木星と土星がほぼ一晩中見え観察の好期を迎えます。肉眼・双眼鏡・天体望遠鏡それぞれで楽しみましょう。深夜以降は火星も見え、明け方には金星も昇り、見やすい惑星が勢ぞろいします。
星空写真
草津白根山系にて
草津白根山系にある小さな池塘の水面に映り込んだ明けの明星を全周魚眼レンズでとらえました。遠近感が演出され神秘性が際立ちます。
(※入山規制が解除された時期の撮影です)
2017年7月3日 3時44分
ニコン D810A+AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED(8mm、ISO 800、露出10秒、f/3.5)
撮影者:高岡 誠一
2020年7月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(5日)、上弦(27日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。
2020年7月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
2日(木) | 宵~翌3日未明、月とアンタレスが並ぶ |
---|---|
5日(日)![]() |
満月。次の満月は8月4日です 宵~翌6日明け方、月と木星が接近(「今月の星さがし」で解説) |
6日(月) | 宵~翌7日明け方、月と土星が接近(「今月の星さがし」で解説) |
7日(火) | 七夕(「今月の星さがし」で解説) |
12日(日) | 未明~明け方、月と火星が接近(「今月の星さがし」で解説) このころ、明け方に金星とアルデバランが大接近(「今月の星さがし」で解説) |
13日(月)![]() |
下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) |
14日(火) | 木星が衝(一晩中見えるので観察の好機です。「今月の星さがし」で解説) |
17日(金) | 未明~明け方、細い月とアルデバランが接近、金星が並ぶ(「今月の星さがし」で解説) |
18日(土) | 未明~明け方、細い月と金星がやや離れて並ぶ |
21日(火)![]() |
新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) 土星が衝(一晩中見えるので観察の好機です。「今月の星さがし」で解説) |
23日(木) | 夕方、細い月とレグルスが並ぶ |
27日(月)![]() |
上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む) |
15日ごろから、明け方の東北東の低空に見えます。日の出30分前(東京で朝4時10分ごろ)の高度は約8度で、太陽から大きく離れることのない水星としては比較的好条件です。
ただし、水星を見つける目印になるような天体が近くにないので、探し出すのは少し難しいかもしれません。スマートフォンのアプリなどを使って方位と高度をよく確かめてから探してみましょう。やや離れていますが、金星との位置関係も参考にしてみてください。肉眼でも見える明るさですが、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。
「明けの明星」として明け方の東北東の空に見えます。
日の出1時間前(東京で明け方3時30分ごろ)の高度は、上旬のうちは15度ほど、中旬以降は20度を超えます。それほど高いわけではありませんが、とても明るいので、建物や山などに遮られなければ肉眼でもよく見えます。日の出15分前くらいでも見つけられるでしょう。
上旬から中旬にかけて、「おうし座」の1等星アルデバランと大接近します。最接近は12日ごろです。「今月の星さがし」を参考にして、肉眼や双眼鏡で眺めてみましょう。17日と18日には細い月も並びます。
「うお座」と「くじら座」の境界あたりを移動しています。深夜22時30分ごろに昇ってきて、日の出1時間前(東京で朝3時30分ごろ)に南東の空のやや高いところに見えます。明るさは約マイナス0.7等級です。
深夜以降にならないと見えないため、宵空で目立つ木星と土星ほどは注目されないかもしれませんが、未明から明け方の東の空で明るく目立って輝いています。10月の地球最接近を心待ちにしながら、引き続き、明るさや色の感じ方の変化を追ってみましょう。
12日の未明から明け方、半月と接近して見えます。
「いて座」と「やぎ座」の境界付近(いて座の領域)にあります。夜21時ごろに南東の空のやや低いところにあり、日付が変わる前後に南の空、未明3時ごろに南西の空のやや低いところへと移ります。明るさは約マイナス2.8等級です。
ほぼ一晩中見えるので観察の好期です。双眼鏡を使うと木星を公転する4つのガリレオ衛星が、天体望遠鏡を使うと衛星のほかに木星表面の縞模様が見えます。機材をお持ちの方はぜひ観察してみましょう。
肉眼では木星と土星が右左に並ぶ光景が見ものです。色と明るさの違いに注目して眺めてみましょう。5日の宵から6日の明け方にかけて木星と満月が接近して見える現象も楽しみです。
「いて座」と「やぎ座」の境界付近(いて座の領域)にあります。夜21時ごろに南東の空のやや低いところにあり、日付が変わる前後に南の空、未明3時ごろに南西の空のやや低いところへと移ります。
ほぼ一晩中見えるので観察の好期です。天体望遠鏡をお持ちの方は環を観察してみましょう。
肉眼や双眼鏡では木星と土星が右左に並ぶ光景が見ものです。色と明るさの違いに注目して眺めてみましょう。6日の宵から7日の明け方にかけて土星と明るい月が接近して見える現象も楽しみです。
木星と土星が一晩中見えるようになり、観察の好期を迎えます。また、明けの明星の金星は少しずつ高度を上げて見やすくなってきます。
夜21時から22時ごろに南東の空を眺めると、やや低いところに木星と土星が並んでいるのが見えます。向かって右の明るいほうが木星、左が土星です。
今月中旬から下旬にかけて、木星と土星は地球を挟んで太陽と正反対の位置に来る「衝(しょう)」という状態を迎えます。太陽の正反対ということは一晩中見えるので、それだけ観察できる機会が増えるわけです。また、太陽の正反対ということは、真夜中ごろに南に見えることになります。
5日の宵から6日の明け方にかけて、また6日の宵から7日の明け方にかけて2夜連続で、この2惑星の近くに明るい月が近づきます。5日が満月なので、ほぼ真ん丸の月と木星、土星が共演することになります。肉眼では広い範囲が見えるので、地上の風景と一緒に「地球と宇宙」を感じながら眺められそうです。双眼鏡で空の一部を切り取って眺めるのも、宇宙を覗いている感じがして面白いでしょう。さらに天体望遠鏡なら、月の模様、木星の縞模様やガリレオ衛星、土星の環などが楽しめます。それぞれの見え方を楽しんでみましょう。
太陽系を俯瞰した視点で考えてみると、衝のころには太陽・地球・木星・土星がこの順でおおよそ真っすぐに並んでいることになります。太陽~地球の距離を1とすると地球~木星は4、地球~土星は9くらいになります。この様子も想像しながら空を見上げてみてください。木星と土星の望遠鏡での見え方については、来月詳しくご紹介する予定です。
また、12日の未明から明け方には、下弦近くまで欠けた半月が火星と接近します。
明けの明星の金星が、夜明けの東の空に見えるようになってきました。それほど高くはないものの、とても明るく輝いているので、早起きの人の目を引きそうです。
金星は「おうし座」の領域にあり、牛の眼に当たる1等星アルデバランと接近して見えます。最接近は12日ごろで、その前後の期間に金星がアルデバランのそばを通り過ぎていきます。また、アルデバランの辺りには星が集まった「ヒヤデス星団」という天体があり、金星はこの星団の星々とも一緒に見えます。星団の星々はやや暗いため明け方の空では少し見づらいのですが、金星の辺りを双眼鏡で眺めてみるとわかるでしょう。17日と18日には細い月も接近するので、いっそう美しい光景となります。
さて、7月の明け方の空には、南西に木星と土星、南に火星、東に金星と、明るく見やすい惑星が勢ぞろいしています。5日から19日ごろには月も見え、17日ごろ以降には水星も東の低空に姿を現します(下旬のほうが高く明るくなります)。惑星や月を一度にまとめて見られる機会はなかなかないので、翌朝の天気予報が良さそうなら、ぜひ早起きして観察してみましょう。
7月7日は七夕。秋のお月見とともに、日本で古くから人々に親しまれている天文行事です。七夕伝説では一年に一度この日だけ、「織り姫星(織女星:しょくじょせい)」と「彦星(牽牛星:けんぎゅうせい)」が川を渡って会うことを許されていますが、伝説に登場する「織り姫星」は「こと座」のベガ、「彦星」は「わし座」のアルタイルという星です。
七夕のころ、ベガとアルタイルは夜21時ごろ東の空に見えます。3つの明るい星のうち、一番高く一番明るいのがベガ、ベガから右下に離れたところにあるのがアルタイルです。ベガの左下にあるもう一つの星は「はくちょう座」の1等星デネブで、この3つの星を結んでできる三角形を「夏の大三角」と呼びます。3つとも1等星なので、街中からでも見つけられるでしょう。
日付や時刻が変わると3つの星の高さや位置関係が異なって見えることがあります。「3つのうち一番明るいのがベガ、ベガから遠く2番目に明るいのがアルタイル、ベガに近く一番暗いのがデネブ」と覚えるとわかりやすいでしょう。
この夏の大三角を通り抜けるように天の川が流れています。七夕伝説では、織り姫星と彦星は川の反対岸にいることになっていますが、実際の空でもベガとアルタイルの間に天の川が流れているというわけです。街明かりや月明かりがない条件がそろえば、天の川も見えるでしょう。
多くの地域では7月7日は梅雨の真っ最中なので、当夜は晴れていないかもしれませんが、織り姫星と彦星は七夕以外の日にも見えます。晴れた夜には空を見上げ、2つの星や夏の大三角を探してみてください。なお、旧暦に基づいた「伝統的七夕」(日付は毎年変わり、今年は8月25日)のころには梅雨が明けて晴れることが多いので、織り姫星と彦星がさらに見つけやすくなります。
ギリシャ神話で12の冒険を成し遂げた英雄がモデルの「ヘルクレス座」は、7月中旬の夜21時ごろに頭の真上に広がる星座です。全天88星座のうち5番目に広い星座ですが、3等級より暗い星ばかりなので、街中で見つけるのは少し難しいかもしれません。
「ヘルクレス座」を見つける目印となるのは、「うしかい座」のアルクトゥールスと「こと座」のベガという2つの1等星です。この2つの間あたりに広がる、アルファベットのHの字のような星の並びを探してみてください。南が頭で北に足があるイメージです。
英雄のわりにはあまり目立ちませんが、天頂から地上を見下ろす姿には威風が感じられます。ぜひ全体像をたどってみましょう。
ヘルクレスの頭の位置にある3等星ラスアルゲティ(「ひざまずく者」という意味の言葉に由来)は、太陽の約800倍もの大きさを持つ巨大な星で、赤っぽい色をしています。隣に並ぶ「へびつかい座」の2等星ラスアルハゲは白色なので、色の対比がとても美しく眺められます。双眼鏡を使って観察すると色がわかりやすくなるでしょう。
また、ラスアルゲティを天体望遠鏡で観察すると二重星であることもわかります。
「ヘルクレス座」の右腰あたりには有名な球状星団M13があります(Mはカタログの符号)。
球状星団とは、数万~数十万個の星々が球状に集まった天体です。M13はその中でも大きく明るいもので、空の条件が良いところでは肉眼でも存在がわかるほどです。頭の真上に昇ったころであれば、街中からでも双眼鏡でボンヤリとした小さな丸い姿が見つけられるでしょう。天体望遠鏡を使えば、さらに美しく見えます。星図を参考にして、ぜひ見つけ出してみてください。
夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。
図は7月中旬の深夜1時ごろの星空です。8月中旬の深夜23時ごろ、9月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。
織り姫星ベガと彦星アルタイルが、空の高いところに見えています。ベガとアルタイルをつなぎ、そのまま南へと視線を降ろしていくと、木星と土星が並んで輝いているのが目につきます。頭の真上の夫婦ペアと、南の空の明るい惑星ペア、色や明るさや間隔などを見比べてみましょう。
東の空には秋の星座が見え始めています。明るい星が少ない領域ですが、今年は火星の輝きがひときわ目立ちます。火星は10月の地球最接近に向け、今後いっそう明るくなるので楽しみです。深夜ではありますが、木星、土星と共に天体望遠鏡でも観察してみたいですね。
まだ梅雨が明けていない地方もありそうですが、晴れた夜には5分でも10分でも、星空を眺めてみてください。
季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。