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Japan

2019年7月の星空

今年の七夕は織り姫星と彦星だけでなく、木星と土星も天の川を挟んで輝いています。これらの星々や惑星を目印にして、天の川の流れをたどったり想像したりしてみましょう。木星の近くにはS字カーブの「さそり座」も見えています。

星空写真

南房総にて
あたりは真っ暗で、目が慣れるにしたがって天の川がはっきりと見えてきました。さそり座のお隣の明るい星は木星です。

2019年4月28日 1時32分
ニコン D750+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(14mm、ISO 8000、露出30秒、f/2.8)
撮影者:鈴木 祐二郎

7月の星空

南の空

南の空

2019年7月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(17日)、上弦(9日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2019年7月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(月) 明け方、細い月とアルデバランが接近
3日(水) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
南太平洋~チリ・アルゼンチンで皆既日食(日本時間では明け方4~6時ごろ。「今月の星さがし」で解説)
4日(木) 夕方、細い月と水星、火星が接近
6日(土) 夕方~宵、月とレグルスが接近
7日(日) 七夕(「今月の星さがし」で解説)
9日(火) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
10日(水) 土星が衝(一晩中見えるので観察の好機です。「今月の星さがし」で解説)
13日(土) 夕方~翌14日未明、月と木星が接近(「今月の星さがし」で解説)
16日(火) 夕方~翌17日明け方、月と土星が接近(「今月の星さがし」で解説)
17日(水) 満月。次の満月は8月15日です
明け方、中四国地方より西で部分月食(月が欠けた状態で沈みます。「今月の星さがし」で解説)
25日(木) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
28日(日) 未明~明け方、細い月とアルデバランが接近

7月の惑星

水星

5日ごろまで、夕方の西北西の低空に見えますが、約1.5等級とあまり明るくないので観察は難しいでしょう。

4日には月齢2の細い月と接近するので、双眼鏡で月を眺めると、その左下に水星も見えるかもしれません。また、水星の右、細い月の右下には火星もあります。月・水星・火星が三角形に並ぶ様子を双眼鏡で探してみましょう。

その後は太陽に近づくため見えなくなります。次は8月上旬ごろから、明け方に東北東の低空に見えるようになります。

金星

10日ごろまで、明けの明星として明け方の東北東の低空に見えますが、非常に低いため観察は難しいでしょう。

中旬以降は太陽と同じ方向になって見えなくなります。その後は10月中旬ごろから、宵の明星として夕方の西南西の低空に見えるようになります。

火星

「かに座」にあり、夕方の西北西の低空に見えますが、約1.8等級と明るくないので観察は難しいでしょう。

4日には月齢2の細い月と接近するので、双眼鏡で月を眺めると、その右下に火星も見えるかもしれません。また、火星の左、細い月の左には水星もあります。月・火星・水星が三角形に並ぶ様子を双眼鏡で探してみましょう。

木星

「へびつかい座」にあります。夜21時ごろに南の空に見え、2時ごろに沈みます。明るさは約マイナス2.5等級です。

宵のうちに見やすい高さまで昇り、先月に引き続き観察の好期です。双眼鏡では木星の周囲を回る4個のガリレオ衛星のうちいくつかが見え、天体望遠鏡を使うと衛星のほかに本体の縞模様も見えます。機材をお持ちの方はじっくりと観察してみましょう。

13日の夕方から14日の未明、上弦を過ぎてやや太くなった月と接近します。明るい2天体の共演を肉眼や双眼鏡で眺めたり写真に収めたり、また望遠鏡でそれぞれを拡大観察したりしてお楽しみください。

土星

「いて座」にあります。夜20時ごろに南東の空の低いところに見え、深夜23時ごろに南の空に見えます。明るさは約0.1等級です。

ほぼ一晩中見えるので観察の好機ですが、晴れなかったり夜が短かったり、さらに土星の高度があまり高くなかったりと、好機でありながら少し見づらい条件です。見られるチャンスの時には、じっくりと眺めましょう。機会があれば木星と共に観察してみてください。空の暗いところでは、木星と土星の間に天の川が流れている光景も見られそうです。また、天体望遠鏡では環が美しく見えるでしょう。

16日の夕方から17日の明け方に、満月前の明るく丸い月と接近します。

今月の星さがし

木星と土星が見ごろを迎えています。肉眼・双眼鏡・天体望遠鏡それぞれで観察してみましょう。見られる地域は限られますが日食や月食も起こります。

木星、土星が見ごろ

宵のころ、南の空にとても明るい星が輝いています。この夏に見ごろを迎えている木星です。また、木星から東(左下)のほうにやや離れた南東の空にも明るめの星が見つかります。こちらも太陽系の惑星の一つで、この夏~秋に見ごろを迎える土星です。

木星の表面の模様や土星の環を観察するためには天体望遠鏡が必要ですが、望遠鏡がなくても肉眼や双眼鏡で楽しむことができます。その方法の一つが、月と並ぶ光景を眺めることです。月とそれぞれの惑星の接近はおよそ1か月ごとに起こります。今月の場合、月と木星が接近して見えるのは13~14日、月と土星が接近して見えるのは16~17日です。月と惑星の間隔の違いや、月の形の変化などにも注目してみましょう。肉眼では周りの風景と一緒に広く眺められ、双眼鏡では2天体だけに集中するので、印象も違って見えそうです。

7月13日 21時、16日 21時、25日 21時(場所は東京、ただし25日は暗い場所のイメージ)の空の様子。囲み内は拡大イメージ(直径6度)と、さらに惑星だけを拡大したイメージ

また、空が暗いところでは、月の明かりがない夜に木星と土星の間に天の川が流れている光景を見ることができるかもしれません。天の川を挟むように木星と土星が見える機会はめったになく、次回は約60年後まで起こらない並び方です。夏休みの旅行などで暗い夜空を眺めることがあれば、ぜひ見たり撮ったりしておきましょう。

天体望遠鏡では木星の表面の縞模様や周囲を巡る4つのガリレオ衛星、土星の環や衛星タイタンが見えてきます。とくにガリレオ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)は動きが速く、一番内側のイオは2日弱で、一番外側のカリストは17日ほどで木星を一周するので、数時間から数日の間にも並び方が変わって見えます。観察するたびごとに、お互いの位置関係や木星からの離れ具合が変化しているのがわかるでしょう。ときどき、衛星が木星の裏に回ったり木星の影に入ったりして、3つ以下しか見えなくなることもあります(衛星が木星のすぐそばにあるときには、木星が明るいため衛星が見づらいこともあります)。

ガリレオ衛星の動き。真ん中の木星の周りを4つのガリレオ衛星が回っている。「イ」=イオ、「エ」=エウロパ、「ガ」=ガニメデ、「ト」=カリスト

科学館などでは大きい天体望遠鏡で惑星を見せてもらえるので、観察会に参加してみてはいかがでしょうか。木星と土星の見ごろはこの先もしばらく続くので、継続的に観察してみてください。また、曇りや雨の日には、探査機が撮影した惑星の様々な画像を図鑑やインターネットで調べて見るのも面白いものです。ぜひいろいろな角度から木星と土星を楽しみましょう。

3日の明け方に南米で日食、17日の明け方には西日本で月食

日本時間3日の明け方、南太平洋~チリ・アルゼンチンで皆既日食が起こります。全地球規模で考えると、日食が起こるのは今年1月6日に日本などで見られた部分日食以来、皆既日食に限れば2017年8月のアメリカ横断皆既日食以来となります。

陸地で太陽が月に完全に隠される「皆既食」が見られるのはチリとアルゼンチンの一部だけで、太陽が欠け始める(部分食が始まる)のは日本時間3日朝4時35分ごろ、皆既食が始まるのは朝5時40分ごろです。中継もこの時間帯に行われるはずなので、早起きして見逃さないようにしましょう(もし南太平洋上の船や飛行機からの中継があれば、これより最大で2時間半くらい早い可能性があります)。皆既食の状態は(チリ・アルゼンチンでは)最長で2分半ほど続きます。

帯の範囲内で、太陽が月に完全に隠される皆既日食が起こり、その周囲の広い範囲で、太陽の一部だけが月に隠される部分日食が起こる。囲み内は皆既食のイメージ画像

那覇から見た朝5時15分の月食の様子

また、その半月後となる17日の明け方には、西日本で部分月食が見られます。日本から月食が見られるのは昨年7月以来です。

西に傾いた満月が欠け始めるのは朝5時1分ですが、この時刻における月の地平線からの高さは福岡で約3度、那覇でも約8度で、非常に低いです。福岡では約20分後、那覇では45分後に月が沈んでしまう(前後して太陽が昇ってくる)ので、空が明るいこともあって月食はほとんど見えないかもしれません。観察や撮影をする場合には、空が暗いうちに月の位置を確認し、沈むまで追いかけるようにしましょう。

なお、朝4時前ごろからは、地球の影のうち「半影」と呼ばれる薄い影に月が入る「半影食」という現象が起こります。この様子は西日本だけでなく関東地方あたりでも見ることができ、月が欠けているというよりは月の端がやや暗くなっていることがわかるかもしれません。月が低く空が明るいという不利な条件ですが、少しだけ注目してみてください。

七夕

7月7日は七夕。秋のお月見とともに、古くから人々に親しまれている天文行事です。七夕伝説では一年に一度この日だけ、「織り姫星(織女星:しょくじょせい)」と「彦星(牽牛星:けんぎゅうせい)」が川を渡って会うことを許されていますが、伝説に登場する「織り姫星」は「こと座」のベガ、「彦星」は「わし座」のアルタイルという星です。

七夕のころ、ベガとアルタイルは夜9時ごろに東の空に昇っています。東の空に見える3つの明るい星のうち、一番高いところにあって一番明るいのがベガ、ベガから右下に離れたところにあるのがアルタイルです。ベガの左下にあるもう一つの星は「はくちょう座」の1等星デネブで、この3つの星を結んでできる三角形を「夏の大三角」と呼びます。3つとも1等星なので、街中からでも見つけられるでしょう。

七夕の日の夜空。街中でも織り姫星ベガと彦星アルタイルは見つけられる

日付や時刻が変わると3つの星の高さや位置関係が異なって見えることがあります。「3つのうち一番明るいのがベガ、ベガから遠く2番目に明るいのがアルタイル、ベガに近く一番暗いのがデネブ」と覚えるとわかりやすいでしょう。

この夏の大三角を通り抜けるように天の川が流れています。七夕伝説では、織り姫星と彦星は川の反対岸にいることになっていますが、実際の空でもベガとアルタイルの間に天の川が流れているというわけです。条件の良い夜空であれば、月明かりの影響が少ない新月の前後(今年の場合は月初と月末ごろ)には天の川が見えるでしょう。その流れを南へとたどっていくと、木星と土星が、こちらも天の川の両岸に輝いています。

多くの地域では7月7日は梅雨の真っ最中なので、当夜は晴れていないかもしれませんが、織り姫星と彦星は七夕以外の日にも見えます。晴れた夜には空を見上げて、2つの星や夏の大三角、木星と土星を探してみてください。なお、旧暦に基づいた「伝統的七夕」(日付は毎年変わり、今年は8月7日)のころには梅雨が明けて晴れることが多いので、織り姫星と彦星がさらに見つけやすくなります。

今月の星座

さそり座

10月下旬から11月中旬ごろに誕生日を迎える人の星座として名前が知られている「さそり座」、宵空で見やすくなるのは7月ごろです。7月中旬の夜21時ごろに、南の空のやや低いところに見えます。

「さそり座」

「さそり座」の目印は、赤っぽく輝く1等星アンタレスです。今年の場合は、アンタレスの隣でもっと明るく輝く木星のほうが目立つので、木星からアンタレスを見つけて、そこから周囲の星へと目を移していきましょう。アンタレスを中心としてアルファベットのS字形に星が並んでおり、顔のあたりに位置する2等星ジュバや毒針部分に輝く2等星シャウラがS字の端になります。日本ではこの形を釣り針に見立て、「魚釣星」「鯛釣星」などと呼ぶこともあります。

アンタレスやジュバ、シャウラのほかにも明るめの星があり比較的見やすい星座ですが、本州あたりでは南の地平線からあまり高く上らないため、建物に隠されたり街灯の影響を受けたりして、意外と見えにくくなってしまいます。一方、オーストラリアやニュージーランドなどではこの時期、頭の真上近くまで高く上ります。機会があれば、天に架かる大きなS字を見上げてみましょう。

散開星団M6、7

「さそり座」の尾のあたりは天の川が最も濃くなっているところで、双眼鏡で眺めると視野いっぱいに星が広がり美しい光景を楽しめます。その中には、星が集まっている散開星団もいくつか見られます。

とくに見やすいのはシャウラの左上あたりに位置する、M6、7という番号が付けられた散開星団です。空が暗いところでは肉眼でも存在がわかるほど明るい天体です。双眼鏡では両方が同一視野内に見え、M7のほうが明るく大きいことがわかります。天体望遠鏡で見る場合には、星が広がりすぎないように低倍率(=広い視野)で観察するとよいでしょう。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は7月中旬の深夜1時ごろの星空です。8月中旬の深夜23時ごろ、9月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。

2019年7月中旬 深夜1時ごろの星空

「さそり座」は沈みかけ、木星も南西の空に低くなります。これらの天体は深夜になる前にしっかりと見ておきたいですね。土星もあまり高くはありませんが、深夜になっても見ることができます。

一方、空の高いところに目を向けると「夏の大三角」が目立ちます。織り姫星ベガと彦星アルタイルが天上から私たちを優しく見ているようにも感じられそうです。街明かりや月明かりがなければ、七夕伝説のとおりにベガとアルタイルの間を流れる天の川も見えるでしょう。天の川の流れは南西へと続き、木星と土星を通って地平線に達します。双眼鏡で天の川を眺めるとたくさんの星が視野に広がり、見飽きることがありません。深夜の川下りも面白そうです。

東の空には早くも秋の星座が見え始めています。夏の大三角や惑星といった目立つ星々だけでなく、少し控えめな東の空の様子も、ぜひ眺めてみてください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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