第69回ニッコールフォトコンテスト

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第3部 ネイチャー

ニッコール大賞
推選
特選
入選
応募点数 6,323点
講評 三好 和義

講評 三好 和義

日常の生活の中では知ることのない世界

 いつもネイチャー部門の審査を担当することが楽しみです。今回も存分に楽しんで、皆さまの作品をじっくりと拝見しました。ニッコールフォトコンテストにもネイチャー部門には、見たこともない雄大な作品、繊細な作品が集まってくるからです。この部門では、日常の生活の中では知ることのない世界、気付くことのない世界を見せてくれるというところが、最大の魅力です。自分もこんなシーンに出会ってみたい、こんな動物に出くわしてみたいと思いながら作品選びをしました。自分もこの世界に行ってみたいと、審査会では、ワクワクしながら作品を拝見していました。
 まずは大賞、峯田翔平さん。2年連続の大賞です。前回にも増して、さらに精神性の高い作品です。深い雪に覆われた峰、山の姿が雲の切れ間から現れた瞬間にシャッターを切った感動が伝わってきました。日本人の自然に対する怖れが昨年にも増して表現されているといえるでしょう。2点の組み合わせも見事です。違う山でも、色調が統一されているところも美しさを感じさせる良いポイントです。このネイチャー部門の大切な部分は峯田さんの作品にあるような、自然に対する畏敬の念です。自然の大切さが、より意識されている現在、ネイチャー写真が訴えるものは、かつてなく大きなものだと思います。そんな写真を撮る時の撮影者が自然に向き合う際、抱く矜持が作品に反映されるのだと思います。美しい風景を残したい、撮影者の思いが、写真という美の世界で花開くのです。
 推選の青木竹二郎さんの作品「溶岩大地」。被写体はハワイ島キラウエア火山の溶岩大地です。火山の溶岩から、地球は生きているのだという生命力を感じます。溶岩の間に咲く花、真っ黒な岩、ギリギリ上端の寄せた地平線。生まれたての地球を想像させる、緊張感のある構図。表現するのが難しい黒の調子を出したプリントも、さすがだなと思わせるうまさが光ります。
 特選の「秋風吹いて」の秋山ゆき子さんは、ネイチャー部門では常連です。可愛いエゾシマリスが頬にドングリを入れてモグモグしながらレンズを見ています。このシマリスと会話しながら撮っています。ほほ袋をパンパンにして巣に餌を運んでいるのは、4月まで冬眠に入るので、その準備に追われているからです。作者の愛おしい気持ちが伝わってきます。下から見上げるように撮ったアングルも良いですし、色づいた木々の背景も活きています。特選の長友泰樹さん「原野を旅した30日」。アラスカへひと夏30日間のバックパック旅をした時の作品。若い時に、貴重な体験をしましたね。写真も上手で、素晴らしいです。組写真の組み方も、上手にまとまっています。雄大な景色、自然への感動をダイレクトに伝えてくれます。30歳の時に撮られた作品。若い時に得難い体験をされたことを羨ましとさえ感じました。特選の「カナダオオヤマネコ」の伊藤慶さん。20代という若さで、大自然に対峙され作品にしています。このオオヤマネコの姿に、メロメロになりました。モフモフの足、鋭い眼球、尖った耳毛、堂々とした姿。600ミリのレンズで撮影されて、毛並みの描写も神々しく、美しいです。伊藤さんの作品をもっと見たいなと思わせてくれる作品でした。
 また来年もこのような力強い作品に出会い、写真で自然の美しさを再確認して、感動したいなと思っております。