦)では毎年異なり、今年は9月29日です。そしてこの夜の月が「中秋の名月(十五夜の月)」と呼ばれています。

※旧暦は現在公的には使われていないため、中秋の名月の日は「太陽太陰暦と同じような方法で求めた8月15日に近い日」として、太陽の位置や月の満ち欠けをもとにして決められます。

十五夜の月は必ずしも満月とは限らないのですが、今年は29日が満月なので日付が一致します(ちなみに来年からはしばらく一致しません)。29日の宵のころに東の空に昇ってくる満月の名月は、真夜中に南の空の高いところに輝き、30日の明け方に沈むまで、一晩中見ることができます。

9月29日深夜、真南の空に見える中秋の名月。赤い字は主な地形の名前

十五夜前後の月にも様々な呼び名があります。前日は、名月を待っていることから「待宵(まつよい)」、翌日は十五夜よりやや遅く昇ることから、「ためらう」という意味の「いざよい(十六夜)」と呼ばれます。十六夜の翌日は「立って待っていると昇ってくる」ので「たちまちづき(立待月)」(以降、「いまち(居待)」「ねまち(寝待)」「ふけまち(更待)」)という名前です。こうした呼称は、日本で月が古来より親しまれてきたことの証でしょう。8月30~31日の月は「ブルームーンのスーパームーン」として話題でしたが、伝統的な名月や呼び方も大切にしたいものです。

9~10月の月の見え方(日本時間21時の形)。満ち欠けだけでなく、見かけの大きさや縁に近い部分の見え方が変わることがわかる

満ち欠けによる形の変化や「うさぎ」として有名な表面の暗い模様は肉眼でもわかります。天体望遠鏡で拡大して観察すると、海と呼ばれる暗い部分(うさぎの正体)や数々のクレーターも見えます。継続的に観察や撮影をすると、月の見かけの大きさが変化したり、月縁の部分の見え方が変わったりすることもわかるかもしれません。大きさが変わるのは月と地球との距離が変わるため(近いほど大きく見える)、縁付近の見え方が変わるのは月が地球に向けている面が微妙に変わるためです。

普段、星空を見るには眩しすぎるため月明かりはないほうが嬉しいのですが、反対にその明るさから、月はどんな場所からでも手軽に楽しむことができる天体です。お供え物を用意して、月の魅力を存分に味わいましょう。

月と木星、土星の接近

名月(満月)以外の日にも、もちろん月は楽しめます。単独の月だけでも良いものですが、明るい星や惑星と並ぶ光景はさらに印象的で、より嬉しい気持ちになれます。今月は4~5日に月と木星が、27日に月と土星が、それぞれ並びます。晴れていたら気軽に空を見上げてみましょう。

9月5日0時、27日21時の、東~南の空の様子(場所の設定は東京)。円は拡大したイメージ(正立像、月と惑星で拡大率は異なる)

図に挙げた時刻と方角は一例なので、当夜であれば別の時間帯でも共演は見えます。方角や高さは変わりますが、月を探せばだいじょうぶです。また、肉眼や双眼鏡で眺めるだけでなく、天体望遠鏡で月のクレーター、木星の縞模様や衛星、土星の環も観察してみてください。ちなみに、土星の環の見え方(傾き)は毎年少しずつ変化し、現在はどんどん細くなっているところです。

2021年から2025年までの土星の見え方の変化。日付は各年で土星が衝となる(地球を挟んで土星が太陽の正反対になる)タイミング。2025年からは土星の南半球側が見えるようになる

21日夕方~宵、1等星アンタレスが月に隠される

月が太陽を隠す現象を「日食」と呼ぶように、月が星を隠す現象は「星食」(正確には「掩蔽(えんぺい)」)と呼びます。恒星なら恒星食、惑星なら惑星食となります。暗い星まで含めれば頻繁に起こりますが、明るい星ではめったにありません。その珍しいチャンスが、21日の夕方から宵に訪れます。隠されるのは「さそり座」の赤っぽい1等星アンタレスです。国内でアンタレス食が見えるのは14年ぶりです。

アンタレス食の様子(広角星図の場所の設定は東京)

アンタレスが月に隠される(潜入する)のは17時30分ごろ、月から出てくる(出現する)のは19時ごろです。現象の時刻や、月の縁のどの位置に入る/出るかは観察場所によって異なるので、シミュレーションソフトなどを使って事前によく確かめておきましょう。

アンタレスの潜入のときはまだ日の入り前で空が明るいので、アンタレスを見るには天体望遠鏡が必要です。西日本では出現時も空が明るいので、少なくとも双眼鏡は必要でしょう。また、出現時は月の光っている部分から現れるため、月の明るさの影響でアンタレスが見づらくなってしまいます。その瞬間を見たければ、やはり双眼鏡や望遠鏡で観察するのがお勧めです。

出現から30分もすれば、月のすぐそばにアンタレスが光っている様子が肉眼でも見えるようになります。出てくる瞬間が見えなくても、この大接近状態も見ものですので、望遠鏡などを持っていない方は出現後の様子に注目してみましょう。時間が経つにつれて間隔が広がっていく様子もわかり面白いですよ。

今月の星座

いるか座、こうま座

「いるか座」「こうま座」は9月中旬の夜21時ごろに南の空の高いところに見える星座です。先月ご紹介した「こぎつね座」「や座」と同じく小さい星座ですが、ぜひ見つけてみましょう。

「夏の大三角」と「いるか座」「こうま座」

どちらの星座にも明るい星はありませんが、「夏の大三角」を手がかりにすると位置の見当がつけやすくなります。夏の大三角を構成する「わし座」の1等星アルタイルと、南東の空に昇る「ペガスス座」の2等星エニフの間あたりと覚えておくとわかりやすいでしょう。街明かりがあるような場所ではなかなか見えませんが、双眼鏡を使うと見やすくなります。視野の中に主な星々が全部入る、コンパクトで愛らしい姿を眺めてみましょう。ちなみに「こうま座」の広さは全天88星座のうち87位で、1つ上の86位が先月ご紹介した「や座」です。88位が何かは、ぜひ調べてみてください。

二重星いるか座γ

「いるか座」の顔先に位置するγ(ガンマ)星は、オレンジと白の星が並んだ二重星です。倍率をやや高くした天体望遠鏡で観察すると、微妙な明るさの違いや美しい色の対比が楽しめます。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は9月中旬の深夜1時ごろの星空です。10月中旬の深夜23時ごろ、11月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます)。

2023年9月中旬 深夜1時ごろの星空

南東の空高く輝く木星の威光が目を引きます。東の空には「おうし座」「オリオン座」など冬の星座たちが姿を見せていますが、それらの星座の星々を木星が先導しているようなイメージです。また、南西の空で輝く土星も目立ちます。2大惑星を天体望遠鏡で観察してみましょう(真夜中まで待たなくても良いですよ)。

木星と土星の間には明るい星がありませんが、「おひつじ座」や「うお座」「みずがめ座」などが広がっています。こうした星座の星々にも目を向けてみましょう。星図には描いてありませんが、「おひつじ座」には天王星、「うお座」には海王星もあります。秋の夜長にじっくり探してみるのも面白いかもしれません。

深夜には肌寒さが感じられる季節になりました。体調管理にも気をつけながら、月や惑星の観察、星座巡りをお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

星空観察のワンポイントアドバイス

ニコンイメージングプレミアム会員
ニコンイメージング会員