夏の大三角が高く昇り、南の空に木星と土星が並んで輝いています。条件が良ければ空を二分するように天の川も見えるでしょう。中旬ごろにはペルセウス座流星群の流れ星が、星空に華を添えてくれるかもしれません。
星空写真
城ヶ島にて
岩場の危険を知らせる灯台の明かり、神奈川や遠く千葉の夜景が見えます。雲が多かったのですが、この時間、空が開け、頭上にペルセウス座流星群の流れ星が見えました。
2016年8月13日 2時3分
ニコン D800E+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(14mm、ISO 3200、露出30秒、f/2.8)
撮影者:鈴木 祐二郎
2020年8月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(4日)、上弦(26日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。
2020年8月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
1日(土) | 宵~翌2日未明、月と木星が並ぶ |
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2日(日) | 夕方~翌3日未明、月と土星が接近、木星が並ぶ(「今月の星さがし」で解説) |
4日(火)![]() |
満月。次の満月は9月2日です |
7日(金) | 立秋(こよみの上で秋の始まり) |
9日(日) | 深夜~翌10日明け方、月と火星が接近(「今月の星さがし」で解説) |
12日(水)![]() |
下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) ペルセウス座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説) |
14日(金) | 未明~明け方、月とアルデバランが並ぶ |
15日(土) | 未明~明け方、細い月と金星がやや離れて並ぶ |
16日(日) | 未明~明け方、細い月と金星が接近(「今月の星さがし」で解説) |
17日(月) | 明け方、細い月とポルックスが接近 |
19日(水)![]() |
新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) |
25日(火) | 伝統的七夕(「今月の星さがし」で解説) |
26日(水)![]() |
上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む) 夕方~宵、月とアンタレスが並ぶ |
29日(土) | 未明、月と木星が並ぶ 夕方~深夜、月と土星が接近、木星が並ぶ(「今月の星さがし」で解説) |
8日ごろまで、明け方の東北東の低空に見えますが、日の出30分前(東京で朝4時20分ごろ)の高度は約5度前後しかないため、見つけるのは難しそうです。スマートフォンのアプリなどを使って方位と高度をよく確かめてから探してみましょう。同じ明け方の東の空に見える金星との位置関係も参考にしてみてください。肉眼でも見える明るさですが、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。
「明けの明星」として未明から明け方の東北東の空に見えます。
日の出2時間前(東京で未明3時ごろ)には地平線から20度ほどまで昇っていて、建物などに遮られなければ眩しいほどの輝きを目にできるでしょう。見晴らしが良い場所なら2時ごろには見つけられるかもしれません。どのくらい早い時間から見えるか挑戦してみるのも面白そうです。また反対に、日の出が迫って空が明るくなっても見つけられそうです。
15日と16日に細い月と並んで見えます。早起きして肉眼や双眼鏡で観察してみてください。
「うお座」にあります。深夜22時ごろに昇ってきて、0時ごろに東南東の空、日の出1時間前(東京で朝4時ごろ)に南の空の高いところに見えます。明るさは約マイナス1.4等級です。
地球との最接近が2か月後に迫り、さらに明るさを増しています。木星や金星ほど明るくはありませんが、火星が位置する辺りには他に明るい天体が少ないため、圧倒的に目立って見えるでしょう。この明るさや色、大きさを地球最接近のころの見え方と比べてみるためにも、機会があれば天体望遠鏡でも観察しておきましょう。
9日の深夜から10日の明け方、下弦前の月と接近して見えます。
「いて座」にあります。空が暗くなったころに南東の空、夜21時30分ごろに南の空に見え、未明2時30分ごろに沈みます。明るさは約マイナス2.7等級です。
見やすい時間帯に見やすい高さにあるので、観察の好期です。双眼鏡や天体望遠鏡で、木星を公転するガリレオ衛星や木星表面の縞模様を眺めてみましょう。「今月の星さがし」も参考にしてみてください。
肉眼では木星と土星が右左に並ぶ光景が見ものです。色と明るさの違いに注目して眺めてみましょう。月初の1日から3日と月末の29日には、月と木星、土星が集合して見えます。
「いて座」と「やぎ座」の境界付近(いて座の領域)にあります。空が暗くなったころに南東の空、深夜22時ごろに南の空に見え、未明3時ごろに沈みます。明るさは約0.3等級です。
木星と並んで見やすい時間帯に見やすい高さにあるので、観察の好期です。天体望遠鏡で土星の環を観察してみましょう。衛星タイタンも見えるかもしれません。「今月の星さがし」を参考にして探してみてください。
肉眼や双眼鏡では木星と土星が右左に並ぶ光景が見ものです。色と明るさの違いに注目して眺めてみましょう。月初の1日から3日と月末の29日には、月と土星、木星が集合して見えます。
宵空で木星と土星が並んで輝いています。天体望遠鏡を向けてみましょう。夏の恒例、ペルセウス座流星群は12~13日に活動がピークを迎えます。月明かりはありますが楽しみです。
夜21時ごろに南の空を眺めると、明るい星が左右に並んでいる光景が目に入ります。向かって右の明るいほうが木星、左が土星です。
存在だけなら肉眼でも簡単にわかる木星と土星ですが、天体望遠鏡で観察するとさらに面白くなります。まず木星は、表面の縞模様や周囲を巡る4つのガリレオ衛星が見ものです。
ガリレオ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)は動きが速く、一番内側のイオは2日弱で、一番外側のカリストは17日ほどで木星を一周するので、数時間から数日の間にも並び方が変わって見えます。観察するたびごとに、お互いの位置関係や木星からの離れ具合が変化しているのがわかるでしょう。ときどき、衛星が木星の裏に回ったり木星の影に入ったりして、3つ以下しか見えなくなることもあります(衛星が木星のすぐそばにあるときには、木星が明るいため衛星が見づらいこともあります)。ガリレオ衛星は双眼鏡でも見えます。
次に土星は、まずは何と言っても象徴的な環が見ものです。環の見え方は数日といった短期間では変わりませんが、年の単位で考えると少しずつ変わります。今夏は土星をやや斜め上(土星の北半球の上空)から観察するような角度なので環が比較的見やすいのですが、来夏以降は徐々に土星を横(土星の赤道の上空)から観察する角度になっていくため、環が見かけ上細くなるのです。今シーズンの見え方を、しっかり覚えておきましょう。
また、土星にもタイタンという比較的見やすい衛星があり、望遠鏡があれば見つけられます。約16日周期で土星を一周するので、図を参考にして探してみましょう。
夏は科学館などで天体観察会が企画されることが多く、そうした機会に望遠鏡で惑星を観察できたのですが、今年は人数制限やイベント中止といった対応がとられているかもしれません。情報をチェックし、参加される場合には安全に留意しましょう。
天体望遠鏡がなくても肉眼や双眼鏡で、自宅やご近所で気軽に、月と惑星の接近現象を眺めてみるのも楽しいものです。次の星図では8月中に起こる現象をまとめて紹介しています。見える時間帯や方位、月の形、惑星の色と明るさ、周りの星々の様子などは現象ごとに異なり、それぞれの日で天気や地上の様子も異なるはずです。そうした違いも意識しながら眺めてみてください。
8月中に起こる月と惑星の接近の様子(場所の設定は東京)。囲み内は拡大イメージ(視野6度の双眼鏡で観察したイメージ)。ピンポイントでこの時刻というわけではなく、地平線の上にあって空が明るくなければ前後の時間帯でも見られる(方角は変化します)
毎年8月13日ごろに活動がピークとなる「ペルセウス座流星群」は、夏の定番の天文現象です。条件が良ければ1時間あたり50個以上もの流れ星を見ることができる、一年のうちでも指折りの「流れ星が見やすい時期」です。速く明るい流星が多いので見ごたえがあり、流れ星が飛んだあとに、ぼんやりとした煙のような「流星痕」が見えることもあります。
今年ペルセウス座流星群の活動が最も活発になるのは12日深夜22時ごろと予想されています。12日深夜から13日明け方にかけての夜が、一番の見ごろとなるでしょう。見晴らしが良いところでは1時間あたり30個ほどの流れ星が見えそうです。視界の一部が遮られる郊外などでは、この半分から3分の1くらいになりそうです。また、数は減りますが前後数日も流れ星が見やすい時期です。
流れ星観察の重要なポイントは、空を広く見渡すことです。流れ星は「ペルセウス座の方向(北東)だけ」に飛ぶのではなく「ペルセウス座(放射点)を中心として空のあちこち」に飛ぶので、狭い範囲を集中して見るのではなく広い範囲をゆったりと眺めましょう。広く見ることが大切ですから、双眼鏡や天体望遠鏡は不要です。また、今年は13日0時ごろに月が昇ってくると月明かりの影響で流れ星がやや見えにくくなるので、なるべく月から離れた方向を中心として観察するのが良いでしょう。運が良ければ、夏の大三角の中や南西の空の木星、土星のそばに流れ星が見えるかもしれません。
1時間に30個見えるとすると平均では2分に1個見えることになりますが、流れるペースは不規則なので、10分以上も流れ星を目にできないということもあります。虫よけを準備して、安全やマナーに気をつけながら、少し気長に空を見上げてみてください。1つでも多くの流れ星が見えますように。
7月7日は七夕でしたが、例年この日にはまだ梅雨明けしていない地域が多く、晴れた夜空に織り姫星(「こと座」のベガ)と彦星(「わし座」のアルタイル)が見えないことも少なくありません。
七夕は古くからの行事で、もともとは旧暦の7月7日に行われていました。そこで、この旧暦7月7日(※)を「伝統的七夕」と呼んで、天文行事として祝う動きも広く行われています。伝統的七夕の日は毎年日付が変わり、今年の場合は8月25日です。
※旧暦は現在公的には使われていないため、伝統的七夕の日は「太陽太陰暦と同じような方法で求めた7月7日に近い日」として、太陽の位置や月の満ち欠けをもとにして決められます。
伝統的七夕の8月25日と新暦七夕の7月7日、旧暦の7月1日にあたる8月19日の、夜21時の空(場所は東京)。7月7日には地平線(図の円周)に近いベガとアルタイルが、8月25日には天頂(図の中心)付近まで高く昇ることがわかる。
また、8月19日は月明かりがないので、この前後の日は天の川が見やすい
8月下旬ともなれば梅雨もすっかり明けており、晴れた夜空に出会える確率が高くなります。7月7日の夜21時ごろには東の空に見えていたベガとアルタイルは、伝統的七夕の夜21時には頭の真上あたりまで高く昇っています。また、旧暦では1日が新月なので、その6日後となる旧暦7日は必ず(ほぼ)上弦の半月になります。南西の空に見えるこの半月が沈む深夜以降、空が暗いところではベガとアルタイルの間に天の川も見えるでしょう。今年の場合はベガとアルタイルだけでなく、南の空に木星と土星もペアで見えています。
伝統的七夕に合わせ、省エネや暗い夜空などについて考えるライトダウンキャンペーンも行われています。8月25日の「伝統的七夕」の夜は空を見上げて織り姫星と彦星を見つけ、星や宇宙に、そして地球にも、思いを馳せてみてください。
「こぎつね座」「や座」は8月中旬の夜21時ごろに南の空の高いところに昇っている星座です。マイナーな存在ですが、それだけに探しがいもある、見つけられると嬉しい星座です。
どちらも小さい星座で、とくに「や座」の広さは全天88星座のうち小さいほうから数えて3番目です。また、どちらも3.5等級より暗い星しかないので、街明かりがあるような場所からではほとんど見えません。
このように目立たない星座ですが、「夏の大三角」という目印があるおかげで位置の見当をつけるのは簡単です。夏の大三角の内側、アルタイルの辺りを眺めれば、星が見えなくても「そこに星座がある」ことを想像できるでしょう。
このあたりには天の川が流れているので、双眼鏡を使うとたくさんの星が見えます。「や座」は双眼鏡の視野内にちょうど収まり、バランスの良い形を確かめられます。「こぎつね座」のほうは、星の並びから狐を想像するのはやや難しいかもしれません。星座の形をたどるというよりは「闇にまぎれて獲物を狙う狐」をイメージしてみてください。
「こぎつね座」と「や座」との境界あたりには、双眼鏡や天体望遠鏡で観察すると面白い天体がいくつかあります。その一つが、「コートハンガー」と呼ばれる星の並びで、まさしくハンガーのような形に見えます。アルタイルとベガの間、ややアルタイル寄りのところに双眼鏡を向けると見つけられますので、「や座」と合わせて探してみてください。
「あれい星雲」は、鉄亜鈴のように見えることからその名が付けられた天体です。蝶やリボンなど、いろいろなものを想像させる形ですね。メシエカタログという天体カタログの27番目に収録されていることからM27という番号でも呼ばれます。その正体は、星から放出されたガスや物質が紫外線に照らされて光って見えているものです。
星図中の画像は天体写真を元にしたもので、天体望遠鏡を使っても眼視ではこのとおりに見えるわけではありませんが、空の条件の良いところで観察すると、白っぽく淡い広がりがわかります。撮影対象としても大人気の天体なので、インターネットにも多数の画像が掲載されています。検索して美しい姿を楽しみましょう。
夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。
図は8月中旬の深夜1時ごろの星空です。9月中旬の深夜23時ごろ、10月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。
「夏の大三角」が西の空へと移り、木星と土星が南西の空に低くなりました。今月ご紹介した「や座」は、図では左向きに見えますが、夏の大三角がある西を正面にして空を眺める(図を時計回りに90度回転させる)と矢が上向きに見えます。空高く飛んでいく様子をイメージしてみましょう。
矢が飛んでいく方向、頭の真上近くには、秋を代表する「秋の四辺形」が広がっています。さらにそのまま視線を南東へと移していくと、明るく輝く火星に至ります。西から東まで、空を大きく仰ぎ見てみましょう。
さらに時間が進むと明けの明星の金星も昇ってきます。明るく目立つ星や惑星から、小さい星座や天の川まで、夜空に広がる様々な名所をお楽しみください。体調管理にはお気をつけて。
季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。