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2020年1月の星空

夕空の金星、明けの空の火星と、地球の一つ内側と外側を公転する惑星に注目の1か月。地球を回る月が両惑星に並ぶ光景も見ものです。2020年も星空や天文現象を楽しみましょう。

星空写真

群馬県 赤城山にて
赤城山小沼湖畔から地蔵岳を前景に、ぎょしゃ座と木星を配しました。地蔵岳の雪渓が、凛とした厳冬期らしさを醸し出してくれています。

2014年1月31日 1時19分
ニコン D4+AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G(ISO 6400、露出10秒、f/2.8)
撮影者:高岡 誠一

1月の星空

南の空

南の空

2020年1月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(11日)、上弦(3日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2020年1月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(水) 初日の出
3日(金) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
4日(土) しぶんぎ座流星群の活動がピーク
7日(火) 夕方~翌8日明け方、月とアルデバランが接近
11日(土) 満月。次の満月は2月9日です
未明~明け方、半影月食(「今月の星さがし」で解説)
13日(月) 宵~翌14日明け方、月とレグルスが接近
17日(金) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
18日(土) このころ、未明~明け方に火星とアンタレスが接近(「今月の星さがし」で解説)
21日(火) 未明~明け方、細い月と火星が大接近、アンタレスが並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
25日(土) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
28日(火) 夕方~宵、細い月と金星が接近(「今月の星さがし」で解説)

1月の惑星

水星

月末ごろから、夕方の西南西の低空に見えます。日の入り30分後(東京で夕方17時30分ごろ)の高度は4度前後と、かなり低いです。

位置さえわかれば肉眼でも見えますが、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。見晴らしの良い場所で、スマートフォンのアプリなどで位置をよく確かめて探してみましょう。

金星

「宵の明星」として夕方から宵に南西の空に見えます。

日の入り1時間後(東京で夕方17時50分ごろ)の高度は20度を超え、とても目立つようになっています。非常に明るく輝いているので、簡単に見つけられるでしょう。早ければ日の入りの10分後くらいには見えるかもしれません。

28日に月齢3の細い月と接近します。「今月の星さがし」も参考にして、美しい共演をお楽しみください。

火星

「てんびん座」から「さそり座」、「へびつかい座」へと移動していきます。日の出1時間前(東京で朝5時50分ごろ)に南東の空のやや低いところに見えます。明るさは約1.5等級です。

とても明るいというわけではありませんが、似たような明るさと色をした「さそり座」の1等星アンタレスと並んで見えるので注目してみてください。

また、21日に月齢26の細い月と大接近します。寒い時期ですが早起きして、月と火星とアンタレスが並ぶ光景を見たり撮ったりしてみましょう。「今月の星さがし」も参考にしてみてください。

木星

「いて座」にあり、下旬ごろから明け方の南東の低空に見えますが、日の出30分前(東京で朝6時10分ごろ)の高度が8度前後と低く、見つけづらいでしょう。位置さえわかれば肉眼でも見えますが、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。見晴らしの良い場所で、スマートフォンのアプリなどで位置を確かめて探してみましょう。低いため、天体望遠鏡での観察には適していません。

土星

太陽に近いため、見えません。

今月の星さがし

11日の早朝に半影月食、中旬から下旬の明け方に火星とアンタレスの共演が見られます。未明から明け方はとくに寒い時間帯ですが、暖かくして眺めましょう。28日の夕方に細い月と金星が接近する光景にも注目です。

11日の早朝に半影月食

宇宙空間には地球の影が、太陽と反対方向に長く伸びています。この影の中にちょうど月が入ると、月が暗くなって欠けたように見える「月食」が起こります。

地球の影のうち濃い部分を「本影」、薄い部分を「半影」と呼び、本影の周りに半影が広がっています。一般に月食というと本影の中に月が入って月の色や形が変わる現象(部分月食や皆既月食)を指しますが、半影の部分に月が入って起こる「半影月食」というタイプの現象もあります。1月11日の未明から明け方に見られるのが、この半影月食です。

月食が最大となる4時10分前後の空の様子と月の拡大図。左下がわずかに暗くなる。月食は日食と違い、全国どこで見ても同じ時刻に起こるが、月の高度や空の明るさは場所によって異なる

半影は月(満月)の明るさに比べるとずっと淡いので、半影月食では月の明るさの変化はわかりにくく、色や形の変化はほとんど見えません。月と半影との重なりが最大となる4時10分前後に、月の左下が少し暗くなっているのがわかるかどうか、といったところです。ちょうど、月の海がない辺りが暗くなるので、注意深く観察してみてください。眼視よりも撮影したほうがわかりやすいでしょう。とても寒いので無理はしないようにお気を付けて。

赤い星の共演、火星とアンタレス 21日には細い月も接近

明け方の南東の空に、火星が見えています。火星は今年10月に、2018年の夏以来2年2か月ぶりとなる地球との最接近を控えており、現在は少しずつ地球との距離を縮めているところです。まだそれほど目立っているわけではありませんが、季節を追うごとに明るくなる様子が楽しめるでしょう。

この火星が1月中旬から下旬にかけて、同じような色と明るさで輝く「さそり座」の1等星アンタレスと並びます。2つの星の印象はよく似ているので、どちらが火星でどちらがアンタレスか迷ってしまうかもしれません。周りの星の並びと見比べて確かめてみましょう。火星は惑星なので星々の間を動いていくため、何日間か観察すると星々に対する位置が変わっていく様子もわかります。

1月12日から30日まで3日ごとの、明け方の南東の空の様子。火星とアンタレスが最も近づくのは18日ごろ。21日の囲み内は拡大イメージ(視野5度の双眼鏡で観察したイメージ)

21日には月齢26の細い月が火星のすぐ左に並びます。次に紹介する「細い月と金星」ほどの華やかさはないものの、カラフルさや3天体が集まるという豪華さでは引けをとりません。ぜひ早起きして眺めてみましょう。

28日の夕方、細い月と金星が並ぶ

夕方の南西の空に、一番星の金星が輝いています。早い時間のうちに空が暗くなる時期なので人目に付きやすく、目にするとしばらく見入ってしまうほどの美しさが感じられます。

宵の明星だけでもきれいな夕景ですが、28日の夕方から宵のころには月齢3の細い月が金星の左下に並び、いっそう見ごたえのある光景となります。肉眼でもよく見えるので、気軽に楽しめるでしょう。地上風景を入れた写真撮影もおすすめです。

1月28日 夕方の西の空の様子。囲み内は拡大イメージ(視野5度の双眼鏡で観察したイメージ)

半影月食や火星とアンタレスの共演は早朝なので観察は少し億劫だという方も、夕方に起こるこの現象なら見やすいかもしれません。ギリシャ神話では、月の女神がアルテミス、金星の女神がアフロディーテとされています。勤め帰りや散歩の途中など、日常の中で数分だけでも足を止めて、女神が仲良く会合している様子をお楽しみください。

今月の星座

ぎょしゃ座

1月中旬の夜21時ごろ、ほぼ頭の真上あたりに、黄色っぽく輝く1等星カペラが見えます。その周りの星を含めて五角形を描くと、「ぎょしゃ座」を見つけることができます(ただしエルナトは「おうし座」に属する星です)。「ぎょしゃ」というのは「馬車を操る人」という意味で、ギリシャ神話に登場するエリクトニウス王がモデルとされています。

「ぎょしゃ座」。白い丸は標準的な双眼鏡の視野(約7度)を、赤青緑の丸は中倍率(50~60倍程度)の天体望遠鏡の視野(約1度)を表している

カペラは「小さな雌ヤギ」という意味の言葉に由来し、星座絵のその位置にはエリクトニウスが小ヤギを抱いている姿が描かれています。このカペラは天球上で北寄りに位置しており、本州より北の地域ではほぼ一年を通じて見ることができます。宵の時間帯に見やすいのは今の時期ですが、たとえば夏なら夜明けごろに北東の低空に見えます。別の季節に思いがけず見えると、ちょっと驚いてしまいそうです。

3つの散開星団

「ぎょしゃ座」のあたりには天の川が流れていて、空の暗いところでは五角形に薄いベールがかかったように見えます。この方向に双眼鏡を向けるとたくさんの星が見え、いっそう美しい眺めとなります。その天の川の星々の中に、比較的見やすい散開星団(星の集団)が3つあります。

双眼鏡(視野の広さ7度)では、この3つがちょうど視野内に収まります。天体望遠鏡で観察すると星の数が増え、3つの違いが楽しめるようになるでしょう。M36(Mはカタログの符号)は星の数は少ないながらも明るい星が多く、M37はやや密集していて一番明るく、M38は暗めの星が広がっています。星図をたよりにして、ぜひ3つとも探し出してみてください。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は1月中旬の深夜1時ごろの星空です。2月中旬の深夜23時ごろ、3月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月や惑星が見えることもあります)。

2020年1月中旬 深夜1時ごろの星空

冬の星座は空の西半分(星図の右半分)に移り、入れ替わるように東の空から春の星座が昇ってきました。北東の空には「北斗七星」が高く昇っています。北斗七星の柄の部分をカーブに沿って伸ばしていくと、東の空の低いところに「うしかい座」の1等星アルクトゥールス、「おとめ座」の1等星スピカが見つかります。このカーブは「春の大曲線」と呼ばれています。

また、アルクトゥールス、スピカと、「しし座」のデネボラを結ぶと「春の大三角」が描けます。南西の空に見える「冬の大三角」と、大きさや星の色、明るさを見比べてみると面白いでしょう。

にぎやかな西の空を眺めて今しばらく続く冬を思うもよし、雄大な東の空を眺めて来る春を待ち望むもよし。寒さには気をつけながら、深夜の星空めぐりをお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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