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2019年12月の星空

ふたご座流星群に部分日食と、大きな天文現象が2つも起こる楽しみな1か月です。宵の明星や冬の星座たちも見逃せません。スケジュール管理、体調管理をしっかりとして、観察計画を立てましょう。

星空写真

静岡県 水ケ塚公園にて
月没前の月光に照らされたタイミングで撮影したことで、富士山に立体感が与えられました。また、月のレイリー散乱でバックグラウンドが青系に発色し、冬季の凛とした表情を表現できました。

2018年12月18日 1時19分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G(ISO 6400、露出5秒を6枚合成、f/2.8)
撮影者:高岡 誠一

12月の星空

南の空

南の空

2019年12月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(12日)、上弦(4日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2019年12月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

4日(水) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
11日(水) このころ、夕方~宵に金星と土星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
夕方~翌12日明け方、月とアルデバランが接近
12日(木) 満月。次の満月は来年1月11日です
14日(土) 宵~翌15日明け方、月とポルックスが並ぶ
15日(日) ふたご座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
宵~翌16日明け方、月とプレセペ星団が大接近
17日(火) 深夜~翌18日未明、月とレグルスが接近
19日(木) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
22日(日) 冬至(北半球では、一年のうちで一番夜が長い日)
23日(月) 未明~明け方、細い月と火星が接近
26日(木) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
部分日食(昼14時ごろ~日の入りごろまで。「今月の星さがし」で解説)
29日(日) 夕方~宵、細い月と金星が接近(「今月の星さがし」で解説)

12月の惑星

水星

中旬ごろまで、明け方の東南東の低空に見えます。日の出30分前(東京で朝6時10分ごろ)の高度は8度前後で、太陽から大きく離れることがない水星としては比較的好条件です。

とはいえ低空であり、金星のようなわかりやすい目印もないので、見つけるのは難しいかもしれません。見晴らしの良い場所で、スマートフォンのアプリなどで位置をよく確かめて探しましょう。肉眼でも見えますが、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

金星

「宵の明星」として夕方の南西の低空に見えています。

日の入り30分後(東京で夕方17時ごろ)の高度は15度から20度と、先月までより高く見やすくなりました。とても明るく輝いているので、建物などに隠れていなければ、簡単に見つけられるでしょう。

7日から15日ごろまで、土星と接近して見えます。最接近は11日ごろです。また、29日には月齢3の細い月と金星が接近して見えます。「今月の星さがし」も参考にしてみてください。

火星

「てんびん座」にあり、日の出1時間前(東京で朝5時40分ごろ)に南東の空のやや低いところに見えます。明るさは約1.7等級です。

あまり明るくはありませんが、冬の明け方は空気が澄んでいるので、よく見えるでしょう。赤っぽい色に注目してみてください。来年の秋に地球と最接近して明るく見やすくなるので、長期にわたって明るさの変化や星座の中の動きを追ってみると面白そうです。

23日に月齢26の細い月と接近します。細い月の下に火星が並ぶ光景を、肉眼や双眼鏡で観察してみてください。

木星

「いて座」にあり、10日ごろまで夕方の南西の空に見えますが、日の入り30分後(東京で夕方17時ごろ)の高度が5度前後と非常に低く、見つけづらいでしょう。

土星

「いて座」にあり、20日ごろまで夕方の南西の空に見えますが、日の入り30分後(東京で夕方17時ごろ)の高度が10度前後と低く、見づらいでしょう。土星は金星や木星ほどは明るくないので、暗くなりきっていない空で探すのは少し難しいかもしれません。

7日から15日ごろまで、金星と接近して見えます。最接近は11日ごろです。このころには金星を目印にすれば、土星がわかりやすいでしょう。低空にあり大気の影響を受けやすいので、天体望遠鏡での観察には向いていません。肉眼や双眼鏡で、土星があることを確かめたり土星と金星が並んでいる光景を眺めたりしてみてください。

今月の星さがし

14日から15日ごろにふたご座流星群の活動がピークを迎えます。月が明るいですが楽しみな天文現象です。その半月後の26日には、夕方ごろ全国で部分日食が見られます。

夕方の南西の空で金星と土星が大接近

宵の明星、金星の輝きが、夕方の南西の空で目立つようになりました。冷たい空気の中で見る金星の光には、突き刺すような鋭さが感じられます。

7日から15日ごろまで、この金星のすぐそばに土星も見えています。金星のほうが約70倍も明るいので土星はあまり目立ちませんが、土星も肉眼ではっきり見えます。最接近する11日ごろだけでなく前後の日も眺めて、並ぶ角度や間隔が変わる様子を確かめてみましょう。

また、29日には金星の左に細い月が並びます。年の瀬の慌ただしい時期ですが、ぜひ5分だけでも時間を作って、美しい共演を眺めてみてはいかがでしょうか。

12月7日から15日まで2日ごとの、夕方の南西の空の様子。囲み内は拡大イメージ(視野7度の双眼鏡で観察したイメージ)

12月29日 夕方の南西の空の様子。囲み内は拡大イメージ(視野5度の双眼鏡で観察したイメージ)

14~15日ごろ、ふたご座流星群

毎年12月中旬ごろに活動がピークとなるふたご座流星群は、寒いことを別とすれば一年でもっとも見やすい流星群です。

といったことが理由です。条件が良ければ一晩で100個以上の流れ星が見えることもありえます。

12月15日2時ごろの東京の空。流れ星は「ふたご座」(放射点)を中心とした空全体に飛ぶように見える

今年ふたご座流星群の活動が最も活発になるのは15日の未明2時ごろと予想されています。つまり14日の宵から15日の明け方にかけて、流れ星が一番見やすいということになります。

ただし残念なことに、この夜は満月から数日後の明るい月が一晩中夜空を照らしています。そのため、暗い流れ星が見えにくくなってしまい、目にできる数はかなり減ってしまいそうです。見晴らしの良さや空気の澄み具合によっても変わりますが、1時間あたりの流星数は10~15個くらいになるでしょう。

流れ星観察の重要なポイントは、空を広く見渡すことです。流れ星は「ふたご座の方向だけ」に飛ぶのではなく「ふたご座(放射点)を中心として空のあちこち」に飛ぶので、狭い範囲を集中して見るのではなく、街灯や月から離れた方向を中心に広い範囲をゆったりと眺めましょう。広く見ることが大切ですから、双眼鏡や天体望遠鏡は不要です。同じ理由で、なるべく視界が開けたところで観察するほうが、流れ星を見やすくなります。

観察を始めてすぐに流れ星が飛ぶとは限らないので、防寒の準備を万全にして、安全やマナーにも気をつけながら、少なくとも15分くらいは流れ星を待ってみましょう。とても寒いので、くれぐれも無理はしないようにお気をつけください。数は減りますがピークの夜以外にも見られるチャンスはありますので、前後数日間はちょっと気にかけて星空を見上げてみましょう。1つでも多くの流れ星が見えますように。

26日の夕方に全国で部分日食

26日の14時過ぎごろから夕方16時半ごろにかけて、太陽の一部が月に隠される部分日食が全国で見られます。日本国内で日食が見られるのは今年1月6日以来で、次回は来年6月21日(部分日食)です。

太陽が欠け始める時刻や、欠け具合が最も大きくなる(食最大の)時刻は、観察する場所によって異なりますが、だいたい14時から14時半ごろに始まり、15時半ごろに最も大きく欠けます。南西の地方ほど早く始まり、欠ける部分が大きくなります。また、日食が終わる時刻は全国どこでも16時半ごろですが、関東より東の地方では、日食が終わる前に太陽が沈みます(東京で、ほぼ同時くらい)。つまり、欠けた状態で太陽が沈むことになり、このような日食を「日没帯食」や「日入帯食」と呼びます。

主な地点での、欠け始めの時刻と最も大きく欠ける時刻、および最も大きく欠けた時の太陽の形

東京から見た日食。地平線近くの太陽は、地球の大気の影響によってつぶれて見える

中部以西であっても、日食の後半(太陽が一番大きく欠けた状態から戻っていくところ)では太陽の高度はかなり低くなります。また、22日の冬至から4日しか経っておらず、一年のうちで最も太陽の高度が低い時期なので、実は全国的に、欠け始めの時点でも太陽はそれほど高いわけではありません。当日、太陽が建物や木立などに隠されて日食が見えない、ということにならないよう、事前に太陽の見える方向や高さを確認しておきましょう。

さて、日食観察は太陽を見ることと同じなので、「日食グラス」など安全性が確認された専用の道具を正しく使う必要があります。不適格な道具では、太陽のまぶしさは抑えられても紫外線や赤外線などを防ぐことはできず、目を傷める可能性があります。

日食グラスを使うと、太陽以外は見えなくなります。太陽を見ていないときにグラスを外すのはもちろんのこと、段差や歩行者、車など、安全にも配慮が必要です。とくに子供が観察する際には、日食グラスの正しい使い方や周囲の様子の確認など、大人がしっかりと気配りしましょう。また、木漏れ日やピンホール投影の像でも欠けた太陽の形がわかり、これは道具を使わなくても安全に見られます。

撮影する場合もしっかりとした減光が必要です。太陽が沈む直前くらいになれば、地上風景と一緒に欠けた形が撮影できるかもしれませんが、太陽光が充分弱くなっていることを念入りに確認してください。

この日、アラビア半島やインド南部、シンガポール、グアムなどでは金環日食が見られます。日食ツアーに参加する方、年末年始の休暇でちょうどこの地域に旅行される方もいらっしゃるかもしれませんね。国内で部分日食を見る方も海外で金環日食を見る方も、好天に恵まれますように。

今月の星座

おひつじ座

3月下旬から4月中旬ごろに誕生日を迎える人の星座として名前が知られている「おひつじ座」、宵空で見やすくなるのは12月ごろです。12月中旬の夜20時から21時ごろに南の空の高いところに見えます。

「おひつじ座」。水色の円は標準的な双眼鏡の視野(直径7度)を表している

「おひつじ座」の目印となるのは2等星のハマルで、この星と3等星のシェラタンが天頂のあたりに並んでいるのを見つければ位置の見当を付けられます。ハマルとシェラタンは羊の頭から角の位置にあたり、他のいくつかの星を結ぶと「おひつじ座」の全体像が見えてくるのですが、星図からわかるように、星をつないで羊の姿を想像するのはちょっと難しそうです。

神話では黄金の毛皮を持ち、空を飛べたと言われている羊です。そのストーリーに語られる活躍ほど目立っているわけではありませんが、暖かい金の羊毛をまとって冬の夜空を駆ける姿を想像してみてください。

二重星メサルティム

ハマルとシェラタンのそばにある4等星メサルティムは、肉眼や双眼鏡では1つにしか見えませんが、天体望遠鏡で観察すると2つに分かれて見える二重星で、色も明るさもほぼ同じ星が仲良く並んでいます。二重星というと色の対比を楽しむことが多いものですが、こうした「そっくり二重星」も面白いのではないでしょうか。

天王星

太陽系の第7惑星である天王星が「おひつじ座」の領域にあります。明るさは約6等級で、多少の街明かりがあるようなところでも、位置がわかれば双眼鏡で簡単に見ることができます。星図を参考にして、周りの星との位置関係から天王星を見つけ出してみましょう。目立つ星が少ない領域なので、ハマルとシェラタンのあたりからたどってみてください。日付や時刻によっては、図を傾けないと実際の見え方と一致しないことがあるので、星の配列をよく確かめるのがポイントです。

見えたかどうか自信がないときには、数日後に再び探してみましょう。位置が変わっていれば、間違いなく天王星です。望遠鏡で観察すると青緑色の小さな小さな円盤状の姿をとらえることができます。公開天文台や科学館で見られるチャンスがあるかもしれませんので、天体観察会などに参加してみるのもいいでしょう。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は12月中旬の深夜1時ごろの星空です。来年1月中旬の深夜23時ごろ、2月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります)。

2019年12月中旬 深夜1時ごろの星空

ちょうど真南の空に「冬の大三角」が見え、星の輝きも空気の冷たさも、まさに冬という印象の夜空です。冬の星々は明るいだけでなく、色とりどりであることも大きな特徴です。深夜になっても街が明るい時期ですが、地上のイルミネーションだけでなく夜空の美しい輝きにも目を向けてみましょう。

関東地方より南の地域では、南の地平線近くに「りゅうこつ座」の「カノープス」も見えるかもしれません。一目見ると寿命が延びると言われる縁起の良い星です。天候や観察場所の条件に恵まれた日にはぜひ探してみてください。

この空の様子は、ちょうど新年を迎えるころ、つまり2020年1月1日の0時とほぼ同じです。除夜の鐘を聞きながら夜空を見上げれば、こんな星々が見えるというわけです。2020年も美しい星空や天文現象に出会えるように願いながら、よい新年をお迎えください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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