第176回フォトフォトサロン

TopEye賞
準TopEye賞
入選
佳作

総評 小林紀晴(こばやしきせい)

見せないことによって、見せる

今回のTopEye賞は山本紗代さんの「三人」という作品を選ばせていただきました。これまであまり拝見したことのない種類の作品です。講評でも書きましたが、撮影前からコンセプトを固めて臨んだはずです。さらに実際に現場で光、構図などにも注意深く気を配ったことでしょう。見知らぬ人を撮らせていただくことは、勇気がいることです。撮影の理由やコンセプトなどを話して承諾をもらわなくてはなりません。でもその過程を経て生まれる作品は、やはり力強いものです。この作品はいってみれば、「見せないことによって、見せる」写真です。人間の眼は多くのことを語りかけてきます。それをあえて見せていません。だからこそ見る側が多くのことを想像するのです。誰なのか、どんな感情を抱いているのか…。入選の原優夏さんの作品「瞬き」にも同じことがいえます。体育祭を撮ったものですが、視線が絞られています。けっして全体は見渡せません。だからこそ人は想像します。そこに写っていないものを、そして写されたもののなかに込められた、思いといったものを。