Nikon Imaging
Japan

ザ・ワークス Vol.20 スピードライト SB-80DX

増灯撮影をすれば思い通りの写真が自由自在  もっともっと多くの人にその楽しさを伝えたい

フラッシュヘッドを上方向50°以上
にセットし、天井にバウンスさせて撮
影することによって、写真1では写
真2のような強い影がなくなる。写真
3は、バウンスアダプターを装着し
て撮影したもの。写真2よりも影がう
すくなる。

松井さんおすすめのスピードライトの使い方を教えてください。

「スピードライトを使って自然な写真を撮ったり、影を上手にコントロールしていただきたいと思っています。たとえば、人物写真を撮るときにスピードライトを被写体の正面に当てるとします。そうすると、おでこや鼻、頬などが白っぽく飛んで立体感がなくなり、のっぺりした写真になります。特に色白の方や結婚式などでウエディングドレスを着た花嫁さんを撮影したときには、せっかくの写真もだいなしです。そんなときは、バウンス撮影をしていただきたいですね。バウンス撮影とは、天井や壁にスピードライトの光を当ててその反射光を利用する撮影方法です。室内のライトは普通頭上にありますよね。ですから天井にスピードライトの光をバウンスさせると、いま我々が見ているような自然な写真を撮れるわけです」


写真 1.バウンスあり



写真 2.バウンスなし



写真 3.バウンスなし
(バウンスアダプター装着)

先ほどのバウンスアダプターと方法は違いますが、同じような効果が得られるのですね。影のコントロールとはどういうことですか?



上図イラストの2の位置からスピードライトを当てると、写真4のように輪郭が強調されて立体的に見える。さらに、イラストの1の位置からスピードライトを当てると、写真4にあるような強い影が消え、写真5のように自然な写真になる。


「影をスピードライトの光によって消すことです。みなさんに特におすすめしたいのが増灯撮影です。使用説明書にいくつか例がのっていますので説明したいと思います。まず、鳥の置きものを撮影をするとします。鳥の斜め後ろからスピードライトを当てると輪郭が強調されて立体的に見えますが、鳥の前にできた影がうるさいですよね。そこで、鳥のサイドからもう1灯のスピードライトを当てると、サンプル写真のように強い影が消えるのです」



写真 4.



写真 5.

上図イラストの1の位置からスピー
ドライトを当てると、写真 6のように
立体感が出る。さらに、2の位置の
トップからの光と、3の位置の背後で
バウンスさせた光を当てると、
影が消えて細部までくっきりとした写真7
のようになる。写真8は、カメラに装
着したスピードライトのみで撮影し
たもの。正面からの光だけなので、
写真7と比べると立体感がなく、背
後の影がうるさい印象を受ける。

全然違う写真になりますね。スピードライトを2灯使った方が自然な感じがします。

「そうなんです。次に花束を被写体にして3灯使った場合を説明したいと思います。まず、カメラのサイドから光を当てて立体感を出します。それだけでは影が強い写真になってしまうので、花の上からの光と背後にバウンスさせた光を当てることによって影が消えて細部まではっきりとした自然な写真になります」

スピードライトを何灯も使うことによって、より立体的で自然な写真ができあがるのですね。

「そのとおりです。もっともっと増灯撮影の方法を多くの方に知っていただいて、その楽しさを味わっていただきたいのです。我々とお客様の接点は主に使用説明書やカタログなので、増灯撮影の方法をできるだけわかりやすくたくさんのせるようにしています」

サンプル写真とそのときのスピードライトの配置図が一緒にのっているのでわかりやすいですよね。このサンプル写真の撮影にも立ち合われたのですか?

「はい。実際に撮影をしてくださった方には、かなりの注文をつけさせていただきました(笑)。開発者からの提案だけではなく、自分もお客様の立場になったつもりで、どこがわかりにくいのかを考え、それをできるだけわかりやすく説明するように心がけました」


写真 6.
カメラから外した1灯によるサイド光撮影



写真 7.
3灯による撮影



写真 8.
カメラに装着した1灯による撮影

スピードライト開発のおもしろさは 10,000分の1秒の光をコントロールすること

スピードライトの開発で、大変だと感じることはありますか?

「そうですね。我々がつくっているスピードライトは基本的にニコンのすべてのカメラに使用できるようにしておりますので、その互換性をたしかめるのが本当に大変です。スピードライト開発者の宿命と思っていますが……」

そうですね。考えただけでも気が遠くなります。では逆に、スピードライトの開発はどんなところがおもしろいですか?

「光をコントロールすることです。スピードライトが光っている時間というのは、長くて1,000分の1秒、短いものは10,000の1秒です。その非常に短い時間で高電圧などの技術的な困難をのり越えながらより良い商品をつくり上げていくというのは本当におもしろいです」

松井さんが開発されたスピードライトの中で一番印象深い機種を教えていただけますか?

SB-50DXです。この機種の開発当時の目的は、カメラの良さを最大限にいかしてスピードライト撮影のおもしろさをお客様にお伝えするというところにありました。現在のカメラは、ほとんどがスピードライト内蔵になりました。その内蔵スピードライトを使って気軽に増灯撮影を楽しむことができないかという発想から、非常にユニークな形にしたのです。前傾の形をしていて、正面から見ると白いエプロンのようなものがあります。このエプロンのようなものは、“減光板”といいます。たとえば、スピードライトをカメラに装着して光を天井にバウンスさせ、さらにカメラの内蔵スピードライトを使って2灯撮影をしたとすると、直接光の内蔵スピードライトの方が光が強いですから、せっかくバウンスさせてもほとんどが直接光で調光してしまいます。そこで、この減光板を使って内蔵スピードライトの光をやわらげるとバウンスさせた光がメインになり、自然な写真ができあがるわけです。この減光板を付けただけなのですが、いろいろな評価をいただき、未知との遭遇がいっぱいありました。本当にこれでいいのかな?とか、設計的には問題ないけれど、お客様に受け入れていただけるだろうか?とか、多くの人の意見を聞きながら議論を繰り返してつくり上げたので、私にとっては非常に愛着のある機種です」

入社以来、スピードライトの開発一
筋という松井氏。今後もヒット商品を
次々と開発していきたいと力強く
語ってくださいました。

今後のスピードライト開発に当たって、技術的にクリアしていかなければならない課題はありますか?

「そうですね。はじめにも申し上げましたが、スピードライトはカメラのお手伝いをする機械です。今後もカメラはどんどん進歩していきますので、その性能をフルに引き出すべく技術開発を行うことが一番の課題だと思っています」

将来つくってみたいスピードライトはありますか?

「まぶしくないスピードライトです(笑)。記念撮影で必ず目をつぶってしまう人っていますよね。また、赤ちゃんにスピードライトを向けてはいけないと一般的に言われていますが、まぶしくなかったらこれらの問題は一挙解決ですよね。まぶしくないのに適正な光できれいに撮影できたら最高だと思います」

では、最後に今後の展望をお聞かせください。

「お客様にスピードライトの奥深さを理解していただいて、増灯撮影を誰もが気軽に楽しめるようにできたらいいなと思っています。いままではこんな単純な撮影しかできなかったとか、せっかくいけた花があまりきれいに写らなかったという方がスピードライトを使用されることによって、こんなにきれいに撮れるんだと実感していただければこの上ない喜びです。そのためのわかりやすいシステムづくりと使い方のハウツーをもっともっとお客様にお伝えするということが必要だと思っています。とにかく、今後とも次々とヒット商品を企画、商品化したいと思っていますので、みなさんご期待ください!! 」

では、最後に今後の展望をお聞かせください。

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