BEHIND THE SCENE
撮影レポート

INTERVIEW

写真家 河野英喜インタビュー

インタビュームービー

MOVIE

Photographer

Hideki Kono /河野英喜(こうの ひでき)

中学生で写真に目覚め、高校時代から写真専門誌のポートレート部門入選の常連に。23歳で広告・ファッション誌を中心にプロフォトグラファーとしての活動を開始する。その後、女優や俳優、各界のアーティストなどを撮影するとともに、数多くのアイドル写真集を手掛ける。出版された写真集・書籍類は150冊を超す。また、大判フィルムによる風景の撮影や、伝統工芸職人のポートレートなども撮り続ける。公益社団法人日本写真家協会(JPS) 会員

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ポートレートとコマーシャルフォト。
異なるテーマで撮影した2日間。

今回の撮影では、大きく2つのテーマが設定された。ひとつは、自然光を活かしたナチュラルなポートレート。もうひとつはメイクや衣装、ライティングに凝った、コマーシャルフォトである。モデルも各テーマに沿って、ナチュラルメークが似合い、かつ印象的な目力のあるティーンエイジャーと、個性的な衣装やセットにも負けない強い存在感を持つ大人の女性が選ばれた。それぞれの撮影場所に関しても、ポートレートは本牧にある築80年の旧バーナード邸、コマーシャルフォトは都内の倉庫をリノベーションしたアート系のスタジオとなった。

写真上:初日に使用した、本牧の旧バーナード邸
写真下:2日目は倉庫を手作りで改装したスタジオで

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自然光を最大限に活かし、
邸宅の各部屋と庭を使ってポートレート撮影。

バーナード邸は昭和初期に英国人貿易商が建てたもの。各部屋には意匠が凝らされ、壁や天井、調度、そして光の条件が大きく異なる。早朝からの撮影は朝日が注ぐ2階の部屋から始まった。自然光を活かしてモデルの表情を捉える。続いて落ち着いた雰囲気の1階書斎へ。窓からの柔らかい光で陰影を巧みに演出する。その後ダイニングルームでも撮影を行い室内のシーンを撮り終えた。各撮影の区切りでは、大画面のモニターで画像チェックを行ったが、有効画素数4575万画素の緻密な描写により、まるでそこにモデルがいるかのようなリアルさだった。

写真上:緑が豊かな庭での撮影
写真下:ハイアングルでのタッチシャッター撮影

室内での撮影を終え庭へ。ここでは、タッチパネル採用のチルト式3.2型、236万ドットの画像モニターを活かし、ハイアングルでのタッチシャッター撮影も行う。やがて、夕刻近くになって出てきた風も活かしドレスをなびかせて、秒間約7コマでの連続撮影。そしてラストシーンは、水撒き用のホースで夕立を再現した。日が暮れて光はかなり落ちていたためISO感度を800まで上げて撮影。高画素と高感度はその両立が難しいとされてきたが、常用でISO 25600を実現しているD850なら余裕である。

写真上:庭に吹く風も利用して高速連続撮影
写真下:初日の撮影で使用した機材
右からD850、AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G、AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR
下段は3台のSB-5000

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ニコンスピードライト SB-5000を3台使った、
電波制御アドバンストワイヤレスライティングにも挑戦。

この日は自然光を活かすことを課題としたが、ダイニングルームでのみ、大光量・多機能のスピードライト、SB-5000複数台を使った電波制御アドバンストワイヤレスライティングでの撮影を行った。今回は3台のSB-5000を用意。D850にワイヤレスリモートコントローラー WR-R10とWR用変換アダプター WR-A10を装着し、コマンダーとする。光と異なり電波で制御するため、離れた場所や物陰に設置したSB-5000も確実にコントロールできる。庭を望む窓を背景として、暖炉の横にモデルを立たせ、顔を明るくするためにライトボックスへ装着したSB-5000を1台、もう1台は天井に向けてバウンスさせ光を回し、最後の1台はカメラから死角となる庭に設置しバックライトとした。次々とシャッターがきられる中、3台のスピードライトは的確にシンクロした。

写真上:WR-R10とWR-A10を装着したD850
写真中央:発光状態、室内に2灯、背景窓枠の影に1灯
写真下:アドバンストワイヤレスライティングで撮影された作品 / 背景の黒い壁に髪が溶け込まないのは、室外からのバックライトの効果 / 画面左側に投影された窓枠の影も作品に表情を添えている

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個性的なスタジオで、
衣装、ライティングにもこだわった
コマーシャルフォト撮影。

2日目はコマーシャルフォトの撮影。スタジオ、ヘアメイクから衣装、ライティングまで攻めの姿勢で臨んだ。最初のシーンのヘアアレンジは生花を髪に活けた斬新なもので、メイクもそれに合わせた瑞々しい雰囲気に。フロアは全体が白一色で、衣装も白系。有効画素数4575万画素のD850が、髪に活けた生花のディテールとモデルの肌の質感、そして衣装と背景の白の階調をどこまで忠実に再現するかに挑む。次はアンティーク家具などで構成された、映画のセットを思わせるフロア。ヘアメイク、衣装もゴージャスな雰囲気に仕上げた。照明は3灯に加え天窓からの自然光をミックスした高度なテクニックが駆使された。

写真上:白を基調にした部屋での撮影
写真下:複雑な背景と光を活かしたシーン

そして最後のシーンは、ゴシック調の黒を基調としたフロア。スポットライトを含めたエッジの効いた光の演出で撮影。暗い背景のディテールの中に浮かび上がるモデルの表情がとても印象的だった。このフロアでのラストカットは、サイレント撮影にトライ。タッチパネル採用のチルト式画像モニターを使って、シャッター音のしない静かな撮影を行った。

写真上:暗い部屋でのライティングに凝った撮影
写真中央:ラストカットはサイレント撮影にもトライ
写真下:2日目の撮影で使用した機材
右上段からD850、AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G、AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR、下段、AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED、AF-S NIKKOR 85mm f/1.4G

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