シャープに描写された、優し気なまなざしが印象的な一枚。柔らかく美しくぼけた背景が、眉やまつ毛一本一本を繊細に描写したピント面の高い解像感を際立たせています。

人物の髪、肌、着衣の柔らかな質感も、寄りかかった石柱の硬い質感も、高い解像力で忠実に再現しています。そして、ピント面から遠ざかるにつれてなだらかに大きく変化していく美しいボケが、この空間の深い奥行き感をリアルに描写。ざわつきのない素直な背景が、見る者の視線を自然に主題へと導きます。

開放絞りでも十分に確保された周辺光量。明るい青空背景でも、画像周辺部の急激な光量低下は見られず、周辺部に向かって光量がゆるやかに落ちていく、自然で気持ちのよい描写が印象的です。

背景の幾重にも重なる玉ボケが印象に残る一枚。ボケに芯があり、不自然な色付きのない玉ボケで、開放絞りながら画像の周辺部でも口径食が少なく、線対称の綺麗なレモン形状に描写されています。一つ一つの光源が際立っており、幻想的な雰囲気が漂います。

一般的に収差が発生しやすい至近0.8 mの位置から撮影。マルチフォーカス方式と2枚のEDレンズの効果で軸上色収差が徹底的に抑えられており、特に収差が発生しやすい背景とのコントラストが高い被写体や金属の縁にも不自然な色付きは見られません。

画角内に太陽の強い光が入るシーンでありながら、ナノクリスタルコートと光学設計での配慮が効果的に働き、フレアが最小限に抑えられたクリアーな画像が得られました。レフ板で明るく起こした人物の、ピント面の高い解像感や、その前後の自然なボケ味も損なわれていません。