
ニコンのレンズブランドであるニッコールは、長年にわたって培われた高い光学技術力で多くの信頼と実績を築いてきました。そのクオリティは、世界トップレベルのレンズ設計性能を追求し、カラーバランスの世界標準であるISO規格よりも更に厳格な規格を独自に設定し、運用されるなど、開発設計から独自の高水準規格によって製造と製品管理が行われています。ニッコールの製品は、高い技術によって様々な撮影ニーズを支えると共に、常に開発と研究を重ね進化しています。
非球面レンズ 

- 非球面レンズによる
ディストーション補正の原理
【 AS:Aspherical Lens 】
非球面レンズは、面が球面でない曲面をもち、球面収差などさまざまな収差を補正します。中でも広角系のレンズで問題となるディストーション(歪曲収差)のコントロールには、大きな効果を発揮。ディストーションは被写体がレンズを通し結像すると歪む現象で、像高(画面中心からの距離)により倍率が異なる収差です。そこで図のように、レンズ中心周辺から非球面を用い連続的に屈折力を変化させるとディストーションが補正できます。ニコンは1960年代に世界に先駆けて非球面レンズの設計理論、加工技術を確立。1968年には非球面レンズの特性を活かしディストーションのコントロールを行う、世界で初めて非球面レンズを採用した35mm一眼レフ用交換レンズOP Fisheye-Nikkor 10mm F5.6 (正射影方式魚眼レンズ)を発売し、その後も数多くのレンズに非球面を採用。以下の非球面レンズを実用化し、レンズのコンパクト化、そしてコントラスト・解像力に優れた高性能化を実現しています。また、ニコンデジタル一眼レフカメラにおいても有効に作用します。
- 複合型非球面レンズ
高精度な金型により、ガラスレンズの上に樹脂を非球面形状に形成して作ります。 - ガラスモールド非球面レンズ
高精度な金型により、直接ガラス素材を非球面形状に形成して作ります。
近距離補正方式



- CC(AF 24mm F2.8D)
【 CC:Close-Range Correction System 】
レンズを複数の群に分割し、それぞれ異なる動きをさせてピントを合わせる方式です。例えば広角系レンズに用いられるレトロフォーカスタイプは非対称性が強く、全体繰り出し方式でピント合わせすると、近距離側で像面湾曲が増加する難点があります。そこで特定の間隔を変化させると像面湾曲のみが変化するという特長を利用し、近距離でも像面が平坦になるように、複数のレンズ群を独立して移動させるようにしたのが近距離補正方式です。1967年にNikkor Auto 24mm F2.8に世界で初めて商品化されました。
IF方式



- IF(AF-S VR ED 300mm F2.8G IF)
【 IF:Internal Focusing 】
レンズ系を前・中間・後群に分割し、中間のレンズ群のみを移動させてピントを合わせる方式です。フォーカシングによる収差変動を減少させ、またレンズ駆動時のトルクが軽く、フォーカス時の保持バランスに変化がありません。また、AFレンズでは合焦スピードの高速化にも貢献しています。(光学系の特性上、撮影距離が短くなるにしたがって焦点距離が短くなります。)
ナノクリスタルコート

【 N:Nano Crystal Coat 】
「ナノクリスタルコート」は、ニコンが最先端の半導体露光装置を開発する過程で生み出したレンズ反射防止コーティングです。ナノサイズ(1ナノメートルは、1/1,000,000mm)の極めて微細な結晶粒子からなる超低屈折率層を持ち、可視光域(380nm~780nm)の全領域で、従来の反射防止コーティングの限界を超えた極めて高い反射防止効果を実現しました。これにより、従来のコーティングでは低減が困難であった赤い光によるゴーストについても、防止効果を飛躍的に向上させることができました。さらに、レンズに斜めから入射する光に起因するゴースト、フレアーに対しても、従来のコーティングに比べて大きな低減効果が得られます。
![]()
|
|
![]()
ナノクリスタルコートは、従来の多層膜コーティングに比べて反射率をさらに低く抑えるとともに、より広い波長域、角度範囲での反射防止を可能としました。フレアーやゴーストの低減に非常に効果的です。 |
VRレンズ


【 VR:Vibration Reduction 】
ニコン独自のVR(手ブレ補正)機能は、レンズ内の2種類のセンサーがカメラの上下方向(ヨーイング)のブレを検出。光学系の一部のブレをなくす方向に駆動して、撮影者によって異なる手ブレ限界シャッタースピードから3段~4段相当の手ブレ軽減効果を実現しました。スポーツや、夕暮れ、夜景など、長焦点レンズの手持ち撮影で起こりがちな手ブレを効果的に補正。また、流し撮りの際は、センサーがこれを自動的に検知し、モードの切り換えなしに左右方向のカメラの動きに対しては縦のブレのみを、上下方向のカメラの動きに対しては横のブレのみを軽減します。

|
テブレ補正機構 OFF |
テブレ補正機構 ON |
EDレンズ

【 ED:Extra-low Dispersion 】
通常の光学ガラス使用のレンズは、焦点距離が長くなるほど色収差の補正が困難になり、焦点ズレによる色のにじみが発生します。このトラブルを解決するために、ニコンはプリズムの色分解作用を少なくするED(特殊低分散)ガラスを世界に先駆けて開発。EDガラスは低分散で、しかも結晶素材の蛍石のように異常部分分散性を有し、2次スペクトルの除去を可能にしました。望遠系のレンズを中心に幅広く採用し、優れた描写性能を実現。ニコンデジタル一眼レフカメラにおいても有効に作用します。
また、スーパーEDガラスはEDガラスの光学特性を徹底して追及、より低分散で、2次スペクトル除去能力などの諸性能が極めて高く、色収差はもちろんのこと、それ以外の収差補正能力にも優れています。望遠レンズAF-S VR Nikkor 200mm f/2G IF-EDに採用しています。

|
EDガラス |
通常レンズ |
EDレンズ |
RF方式

【 RF:Rear Focusing 】
レンズ系を複数の群に分割し、後群のみを移動させてピントを合わせる方式です。小さなレンズ群のわずかな移動による焦点合わせが可能なため、AF撮影での迅速なピント合わせや操作性が向上します。
SWM(超音波モーター)


- 小型SWM

- SWM
ニコンが独自に開発したAF駆動用のSWM(Silent Wave Motor=超音波モーター)は進行波を回転エネルギーに変え、フォーカス光学系を駆動させます。このSWMを搭載したAF-Sレンズは静粛性に優れたオートフォーカス撮影を可能にします。また小型SWMを新開発、AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6 G VR等に採用しています。
M/Aモード


オートフォーカス中でもフォーカスリングを回せば、タイムラグ無しでマニュアルによるピント合わせができるモードです。ファインダーをのぞいたまま、瞬間的にピントの調節を可能にします。
A/Mモード

M/Aモードに比べマニュアルへの切り換え感度を下げ、不用意なオートからマニュアルへの切り換わりを防止した「オート優先オートフォーカス」モードです。
A-M切り換えリング/レバー/スイッチ

このリング(AF 180mm F2.8Dはレバー)を装備したAFレンズは、レンズ鏡筒内に設けられたクラッチの働きによって、AF時にはフォーカスリングが回転せず、マニュアルフォーカス時に、フォーカスリングの回転に適度な負荷がかかりマニュアルレンズと同じような操作感を可能にします。また、AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR、AF-S DX Zoom Nikkor 18-55mm f/3.5-5.6G ED、AF-S DX Zoom-Nikkor 18-55mm f/3.5-5.6GII EDにはA-M切り換えスイッチを装備、これらのレンズはAF時にもフォーカスリングが回転します。
高屈折率レンズ

【High Refractive Index Lens】
屈折率が2.0 以上と高く、1枚で通常の光学ガラスレンズ複数枚分同等の補正効果が得られます。さらに、1枚で像面湾曲と球面収差を同時に補正でき、高い光学性能と小型・軽量化の両立が図れます。
ニコンスーパーインテグレーテッドコーティング
【 SC:Nikon Super Integrated Coating 】
従来の多層膜コーティングに改良を加え、広い波長域で高い透過率を実現した「ニコンスーパーインテグレーテッドコーティング」を独自に開発し、AF・MFを問わず、全ての一眼レフカメラ用ニッコールレンズに採用しています。このコーティングによりレンズ構成枚数の多いズームレンズでも逆光時等のフレアーやゴーストを軽減し、高コントラスト、豊かな階調表現が可能。またカラーバランス、色再現性に優れ、赤外線写真など特殊用途における光学性能も向上させています。加えて、デジタルカメラ特有の現象である、撮像素子からの内面反射によって発生するフレアーやゴーストも抑制し、ニコンデジタル一眼レフカメラに対して、充分な効力を発揮します。ニコンではコーティング技術の新規開発に取り組むとともにレンズの設計段階から、レンズ構成に合わせたコーティングの組み合わせを繰り返しシミュレーションすることで最適化をはかっています。
円形絞り

- 円形絞り

- 通常絞り
【 RD:Rounded Diaphragm 】
イルミネーションなどの点光源を撮影した場合、絞りの羽根でかたどられた多角形のボケが写り込むことがあります。そこで特殊な羽根形状により、絞りが円形になるように設計したのが円形絞りです。これにより美しいボケ味を得ることができます。
D信号(距離信号出力機能)
DはDistance (距離)を表し、レンズのフォーカスリングに連動するエンコーダーを内蔵し、被写体までの距離情報をカメラボディー側へ伝達するニコン独自の機能です。より的確な露出制御を実現する3D-RGBマルチパターン測光II 、i-TTL-BL調光等の先進機能を可能にします。なお、このD信号を持つレンズの内、レンズ本体に絞りリングを有するものをDタイプレンズと称します。また、Gタイプレンズにも備えています。
Gタイプレンズ
Gタイプレンズは、レンズ本体に絞りリングを持たず、ボディー側から絞り制御を行う、現行ニコンAF一眼レフカメラに対応した新しいレンズシリーズです。また、Dタイプレンズと同様に、被写体までの距離情報をカメラ側に伝達する機能も持っています。絞りリングをなくすことによって、レンズ本体のコンパクト化が可能となり、さらに最小絞りにセットして撮影する必要がなく、操作性が向上しています。〈“G”はD信号を備え、絞りリングがないレンズの識別符号です。〉
(フィルム一眼レフカメラには使用に制限のある場合があります。カメラとレンズの組み合わせについてをご覧ください。)
DCレンズ
【 DC:Defocus-image Control 】
DCリングの操作で、レンズの一部を前後に動かすことにより、被写体の前後のボケ像の形状をコントロールできる世界初の画期的レンズです。
DCリングを操作しない場合(図1): 通常のレンズ同様、主要被写体からの光線はシャープに結像し、背景や前景からの光線は均一なボケ像となります。
DCリングをR〈リヤ〉側にセット(図2): 球面収差が発生し、背景からの光線は像の中心に核をもちその周辺を柔らかい光のにじみ(ハロー)が取り巻き、全体として柔らかなボケ像となります。この時前景からの光線は円環状のエッジをもったボケ像となり、いわゆる二線ボケとなることがあります。
DCリングをF〈フロント〉側にセット: R側にセットした時とは逆方向の球面収差が発生し、前景からの光線の像が柔らかいボケ像となります。
このようにボケ味を背景か前景のどちらかを優先して選択できる点が特長です。またDCリングの目盛りを絞り値より大きな数値にセットするとソフトフォーカス的な効果を得られます(その場合、オートフォーカスは使わずにファインダーのマット面でピントを合わせてください)。







