NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sは、NIKKOR Z レンズの中で最長※1の焦点距離800mm。航空機や野鳥など遠くの被写体を、ダイナミックな映像表現で捉えられます。撮像範囲を[DX(24×16)]に設定すれば、焦点距離1200mm相当の画角で、被写体をより大きく捉えることも可能です。さらに、テレコンバーター(Z TELECONVERTER TC-1.4x、Z TELECONVERTER TC-2.0x。いずれも別売)を装着することで、それぞれ、焦点距離を1120mm、1600mmまで拡大可能※2。テレコンバーターを装着した場合でも、高い光学性能を安定して維持できます。また、Z 9での動画撮影時には、テレコンバーターを装着しなくても、焦点距離の約2.3倍相当の映像を切り出し可能※3。遠くの被写体も、確実に高画質で撮影でき、満足度の高い映像が得られます。
NIKKOR Z レンズで初めてPF(Phase Fresnel:位相フレネル)レンズを採用し、大幅な小型化と軽量化を達成しました。PFレンズは、光の回折現象を利用することで高い色収差補正能力を実現。その結果、全体として使用するレンズ枚数を減らすことができ、大幅な小型・軽量化に貢献しています。質量はわずか約2385g、長さは約385mm。長時間の写真撮影や持ち運びの負荷を軽減でき、山間部での野鳥撮影もより快適に行えます。
PF(Phase Fresnel:位相フレネル)レンズは、光の回折現象※を利用して色収差を補正するレンズです。PF素子と通常のガラスレンズを組み合わせることで、優れた色収差補正能力を実現。PFレンズの強力な色消し効果によって、レンズの薄肉化や比重の小さい硝材の使用が可能となり、レンズの軽量化が可能になりました。
望遠レンズの全長を短縮させるためには、テレ比(全長/焦点距離)を小さくする必要があります。一般的なカメラ用レンズ(屈折レンズ)のみの構成でテレ比を小さくすると、レンズ前方の凸群で発生する色収差を後方の凹群で拡大してしまうため、全長の短縮には限界がありました。PFレンズは、一般的なカメラ用レンズとは逆の方向に強力な色収差を発生させることで効率的な色消しが可能となり、全長を短縮しても優れた色収差補正を達成。光学系の全長短縮が鏡筒の短縮を実現し、望遠レンズの軽量・小型化ができるようになりました。
一般的なカメラ用レンズ(屈折レンズ)は、光の屈折現象を利用して撮像面に像を結んでいます。光は色(波長)により屈折する強さが異なり、レンズに近い方から青(B)・緑(G)・赤(R)の順で結像します。この色ズレは「色収差」と呼ばれ、色のにじみとして画像の劣化につながります。これに対しPF素子は、レンズに近い方から赤(R)・緑(G)・青(B)の順で結像します。PFレンズは、PF素子と屈折レンズを組み合わせることで、それぞれの色収差を打ち消し合い高い色収差補正を可能にしています。
PFレンズの特性上、画面内外に強い光源がある場合、光源を中心にリング状の色つきのフレア(以降「PFフレア」とする)が写り込むことがあります。画像に写り込んだPFフレアは、NX Studioに搭載の「PFフレアコントロール」機能で軽減することが可能です。詳細についてはソフトウェアのヘルプをご覧ください。ソフトウェアは必ず最新版にバージョンアップしてお使いください。
超望遠レンズのスムーズなハンドリングには、レンズの適切な重量バランスが特に重要です。NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sでは、レンズの重心をボディー側に近づけることで、軽量化とともに重量バランスを改善。カメラを左右に振るときなどにもレンズの重さが気になりにくく、スムーズな撮影が可能です。
NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sは、超望遠800mmの焦点距離とともに、高度な設計思想に基づく厳格な品質基準をクリアーしたS-Lineにふさわしい、高い光学性能を実現しています。大幅な小型・軽量化の達成に貢献したPFレンズ1枚に加え、軸上色収差を効果的に抑制するSRレンズ1枚、EDレンズ3枚を使用。その結果、AF-S NIKKOR 800mm f/5.6E FL ED VRに匹敵する優れた解像度を実現し、遠く離れた野鳥の細かい羽毛まで正確に描写できます。また、定評のあるナノクリスタルコートの採用だけでなく、PFレンズの形状や配置を最適化することでゴーストを低減。厳しい光の条件下でも鮮明な画像を実現します。
青より短い波長の光を大きく屈折させる特性を持つ、ニコン独自開発の特殊高分散ガラスを使用したレンズ。補正が難しい短波長の光を制御することで、各波長の光をより高度に集光できるようにし、高精度な色収差補正が可能になります。また、通常の光学ガラスと同様に使用できるためレンズ構成の自由度が向上し、高い光学性能を実現しながらレンズの小型・軽量化にも寄与します。
プリズムの色分解作用を少なくするED(特殊低分散)ガラスを使用したレンズです。EDガラスは低分散で、しかも結晶素材の蛍石のように異常部分分散性を有し、2次スペクトルの低減が可能。通常の光学ガラス使用のレンズでは焦点距離が長くなるほど補正が困難になる焦点ずれを効果的に低減します。
レンズシフト方式VR機構は5.0段(CIPA規格準拠)の優れた手ブレ補正効果を発揮。手ブレの影響を受けやすい超望遠撮影や光量の少ないシーンでの撮影でも、安心して撮影できます。また、Z 9との組み合わせでは、カメラボディー内のセンサーシフト方式VRとレンズ内のレンズシフト方式VRが連動するシンクロVRの適用により、5.5段※(CIPA規格準拠)の手ブレ補正効果を発揮します。
高速、高精度なAFは、静止画、動画を問わず動きのある被写体を的確に捉え続けます。さらに、STM(ステッピングモーター)の採用でフォーカス時や動画撮影時のAF駆動音を低減。優れた静粛性を実現しており、野鳥をはじめとする野生動物の撮影のような、静粛性が求められるシーンに最適です。
より快適にレンズを保持できるよう、鏡筒の表面に広範囲にわたって滑り止めのラバーコーティングを施しました。また、ローレット※加工や小さな凹みなどの感触が、目視で確認しなくても操作できるようサポート。さらに、レンズ版のファンクションボタン(L-Fn/L-Fn2)には、好みに合わせて多彩な機能を割り当てることができます。片手で取り外せるようにロック機構を改良したレンズフード HB-104も付属。高い操作性とカスタマイズ性で、プロフェッショナルフォトグラファーも安心して使用できます。
鏡筒の可動部分をはじめ随所にシーリングを施し、さらにレンズマウントゴムリングを採用して、高い防塵・防滴性能を確保しています。また、レンズ最前面には、優れた防汚性能で汚れが付着しにくく、付着した場合も簡単に拭き取り可能な、フッ素コートも採用。過酷な条件下でも安心して撮影に集中できます。
優れた操作性を維持しながら、インパクトのある大胆なフォルムと繊細なデザインを実現。ヘアラインのベースにNIKKORのエンブレムとレンズ名を刻印した金属製の銘板を設け、洗練された印象に仕上げました。鏡筒先端には、レンズフード装着時にも見える位置にニコンコーポレートカラーをイメージしたイエローリングを配置。側面の金属製「Sバッジ」がNIKKOR Z レンズS-Lineのアイデンティティーを主張します。