東の空を中心に、北斗七星や春の大三角、しし座など春を代表する星々が広がっています。宵の明星の金星は、反対の西の空で冬の名残の星座たちと共演しており、とくに「すばる」との大接近は見逃せません。
星空写真
レインボーブリッジにて
レインボーブリッジの上空にくまの親子が回っています。ライトアップが明るいですが、北斗七星はよく見えていました。北斗七星と北極星を手がかりに、おおぐま座とこぐま座を探してみてください。
2020年2月23日 20時48分
ニコン Z 6+NIKKOR Z 14-30mm f/4 S(14mm、ISO 500、露出4秒×100枚を比較明合成、f/4、トリミング)
撮影者:鈴木 祐二郎
2020年4月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(8日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。
2020年4月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(1日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。
1日(水)![]() |
上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む) このころ、未明~明け方に火星と土星が大接近(「今月の星さがし」で解説) |
---|---|
2日(木) | 夕方~翌3日未明、月とポルックスが並ぶ |
4日(土) | このころ、夕方~宵に金星とプレアデス星団が大接近(「今月の星さがし」で解説) 宵~翌5日未明、月とレグルスが接近 |
8日(水)![]() |
満月(今年最大の満月、「今月の星さがし」で解説)。次の満月は5月7日です 宵~翌9日未明、月とスピカが並ぶ |
12日(日) | 未明~明け方、月とアンタレスが並ぶ |
15日(水)![]() |
下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) 未明~明け方、月と木星が接近 |
16日(木) | 未明~明け方、月と火星、月と土星がそれぞれ並ぶ |
23日(木)![]() |
新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) |
25日(土) | 夕方、細い月とプレアデス星団が並ぶ |
26日(日) | 夕方~宵、細い月とアルデバランが接近、細い月と金星が並ぶ |
27日(月) | 夕方~宵、細い月と金星がやや離れて並ぶ |
29日(水) | 夕方~深夜、月とポルックスが並ぶ |
10日ごろまで、明け方の東の低空に見えますが、日の出30分前(東京で朝4時50分ごろ)の高度が5度未満と非常に低いため、観察はかなり難しいでしょう。
「宵の明星」として夕方から宵に西の空に見えます。
日の入り1時間後(東京で夜19時15分ごろ)の高度は約30度あり、とてもよく目立ちます。見晴らしが良ければ、夜21時以降でも見えるでしょう。反対に、日の入り前にも見つけられるかもしれません。スマートフォンのアプリなどで位置を確かめ、太陽を目に入れないように気を付けながら探してみてください。細い月と金星が並ぶ26日、27日がとくにチャンスです。
上旬から中旬に「おうし座」のプレアデス星団(すばる)と大接近します。3日と4日には金星が星団の中に入り込み、星団に明るい星が1つ増えたように見えます。「今月の星さがし」を参考に、素晴らしい共演を観察してみましょう。
「いて座」から「やぎ座」へと移動していきます。未明2時ごろに昇ってきて、日の出1時間前(東京で朝4時10分ごろ)に南東の空のやや低いところに見えます。明るさは約0.6等級です。
10月の地球との最接近に向けて、少しずつ明るくなってきています。長期にわたって明るさの変化を追ってみましょう。
明け方の南東から南の空には火星だけでなく、木星と土星も見えています。とくに火星と土星は1日ごろに大接近し、その後は間隔がどんどん開いていきます。「今月の星さがし」を参考に、並び方が変化していく様子を観察してみてください。15日と16日には、月もこの並びに加わります。
「いて座」にあります。未明1時ごろに昇ってきて、日の出1時間前(東京で朝4時10分ごろ)に南南東の空に見えます。明るさは約マイナス2.2等級です。
双眼鏡を使うと木星を公転する4つのガリレオ衛星が、天体望遠鏡を使うと衛星のほかに木星表面の縞模様が見えます。明け方に機材を持ち出すのは大変ですが、お持ちの方はぜひ観察してみましょう。
肉眼では先月に引き続き、火星と木星、土星が並ぶ光景が見ものです。3つの中で一番明るく見える木星が火星と土星を連れて動いているように見えるでしょう。「今月の星さがし」を参考に、並び方が変化していく様子を観察してみてください。15日と16日には、月もこの並びに加わります。
「やぎ座」にあります。未明1時15分ごろに昇ってきて、日の出1時間前(東京で朝4時10分ごろ)に南南東の空に見えます。明るさは約0.4等級です。
明け方ではありますが、そろそろ天体望遠鏡でも見える(望遠鏡で見て楽しめる)シーズンになりました。機材をお持ちの方は環を観察してみましょう。
肉眼では先月に引き続き、火星と木星、土星が並ぶ光景が見ものです。とくに土星と火星は1日ごろに大接近し、その後は間隔がどんどん開いていきます。また10日ごろには火星・土星・木星がこの順で、およそ等間隔に並びます。「今月の星さがし」を参考に、並び方が変化していく様子を観察してみてください。15日と16日には、月もこの並びに加わります。
夕空に輝く一番星の金星が「おうし座」のプレアデス星団を通り過ぎていきます。8年ぶりの現象をぜひ観察してみましょう。2月下旬ごろから続いていた未明の3惑星集合は今月でフィナーレを迎え、こちらも見逃せません。
2月下旬ごろから、未明から明け方の南東の空に3つの明るい惑星が見えています。一番明るく高いところに輝いているのが木星、次に明るいのが土星で、もう一つが赤っぽい色の火星です。
このうち火星は見かけ上の動き(背景の星座に対する移動)が速く、ゆっくり動く木星や土星に対する位置関係がどんどん変わっていきます。先月初めに木星より高いところにあった火星は21日ごろに木星と並び、それ以降は木星と土星の間にありました。そして先月末に土星も追い抜き、今月には火星が一番低くなります。
3月26日から4月7日まで2日ごとの、朝4時の南東の空の様子(場所の設定は東京)。囲み内は拡大イメージ(視野6度の双眼鏡で観察したイメージ/1日の小さい円は視野1.2度=40~50倍程度の天体望遠鏡で観察したイメージ)
火星と土星は1日ごろに最接近します。やや低めの倍率(40~50倍程度)の天体望遠鏡で同じ視野内に見えるほどの大接近で、火星の色と土星に環がある様子を一緒に見ることができます。望遠鏡をお持ちの方はぜひ観察してみましょう。1日以降は火星と土星が離れていき、10日ごろに火星・土星・木星がこの順番でおよそ等間隔に並びます。
惑星の並び方の変化を観察するのは、肉眼や双眼鏡でも可能です。広い範囲が見えて周りの景色や星座と一緒に眺められるので、望遠鏡よりも適しているともいえます。ぜひ早起きして、夜明けの時間が早くなってきたことを実感しながら観察してみてください。また、火星は今年10月の地球最接近に向け、これからいっそう輝きを増していきます。来月には土星よりも明るくなるので、その変化にも注目してみましょう。
一番星として夕方から宵に西の空に見えている金星が、引き続き見ごろです。宵の西の空では「おうし座」や「オリオン座」といった冬の星座が今シーズン最後の姿を見せていますが、金星はその「おうし座」の中を動いていきます。月初めのころには「おうし座」にある有名な星の集まり「プレアデス星団」と大接近するので見逃せません。
とくに楽しみなのは3日と4日で、プレアデス星団の中に金星が入り込んだように見えます。両天体が接近する現象は時々起こりますが(たとえば2018年4月など)、重なるほどの大接近となるのは2012年以来8年ぶりの珍しい現象です。この2日間はとくに晴れを期待しましょう。前後の日も観察すれば、金星がプレアデス星団を通り過ぎていく様子がよくわかります。
日の入りから金星が沈むまでは約4時間あり、観察できる時間帯は比較的長めですが、空が明るいうちはプレアデス星団の星が見づらく、時間が遅くなると金星や星団が低くなってしまうので、日の入りから1時間後(東京で夜19時10分ごろ)から2時間後くらいが見ごろです。
プレアデス星団は肉眼でも星が数えられるほど明るく見やすい天体ですが、双眼鏡を使うとさらに見やすくなります。また、双眼鏡なら、多少の街明かりがあるような場所でも観察できるでしょう。フィールドスコープや倍率が低めの天体望遠鏡で観察するのもお勧めです。地上風景を取り入れた写真撮影や拡大撮影にも、ぜひ挑戦してみてくだだい。
プレアデス星団は「すばる」という和名がよく知られています。約1000年前、清少納言は『枕草子』の中で「星はすばる。……ゆうづつ。……」(星といえば「すばる」や「ゆうづつ=宵の明星」が良い)と記しました。はるか昔から親しまれてきた「すばる」と「ゆうづつ」、春の夕景の中で大接近する様子を、現代の私たちも楽しみましょう。
月は約1か月の間に、満ち欠けによって形(光っている部分)が大きく変化します。それに加えて、月の「見かけの直径」も日々変化しています。月は地球の周りを楕円軌道で回っているので、月と地球の距離が変化し、それによって「近い時には大きく」「遠い時には小さく」見えます。
月と地球が一番近づいたタイミングの前後でちょうど満月になれば、とくに大きな(直径が大きく、光っている面積の割合も大きい)月が見えることになります。今年の場合は4月7日の宵から8日の明け方にかけての月が「(地球規模で考えた場合)今年一番大きい満月」にあたります。
※4月8日の満月の瞬間(望)は11時35分で日本からは見えないため、ここではその前後の月を満月として考えています。「望の時刻に日本から見える月として今年一番大きい」のは3月10日の満月でしたが、「年間最大の」というときには「地球中心からの距離」で比較することが多いようです。
今年最小の満月(10月31日)と比べると、7~8日の満月は直径で14%、面積で約30%も大きくなります(地球の中心から見た大きさで比較)。図を見るとずいぶん差があるように思えるでしょうが、実際の空で月を2つ並べて観察することはできないので、その差は実感しにくいものです。
最大の(一番近い)満月だからといって、何か特別なことが起こるわけでも変わった様子が見られるわけでもありませんが、やはり「一番」というものには普段以上の魅力を感じてしまうのも事実です。月見団子ならぬ桜餅と一緒に、春の大きなおぼろ月を愛でてみてはいかがでしょうか。
4月中旬の夜21時ごろ、北の空の高いところに、北極星を見つける目印として有名な「北斗七星」が昇っています。この北斗七星を含むのが「おおぐま座」です。星図を見ると、北斗七星の水を汲む部分が熊の腰、柄の部分が尻尾にあたるのがわかります。
一方、北極星は「こぐま座」に含まれる星で、熊の尻尾の先で光っています。「こぐま座」の星々もひしゃくのような形に並んでいることから、「小柄杓(こびしゃく)」と呼ばれることもあります。
北斗七星の星々は2等級(真ん中のメグレズだけ3等級)、小柄杓のほうも北極星(ポラリス)とコカブは2等級です。北の方角さえわかっていれば街中からでもじゅうぶん見つけられるので、ぜひ探してみてください。これらの星々を手掛かりにすると、熊の顔や足の部分もイメージできるようになります。
「おおぐま座」は、日本からはほぼ一年中いつでも北の空のどこかに見えますが、宵のころに高く昇るのは今の時期です。一番高く昇ると、北斗七星は伏せた傾きになり、大熊は走り高跳びの背面跳びのような仰向けの角度になります。同じころ、小熊のほうは地面に足をついているような角度で見えます。季節や時間帯によって、この角度は変わってきます。ギリシャ神話では親子とされている熊の姿を、北の空に思い描いてみましょう。
北斗七星の柄の端から2番目の星、ミザールのすぐそばには、よく見ると別の暗い星があります。4等級のアルコルです。
古くから知られている二重星で、兵士の視力検査に使われたとも言われています。視力が良い人なら肉眼でも2つの星が見えますが、アルコルは暗いので空の条件が良いことも大切です。双眼鏡を使えば、少し視力が悪かったり街明かりの影響があったりしても分離して見えるでしょう。
天体望遠鏡を使うと、さらにもう1つアルコルとは別の星があることもわかります。お持ちの方は観察してみてください。
M81とM82(Mはカタログの符号)は、北斗七星の水を汲む部分の星、フェクダとドゥベを結んだ線を同じ長さほど延ばしたあたりに並んでいる銀河です。眼視ではぼんやりとした光のかたまりにしか見えませんが、天体写真ではM81の美しい渦巻きとM82の葉巻のような不規則な形が好対照です。
この2つの銀河は見かけ上たまたま並んでいるのではなく、実際に同じくらいの距離(約1200万光年)のところにあり、お互いに重力的な影響を及ぼしあっています。また、その影響によってM82では激しい勢いで星が生み出されています。
一方、北斗七星の柄の先あたりにはM101という銀河があります。M81と同様に美しい渦巻きが特徴で、「回転花火銀河」という愛称があります。距離はおよそ1900万光年です。やはり眼視では渦巻きの細かい様子までは見えませんが、天体写真では人気のターゲットになっています。
どれも、銀河としては明るく見やすい天体です。明るいとはいっても、空の条件の良いところで双眼鏡や天体望遠鏡を使わなければ見えませんが、光の速さで1000万年以上もかかるところにある天体の光を目にできるチャンスですので、機会があればぜひ探して観察してみましょう。
夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。
図は4月中旬の深夜1時ごろの星空です。5月中旬の深夜23時ごろ、6月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月や惑星が見えることもあります)。
北斗七星がやや北西に傾き、小柄杓が北天に真っすぐ立っています。北を正面にして空を見上げる(図を180度回転させて見ることになります)と、北斗七星はちょうど、水に柄杓を差し入れるときのようなイメージに見えるでしょう。この柄のカーブを南へと延ばしていくと、頭の真上を通って「うしかい座」のアルクトゥールス、そしてスピカへと続く「春の大曲線」が描けます。大きく伸びをしながら眺めてみましょう。
東の空には夏の星座たちも見え始めています。南東の空に赤く輝く「さそり座」のアンタレスや、東から北東に見える「夏の大三角」が目立ちます。さらに夜が更けると木星、土星、火星が次々に昇ってきて、南東の空がにぎやかになります。
だいぶ暖かくなり、深夜の星空観察もしやすくなってきました。例年以上に健康と安全にお気をつけて、春から夏へと移り変わる星空めぐりをお楽しみください。
季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。