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2020年2月の星空

明け方の空に木星と土星が見え始めます。火星を含めた3惑星が並ぶ様子に注目しましょう。夕空の水星と金星、宵空のオリオン座や冬の大三角も必見で、一晩中見どころがいっぱいです。

星空写真

六本木ヒルズ展望台東京シティビュー屋上スカイデッキにて
六本木ヒルズから東の空を撮影しています。中央にオリオン座が見え、大きく冬のダイヤモンドが写っています。左の明るい光は月です。オリオン座は形が特徴的で明るい場所でも見つけることができますので、ぜひ冬の空を見上げてみてください。

2019年12月15日 20時40分
ニコン Z 6+NIKKOR Z 14-30mm f/4 S(14mm、ISO 500、露出2.5秒×100枚を比較明合成、f/4)
撮影者:鈴木 祐二郎
Licensed by TOKYO TOWER

2月の星空

南の空

南の空

2020年2月1日ごろの22時、15日ごろの21時、29日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(9日)、上弦(2日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2020年2月1日ごろの22時、15日ごろの21時、29日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

2日(日) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
4日(火) 立春(こよみの上で春の始まり)
夕方~翌5日未明、月とアルデバランが接近
7日(金) 夕方~翌8日未明、月とポルックスが並ぶ
9日(日) 満月。次の満月は3月10日です
深夜~翌10日明け方、月とレグルスが接近
10日(月) このころ、夕方の西南西の低空で水星がやや見やすい(「今月の星さがし」で解説)
14日(金) 未明~明け方、月とスピカが並ぶ
16日(日) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
17日(月) 未明~明け方、月とアンタレスが並ぶ
19日(水) 未明~明け方、細い月と火星が接近(「今月の星さがし」で解説)
20日(木) 明け方、細い月と木星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
21日(金) 明け方、細い月と土星が接近(「今月の星さがし」で解説)
24日(月) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
27日(木) 夕方~宵、細い月と金星がやや離れて並ぶ
28日(金) 夕方~宵、月と金星がやや離れて並ぶ

2月の惑星

水星

15日ごろまで、夕方の西南西の低空に見えます。日の入り30分後(東京で夕方17時45分ごろ)の高度は約10度で、太陽から大きく離れることがない水星としては好条件です。

とはいえ、10度というのは相当低いので、建物などに遮られないように見晴らしの良い場所で探してみましょう。位置さえわかれば肉眼でも見えますが、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。水星より高いところに金星が見えているので、「今月の星さがし」を参考に「金星の真下からやや右(北)寄りの、地平線付近」と見当をつけ、ぜひ探してみてください。

金星

「宵の明星」として夕方から宵に南西の空に見えます。

日の入り1時間後(東京で夕方18時15分ごろ)の高度は30度近くに達し、よく目立ちます。非常に明るく輝いているので、簡単に見つけられるでしょう。見晴らしが良ければ、夜20時半~21時ごろになっても沈まずに見えています。反対に、日の入り前にも見つけられるかもしれません。スマートフォンのアプリなどで位置を確かめ、太陽を目に入れないように気を付けながら探してみてください。

27日に月齢4の細い月とやや離れて並びます。また翌28日にも月齢5の細めの月と少し離れて並びます。美しい共演をお楽しみください。

火星

「へびつかい座」から「いて座」へと移動していきます。未明3時ごろに昇ってきて、日の出1時間前(東京で朝5時30分ごろ)に南東の空のやや低いところに見えます。明るさは約1.3等級です。

少しずつ明るくなってきています。10月に地球と最接近するころにはもっと目立つようになりますので、長期にわたって明るさの変化を追ってみましょう。

南東の空に火星と木星、土星がそろっている光景は見ものです。また、19日には月齢25の細い月が火星に接近します。「今月の星さがし」も参考にして、4天体が並ぶ光景を観察してみてください。

木星

「いて座」にあります。明るさは約マイナス1.9等級です。

日の出1時間前(東京で朝5時30分ごろ)の高度は10度ほどと低いため、天体望遠鏡での観察には適していませんが、明るいので見晴らしが良ければ肉眼でも見つけられます。スマートフォンのアプリなどで位置を確かめて探してみましょう。木星の右上に見える火星も手掛かりになります。

南東の空に火星と木星、土星がそろっている光景は見ものです。また、20日には月齢26の細い月が木星に大接近します。「今月の星さがし」も参考にして、4天体が並ぶ光景を観察してみてください。

土星

「いて座」にあり、明け方の南東の低空に見えますが、日の出30分前(東京で朝6時ごろ)の高度が10度前後と低く、やや見つけづらいでしょう。肉眼でも見えますが、木星ほど明るくないので、位置をよく確かめて探してみましょう。土星の右上に並ぶ火星や木星が目印になります。低いため、天体望遠鏡での観察には適していません。

低空ながら、南東の空に火星と木星、土星がそろっている光景は見ものです。また、21日には月齢27の細い月が土星に接近します。「今月の星さがし」も参考にして、4天体が並ぶ光景を3日連続で観察してみてください。

今月の星さがし

10日前後に夕方の空で水星が少し見やすくなります。金星を目印に見つけてみましょう。中旬ごろからは明け方の空で火星・木星・土星が並んで見えるようになり、20日前後には月も接近します。

夕空の水星と金星

夕方から宵のころ、西の空では宵の明星がキラキラと光っています。ピンと張りつめた冷たい空気の中で見る金星の輝きは、他の季節よりも強く感じられそうです。

1月末から2月中旬ごろまで、この金星の下のほうに水星も見えます。10日には水星が太陽から見かけ上最も大きく離れるので、この前後の期間に水星が少し見つけやすくなります。

1月26日から2月15日まで5日ごとの、日の入り30分後(東京で夕方17時45分ごろ)の西南西の空の様子。線の間隔は10度(腕を伸ばして握りこぶし1個分くらい)

まず金星を見つけてから、金星のやや右寄り、地平線近くを探してみてください。双眼鏡を使えばわかりやすいでしょう。「双眼鏡で金星を見る」→「双眼鏡を覗いたまま、地上風景が見えるまで下げる」→「その右上のほうに、Zの字を描くようなイメージで双眼鏡を動かす」と、きっと見つけられます。双眼鏡で見えたら、肉眼でも見えるかどうか挑戦してみましょう。

太陽系の一番内側の惑星である水星は、見かけ上、太陽から大きく離れることがありません。そのため水星は、日の入りの直後や日の出直前といった空が明るいタイミングで、地平線の近くにしか見えないことになります。すると空の明るさに埋もれたり建物に隠されたりするので、水星はなかなか見えず、もし見えていても気づかないことが多いのです。

天気の条件や空気の透明度なども考慮すると、水星を見られるチャンスはそれほど多くありません。ぜひこの機会に、水星を探してみてください。

明け方の空に並ぶ火星・木星・土星、20日前後に細い月も接近

木星と土星は昨年12月ごろから、地球から見て太陽と同じ方向に位置するようになっていたため、しばらく観察ができない期間が続いていました。この2つの惑星がそろそろ、明け方の南東の空に見え始めます。宵空で見やすくなるのは夏以降ですが、まずは今月、2020年のあいさつ代わりに一目見ておくと良いかもしれません。日の出1時間前(東京で朝5時30分ごろ)の高さが5~10度前後と低いので、見晴らしの良いところで探してみましょう。

この木星と土星の右上のほうに、火星も見えています。3惑星それぞれの色や明るさを見比べてみると面白いでしょう。火星と土星では土星のほうが(今は)明るいのですが、低空にあると大気の影響などで暗く見えてしまうかもしれません。また、3惑星の間隔が変化していく様子を追ってみるのも楽しいものです。見かけ上、火星の動きが一番速いので、火星~木星の間隔がどんどん小さくなっていくことがわかるでしょう。3惑星が等間隔に並ぶのは3月上旬ごろです。

2月19~21日にかけて、この3惑星の近くに細い月が接近し、4天体が並んでいる光景が見られます。肉眼や双眼鏡で眺めたり、地上風景を入れて撮影したりしてみましょう。夜明けの空は10分ほどの間にもどんどん色や明るさが変わっていくので、その変化も楽しめます。

2月19日から21日まで1日ごとの、明け方の南東の空の様子。囲み内は拡大イメージ(視野6度の双眼鏡で観察したイメージ)

明け方は非常に寒いですが、その寒さと眠さを我慢してでも見る価値のある、とても美しい集合です。ぜひ早起きして観察してみてください。防寒は念入りに。

今月の星座

オリオン座

全天で88個ある星座の中で、最も有名で最も見つけやすい星座と言える「オリオン座」は、冬に見ごろを迎えます。2月中旬の夜20時から21時ごろに、南からやや南西寄りの空に見えます。赤っぽい1等星ベテルギウスと青白い1等星リゲル、その間に並ぶ三ツ星が、「オリオン座」を見つける目印です。

「オリオン座」(星雲の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

「オリオン座」が見つけやすい理由の一つは、2等星より明るい星が7個も含まれていることです。1等星や2等星は多少の街明かりがあるような場所でも見えるので、都市部からも「オリオン座」を見つけることができます。よく見ると、7つのうちベテルギウス以外はすべて青白い色をしていること、三ツ星のうちミンタカが少し暗いことなどにも気づくでしょう。

この7つがバランスよく並んでいることも、「オリオン座」が見つけやすく有名な星座である理由でしょう。ギリシャ神話に登場する狩人オリオンの頭や肩、腰、足にあたる星々をたどってみてください。少し暗い星も見つけられれば、手に持つこん棒や楯も想像できます。日本には和楽器の鼓に見立てた「つづみぼし」という呼び方もあります。リボンや砂時計のようにも見えますね。

ベテルギウスとリゲル

ベテルギウスとリゲルはどちらも太陽よりもはるかに大きく重い、超巨星に分類されるタイプの恒星です。色の違いは表面温度の違いに対応しており、赤色超巨星のベテルギウスは低温、青色超巨星のリゲルは高温の星です。その色を源平合戦の旗の色にたとえて、ベテルギウスには平家星、リゲルには源氏星という和名もあります。

オリオン座大星雲M42

「オリオン座」には双眼鏡や天体望遠鏡でぜひ観察したい、見逃せない天体があります。三ツ星のすぐ南(下)にある「オリオン座大星雲M42」です(Mはカタログの略号)。空の条件が良ければ肉眼でもボンヤリと見え、双眼鏡などを使うと天体の広がりやおおまかな形もわかるようになります。写真では赤っぽい色や、鳥が羽を広げたような形もとらえられます。

オリオン座大星雲の正体は宇宙空間に漂うガスの塊で、ガスが星の光を受けて光っている星雲(輝線星雲)です。こうした星雲は新しい星が誕生する場所であることから、「星のゆりかご」と呼ばれることもあります。

うさぎ座、はと座

「オリオン座」の下(南)には「うさぎ座」「はと座」という小動物の星座が並んでいます。オリオンに踏まれているような位置にあるのは少しかわいそうですが、乱暴者とも評されたオリオンを鎮める役目もあるのかもしれません。やや暗めで目立ちませんが、ぜひ見つけてみてください。

「オリオン座」と「うさぎ座」「はと座」

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は2月中旬の深夜1時ごろの星空です。3月中旬の深夜23時ごろ、4月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月や惑星が見えることもあります)。

2020年2月中旬 深夜1時ごろの星空

西の空に「冬の大三角」が低くなり、「オリオン座」が沈みかけています。南の空の高いところには春が待ちきれないかのように「しし座」が駆け、南東には「春の大三角」が広がっています。北天の「北斗七星」も高く見やすくなってきました。さらに夜が更けると、「今月の星さがし」でご紹介した火星・木星・土星が南東の地平線から昇ってきます。

図の上でも説明しているように、3月にも4月にも、もう少し早い時間帯に似たような配置の夜空を見ることができます。もちろん、暖かくなるころを待ったほうが見やすくなるのですが、できればぜひ、寒い2月にもこの空を見ておきましょう。そうすると来月や再来月、同じような星や星座を見たときに、春が訪れて暖かくなっていることを実感できるはずです。空気の透明感の違いもわかるかもしれません。

同じ配置の空を違う時刻に見ることで季節の移り変わりを感じられるのも、星空観察の一つの面白さです。防寒をしっかりとして、寒空の「しし座」などを眺めてみてはいかがでしょうか。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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