NIKKOR Z Technology

光を極める

S-Line

脈々と受け継がれてきたニコン独自の設計指針と品質管理を、さらに厳格化したNIKKOR Z レンズ。その中でも、特に次世代を見据えた高度な光学性能を追求したレンズを S-Line と位置づけています。
S-Line レンズは、より厳格なMTF評価をはじめ、さまざまな評価軸に沿った高度な設計指針と品質管理で光学性能を追求。独自の先進テクノロジーも積極的に採用しており、従来のカメラレンズとは一線を画した高い光学性能で、心をふるわせる映像表現と充実した撮影体験を実現します。

S-Lineイメージ画像

光学設計の限界を拡げ、次世代の光学性能を実現するNIKKOR Zに搭載されている、
ニコン独自の新たなテクノロジーを紹介します。

PFレンズ

PF(Phase Fresnel:位相フレネル)レンズは、ニコンが開発した光の回折現象を利用して色収差を補正するレンズです。PF素子と通常の屈折レンズを組み合わせることで、優れた色収差補正能力を実現します。このPFレンズを採用すると、望遠レンズの大幅な小型・軽量化が可能になります。

  • 回折現象:光は波としての性質を持っています。波は、障害物に出会ったときにその影の部分に回りこむ性質を持っており、これを回折と呼んでいます。回折は、屈折とは逆順に色分散が発生する特徴があります。
PFレンズ

メソアモルファスコート

NIKKORレンズ史上最高の反射防止性能を発揮する反射防止コーティングです。斜入射光、直入射光のいずれに起因するゴーストやフレアも大幅に低減した、クリアーな画像が得られます。この反射防止コーティングでは、アモルファス粒子が連結した構造体が不規則に重なることによって、メソ孔(メソポア)と呼ばれる空気隙間を多数形成。コーティング内により多くのメソ孔を設けることで超微細メソポーラス構造を形成し、非常に低い屈折率を達成しています。さらに、高精度な下地コートを施すことで、他に類を見ない反射防止効果を実現しています。

メソアモルファスコート

重心移動レス機構

ズーミング時にレンズの前玉が前方に動くと同時に、後方の一部のレンズが後退。それぞれのレンズ群が、逆方向に移動するため、鏡筒としての重心移動を限りなく抑制できます。また自重によるレンズの伸縮も防ぎます。

SRレンズ

高い色収差補正力を実現する

青より短い波長の光を大きく屈折させる特性を持つ、ニコン独自開発の特殊高分散ガラスを使用したレンズ。補正が難しい短波長の光を制御することで、各波長の光をより高度に集光できるようにし、高精度な色収差補正が可能になります。また、通常の光学ガラスと同様に使用できるためレンズ構成の自由度が向上し、高い光学性能を実現しながらレンズの小型・軽量化にも寄与します。

通常レンズとSRレンズ比較
SRレンズ比較写真:SRレンズを搭載しないAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR IIで撮影

SRレンズを搭載しない
AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR IIで撮影

SRレンズ比較写真:SRレンズを搭載したNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sで撮影

SRレンズを搭載した
NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sで撮影

大口径研削非球面レンズ

一般的なガラスモールド成形非球面レンズでは採用が難しいとされる高屈折率の硝材を使用した、大口径研削非球面レンズ。研削によってレンズ面の精度を極限まで高め、優れた収差補正能力を達成しています。

マルチフォーカス方式

近くの被写体を撮影すると、ピントは合っているはずなのにシャープに見えない。
そんな現象を、「マルチフォーカス方式」が解決します。

マルチフォーカス方式写真

マルチフォーカス方式
非搭載レンズ

一般的な大口径レンズの設計では補正の難しい至近距離での色収差

マルチフォーカス方式非搭載レンズ

光の色による屈折率の違いによって色ごとに光軸上で結像位置が前後にずれる 軸上色収差 が発生しています。このズレの影響で被写体の縁に色にじみが発生し、解像感が損なわれます。

マルチフォーカス方式
搭載レンズ

マルチフォーカス方式が色収差を抑制

マルチフォーカス方式搭載レンズ

遠い風景から近距離の人物や静物の撮影まで、色にじみのない、解像感の高いシャープな 描写が実現します。

マルチフォーカス方式とは

マルチフォーカス方式イメージ画像

「マルチフォーカス方式」は、複数のAF用駆動ユニットの連携で、複数のフォーカスレンズ群の位置 を高い精度で緻密に制御 し、近距離から遠距離まで、撮影距離を問わず高い結像性能を実現。特に、一般的に収差が発生しやすいとされる至近距離の被写体でも、軸上色収差を徹底的に抑制します。その結果、遠い風景から近距離の人物や静物の撮影まで、色にじみのない、解像感の高いシャープな描写が可能です。

  • 光の色による屈折率の違いによって色ごとに光軸上で結像位置が前後にずれる収差。このズレの影響で被写体の縁に色にじみが発生し、解像感が損なわれます。

アルネオコート

画面内に強い光源があると、ありもしない 光のようなもの(ゴースト)が写り込んだり、全体にもやっとして(フレア)解像感が損なわれたりします。

他社製レンズ:ゴーストが目立つ

アルネオコート比較写真:他社製レンズ

新開発の「アルネオコート」が、この現象を効果的に軽減します。

NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S:ゴーストが目立たない

アルネオコート比較写真:NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S

アルネオコートとは

反射防止コーティングなし

反射防止コーティングあり

「アルネオコート」は、ニコン独自の薄膜製造技術により、高密度かつ均一なコーティング膜厚で限りなく設計値に近い反射率を高品質で達成し、可視光全域で安定した超低反射率を実現した、多層膜の反射防止コートです。レンズ面に垂直に入射する光に対して、ナノクリスタルコートと同等以上の反射防止効果があります。

ナノクリスタルコートと組み合わせて効果UP

斜めからの入射光を低減するナノクリスタルコートと組み合わせることで、入射光が原因で発生するゴースト、フレアの低減に大きな効果を発揮。光源が画面内にある場合でも、非常に抜けが良く、クリアーな画像が得られます。

  • すべての S-Line レンズは、ナノクリスタルコートを採用しています。

本格的な動画性能

ゆっくりと被写体にピントが合う様子を映像表現として用いるとき、意図していないのに画角が変化してしまうことがあります。この現象をフォーカスブリージングと呼びます。

  • ピント位置の移動に伴って画角が変化する現象。静止画撮影時には特に問題になりませんが、動画撮影時には画角の変化が映像として残るため、不自然な映像になることがあります。

動画撮影に配慮していない一般的なスチル向けレンズ:ピントを合わせる際に、画角の変化が生じる

動画撮影に配慮していない一般的なスチル向けレンズ

フォーカスブリージングに対応したNIKKOR Zレンズで撮影すればこの問題は解決できます。

フォーカスブリージング対応レンズ:ピントを合わせる際に、画角の変化がほとんど生じない

フォーカスブリージング対応レンズ

フォーカシングによる画角変化が極めて小さくなるような動画撮影に配慮したレンズ設計で、構図の変化を抑えた自然な映像を撮影できます。

フォーカスブリージング 比較ムービー

コントロールリング

一眼カメラ用のNIKKORではZレンズで初めて搭載したコントロールリング。滑らかな操作感のコントロールリングに、さまざまな機能を割り当てることで撮影が一段と快適になります。

コントロールリングイメージ画像

コントロールリングには、フォーカス(M/A)、絞り、露出補正、ISO感度のいずれかの機能をカメラから割り当て可能。自分の撮影スタイルに合わせてカスタマイズできます。

コントロールリング
コントロールリング設定画面
河野 英喜氏のコントロールリング解説

河野 英喜氏のコントロールリング解説

「フォーカス(M/A)」、「絞り」、「露出補正」、「ISO感度」のいずれかをレンズ側に割り当てることが可能なコントロールリング。スムーズな撮影をサポートするこの画期的な機能を河野氏はどのように活かしているのかを紹介します。

コントロールリング解説イメージ画像
コントロールリング解説イメージ画像
河野氏の場合、コントロールリングに露出補正を割り当てています。手持ちで撮影することも多い中、ボディーを両手、両指でしっかりホールドし、ファインダーを覗いた状態のまま、左手の指先だけをわずかに動かして、露出を補正できます。
コントロールリングを操作することで、ボディー上部表示パネルの露出表示が変わります。同じくファインダー内の表示も変わります。ボディーをしっかりと保持し、ファインダーを覗いたまま、露出を補正できることは、撮影に集中する上でとても役に立つと河野氏はおっしゃっていました。

防塵・防滴に配慮した設計

急に天候が変わっても安心して撮影できる。NIKKOR Zの高い防塵・防滴性能。

防塵・防滴イメージ画像

シーリング処理

シーリングイメージ画像

埃や水滴の侵入を防ぐためのレンズ設計

レンズ鏡筒の可動部分をはじめとする随所にシーリングを施した、防塵・防滴に配慮した設計です。

  • 防塵・防滴に配慮した設計となっておりますが、すべての条件で完全な防塵・防滴を保証するものではありません。