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2019年8月の星空

頭の真上に夏の大三角が広がり、南の空に木星と土星が輝いています。空が暗いところでは、夏の大三角から木星土星へと天の川が流れ下っているのも見えるでしょう。月明かりはあるものの、中旬のペルセウス座流星群も楽しみです。

星空写真

渋峠にて
薄明と月光で鮮やかに演出できた真夏のオリオン座です。星空写真は色彩に乏しく地味になりがちですが、薄明や月光を活用すると派手な描写になり、新鮮な表現も可能になります。

2015年8月9日 3時34分
ニコン D4S+AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G(ISO 3200、露出5秒を8枚合成、f/2.8)
撮影者:高岡 誠一

8月の星空

南の空

南の空

2019年8月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(15日)、上弦(8日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2019年8月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(木) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
6日(火) 夕方、月とスピカが並ぶ
7日(水) 伝統的七夕(「今月の星さがし」で解説)
8日(木) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
立秋(こよみの上で秋の始まり)
9日(金) 宵~深夜、月と木星が並ぶ
10日(土) このころ、明け方の東北東の低空で水星がやや見やすい
夕方~宵、月と木星が並ぶ
12日(月) 夕方~翌13日未明、月と土星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
13日(火) ペルセウス座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
15日(木) 満月。次の満月は9月14日です
23日(金) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
25日(日) 未明~明け方、月とアルデバランが接近
30日(金) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)

8月の惑星

水星

明け方の東北東の低空に見えます。高さと明るさの条件が良くなるのは10日から20日ごろで、明るさは0等級からマイナス1等級です。

日の出30分前(東京で朝4時30分ごろ)の高さは10度ほどで、水星としてはかなり見やすい条件です。ただし、見やすいといっても10度(腕を伸ばして握りこぶし1個分くらい)は低く、建物などに隠されてしまうかもしれません。また、金星のようなわかりやすい目印もないため、見つけるのはやや難しいです。スマートフォンのアプリなどを参考に方位と高度をよく確かめて探してみましょう。双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

金星

太陽に近く、見えません。次は10月中旬ごろから、宵の明星として夕方の西南西の低空に見えるようになります。

火星

太陽に近く、見えません。次は11月上旬ごろから、明け方の東南東の低空に見えるようになります。

木星

「へびつかい座」にあります。夕方19時ごろに南の空に見え、日付が変わる前後に沈みます。明るさは約マイナス2.3等級です。

宵のころに見やすい高さにあり、引き続き観察の好期です。肉眼では、木星の右に見える「さそり座」のアンタレスと色や明るさを比べてみましょう。9日の宵から深夜には上弦過ぎの半月が近づき、3天体が整った三角形に並んで見えます。月と木星は10日にも並んで見えます。また、月明かりがない時期には、空の条件が良ければ木星の左に天の川も見えるでしょう。

双眼鏡では木星の周囲を回る4個のガリレオ衛星のうちいくつかが見え、天体望遠鏡を使うと衛星のほかに本体の縞模様も見えます。機材をお持ちの方はじっくりと観察してみましょう。

土星

「いて座」にあります。夜21時ごろに南の空に見え、未明2時ごろに沈みます。明るさは約0.2等級です。

宵のころに見やすい高さにあり、木星と共に観察の好期を迎えています。天体望遠鏡で環を観察してみましょう。

空の条件が良いところでは、木星と土星の間に天の川が流れている光景も見えるでしょう。また、12日の夕方から13日の未明には、やや丸みを帯びた月と土星が大接近する様子が肉眼や双眼鏡で楽しめそうです。

今月の星さがし

木星と土星が見ごろを迎えています。肉眼・双眼鏡・天体望遠鏡それぞれで観察してみましょう。見られる地域は限られますが日食や月食も起こります。

7日 伝統的七夕

7月7日は七夕でしたが、例年だとまだ大半の地域で梅雨が明けていません。そのため、晴れた夜空に織り姫星(「こと座」のベガ)と彦星(「わし座」のアルタイル)が見えないことも少なくありません。

七夕は古くからの行事で、もともとは旧暦の7月7日に行われていました。そこで、この旧暦7月7日(※)を「伝統的七夕」と呼んで、天文行事として祝う動きも広く行われています。伝統的七夕の日は毎年日付が変わり、今年の場合は8月7日で、俗に「月遅れの七夕」と呼ばれる日と偶然一致しています。

※旧暦は現在公的には使われていないため、伝統的七夕の日は「太陽太陰暦と同じような方法で求めた7月7日に近い日」として、太陽の位置や月の満ち欠けをもとにして決められます。

伝統的七夕の8月7日と新暦七夕の7月7日、旧暦の7月1日にあたる8月1日の、夜9時の空(場所は東京)。7月7日には地平線(図の円周)に近いベガとアルタイルが、8月7日には天頂(図の中心)付近まで高く昇ることがわかる。
また、8月1日は月明かりがないので、この前後の日は天の川が見やすい

このころになれば梅雨も明けていることが多く、晴れた夜空に出会える確率が高くなります。7月7日の夜9時ごろには東の空に見えていたベガとアルタイルは、伝統的七夕の夜9時には頭の真上あたりまで高く昇っています。また、旧暦では1日が新月なので、その6日後となる旧暦7日は必ず(ほぼ)上弦の半月になります。深夜にこの半月が沈むと、空が暗いところではベガとアルタイルの間に天の川も見えるでしょう。今年の場合はベガとアルタイルだけでなく、南の空に見える木星と土星もペアになっていて、この2惑星も天の川の両岸に見えています。

伝統的七夕に合わせ、省エネや暗い夜空などについて考えるライトダウンキャンペーンも行われています。8月7日の「伝統的七夕」の夜は空を見上げて織り姫星と彦星を見つけ、星や宇宙に、そして地球にも、思いを馳せてみてください。

13日ごろ、ペルセウス座流星群

毎年8月13日ごろに活動がピークとなる「ペルセウス座流星群」は、夏の定番の天文現象です。条件が良ければ1時間あたり数十個の流れ星を見ることができる、一年のうちでも指折りの「流れ星が見やすい夜」です。速く明るい流星が多いので見ごたえがあり、流れ星が飛んだあとに、ぼんやりとした煙のような「流星痕」が見えることもあります。

今年のピークは13日夕方16時から17時ごろと予想されています。この時刻は日中なので、実際の空で一番見ごろとなるのは前夜となる12日深夜から13日明け方と、当夜である13日深夜から14日明け方になるでしょう。

8月13日3時ごろの東京の空。流れ星は、放射点の位置する北東の空だけではなく、放射点を中心とした空全体に飛ぶように見える

普段の星空観察と同様に、流れ星の観察も街明かりや月明かりの影響を大きく受けます。このうち月明かりについては、満月前の明るい月が2時から3時ごろまで夜空を照らし、流れ星を見えにくくしてしまいます。街明かりがなく見晴らしが良いところで、1時間あたり10~20個ほどの出現数になるでしょう。視界の一部が遮られる郊外などでは、この半分から3分の1くらいになりそうです。また、数は減りますが前後数日も流れ星が見やすい時期です。月が早く沈むことや月が細いことから、ピークの前の期間のほうが後よりも見やすいでしょう(時間帯はどの日でも深夜から明け方です)。

流れ星観察の重要なポイントは、空を広く見渡すことです。流れ星は「ペルセウス座の方向(北東)だけ」に飛ぶのではなく「ペルセウス座(放射点)を中心として空のあちこち」に飛ぶので、狭い範囲を集中して見るのではなく広い範囲をゆったりと眺めましょう。今年の場合は月の眩しさを避けるため、なるべく月から離れた方向を中心に眺めると良いでしょう。広く見ることが大切ですから、双眼鏡や天体望遠鏡は不要です。

また、1時間に10個見えるとすると平均では6分に1個見えることになりますが、実際には流れる場所だけでなく流れるペースも不規則なので、15分間に1個も見えないということもあります。安全やマナーに気をつけながら、少し気長に空を見上げてみてください。虫よけもお忘れなく。

木星、土星が見ごろ

この夏は木星と土星が見ごろです。宵のころに見やすい高さにあるので、科学館やプラネタリウムで開催される天体観察会や、空の暗いところで催される「星まつり」イベントなどに参加して、大きい望遠鏡で木星の縞模様や土星の環を見てみましょう。

8月9日 21時、12日 21時、25日 21時(場所は東京、ただし25日は暗い場所のイメージ)の空の様子。囲み内は拡大イメージと、さらに惑星だけを拡大したイメージ

望遠鏡がないと模様や環は見えませんが、肉眼や双眼鏡でも惑星観察は楽しめます。この夏はとくに、木星と土星の間に天の川が流れている光景に注目してみてください。天の川を挟むように木星と土星が見える機会はめったになく、次回は59年後の2078年まで起こらない並び方です。旅行や帰省で暗い夜空を眺める機会があれば、ぜひ見たり撮ったりしておきましょう。天の川は月明かりの影響がないタイミングのほうが見やすく、新月となる1日と30日の前後、つまり8月初めと終わりのころがとくにチャンスです。

反対に月明かりがあるときには、天の川は見えなくなりますが、月が木星や土星に近づくタイミングには天体の共演という別の面白い光景を楽しめます。9日には半月と木星、「さそり座」の赤い1等星アンタレスが正三角形のように並び、宵空で目を引きます(月と木星は10日にも並んで見えます)。また12日から13日にかけては月と土星が大接近し、両天体が月の見かけ直径の2~3倍まで近づきます。これほど近いと、フィールドスコープや低倍率の天体望遠鏡の同一視野で見ることができるかもしれません。月の模様と土星の環を一緒に見られる貴重な機会、ぜひ観察してみてはいかがでしょうか。

今月の星座

いて座

11月下旬から12月中旬ごろに誕生日を迎える人の星座として名前が知られている「いて座」、宵空で見やすくなるのは8月ごろです。8月中旬の夜21時ごろに、南の空のやや低いところに見えます。半人半馬の姿をしており、弓矢を引き絞って西(右)にある「さそり座」を狙っています。

「いて座」。アニメーション2枚目で水色の線が「南斗六星」、白色の線が「ティーポット」
(星雲の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA), NASA DSS2)

「いて座」の目印となるのは2等星のカウスアウストラリスとヌンキですが、いずれも高度があまり高くないため、建物にさえぎられたり街明かりの影響を受けたりして、あまり目立たないかもしれません。観察場所を選んで探してみましょう。また、今年は土星が「いて座」の領域にあるので、土星を目印にして「いて座」の見当をつけることもできます。

さらに暗い星まで見える場所では、北斗七星と形が似た星の並びが見えるでしょう。南の空にあって星の数が6つなので「南斗六星」と呼ばれています。また、別の星の並びを「ティーポット」に見立てることもあります。星図(アニメーション画像)を参考にして星をつないでみてください。

空の条件が良ければ、このティーポットの注ぎ口から天の川が湯気のように立ちのぼっているのが見えるでしょう。旅行や帰省などの機会には、天の川を眺めてみてください。肉眼では白い帯のような印象ですが、天体写真では無数の星が集まっている様子やカラフルな星雲もとらえられ、魅了されます。

干潟星雲M8、三裂星雲M20、オメガ星雲M17

「いて座」と「さそり座」のあたりは天の川が最も濃くなっているところで、双眼鏡で眺めると視野いっぱいに星が広がり美しい光景を楽しめます。そこには、先月ご紹介した「散開星団」(星の集団)だけでなく、宇宙空間に漂うガスや塵が光って見える「星雲」もたくさん存在しています。

その中でも、南斗六星の柄にあたる星の近くにある干潟星雲M8(Mはカタログの略称)と三裂星雲M20は、比較的明るいので見やすい星雲です。とくに干潟星雲はサイズも大きく、見つけやすいでしょう。双眼鏡では2つの星雲が同一視野内に見えます。また、オメガ星雲(白鳥星雲などとも呼ばれます)M17も比較的見やすい星雲です。

星雲のニックネームは見かけの形状に由来するものですが、名前のような姿は天体写真でなければなかなかわかりません。写真集やインターネットの画像検索などで楽しんでみてください。

天の川銀河の中心

星図中「×」のところは、天の川銀河の中心方向です。天の川銀河は数千億個の星が円盤状に集まった天体で、太陽(太陽系)はその中心から約2万8000光年離れた円盤内にあります。中心方向はやや膨らんでおり、星も多いので、とくにこの方向の天の川が濃く太く見えるのです。この方向には黒い部分も多く見られますが、ここはガスや塵で星の光が遮られているところです。

天の川銀河の中心には、太陽の約400万倍もの質量を持つ超大質量ブラックホールが存在すると考えられています。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は8月中旬の深夜1時ごろの星空です。9月中旬の深夜23時ごろ、10月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。

2019年8月中旬 深夜1時ごろの星空

土星が南西の空に低くなり、「夏の大三角」も天頂から西の空へと移りました。夏の初めに東の空で見たときにはベガが上にありましたが、西の空で見ると(西に向いて眺めると)デネブが上になります。同じ三角形ですが、印象が異なって見えそうです。

頭の真上近くには「秋の四辺形」が昇っています。真南の空、やや低いところに見える1等星は「みなみのうお座」のフォーマルハウトで、ひとつポツンと輝く様子から「秋のひとつ星」などと呼ばれています。その名前だけで涼しくなるわけではありませんが、フォーマルハウトに秋を感じてみれば、残暑も乗り切りやすいかもしれませんね。さらに東の空には、「おひつじ座」「おうし座」など冬に見やすくなる星座も見え始めています。

暑くて眠れない、夏バテしてしまった、そんなときには星を眺めて、体と心を休めてみてください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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