21日ごろ、夕空で木星と土星が大接近します。次回は60年後という超大接近の様子を、しっかり見届けましょう。14日ごろに見られるふたご座流星群は月明かりのない絶好の条件、こちらも見逃せません。
星空写真
中越にて
くじら座を撮影してきました。星図をたよりに見つけてみてください。画面いっぱいに広がっています。月が沈もうとしており、右からの月光で山が浮かび上がっています。
2018年7月27日 2時9分
ニコン D750+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED(28mm、ISO 3200、露出13秒、f/2.8)
撮影者:鈴木 祐二郎
2020年12月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(22日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。
2020年12月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(30日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。
1日(火) | 未明~明け方、月とアルデバランが接近 |
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3日(木) | 深夜~翌4日明け方、月とポルックスが接近 |
7日(月) | 未明~明け方、月とレグルスが接近 |
8日(火)![]() |
下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) |
11日(金) | 未明~明け方、細い月とスピカが並ぶ |
13日(日) | 未明~明け方、細い月と金星が大接近(「今月の星さがし」で解説) |
14日(月) | ふたご座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説) |
15日(火)![]() |
新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) 南太平洋~チリ・アルゼンチン~南大西洋で皆既日食(日本時間では未明1時ごろ) |
17日(木) | 夕方~宵、細い月と木星、土星が接近(「今月の星さがし」で解説) |
21日(月) | 冬至(北半球では、一年のうちで一番夜が長い日) このころ、夕方~宵に木星と土星が超大接近(「今月の星さがし」で解説) |
22日(火)![]() |
上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む) |
24日(木) | このころ、明け方に金星とアンタレスが並ぶ |
27日(日) | 夕方~翌28日未明、月とアルデバランが接近 |
30日(水)![]() |
満月。次の満月は来年1月29日です |
31日(木) | 宵~翌1月1日未明、月とポルックスが接近 |
太陽に近いため、見えません。
1月10日ごろから、夕方の西南西の低空に見えるようになります。
「明けの明星」として未明から明け方の東南東の低空に見えます。日の出1時間前(東京で明け方5時40分ごろ)の高度は10度前後とかなり低めで、建物などに隠されてしまうかもしれません。見晴らしの良い場所で探してみましょう。時間が経って空がもう少し明るくなれば、金星の高度が上がるので見つけやすいでしょう。
13日に非常に細い月と大接近します。見逃せない美しい共演なので、寒い時期ですがぜひ早起きしてお楽しみください。また、下旬には「さそり座」の1等星アンタレスと並んで見えます。
「うお座」にあります。日の入りのころに東南東から南東の空に見え、夜20~21時ごろに真南の空の高いところに上り、未明2時ごろに沈みます。明るさは約マイナス0.7等級で、地球最接近から2か月過ぎたものの、依然として都市部でも肉眼ではっきり見えるほど目立ちます。
見かけの大きさは地球最接近のころの約半分ほどになり、模様を観察するには大きめの天体望遠鏡が必要です。科学館などの天体観察会では、まだ見ることができるかもしれません。色や明るさは、肉眼や双眼鏡でもじゅうぶん楽しめます。
26日の未明に、満月前の丸みを帯びた月と並んで見えます。また26日の夕方から宵にかけても月と火星が並びます。赤っぽい火星と白い月の対比を楽しみましょう。
「いて座」と「やぎ座」の境界付近にあります。日の入り1時間後(東京で夕方17時30分ごろ)に南西の空の低いところに見え、その約1時間30分後に沈みます。明るさは約マイナス2等級です。
空が暗くなってから木星が沈むまで1.5時間ほどしかないので、天体望遠鏡での観察には適していません。ただし、21日前後には望遠鏡の狭い視野の中に木星と土星が一緒に見えるという非常に珍しい現象が起こり、見逃せません。空が暗くなりきっていなくても低空でも、望遠鏡で観察してみましょう。お持ちでない方は科学館やプラネタリウムなどの天体観察イベントに参加してみましょう。
肉眼や双眼鏡では、木星と土星の間隔がどんどん小さくなっていく様子を確かめてみてください。最接近する21日前後には、肉眼では木星と土星が1つの星のように見えるかもしれません。また、17日の夕方から宵には細い月も接近し、3天体の集合が見られます。
「いて座」と「やぎ座」の境界付近にあります。日の入り1時間後(東京で夕方17時30分ごろ)に南西の空の低いところに見え、その約1時間30分後に沈みます。明るさは約0.6等級です。
空が暗くなってから土星が沈むまで1.5時間ほどしかないので、天体望遠鏡での観察には適していません。ただし、21日前後には望遠鏡の狭い視野の中に木星と土星が一緒に見えるという非常に珍しい現象が起こり、見逃せません。空が暗くなりきっていなくても低空でも、望遠鏡で観察してみましょう。お持ちでない方は科学館やプラネタリウムなどの天体観察イベントに参加してみましょう。
肉眼や双眼鏡では、木星と土星の間隔がどんどん小さくなっていく様子を確かめてみてください。最接近する21日前後には、肉眼では木星と土星が1つの星のように見えるかもしれません。また、17日の夕方から宵には細い月も接近し、3天体の集合が見られます。
12月恒例の天文現象、ふたご座流星群は14日ごろが活動のピーク。今年は月明かりがなく、絶好の条件で見られます。夕空で並んでいる木星と土星は21日ごろに最接近し、天体望遠鏡の同一視野に入るほどの超大接近を見せてくれます。
毎年12月中旬ごろに活動がピークとなるふたご座流星群は、寒いことを別とすれば一年で最も見やすい流星群です。
といったことが理由です。条件が良ければ一晩で100個以上の流れ星が見えることもありえます。
今年ふたご座流星群の活動が最も活発になるのは14日の午前10時ごろと予想されています。したがって、その前夜となる13日の宵から14日の明け方にかけて、流れ星が一番見やすいということになります。
15日が新月なので、ピークの前後の日には月明かりの影響がほとんどありません。つまり、最高の条件で流れ星を見ることができるということです。見晴らしの良さや空気の澄み具合によっても変わりますが、視界が開けていて街明かりの影響がないようなところなら、1時間あたり50~80個以上の流れ星を見られる可能性もじゅうぶんあります。郊外でも、30個程度は見えるかもしれません。
流れ星観察の重要なポイントは、空を広く見渡すことです。流れ星は、ふたご座の方向「だけ」に飛ぶのではなくふたご座(放射点)を中心として「空のあちこち」に飛びます。東西南北、頭の真上から地平線の近くまで、どこにでも同じように流れます。狭いところを集中して見るのではなく、広い範囲をゆったりと眺めましょう。広く見ることが大切ですから、双眼鏡や天体望遠鏡は不要です。同じ理由で、なるべく視界が開けたところで観察するほうが、流れ星を見やすくなります。郊外などで観察する場合には、街灯から離れた方向や、街明かりの影響を受けにくい天頂方向を中心にすると良いでしょう。
1時間に60個見えるとすると平均では1分間に1個見えることになりますが、観察を始めてすぐに流れ星が飛ぶとは限りません。防寒の準備を万全にして、安全やマナーにも気をつけながら、少なくとも15分くらいは流れ星を待ってみましょう。とても寒いので、くれぐれも無理はしないようにお気をつけください。また、ピークの前後数日間も、数は半分程度に減りますが流れ星を見られるチャンスはあります。ちょっと気にかけて星空を見上げてみましょう。1つでも多くの流れ星が見えますように。
明けの明星として夜明けの東南東の空に輝いている金星は、だんだんと太陽に近づいて高度が下がってきましたが、見晴らしの良いところであればまだ、その輝きを目にすることができます。冬の冷たい空気の中で見る金星の光は、とくにシャープに感じられるでしょう。
今月13日にはこの金星のすぐそばに、新月2日前の細い月が接近します。見かけの間隔が月1個分程度という大接近で、非常に見応えがあります。ぜひ早起きして、肉眼や双眼鏡で眺めたり、地上風景と一緒に写真に収めたりしてみましょう。空の色が変わっていく様子や雲の形なども一緒にお楽しみください。
15日の新月以降は、細い月が夕方に見えるようになります。そして17日に、南西の低空で三日月と木星、土星が集合します。先月19日に続いて、双眼鏡の視野の中に見やすい3天体が集合するという珍しい接近現象です。明け方の現象と同様に、肉眼や双眼鏡で眺めたり、地上風景と一緒に写真に収めたりしてみましょう。日の入り(東京で夕方16時30分ごろ)から1時間30分ほどで沈んでしまうので、なるべく早い時間帯のうちに、南西の空全体がよく見える開けたところでご覧ください。
月の暗い部分がほんのり光る地球照も美しく見えますが、とくに注目したいのは木星と土星の近さで、ちょうど月の幅ほどしかありません。次にご紹介するように、この2惑星の間隔は今後さらに小さくなります。
今夏から宵空に並んで輝いていた木星と土星は、10月ごろから双眼鏡の同一視野に見えるほどに接近しています。その間隔は日に日に小さくなっていき、今月からはついに2度を下回るようになりました。2度というのは月4個分、あるいは腕を伸ばして指1本分の幅くらいなので、腕を伸ばすと木星と土星の両方を1本の指で隠せるということになります。
最接近するのは21日ごろで、0.1度という超大接近となります。これは月の大きさの約2割です。肉眼では2つの惑星を分離できず、1つの光点にしか見えないかもしれません。かなり倍率を上げた(見える範囲が狭い)天体望遠鏡の同一視野にも入るほどの大接近なので、木星の縞模様と土星の環を同時に見ることもできます。
木星と土星の接近現象は約20年ごとに起こりますが、今回のような0.1度までの超大接近は、なんと1623年以来という極めてレアな現象です。次回は60年後の2080年3月と、かなり先の未来になります。空が暗くなりきっていない点と低空という点では、望遠鏡での観察はやや難しいのですが、ぜひ観察してみてください。望遠鏡がない場合は科学館やプラネタリウムなどのイベントに参加してみましょう。
もし肉眼や双眼鏡でしか見られないとしても、貴重な機会ですのでご覧になることをお勧めします。前後の期間の大接近もなかなか起こりませんので、最接近の日だけでなく継続的に眺めましょう。2020年末の天空からのプレゼント、どうぞお楽しみください。
全天88星座のうち4番目に大きい「くじら座」は、12月中旬の夜20時から21時ごろ南の空に大きく広がっています。明るい星は少ないですが、星座の西(右)の端にある2等星ディフダと、東(左)の端の3等星メンカルが見つけられれば、その間が「くじら座」だと見当がつけられます。どちらもオレンジから赤っぽい色をしているので、色も頼りにして探してみましょう。今シーズンは明るい火星も目印になります。
ディフダはくじらの尻尾、メンカルは鼻先にあたります。夜空でディフダからメンカルまでの間隔を眺めると、いかにもくじららしい大きさを実感することができますが、星座絵には私たちが知っているくじらとは似ても似つかない生き物が描かれています。ギリシャ神話では海を荒らした怪物とされ、王女アンドロメダを襲おうとしたところ、その場に偶然通りかかった勇者ペルセウスに退治されてしまいました。「怪物座」「海獣(かいじゅう)座」ではわかりにくいので「くじら座」になったのかもしれません。
くじらの胸のあたりに光る「ミラ」という名前の星は、およそ330日周期で明るさが変わる変光星です。明るいときには2等級で輝き、肉眼で簡単に見つけられますが、暗いときには10等級になり天体望遠鏡がなければ見つけられません。ミラは「不思議なもの」という意味の言葉に由来しますが、昔の人々にとって見えたり見えなかったりする様子はとても不思議だったことでしょう。
ミラが変光する理由は、星全体が膨張と収縮を繰り返すためで、こうしたタイプの星を「脈動変光星」と呼びます。ミラは赤い色をしているので、ちょうどくじらの心臓が脈動しているようなイメージです。
今年は9~10月ごろに一番明るくなり、現在は暗くなっている最中ですが、まだ肉眼でも見えるかもしれません。メンカルとディフダの間、ややメンカル寄りを探してみましょう。
くじらの口元あたりには、M77(Mはカタログの符号)という番号が付けられた銀河があります。空の暗いところで天体望遠鏡を使わなければ見えない、かなりマイナーな天体ですが、その正体は私たちのいる天の川銀河よりもはるかに大きく重い、巨大な銀河です。中心には太陽1000万個分もの巨大な質量を持つブラックホールが存在していると考えられているほか、過去に小さい銀河を飲み込んだ証拠と思われる構造が周囲に見つかっているなど、熱心に観測研究されている銀河です。
くじらの頭の上あたり(領域は「おひつじ座」)に天王星があります。双眼鏡を使って星をたどると比較的簡単に見つけられるので、ぜひ探してみましょう。詳しい位置は「11月号の星空案内」をご覧ください。
夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。
図は12月中旬の深夜1時ごろの星空です。来年1月中旬の深夜23時ごろ、2月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます)。
真南の空に「冬の大三角」が見えています。明るく形が整った三角形はよく目立ち、一年を通じて最も見やすい星の並びといえるでしょう。3つの星の色の違いにも注目してみてください。冬の大三角を中心として他の1等星も見つけられれば、クリスマスや年末を迎えた地上のイルミネーションにも負けない美しい夜空が楽しめるはずです。
関東地方より南の地域では、南の地平線近くに「りゅうこつ座」の「カノープス」も見えるかもしれません。一目見ると寿命が延びると言われる縁起の良い星です。天候や観察場所の条件に恵まれた日には、ぜひ探してみてください。
この空の様子は、ちょうど新年を迎えるころ、つまり2021年1月1日の0時とほぼ同じです。除夜の鐘を聞きながら夜空を見上げれば、こんな星々が見えるというわけです。2021年も美しい星空や天文現象に出会えること、安心して星空を楽しめる世の中となることを願いながら、よい新年をお迎えください。
季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。